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30話 キプロス学院の劣等生 代理戦争3




side ダリル



『ダリル君、ダリル君。起きて。』

『何だよ、こっちは眠くて眠くて。』

『私、チャムだよ。起きて。』

『はぁ?チャム?誰だっけ?』

『忘れたの?いや彼女に主導権を握られてるのか。君はそれでいいの?』

『何言ってんだ。今が一番気持ちいい。』

こんな心が穏やかになれる空間があるなんて、天国かな?


『ダリル、そのメス犬の言う事は聞いちゃダメよ。』

『あなたが、、、。⋯彼を解放してあげて。』

『まるで私がダリルを捕まえてるみたいな言い方だけど、これは彼の意思よ。逆に今彼は辛い現実から解放されているの。』

『そんなはずないでしょ。』

『いや彼女の、言う通りだよ。チャム、もう僕の前に現れるのは止めてくれ。』

『ほらね、ふふふ。』

『私なら強引に引き離す事だって出来るのよ?』

『その魔力を使って?システィーナ嬢の気配がするけど、あなた眷属か何か?あの子がそんなモノ作るとは思えないけど。』

『シーちゃんは私の友達よ。あなたシーちゃんの事知ってるの?』

『あはは、友達か。あの子に友達が出来るとはね。私はそうね、あなた風に言うならシスティーナの叔母みたいなモノよ。』

『叔母?なら、姪っ子の友達のお願いくらい聞いてくれてもいいじゃないか。ケチなババアだね。』

『それが、あなた本来の気性?ババアなんて呼ばれたのシスティーナ以来だわ。いえ、あの時はクソババア、だったかしら。』

『ハッハッハッ!流石シーちゃんだ。よく分かってるじゃないか。さぁ、いい加減ダリルを渡しな。』

『この体、気に入ってるの。悪いけどダメよ。それに話はこれでお終い。』

『待ちな!話はまだ終わって』


チャムの声が途切れる。


『もうあのメス犬は現れない。ゆっくりとお休み。ダリル。』


⋯⋯。





3日後




─── 放課後 キプロス学院 学術科 3年2組 ───



side ミルコ


今日は売掛金の回収でもして回るか。薬と闇金で資金もかなり貯まって来た。これを上納して、さらに修羅一家を潰せば・・・エシェロン再興に伴う幹部って線も現実味帯びて来たな。


「ミルコ君、ウチらこれからミッドタウンに遊びに行くんだけど一緒にどう?」

クラスの女子グループが話しかけてくる。


ミッドタウン・・・ショップやカフェが軒を連ねる複合施設だ。クラブやラウンジならよく行くがこいつらは買い物やカフェに行ってスイーツ食べるだけだろ。面倒くせえ。行くわけねえだろ。こっちは色々忙しいんだ。

・・・いや待てよ・・・そろそろ知り合いのプッシャー(売人)にこいつら紹介してやるか?

クラスの奴らに手を出すのは避けて来たがもう3年だ。卒業までにハメておくのも一興か。金は親が腐るほど持ってるだろうし太客になってくれるだろ。ウチの商品を買ってくれるお得意様か。そう考えたら無下には出来ないな。クククッ、丁重にもてなしてやるか。


「いいね。僕もちょうど行こうと思ってたんだ。」

「ホント?良かった。じゃあ、友達も誘って、」


ヴィーン


「ミルコ君!」


3年のライス(エシェロン薬局サイト ディレクター。)が血相を変えて入って来る。

「どうした?」

「ハァハァ、リンドウが。」

リンドウ、今エシェロンで預かってるセウレツァの魔人か。

「あー、ライス君、外で話そうか。ごめん、ちょっと外すね。後で連絡するから。」

「オッケー。じゃあ先行ってるね。」

「行けたら行くから。」

「それ絶対行かないやつーw」

あははと笑う女たちを後に教室を出る。


『学院内では話し掛けんなっつったろ。』

『す、すいません!直ぐに報告をと思い、焦ってしまいました。』

廊下を歩きながらライスと話す。


『で、リンドウがどうした?』

『やられました。』

!?

『誰に?』

『同じクラスの・・・ユノって女です。何か言い争いしながら教室から出ていったんです。で、後をついて行ったら。』

ユノ?そう言えば奴ら何日か前に美人の編入生が来たとか騒いでいたな。そいつの名前が確か、ユノ。

にしても状況が分からねえ。言い争いって何だよ。魔人がパンピーとやり合ってんのか?


「場所は?」

「東棟3階の空き教室です。」


現場へ向かう。

空き教室のあるエリアに入ると・・・ぐにゃ~

人避けの結界が張られている。野次馬がいないのはこれのせいか。


ヴィーン


結界を抜け空き教室へ入る。


「うっ!?」


教室の中央にリンドウが倒れている。

その背中に座り携帯端末を弄る女。あれがユノか。


「あれ?結界張ったんだけどなぁ。あーし術式苦手なんよねー。分かってると思うけど、この事は内緒にしてねー。あー、また外れかあ。天井まで回さないとダメかなこれ。」

ゲームでもやってんのか?スマホから目を離さない。俺らは眼中に無いらしい。


「ユノさん、でいいのかな?」

「んー?あーしの事知ってんのー?そだよー。」

スマホを見たまま答える。


「僕はそこの倒れてる奴の知り合いなんだけど、彼何かしたの?」


「ああ、イキってたから、ちょっとね。ダメだよ、ちゃんと教えてあげないと。」

教える?


「上には上がいるって。」ニヤァ

!?

こっちを見て笑う女の目を見て固まる。

そして理解する。こちら側だと。


「あんた何者だ?」


「あーし?ユノだけど?・・・って聞きたいのはそういう事じゃないよねー。でも、言えないんだー。ごめんね。でも、まぁ、しぬ覚悟があるなら教えてあげてもいいけどね。あっ!確定演出キター!来い来い!こ・・・はい、ダメー。」


「俺らの事知ってるのか?」

「んー?知ってるよー。何だっけ?・・・・・・・・・・・・あー、エシェロン?のミルコ君ね。外の見張りはクラスメイトで怪しいサイトやってる・・・誰だっけ?あぁ、ライストナー君ね。」

!!?

