感情
不意に感情が爆発しそうになる瞬間がある。
先週末、会社の仲良くさせてもらっている人達と旅行に行った。
参加者は私を含め3人で、私の自家用車を使い一人一人迎えに行く。
ちなみに2人とも女性だ。
奇妙な組み合わせで、なぜ私がその旅行に参加しているかは、話が複雑になるため割愛するが、会社内でも非常に仲良くさせてもらっており、前々から旅行を計画していたので、それを実行に移した格好だ。
2人をそれぞれの場所で拾い、目的地に向かう。
目的地までは2時間弱なので、車内で会社の愚痴を言い合ったり、現地で何を食べるか、お土産はどうするかなど、たわいもない話で目的地までの時間は、あっという間に過ぎて行った。
目的地につき、お昼ご飯を頂く。
今回の旅行の目的は食い倒れ。
まずは伊勢海老を食べる。それから移動し夜ご飯に松坂牛を食べる予定だ。
お昼に出てきた舟盛りの日替わり定食は、女性が食べるには多すぎる量で、あっけに取られたが、2人とも嬉しそうに頬張っていた。
だが量が多すぎたため、残していた。
残ったのを少し頂く。
海沿いの採れたてという事もあり、非常に美味しかった。
魚はやはり鮮度なんだと感じる。
それからお土産探しに近くに移動し、買い物後は夜ご飯のため、レストランへ移動した。
道中の車内は、やはり他愛もない会話で盛り上がり、3人で話すこともあれば、私と2人で話していると1人が寝ている、なんて状態もあった。
レストランに着き、松坂牛を使ったビーフシチューを頂く。
お肉が柔らかく、お腹が張っていたのにぺろっと食べてしまった。
これは明日からダイエットだなと感じていると、2人も同じ言葉を発し、3人で笑う。
会計を済ませ、店を出る。
気付けば家を出て丸半日が経っていた。
あとは無事に皆を送り届けて帰るだけだ。
だが睡魔との戦いもあるので、帰りの運転は気をつける。
ここで事故を起こす訳には行かないと余計に気を引き締める。
一人一人無事に家まで送り届け、ホッとした瞬間に睡魔がやってきたため、帰り道中にあるコンビニで一服する。
一服しながら、今日の内容を振り返る。
只々楽しい旅行だった。思った以上に出費も嵩まず、スケジュール通りに物事も進んだことに、安堵よりも満足感でいっぱいだった。
だが、とも思う。
1人になった瞬間に同時に虚しさも覚えた。
今までは妻がいた為、旅行に行こうが家まで一緒に帰り、次の日にお土産を開けたり、旅行の話をするといったことが、当たり前だった。
少なくともその瞬間は幸せそのものだった。
1人とはこんなにも虚しいものなのか、と今更ながら感じる。
これからは1人で生きていこう、と心の中で誓ったはずなのに、すぐにブレている自分がいることに腹が立つ。
勿論、2人が楽しい時間を提供してくれ、何も苛立つ事がなく、幸せとも取れる時間を作ってくれたことには素直に感謝している。
虚しさを覚えるのは自分の弱さなのかなとも感じる。
感情の振れ幅が一服している時間の間で大きくブレる。
不意に感情が綯い交ぜになったせいで泣きそうになる。
この感情は旅行に行って楽しい時間を作ってくれた事になのか、今まで側にあった幸せを捨てたことになのか、全くわからなかった。
あれから何日か経ったが、感情の振れ幅は未だ大きい。
なんて事ないタイミングで泣きそうになったり、また、ちょっとしたことで大きくリアクションしたり、難しい時間を過ごしている。
日々、いいこともあれば悪いこともある。
当たり前の事が、今回の旅行で浮き彫りになった気がした。
もし、好きな人ができ、旅行に行った際に、純粋に楽しいと思えるのだろうか。
嫌な気持ちになったり、逆に不愉快にさせたりしないだろうか。
考えても仕方のないことを懸命に考えている自分がいる。
こういう時、感情が無いロボットだったら、と思う。
淡々と日々を繰り返すだけなのかもしれないが、少なくとも考えなくても良いことに固執する必要は無くなるだろう。
だが、人である以上、空想に耽っていても仕方がない。
明日からも生活は続く。
出来るだけ感情の起伏が無いように過ごしたいと思う。
目の前にあるものに全力で取り組めば、少しは楽になれるのだろうか。
未だ迷走しているが、エッセイを書きながら少しづつ前に進もう。
いつかこの時の感情が役に立つように書き記しておこう。
ただ、現状でもわかることがある。
今回の旅行は「幸せ」だった。
気心知れた人との旅行がこんなにも楽しいものだとは、想像していなかった。
またこのメンバーで旅行に行きたい。
そう強く願った仕事帰りのある日だった。