「あなた」
無性に感傷的になる瞬間がある
私事で恐縮だが、人生において幸せにしようと誓った人と
離れる決意をした
理由は様々あるが、1番は幸せにする自信が無くなった
格好を付けている訳ではない
本気でそう思った
交際期間と結婚生活を合わせて10年
紆余曲折をへて今日までこの人を1番に考え
いかに幸せにするかの一点を考えて行動して来た
給料が生活する上で苦しいと言われれば転職をし
美味しいものが食べたいと言われれば調べてそこに行った
話を聞いて欲しそうにしていれば睡眠時間を削ってでも
夜通し愚痴を聞いた
それが「あなた」という存在の大きさと同時に
自分にとってのエネルギーになっていた
どれだけ疲れていても仕事に行き
やりたくないことでも、やらすわけにはいかないと
代わりになってこなしてきた
周りの友人や両親からはそこまでしなくても、と
よく言われたが、お構いなしに進んできた
友人や血の繋がった家族を敵に回しても守って来た
それなのに大切な存在が
大切にしてきた「あなた」という存在が
今年、自分の手からするりと離れて行った
悲観しているわけでは無い
だが、もっと気付けたことはあったはずだ
一緒にいて幸せだったのかはわからない
不満や苦しかったこともたくさんあるはずだ
それは一緒に生活するという部分で仕方のない事だと
自分自身思っていた
ある人は
「甘えさせすぎている」
「もっと自分でやらせるべき」
と言ってきた
その気持ちもわかる
だがどうしてもできなかった
「あなた」が物凄く弱い人間だったからだ
これからは毎日顔を合わせるわけでも無い
考えて考えてどうすればいいのかわからないくらいに
思い詰める日々も無くなるはずだ
会話が無く、何を考えているのかわからない時間や
ストレスを抱えていても自分の中で消化するしか無かった
どうしようもない時間も無くなるはずだ
心のどこかにホッとしている自分もいるのは確かだ
だがやっぱり虚しい
一度誓ったことを反故にすることになのか
本当の意味で幸せに出来なかったからなのか
未だよくわからない
時が解決してくれるのだろうか
こればっかりはどうしようもない
これからどうすればいいのか
難しい問題が目の前に残ってしまった
ただはっきりわかっていることが1つある
「あなた」という存在が
自分の人生の指針であり全てだった
来年からは1人で生活をし
これからの指針を探さなければならない
それはとても難しく、一生掛かっても見つかるかどうか
わからない問題だ
新しく好きな人や大事にしたい物事が出来れば
そこに指針を見出すかもしれない
だが今だからか、その自信もない
時は待ってくれない
この文章を書いている今も進んでいる
過去になり続けている
もしその時が来たタイミングで
笑顔で会話を交わせるように
日々を積み重ねるしか無い
それまで表面には見えない努力を怠らないつもりだ
最後にたぶん見ていないであろう「あなた」に送る
「ありがとう」
この一言をかけがえの無かった彼女に捧ぐ