組の情報を把握されている?

可能性としてはインフェルノの掃除人って線が濃厚だが、ここまで目立つ動きをするとは思えない。


「目的は?」

「別にー、こいつが告って来てさあ、あーしより強かったら付き合ったげる、みたいな流れでヤッただけだよ。あー、まーたハズレ。このガチャの確率って本当かなぁ。・・・・・・マジで?操作されてんの?はあー、あーし、バカじゃん、ガッツリ突っ込んじゃったよー。」

組織は関係無いのか?

いや信用出来ないな。


「さてと、あーしは帰るから後は宜しくね。」

「待て!」

「バイバイ。」Wink

消えた。


どうする。

幹部に報告するのが正解なんだろうが、そうすると俺の立場が。

それにあの女も謎だ。

調べる必要があるな。


「ぐっ、・・・くそっ、ヤられたのか。」

リンドウが意識を取り戻したようだ。


「あの女とんでもねえな。惚れ直したわ。」


「おい、説明しろ。」


「あん?ミルコさんか、悪ぃタバコ1本くんねえか?」

箱を振り1本差し出す。

「サンキュ。」

魔法で小さな火球を作り、くわえたタバコに火をつける。


挿絵(By みてみん)


「ふう、・・・。参ったねえ。一瞬だ。本気出す前にヤられたよ・・・本気でもムリか。」


「状況を説明してくれ。」


「状況も何も、喧嘩して負けたってだけだが。」

馬鹿かこいつ。


「ミルコさんあの女見た?」

「ああ。」

「めっちゃエロかったろ。俺のタイプだったから告ってみたんだがダメだったな。で、喧嘩で勝ったら付き合ってくれるっつー流れでこうなってる。はははっ。」

何笑ってんだこいつ。


「どこの組織の奴だ?インフェルノか?」

「さあ?少佐?に鍛えられて強くなったとか何とか言ってたけど。」

「少佐?」

軍隊上がりか?編入して来たのは何か理由が?

調べる必要があるな。


「とりあえずお前はあの女にはもう関わるな。」

「やだよ。ぜってーモノにする。」

ダメだこいつ。

「チッ・・・構わないが、こっちの・・・エシェロンの情報は話すなよ。逆にあの女の情報が分かれば俺に教えろ。」

「スリーサイズは94、59、88だ。」

知らねえよ。聞いたのか?セクハラだぞ。

「俺が知りたいバックの組織の事とかだ。」

「何だ、ミルコさんも惚れたのかと。」

あんなヤバい女本来関わりたくねえわ。


「・・・まあ、何でもいいから報告しろ。」

「オッケー。」

また頭痛の種が増えたな。

情報屋に当たってみるか。





side ユーノ



『っだいまー。』

作戦本部に戻る。

『うぃー。速攻絡まれてたね。』

ディアーナ、こいつまたPCゲームやってんのか。少佐に見つかったらコロされるぞ。


『あーしが魅力的過ぎるのかなあ。』

学院入って3回コクられた。

『体目当てなのは間違い無いわなぁ。クヒヒッ。』

体か。フニフニ。胸を揉んでみる。ふむ、よく分からない。


ヴィーン


『帰っていたか。』

少佐だ。

『うぃーす。』


ディアーナのPCが任務画面に変わっている。早っ。慣れてるなコイツ。


『それで、タゲには接近出来たのか。』

『いやぁ、ダリルきゅん大人気で近付けないっすよ。しかも転移で移動してるから後も追えないし。』

転移と言っても普通は魔力の残滓が残る。それを辿れば転移先を特定出来るけどダリルは痕跡を一切残さない。


『念話は?』

『ダメ、繋がらない。かなり厚い防壁張ってるんじゃないかな。』

『本人がダメなら外から攻めれば?友達とか。』

『いや何かアイツら同じ派閥の知り合いとしか話さないんだよねー。他の奴が介入しない様にガードしてる感じだし、あーし剣術科だから警戒されてるっぽい。』

『ダメじゃん。使えねえ。』

『はぁ?じゃあどうしろってのよ。』


『今は時期尚早だ。もう少し様子を見ろ。それにこれから合同イベントもあったはずだ。』

合同イベ?


『あー、あったかも、ちょい待って下さいねー。』カタカタカタ、ターン

今は思念でデバイスを操作出来る最新のPCもあるけどコイツは頑なにアナログ入力なんだよなぁ。謎。

『あー、これだ、3ヶ月後か。えーと、全校生徒自由参加のダンジョン攻略イベント?何これ超楽しそう!』

『クラスの子がダンジョン攻略一緒に行こうとか言ってて、はあ?って感じだったけど、この事か。』

『そうそう、龍の巣3階層までの攻略タイムを競うんだって。各チーム5名までの編成で学院生なら誰と組んでも良いみたい。』


『それなんだが今年は別のダンジョンが用意される。まだ学院のHPには乗っていないが今年の舞台はミラージュだ。』

!!?

あの超激ヤバダンジョン!?


『マジっすか!?ヤバァ、私が行きたいわ!めっちゃ羨ましい!』

今は予約制で料金も跳ね上がっていると聞いたけど流石キプロス、金持ってるなあ。


『DHDのミコ社長が決めたようだ。DHDはキプロスの冠スポンサーでミラージュダンジョンではアイテムや装備の提供もしている。今回は宣伝の一環でネット中継もされるそうだぞ。』


『はー、凄いな。てか、これ以上宣伝する必要あるか?って感じっすけど。』

冒険者、いやそこらのガキでも知ってるよね。DHD傘下のMIRAGE WOLFの手掛ける武器や防具は一流の冒険者がこぞって使用、宣伝したせいでブランド化してるし、MWを装備するのがステータスって感じ。あまりの人気でMW狩りみたいな強盗事件も頻繁に起きてる。


『ミラージュ行けんのは嬉しいっすけど、ダリルきゅんの人気ヤバいから、それこそ同じチームになるなんて絶対ムリ。クラスの子が話してたけど、くるせいだあず?っていうチームの第9席なんだって。』


『チームではなく派閥だろう。ディアーナ、クルセイダーズのメンバーページだ。』

『うぃー。』カタカタ

大型のモニターにクルセイダーズの会員限定サイトが映し出される。


第9席 ダリル・アベカシスの名前と共にダリルの写真が何枚もアップされている。

ランクAAAのスーパールーキー、チャムを超える逸材など褒め讃える言葉が並んでいる。

会員限定の掲示板も同様で未来のリーダーだの一生付いていくだの好意的な意見が並ぶ。

人気があるわけだ。


『大した人気だねえ。で、こっちが、裏掲示板っと。』カタカタ


クソガキ氏ね

親父がABダイナミクスの社長だっけ?それにしてもランク高すぎるわ

派閥に入った時点で9席っていくらなんでも有り得ねえ

金で買った序列

でも鑑定でランクAAAだったんでしょ?

