表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/40

アレルギー


アレルギー体質である。



生まれた時からアトピー性皮膚炎に悩まされている。

先天性のもので、母親の血から受け継いだこの病は、世の中的にオッサンと言われる年齢になっても季節問わず襲ってくる。

特に季節の変わり目と、夏場、冬場に猛威を振るう。

乾燥性敏感肌と言えば、いまいちピンと来ない人でも分かるのではないか。

とにかくスキンケア商品が欠かせないのと、またスキンケアも何でも良いわけではない。

安い化粧品などを使った際、肌に合わないことが多い。

肌に合わないと、使用した部分が熱を持ちヒリヒリと痛む。

また私が10代の頃などは、男性のスキンケアが世に浸透しておらず、友人などと近くの銭湯に行けば、さっさと店を出て行く友人を尻目に、1人焦りながら全身にボディクリームを塗る始末だった。

その為、急に風呂に入って帰ろうなど言われた日には、裸を見られたくないと錯覚させるぐらいに断る自分がいたのも事実だ。


また、アトピーとの関連性はわからないが、アレルギー体質でもある。

代表的なのが花粉症だ。

2月からそいつはやってきて、5月まで居座り、私の鼻と目を容赦なく攻撃してくる。

その為、鼻炎薬も欠かせない。

スキンケアと並行で薬を服用するが、仕事などでストレスを感じると、私の肌は砂利道みたいにボコボコになる。


アレルギー体質というのは厄介で、他にも金属、衣類、洗剤、猫などがアレルギーとして体に宿っている。

金属もステンレス以外を身につけると、例えばネックレスなどは、首輪でもしていたのかと思うくらいに綺麗に形が肌に刻まれる。

衣類も基本的には綿しか着れない。

ポリエステルが多く含まれた服などを着ると、肌がカサカサし、特に関節から痒くなる。

なので、まず服を購入する際に見るのは値札ではなく、材質という、一風変わった部分を大事にしている。

洗剤は以前、新しく販売され気になっていた洗剤を購入し、意気揚々と洗剤を使用して洗濯したが、服を着てみてから妙に体が痒いことに気がついた。

原因がわからず、しばらく悩んでいると、おそらく洗剤が合わないだろうという結論に至り、洗剤を以前のものに戻したところ、ピタッと痒みが治った経験がある。


中々に面倒な体を持っているが、得をしたことがあるのかと聞かれれば、ほとんどないと言える。

化粧品は基本的に高いのしか購入できず、結婚していた時は、妻よりも高い化粧品を使用していた。

現在、実家に帰り、それなりの年齢になった両親よりも、スキンケアにかける時間とお金が掛かっている。

また気に入った服やアクセサリーも、材質を見て泣く泣く購入や身に付けるのを諦めた経験もある。

アレルギーと言うのはこうも厄介なのだ。


なので、アレルギーが無い人を見ると羨ましく感じる。

綺麗な肌を持った赤ちゃんや、ゆで卵のようなスベスベの人を見ると、どうやったらそうなるのかを考えている。

結局は無いものねだりなのはわかっているが、どうしてもその無いものを手に入れたいが為に考えて、結局諦めるという、無駄な時間を過ごすことが多い。


花粉症も同様だ。

今年は黄砂が多く降ってきたため、例年より苦しい日が多かった。

鼻炎薬を服用しても効かず、副作用の眠気だけが襲ってくるという最悪な経験を今年はした。

マスクをしていたいが、マスクはマスクで中が蒸れ、口の周りが荒れるという、悪循環に陥る。


ここまで書いて笑えるくらいに苦労しているなとしみじみ思う。

アレルギーが世の中から無くなれば、困るのは製薬会社の人くらいで、ほとんどの人は、もっと幸せに暮らせるのになと思う。

先天性で、血液検査をしても原因がわからず現状も悩んでいる自分みたいな人間が減るのだから。


アトピーというのを隠して今まで生きてきた。

同級生などには全く理解されず、人と違うという理由だけで、いじめの対象になったこともあった。

また、妻には買い物などに出かけた際に、どうしても背中が痒く掻いていると、面と向かって気持ち悪いと言われたこともあった。


理解されないというのは苦しい。

特に身近な人から言われる程、ダメージの程度は大きい。

表ではヘラヘラしていても、内心は泣いているなんて事は、今まで数えきれないほど経験してきた。


唯一、得をしたことがあるとすれば、人の気持ちが理解できるようになったことぐらいではないか。

弱い立場の人や、誤解されやすい人などに共感や、寄り添う事が出来るのはある意味強みなのかもしれない。

そういう人ほど根が優しく、付き合いが深くなればなるほど、考え方や感覚が似ていることに気が付く。


もし、次に大事にしたい人が出来た際に、自分のありのままの事を理解して、深く共感してもらえるのだろうか。

また気持ち悪く思われたり、理解されなかったりしたら、と不安がっている自分がいる。

一生ついて回る疫病神みたいな病気と向き合い、日々戦いながらも、側に寄り添ってくれる人を見つけたい。

表面だけの優しさではなく、内面から滲み出る聖母のような優しさを身に付けた人と一緒になりたい。

願望だらけで申し訳ないが、アレルギーと言うのはそれ程に厄介なものなのだ。


これから先もアレルギーと向き合う日々が続く。

最近新しく女性に対してのアレルギーも増えたように感じる。

全て妻が原因では無いが、誘発した部分は往々にしてあると思う。

だからこそ、気になる人が出てきても、自分からはグイグイいけない部分はあるのかもしれない。

また理解されなかった時のことを考え、自らバリアを張っているような気がする。


自分が幸せを掴むためにも、これからアレルギーと一つずつ対峙していかなければならない。

難しい問題だが、打開策や妥協点は必ずあると信じて。


ここまで書いて思う。

やはりアレルギーは厄介だ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