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折々な日常の中で  作者: 仲村遊一


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老け顔


実年齢より若く見られることが増えた。




子供の頃から老け顔で、それが少しコンプレックスだった。

原因と言えば大袈裟だが、母親の顔が元々老け顔だった為、その血を丸々受け継いだ形だ。

年齢を重ねれば実年齢と見た目が逆転すると言われていたものの、本当か?と思っていたのが事実だ。


実際、高校生ぐらいの時に、母親の子供の頃の写真を見せてもらったことがあるが、その当時の母親の顔と写真に写っている母親の顔が殆ど変わらなかったことには驚いた。

良いように言えば、その当時から完成された大人の顔とも言えるが、子供ながらにそのようには思えなかった。


そのためか、学生の頃は驚くほどにモテなかった。

現在も特段モテているわけではないのだが、学生の頃よりは幾ばくか女性の方から声を掛けてもらう機会が増えた。

いい年齢になり、少し小っ恥ずかしく、また同時に嬉しさもあり、内情は複雑なのだが、悪い気はしない。

本当に嫌らしい人間になったなとつくづく思う。


老け顔エピソードにこんなことがある。


高校一年生の時だ。

アルバイトを始め、当時のオーナーから銀行口座を作るように言われ、家の近くの郵便局で口座を作ることになった。

初めてのことでわからず、店舗の方と一緒に書類を作成してる途中に事件は起こった。


「口座と一緒にクレジットカードも作りませんか?」


元々作る予定など無かったのだが、作れるならと思い、指定された書類に記入していこうと思ったその時、


「クレジットカードを作る際に身分証を見せて頂きたいのですが」


それは全然構わない。

免許証が無いため、変わりに保険証を見せると、あれだけ勧めていた店舗の方が血相を変え、その後一言。


「すみません。18歳以下の方はクレジットカードを作れないんです。」


顔と雰囲気で判断するんじゃねぇ、と思ったのだが、1ミリも顔には出さず、


「よく勘違いされるんです。」


とこれでもかと言える程の満面の笑みを浮かべて対応した。


兎にも角にも無事に銀行口座は作る事ができ、家に帰り家族にこの事を報告すると、母親も似たような経験があった事を教えてくれた。


今となっては笑い話で済んでいるのだが、当時は少しショックで、自分の顔と生い立ちを恨んだのを覚えている。


一人一人生い立ちや容姿は違う。

個性といえば響きはいいのだが、これをポジティブにもネガティブにも捉えようとするのは気持ちの問題と日々の心づもりなのかもしれない。


生い立ちや容姿を武器にするかしないかは自分の生き方で決まる。

その為にも今日という日を無駄には出来ないと思った。


今日もこの老け顔で街を闊歩する。

出来るだけの若作りをして。

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