いや測定不能だって

教師買収したんだろ?

推定SかSSらしいけど嘘くせえ

すげえ!けどウチの貢献度で言ったら他にも選ばれるべき人たくさんいるだろ

ポット出が上位ってのが腹立つ!

ミルトン代表のち○こしゃぶったってマ?

潰すか?

デバフ掛けまくって皿ってボコればいーじゃね?

ゆすれる様な弱みねえのかよ

2年に彼女がいるらしい

彼女ってエミリーンだろ?

エミタソとやりまくりとか嫉妬しかない

ぜってー○す

じゃあエミリーン攫って脅すか?

エミリーンだってAランクだぞ

傭兵数人集めればイケんじゃね?

エミリーン孕ますまで帰れまてん

それいいじゃん俺らはスッキリするし奴は派閥から抜ける

ガチレイプは草なんだ

闇討ち計画してるヤツ割と多くて草



『AIの解析だとこの掲示板では否定的な意見が約8割、ここはクルセイダーズの7割程が使用している様なんで、まぁ、全体で見てもかなりの数ですね。そりゃそうだろって感じっすけど。』

学院の人気とは真逆ってわけね。


『具体的な日付を出して襲撃予定を立てているヤツは居るか?』

『えーっと、ああ、これですね。ルーキーを囲む会ってのがありますね。これを辿ってくと・・・参加資格はクルセイダーズ会員又はAランク以上の傭兵で、○月○日深夜○時、これはエミリーンの住んでるマンションの名前か、マンション前に集合ってなってますね。』


『そいつらボコッて恩を売る作戦とか?』

『それも面白いが放っておけ逆に彼女がその様な状態になった時のタゲの反応がみたい。』

『ええー、エミリーンちゃん可哀想!』

それより

『それじゃあ、どうやってダリルきゅんと組むんです?』


『直に奴は孤独になる。』

『なんで?』


『クルセイダーズも一枚岩じゃないからな。派閥の中でも複数の派閥が出来上がっている。』

面倒くさ。


『今群がってる連中は上の命令で探りを入れているだけだ。素性や思考を探ってあわよくば自らの陣営に引き入れようとな。だが奴が誰かの下に付くと思うか?ベヒーモスだぞ。1週間と経たず1人になるだろう。周囲から恨まれているヤツと一緒にいてもデメリットしかないからな。』

あの掲示板を見る限りそうなるよね。そこを狙えと。


『上手く行けばベヒモスとミラージュ攻略出来るじゃん!ヤバァ。』

化け物と化け物退治ねぇ。それより、


『少佐、あーしガチでミラージュ攻略していいの?あーしとイルガだけでも多分1層はイけるけど。』

未だ1層すら攻略されていない最凶ダンジョン。目立つとマズい?か。


『・・・構わない。好きにしろ。たがあそこはそんなに温くはないぞ。』

マジで?

『えー!少佐行った事あるの!?』

『仕事で何度かな。』

どんな仕事よ。


『あれ?そう言えばイルガは?』

『あいつなら女の子のグループとカフェ巡りするってさ。』

イラッ

『プッ、ユーノが嫉妬してる。あははっ。』

は?


『してないから。』

してないよね?イラッ


『あいつ、女に興味無い風装ってるけどホントはめっっちゃ好きなんよなあw』

知ってるっての。


ガチャ


『・・・。』

『お、噂をすれば、イルガちゃんおかえりー。早かったね。』ニヤニヤ


『ああ。・・・何だよ。』

思わず睨んでしまった。

『べっつにー何でもー。』

『ユーノが心配してたんだよー。他のメス猫に取られちゃうんじゃないかって。ねぇ。』

ディアーナのやつ。


『あーしがいつそんな事言ったよ。』

『もう、素直じゃないんだから。』

『ああ?』

『威圧すんなって。遊びたいなら遊んであげるけど?ヤる?』

『上等だよ。バラバラに切り刻んで、へ?・・・あぐっ!?』



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

!?

心臓が押し潰されそうなプレッシャー。

覇気での威圧。


『少佐さーせん!ちょっ、マジムリ。』

『ご、ごめん、もうしないから!』


フッと圧が止む。


『そう言うわけだ、チーム人数5名考えておけよ。』

『はぁい。』


ヴィーン

少佐が部屋を出ていく。


『あの人の覇気だけはマージでムリだわ。』

『あーしも。てかイルガ、ダンジョン攻略とか知ってた?』


『さっき、クラスの子に誘われた。』

『ふーん、断ったんだよね?』

『え、組む約束したけど。』

!?


『はあ?任務は?ダリルと組まなきゃじゃん。どうすんの?』イライラ


『無理、ユノが組めば?』

ユノじゃなくてユーノなんだけど。イライラ

『少佐に言いつけてやる。イルガが任務無視して女の子と遊んでるって。』

『やめろ!・・・俺だって情報収集したり色々やってるから。』

『ダリルの事、何か分かったの?』

『甘いお菓子が好きらしい。』

いる?その情報。


『とにかくさぁ、あーしと、イルガはダリルと組まなきゃだから。後は好きな子入れなよ。』

『チッ、分かった。』

舌打ち?

『今舌打ちした?』

『してない。』

『したよな?』

『してない。』

『しただろ。』

ディアーナの笑い声がする。


『ごめん。疲れたから寝る。おやすみ。』

逃げやがった。

ヴィーン


『ユーノさぁ、あいつの何処が好きなわけ?』

は?

