表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/40

カメレオン


自分ながらに本当にその通りだなと思った。




最近、サブスクに登録し、少し前のドラマを見るようになった。

見漁っているわけでは無いが、それなりの本数を見て、懐かしく感じたり、目新しさを感じたりしている。

基本ドラマや小説は感情移入しやすい性格もあり、また年齢を重ねたのもあるが、すぐに涙腺が崩壊してしまう。

また、綺麗な顔立ちの俳優さんや女優さんを見るというのも、変な意味合いは無いが趣味だ。

どうやったらこういう顔立ちや佇まいになるのだろうと、ドラマを見ながら1人もの想いに耽っている。


若い頃は全くドラマを見なかった。

野球やサッカーなどのスポーツばかり見ていたが、結婚生活の中で妻の趣味のドラマを見るようになってからよく見るようになった。

そのためか、少し捻っているような癖のあるドラマが好きだ。

あとは自分のその時に置かれている立場や気持ちに近いようなドラマをその都度摂取してきたように思う。


ドラマには中毒性があると思っている。

一度見て、出演者や話のオチまで知っているのにも関わらず、今回サブスクでまた見ている自分がいる。

その都度、主人公やその周りにいるキャラクターの中で、妙に共感してしまい、そのキャラクターに擬態しようとしている。

少し前は、誰も信じることが出来ず、人を騙しながら生きていく主人公に擬態した。

家庭でも、会社でも妙に冷静で、人を陥れたり騙したりすることに抵抗が無く、自分の信じた道を行く主人公に憧憬した。

幼少期からこれと言った強みも無く、自我と言うのをあまり持ち合わせていない自分にとって羨ましくも感じた。

またある時は妙に情熱的で、分け隔てなく人に優しく接し、弱い者の立場に立って物事に当たる主人公に憧れた。

本来、目指す人間像がそこにあるように思え、ひとしきりその胸中に迫れるよう努力した。

だがその両方とも自分から遠いところにあるように目指してみると感じた。


書いていて思う。

憧れや尊敬は目指すべき目印にはなるが、決してそこに自分が並び立つことは無いのだと。


だから「カメレオン」になることにした。

限りなく違和感が無いように周りに擬態し、バレないように上手く立ち回り、人間の表裏の表の部分だけを見せる。

表の部分を磨き、少なからず憧れに近づける。

変な目標や目的意図に違和感を感じる人も読んでくれている人の中にはいるのかも知れないが、私にはこうやってでしか憧れに近づくことが出来ないと、最近悟った。

子供の頃に感じた、スーパーヒーローになりたいといった欲に近いことを、いい大人になってもやっている感覚だ。

夢を追いかけるのとはまた違う、ある意味現実的な夢。

現実と夢という相反する言葉が混じったこの感情を、これからゆっくりと育てて形となってくれれば嬉しい。

不器用に生きてきた。周りから実直で真面目と言われて生きてきた。

それが去年辺りから急に苦しくなった。

だからこそ方向転換するべきと感じた。


人を騙して生きたいわけではないのでそこは悪しからず。

ただ、少し器用に生きたいだけだ。


今日も「カメレオン」になる一日が始まる。

今日は最近交流が出来た人々との飲み会だ。

果たして上手く擬態出来るだろうか。


悟られないよう上手くやってみよう。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