表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/106

序章【世界の裏側の会話】

 表現するならば、そこは『深淵』だろうか。


 どこに視線を向けても光すら差さない、平衡感覚を狂わせる闇の中。他人の呼吸さえも認知できない静謐せいひつに満たされた空間に、パッと小さな明かりが灯る。

 明かりの正体はスマートフォンだった。深い闇を照らすように人工的な光を漏らす液晶画面には、どこかのニュース番組が映っている。今まさにテレビカメラが高速道路を映し出し、物凄い速度で走り去っていくタクシーを追いかけていた。


 そのタクシーが急ブレーキを踏み、中から人が降りてくる。片方は金髪の男、もう1人は黒いレインコートを着た青年だ。



『ご覧ください、あれが【OD】です。あ、武器も携帯している模様です』



 アナウンサーの焦ったような声が、スマートフォンのスピーカーから流れてくる。


 画面に映る金髪の男が、長大な白い狙撃銃を構えていた。狙撃銃をわざわざ純白にカラーリングするとは特殊である。狙撃銃を用いるならば明細するべきだろうに。

 いいや、それよりも。注目すべきは彼の隣にいる黒いレインコートの青年だ。何をする訳でもなく純白の狙撃銃を扱う男の隣に控えているが、その姿に見覚えがあった。


 ニィ、と闇に白い歯が浮かぶ。



「見つけたぞ」



 かつて、組織から抜けた諜報官。

 行方を眩ませ、同胞を何人も殺害し、今もなおぬけぬけと生きている生粋の狂人。その優秀さには目をかけていたのだが、気分屋な部分は許容できなかった。


 その元諜報官が、今ここにいる。



織部理央おりぶりお、今度こそ殺してやる」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