『別に好きじゃないから。』

『はぁー、まぁ、いいや。ウチこれから飲み行くけど来る?』

『・・・行く。』

飲んで忘れよ。






─── 1週間後 某マンション ───



side エミリーン


シャワワー


配信の疲れをシャワーで落とす。

今日はミラージュダンジョンから配信を行った。冒険者の装備やチーム紹介などを定期的に配信している。これは企業案件と呼ばれるもので特定分野に影響力のあるWeTuberを使いマーケティングを行う事で低コストで大きなリターンを得られるのである。

私クラスになるとそれなりの額が必要になるわけだが取引相手はあのMIRAGE WOLFだ。私との契約金なんて端金だろう。


私だって企業案件なんて受けるつもりは無かった。金に困ってはいないし、MWの親会社を仕切っているのはあのいけ好かない女社長だ。

断るつもりだったが今年度のダンジョン攻略対象があのミラージュと知って考えを変えた。少しでも情報が欲しい。

なぜなら、



回想



シャワワー


配信の疲れをシャワーで落と、


『スイーツ。』

「きゃああああああああああ!!」


後ろで声がしてパッと振り返るとダリルが浴室に浮いている。

「ダリル!?何してんのよ!」

『スイーツ食べに来た。』

「出て行って!」

『スイーツ。』

「もう!わかったから!後で用意するから部屋で待ってて!」

『・・・。』

消えた。


何なのアイツ!?このマンションのセキリュティレベルはインフラ施設並なのよ!それに部屋には私自ら張った多重防壁があるのに。毎回毎回普通に転移してくるっておかしくない!?


ガチャン

「ほら!これでいいんでしょ!」

皿に乗ったケーキをテーブルに置く。

こいつがいつ現れても対応出来るように冷蔵庫に常備しているのだ。お陰で最近少し太った。


『エミー機嫌悪い。』パクッ

「あんたが浴室にいきなり現れるからでしょ!」

『ダメなの?』パクパク

「ダメに決まってるだろ!」

『何で?』パク

「な、何でって、プライベートな空間に・・・」

あー、毎回このくだり説明してるわ。コイツには常識が通じないって頭では理解してるのに怒りで毎回忘れちゃうんだよな。


「部屋はいいけど、浴室だけはやめて。」

『何で?』

「裸見られたら・・・恥ずかしいだろ。」

『そう?』

ダメだ。もうこいつには何も言わない。


「で、何しに来たのよ。」

『ミラージュダンジョンの事聞いた?』

「学院の合同テストの事?今年はミラージュを攻略するとか何とか。」

正直興味無い。クラスの奴らはテーマパーク感覚ではしゃいでいたけど。


『エミーは参加しない?』

「参加はするけど、さわりだけよ。」

配信したら登録者も増えるだろうな。何と言ってもあのミラージュだし。


『ティガーいるけど?』

ん?


「えっ?待って、今、なんて」

『ティガーいるけど?』

サラッと何言ってんの?


「どこに?」

『ミラージュダンジョン。』

「ま?」

『ま?』

「それ本当か!?本当にミラージュにリーダーいるのか!?」

ダリルの肩を両手で掴みブンブン揺らす。


『今4層にいるっぽい。』

「4層!?何で分かるの!?」

『あの女の気配がする。』

あの女?

「それって前に言ってた黒髪の女も一緒って事!?」

『そう、でもメフィストに捕まってる?』

メフィスト?誰?てかなぜ分かる?

いやそれより捕まってるなら早く助けに行かないと!


「あんたそこまで転移出来ないの!?」

こいつの異常な能力ならあるいは

『シスの結界あるから無理。』

シスって魔王システィーナの事か?

「何か助ける方法は?」

『普通に攻略すればいい。』

普通にって、あそこ1層すら攻略されてないわよね。

「無理に決まってるでしょ!」

『僕がいる。』ニヤァ

ゾワッ。

「あんたと私で4層まで行くって事?」

『2人じゃ無理。君は戦力外。』

?えっ、えっ、私が戦力外?

「じゃあガイウスと3人?」

『ガイ・・・誰?』

知らないの!?


『チャムを誘う。』


チャムさん!?彼女は今学院の中心人物と言っても過言じゃない。新たに作られた彼女の派閥は既に学院3位になる程大きくなっている。

「それこそ無理よ。彼女は派閥のメンバーと組むに決まってる。」

『派閥?分かんない。』

「仲間と組むって事よ。」

『そう・・・ケーキお代わり。』

「もう無いわよ。」

『・・・。』


消えた。毎回突然現れていきなり消える。

それよりあいつが言ってた事って本当なの?


ティガーはミラージュ4層にいる。


・・・・・・

どうやって4層まで・・・

不可能だ・・・。


不可能だがやるしかない。


その時以前依頼のあった企業案件を思い出す。あれなら仕事をしつつミラージュの情報収集を同時に行う事が出来る。

メンバーはとりあえず、私、ダリル、ガイウス、アバドンでいいだろう。


ティガー・・・。


回想おわり




シャワワー


あの日からずっとミラージュの事を考えている。何としてでもどんな手を使ってでも4層に辿り着いてやる。


『スイー、』

「ぎゃあああああああああああ」

目の前にダリル。

ツルンッ

ゴッ

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


「んー、」

『あっ、起きた。』パクッ

「ダリル・・・、えっ、何で。」

起き上がる。えっ、裸?

「きゃああああああああああ」

『髪は乾かしておいたから。』

気にするとこ違くない!?

「出てって!」

『何で?』パクパク

「もう顔も見たくない!変態!」

近くにあるバスタオルを掴み体に巻く。

『そう。じゃあお別れか。せっかくチャムを仲間にしたのに。』

ケーキを食べ終えスプーンを置くダリル。

えっ、


『じゃあね。』

「待って!」

チャムを仲間にした!?

『ん?』

「チャムさんを仲間にしたってミラージュに一緒に行ってくれるって事?」

『そうだけど。』

ま!?

どうやって?

聞いたところでこいつがまともに答えるとは思えない。


「コホンッ、ケーキまだあるけど、食べる。」

『食べていいの?さっきお別れしたのに。』

うっ。


「し、してないから。聞き間違いじゃない?」

『ふぅん。』なんだよ、その顔。

「てか裸の私の横でケーキ食べるっておかしいと思うんだけど。」

『どこが?』


「・・・何か感想とかないわけ・・・」

何聞いてんの私。

『もう少し甘くてもいいかな。クリーム単体なら丁度良いけどイチゴの酸味とのバランスを考えると』

何の感想!?しかもめっちゃ喋るじゃん。

興味ある事には饒舌になるんだ、へー。

ってバカ!

「もういい!」


『あなた、すごくキレイな体してるのね。』


へ?ダリル?

『モテるでしょうに勿体ない。』

「あんた、何言って、」

いつもと様子が違う。


『また来るわね。次は玄関から。ふふっ。』


そう言ってパッと消えた。


今のってダリルの中の人?中の人って表現もアレだが奴の中には別の人格?が存在している可能性が高い。しかもそいつはなんて言うか・・・ヤバい。

ランクで言ったらAAA、いやSも有り得るかもしれない。何者なんだ?聞いても答えてはくれないだろうが。


信用していいのか?


クルセイダーズのホープとあのチャムさん、最強の2人を従えてミラージュへ。

これなら黒髪の女を倒してリーダーを救出するのも難しくないはずだ。

いや難しいのはそこまで辿り着く事か。未だ一層すら攻略されていないダンジョンの4層って、普通に無理ゲー過ぎる。

でも私のパーティーのメンツも普通じゃない。悲観せず悲願達成だ。


待っていて下さいリーダー!





─── 2日後 ───



PM8:30


ピンポーン


動画のチェックをしているとインターホンが鳴る。

こんな時間に誰だ?


モニターに映るのは2人の女。見たことがある顔だ。学院の同級生?名前は知らないけど。


「こんばんはー。突然ごめんなさい。私たちエミリーンさんに相談したい事があって来たの。中に入れてもらえないかな?」

相談?2人とは友達でも何でもない。


「今忙しいの。話なら学院で聞くわ。じゃあね。」

通話を切り、動画のチェックを再開する。


ピンポーン


んだよ。帰れよ。

シカトだ。シカト。


ピンポーン


ピンポーン


・・・・・・


ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン


うるせえ!


「何なの。忙しいって言ったでしょ。」

イライラしながらインターホンに出ると


「ごめんねー。でも大事な話なの。10分、いえ、5分だけでもいいから会えないかな。」

嫌に決まってるだろ。何だよ大事な話って。告白とかなら秒で断って・・・

ん?こいつら・・・


2人を観察する。顔が紅潮し目の焦点が合っていない。

魅了(チャーム)されてるな。


「その2人を操ってるやつ出て来な。」

・・・・・・


女たちの後ろから男が2人現れる。

「バレたか。ごめんね。でも僕たちどうしても君とお話がしたくてねえ。」


「お断りします。帰って。」


「いいのかなぁ。そんな事言って。」

「へへへ。」

女生徒の首にナイフが当てられる。


「脅そうとしても無駄よ。私、その子たちと何の関係もないの。好きにすれば。」


通話を切る。


ピンポーン


モニターには首を切られて血を流す女生徒の姿が。


「持って後5分かな。じゃあねー。」

男が女生徒の髪を掴んでいた手を離す。崩れ落ちる2人。

どうする?

普通に罠っぽいけど家の前で死なれるのも寝覚めが悪い。・・・やれやれ。


エントランスに転移する。人避けの結界が張られている。ささっと2人を私の部屋に、

・・・転移出来ない?


「転移阻害の結界を張らせてもらいました。」

再び現れる男たち。1人増えて3人か。


「サモン、天狐、うずら。」

ぽわん ぽわん


「うずら、そこの2人にヒール。」

「は、はい!」

ヒールを掛け始めるうずら。


天狐は辺りを見回している。

「今回はボス部屋じゃないんだ。」

「そいつら片付けて。」

「簡単に言ってくれるわね。」


「聞いたか。俺らを倒すつもりらしい。」

「お前が馬鹿な事して煽るからだ。」

「いい女じゃねえか。依頼人に渡す前に回そうぜ。」

下卑た醜い笑みを浮かべる男。


「汚らわしい。塵になれ。ライトニングボルト!」

天狐の雷撃魔法。無数の雷が敵を捕らえる。

「ぐあああああ!、なんてな。」

「痛ってえな。俺の多重防壁を超えて来やがった。」

防壁か。


「次はこっちの番だ。」

長髪の男が棍棒を構え突進してくる。

「百裂棍。」

棍棒の連撃。


カンカンカンカンカンカンカンカン

氷の剣で防ぐ天狐。


「雷と氷の2属性持ちかよ。レアな使い魔だな。けどさ、その攻撃を防ぎながらこれはどう捌く?風刃!」

「ソニックブーム!」

後ろの2人から魔法攻撃。

天狐が左手を前に突き出し人差し指と中指を上へ上げる。


ゴオオオオオオオオオオオオオオ


天狐と3人の間に光の壁が現れる。


「光魔法だと!?」

「物理、魔法無効かよ・・・。」

「どうする?」


「簡単だ。圧倒的な(パワー)で・・・」

4人目?何人いやがる。

ズガアアアアン!!


「ぶち破ればいい。」


天狐のシャインヴェールが砕かれる。


「おい!まだ呼んでねえだろ!」

「お前らじゃ勝てんよ。」


「始まったばかりだぞ。」

「力の差も分からないのか?大金が掛かってんだ、引っ込んでな。」


「待て!まだ私たちは本気を出していない。もう少し・・・」


ズバッ


「ウッ!」


天狐の氷の剣が棍棒使いの腹に刺さる。


「フリーズ。」

パキンッ!

氷系魔法で男の体が氷で包まれる。


「あーぁ、だから言ったのに。お前ら死にたくなきゃ離れてな。」

男二人は後方へ下がる。


「ちんたらヤッてる時間は無いんでね。」

男から魔力の気配。闇系魔法か?


「ナイトメア。」

空から暗闇が降りて来る。精神干渉系か。

精神防壁展開。アイテムも召喚しすぐ使える様にしておく。


「あっ、これヤバッ。」

ぽわん。


天狐のやつ、また逃げやがった!


ズゥゥゥゥン

帳が降りる。


一面暗闇。


ザッザッザッ


来るッ!

光魔法で光球を発生させる。


「えっ!!?」


「よお、久しぶりだな。」


薄明かりの中顔に光が当たる。

!?そんな、


リー・・・ダー?


嘘、何で?ミラージュの4層にいるんじゃ・・・


「どしたぁ、死人に会ったみてえなツラしてんぞ。」


「あ・・・、あの、どうして、」

いや、今はそんな事どうでもいい。


「ティガー!」

胸に飛び込む。


「会 いた かった・・・」


これは、現実じゃない。それでも・・・


「ああ、俺もだ。」

ティガーが腕が振り上げる。


手には短剣がにぎられていて、


「・・・・・・。」


パァン!


!?


『邪魔しちゃったかしら。』


リーダーは消え目の前にいるのは、


「ダリル!?」


『こんばんは。』


ガキィン!

!?

ダリルを狙った攻撃!

ガガガガガガガガガガガガッ!


ゴオオオオオオオオオオオオオオ


男の凄まじい攻撃で衝撃波が周囲に乱れ飛ぶ。

結界を超えて壁や床に亀裂が入っていく。

ダガーに魔力を流して威力を上げている!

天狐が逃げるわけだ。威力は覚醒前のアバドンクラスか。


ダリルは!?


攻撃が止む。

無傷・・・だと!?


「冗談じゃねえぞ。Sランクのドラゴンより硬いとかどんだけだ・・・評判は本当だったか。」

評判?

「君、クルセイダーズのダリル君だろ?噂のルーキーの。」

『だったら何?私を狙う理由は?』

「念話・・・そんな事俺らは知らんよ。金で雇われた、ただの傭兵。エミリーンを無力化して連れて来いってのがオーダーだ。そのお嬢さんは君の知り合いなんだろ?」

『知り合いじゃなくて、彼女。』

「あっそ、大方、彼女を拉致って君を脅そうとしたんだろ。」

『エミリーンは私の所有物よ。手を出すなら私が相手するけど?』

所有物!?聞いてないけど。


「やるならこんな話しねえよ。・・・なあ、あんたマジであの超獣なの?」

『さあね。』

「くくくっ、おい!お前ら!俺はこの件からは降りる。後はすきにしていいぞ。」

後ろの2人に伝える。


「お、おいどうする?」

「撤退するしかないでしょう。あいつが手を出せないんじゃ私たちでは手に負えない。」

「くそっ!あの女の柄さらうだけで300万ギルだぞ。諦められるかよ!」

「そうですか。では私はこれで・・・。これは、転移阻害?」

「私の友達に手を出したやつを逃がすと思う?」

今度はこっちが網を張らせてもらった。


「向こうはヤル気みたいだぞ。大人しくサツに捕まる気か?」

警察?通報なんてしないから。


「・・・くっ!あなたはどうするんです!?」

ダガー使いに尋ねる。

「俺か?俺は関係ねえよ。勝手に女連れて来て首掻っ切ったのはお前らだろ。」

「てめぇだけ逃げるつもりかチキン野郎!」

仲間割れかよ。仲間ではないのか。


『ダリル、拘束とか出来る?』

『了解。』


「3人で行くぞ!もう後には・・・」

イキっていた男の動きが止まる。ピクリとも動かない。

まるで時が止まったかの様な。


「な、何を。こいつ・・・息を、していない。」

「冗談だろ。時を、止めた、のか?」

『あなたたちもこうなりたくなかったらエミリーンに従いなさい。』

「何て仕事受けちまったんだ。」

「じ、次元が、違い過ぎる・・・。」

戦意喪失。あれを見せられたらならそうなるか。


「マスター!この子、傷は塞がったのですが意識が戻りません!」

ウズラが叫ぶ。


『ダリル!』

『了解。』


「うーん。」

女たちが意識を取り戻す。マジでコイツ何でもありだな。

「あれ、ここ、どこ?」

パッ と消えた。

『大丈夫。彼女の部屋に転移させたから。』

なぜ部屋が分かる。てか転移阻害の結界張ってあったんだけど・・・。


男たちは黙って様子を伺っている。


「それで依頼主は誰なの?」

口を割るとは思えないが一応聞いてみる。


「闇サイト経由で依頼主は不明だが、俺の端末にデータが入ってる。調べてみな。

召喚した携帯端末を投げてくる。意外に素直なのね。


「これは俺の勘だが恐らく依頼主はクルセイダーズ第3席のサブラ・ハインツだ。この手の依頼がよく来るからな。」

「おい!依頼主の名前を出したら消されるぞ!」

「言わなきゃ今消されるっての。それに俺は独り言で憶測を言っているだけだ。」

「奴らにそんな言い訳通じるわけないだろ。」

空を見る素振り。監視を警戒しているのか。


「大丈夫だろ。ダリルさんがアイツら潰してくれるから。ですよね?」

ダリルさん?手の平クルックルだな。ダリルが私を見る。


「私はマフィアじゃないから今回は損害賠償と慰謝料で、3億で許すと伝えなさい。1週間以内に・・・この口座に振り込んで。払えないなら潰すと伝えて。」

口座情報を入力した端末を男に投げ返す。


『いいの?また来るよ。』

『また守ってくれるのよね?』

『もちろん。』

『ならいいわ。』


「3億って吹っかけ過ぎだろ!?俺らの報酬300万だぞ!ケチなアイツらが払うとは思えねえ。」

「自分の命に比べれば端金でしょ。そう考えたら安すぎる?5億に値上しようかしら。2億はアンタたちにあげる。」

「はぁ?それマジで言ってんのか?」

「別に私のお金じゃないもの。2億じゃ足りない?」

「い、いや十分だ。それだけありゃ、この仕事から足を洗える。」

「有り得ない・・・奴らのバックには傭兵やマフィアが付いてるんだぞ。全員消される。」

「そん時ゃそん時だ。けどな、この御方の力は奴らを遥かに凌ぐ。お前も見たろ?あの人智を超えた力を。」

ダリルに手を向け褒めちぎる。


「この御方って・・・彼は何者なんですか?」

「聞いて驚け!この方はあの、超獣、」

男の動きが止まる。ダリルが止めたのか。


『さっきの話、よろしくね。』

ダリルが残った男に言う。

「は、はい!承知いたしました!必ず伝えます!」

男たちが消えた。ダリルがどこかに転送したんだろう。


残ったのは私とウズラとダリル。


「ねえダリル。」

いやダリルでは無いんだけど。


「あんた、何者なの?もう何言われても驚かないから言っていいよ。」


『・・・かつて、ベヒーモスと呼ばれていた。』

ベヒーモス、、、

へ?ベヒーモスって、あのベヒーモス!?


最強フロアボスの一角じゃないか!

構えて後ずさる。ウズラが腰に手を回し震えている。


「9千階層で暴れた後倒されたって聞いたけど。」

ネットニュースが真実なら。


『暴れた事なんてないけど。知人に会いに行く途中に色々あって、倒されたのは事実よ。』

「なんで、ダリルに取り憑いてるの?彼は無事なの?」

『取り憑くって、嫌な言い方ね。この体には私の魔核が埋め込まれているのよ。』

魔核!?モンスターの魔力の根源か。


『彼の意識も有るけど、今は引きこもってるみたい。』

自分の体の中に引きこもる?意味が分からない。

でもこいつがベヒーモスである可能性は高い。結界を無視した転移。今の暴威を退けた圧倒的な力。


「・・・何で私を助けてくれるの?」

『エミーは私の所有物だから。』

「さっきも言ってたけどそれって一体、」

「えっ、ふあぁぁぁぁ!」

ウズラが叫ぶ。

「やぁ、何これ、熱い!熱っ!あっ、あっ、マスター!」

「ウズラ!」

ウズラが倒れ両手を股?に待てて苦しんでいる。

「ダリル!あんたの仕業でしょ!」

『大丈夫よ、マーキングしてるだけだから。』

マーキング?


「あっ、やだっ、もう、あっ、あっ、いく、いっちゃう!イクううううううう!」

どこに?


パァァ

ウズラの下腹部が光っている。

ババッ

服を脱がす。えっ!?

下腹部にトライバル柄のピンクのハート?が浮かび上がり光っている。


「何よこれ。説明して。」

『私の所有物って証を刻んだの。顔を見て見なさい。』

ウズラの顔を見る。恍惚の表情を浮かべヨダレを垂らし失禁している。目の焦点は合っていない。

完全にイッてちゃってるわこれ。


ぽわん。

帰還させダリルと向き合う。


「さっき私の事も所有物とかいってたけど、まさか・・・。」

『刻んだわよ。バスルームで気絶した時にね。』

何・・・だと!?


「私にも淫紋が・・・。」ガクッ


『嫌なの?メリットしか無いわよ?私の加護であなたの魔力は高まるし、リンクしてるから異変があればすぐ分かる。今回みたいにね。』


鑑定魔法でステータスを確認する。


超獣の加護

魔力30%上昇

自己再生


さっき転移阻害の結界を張った時下腹部から魔力が湧き上がる感覚があったのはこの加護の効果か。自己再生?治癒力の向上みたいなものかな。


「超獣ベヒーモス。あんたの目的は何?何で私に協力してくれるの?」

『・・・9千階層で私に喧嘩を売って来た女がエミーの知り合いと一緒にいる。』

黒髪の悪魔か!?

『まだ勝負は着いてない。横槍が入ったからね。ミラージュにいるシスティーナ嬢に会いに行きがてら決着を着ける。それをネットで配信してもらいたいの。』

システィーナって魔王の名前よね?そんな、冗談、だよね?


「黒髪の悪魔と知り合いなの?」

『悪魔?吸血鬼よ、ただの。今は天使側に付いてるようだけど。』

吸血鬼?天使?わけが分からない。


けど目的は一致してる。それなら、


「分かった。あなたとチームを組んで配信してあげる。」

『ありがとう。メンバーは私が決めていいかしら。』

メンバー?ガイウスとアバドンを入れるつもりだったけど。

「どうぞ、お好きに。」


『私とエミー、チャム、残り2人は・・・。』

空を見上げて笑うベヒーモス。


ゾワッ


やはりこいつは特級災害指定の魔物だ。ヤバすぎる。


『さて、それじゃあケーキでも食べに行きましょうか。』

こんな時間に開いてるケーキ屋さん無いよ。

ぐぅ。

・・・・・・。

「いいよ。ファミレス行こう。」

『やった♪』

!?


えっ、何、今の笑顔。


不覚にもかわいいと思ってしまった。


ドキドキ





─── 3日後 PM10:00 アビス歓楽街ベルコア ───




side 修羅


歓楽街を仲間と歩く。客引き、呼び込み、スカウト連中が多くいるが俺らには声を掛けず道を開ける。


「修羅くん、威圧し過ぎじゃない?」

カペルに言われるがあいつらウザいんだから仕方ない。

「アニキといると馬鹿が近寄って来ないから楽でいいわ。」

シロッコ、お前も馬鹿だけどな。と思ったが言わないでおこう。

「あんたも馬鹿じゃん。」

サロメの辛辣なツッコミにたじろぐシロッコ。

あはははと笑うダルトワ。



「うちらだけでもいいんだぞ。大将が出張るまでもねえし。」

シャオに言われるが


「ミラージュの話聞いてから体が疼いて仕方ねえ。」

ミラージュダンジョン・・・未だ一層すらクリアされていないディスペア最凶ダンジョン。

そこが今年の学院攻略イベントの場だと発表されたから学院中が蜂の巣をつついた様な大騒ぎだ。


「クククッ。学校のイベントでもなけりゃ行く機会なんてなかったろうな。」

興味が無かったわけじゃないが俺らの世界とはまた別の領域だ。それに今じゃ観光地化していて行くには別の勇気がいる。


「1チーム5人て言ってましたよね?修羅さんは誰と組むんです?」

魔術科のダルトワが聞いてくる。

うち(修羅一家)も今じゃ30人を超えてるからな。人選はちと迷うが、


「強ぇ奴が出ればいいんじゃねえの。」

まぁ、シンプルにこれだろ。

「冒険者なら役割分担とかあるけどな。斥候、回復、荷物持ちとか。」

シャオは一時期修行と称して冒険者をやっていた事があるから詳しそうだ。


「俺、魔術で索敵とか出来るっすよ。100mくらいまでイけるっす!」

「いや、それくらいなら気配で分かるぞ。」

剣術科のシロッコが言う。こいつは俺に因縁吹っ掛けて来たから返り討ちにしたら仲間になった変な男だ。


「マジっすか?」

「今も後付けられてるね。気付いてないの?」

学術科のサロメはシロッコの彼女で奴より腕が立つ。シロッコを倒した後逆上したサロメが俺に突っかかって来たんだがシャオに諌められ何故か仲間になっている。


「マジっすか!?」

おい、急に後ろ向くと、ほら気付かれた。

「アホ、今の動きでバレたよ。」

「あ!?すんません!」


「そ、それにしても、これだけ人が多い中でよく分かりますね。」

「一定間隔で付いて来るヤツいれば気付くって。ダルちゃん、もっと普段から周囲に気を向けなきゃ。」

このチャラいのが剣術科のカペル。こいつとシロッコは同郷の知り合いだ。

「いや普通は分かりませんて。」



今俺たちは先日ヘスターから得た情報を元にうちのシマで荒稼ぎしてるドラッグディーラーに挨拶するためアビスの繁華街に来ている。

メンツは、俺、シャオ、カペル、ダルトワ、シロッコ、サロメの6人だ。


角を曲がると正面ゲートにパークサイドタワーと書かれた高層ビルが現れる。


「ここで2手に分かれるぞ。俺とシロッコとサロメは正面から、大将とカペル、ダルトワは裏からだ。」

指示はシャオが出す。もともと俺は来る気なかったからな。


「普通に武装してる可能性もあるから死なないように注意な。」

「死なないようにて、そんなサラッと言う?w」カペルが突っ込む。余裕あるなこいつ。


「僕外で待ってようかな・・・。」

ダルトワには早すぎたか?何か俺に憧れてうちに入ったみたいだが。


「あんただって魔装くらい張れんだろ修羅場の一つや二つ潜っとかないと長生き出来ないよ。」

「この世界殺伐としすぎwでもサロメちゃんの言うことも一理あるかな。ダルちゃん、上目指すなら腹決めんと。中途半端が一番ヤバい。それに、うちらと一緒にいた方が安全かもよ。この辺奴らのエリアっぽいし。」


ここまで等間隔に置かれていた監視カメラが見当たらない。それに、人避けの結界が張られている。


「まぁ、修羅のアニキと一緒なら大丈夫だろ。」

そうか?自分の身は自分で守ってくれないと困るが。


「配置に付いたらそっちには俺が大将に逐次念話で指示を出す。20Fの事務所が本丸だ。向かって来るやつは残らず潰せ。以上だ。何か質問あるか?」

不安そうなダルトワとは対象的に他の奴らは笑みを浮かべている。まるで尻尾を振る猟犬だな。



「大丈夫そうだぞ、シャオ。それじゃあ、狩りを始めようか。」





─── ベルコア・パークサイドタワー 20F エシェロン 薬局部門 闇サイト統括運営事務所 ───




side ライストナー



「尾行がバレた!?チッ、仕方ねえ、ミルコさんに状況を伝えろ。魔人の力を借りる事になりそうだ。ああ、頼んだぞ。」

念の為に尾行を付けておいて正解だったな。

ミルコのヤツ何が心配要らないだ。拠点がヤツらにバレてるじゃねえか。

学院でここを知ってるのは俺とミルコだけだ。移動は転移オンリーだから後を付けられたわけじゃねえ。

ネットから探られた?だとしたらかなりの凄腕ハッカーだが・・・。

いや、今はそれよりこの状況を何とかしなければ。


ピーピーピー

侵入者を知らせるアラームが鳴る。この建物には許可した者以外は入れないはずだが・・・。


ピーピーピー・・・

警報が鳴止んだ?


ドガアアアン!


モニターには正面扉を蹴り飛ばす男の姿が。

消えた。


「ライスさん!攻撃を受けてる!」

薬局のスタッフが叫ぶ。

「皆聞け!今敵対組織が乗り込んで来た。だが問題無い。本部に応援要請を出してあるからな。落ち着いて業務を続けてくれ。ここは安全だ。」

とりあえずスタッフを落ち着かせて、


「違う!ハッキングだ!ランサムウェア攻撃を受けてる!ファイルが暗号化されてアクセス出来ない!」

「クソ!外部保存のファイルもダメだ!」

ハッキングだと!?

「つーか、ネットに繋がらねえ。」

あ?

スマホは圏外になっている。


どう言う事だ?マルウェア攻撃を仕掛けたなら乗り込んで来なくてもいくらでも脅せるはずだ。


「落ち着け!ここは安全だ!応援が来るまで待機だ!」

スタッフを落ち着かせる。


ネットは使えねえ。探知魔法を発動する。

このビルの中には予め術式を複数箇所施してある。そこを起点にフロアの映像を俯瞰で見る。


蹴り飛ばされた正面玄関の扉は受付カウンターにめり込み、受付嬢がカウンターの奥で震えている。恐怖で動けないようだ。


おいおい、ここまで派手にやるか?

このタワーは一般の企業だって普通に入ってんだぞ。それにマフィアだって。

武器を携帯した警備員たちが次々と現れる。


「止まれ!!そこまでだ!手を上に上げて床に這いつくばれ!少しでも動いたら撃つ!」


女は何事も無く歩き続ける。

「どうぞ。早く撃ちなよ。」

「と、止まれ!本当に撃つぞ!」

何してる早く撃て!


「残念、時間切れ。」

女は一瞬で距離を詰め警備員の側頭部ににハイキックを食らわせる。

ドガッ

壁に叩き付けられた警備員は動かない。


「うわああああああ!」

ガガガガガガガガガガガガガガガガッ

パニックになった警備員たちが一斉に銃を乱射するが、弾が当たらない?女の魔装に弾かれている。


「そんなもので私の魔装を抜けるわけないじゃない。」

銃を奪われ逆に弾丸を食らう警備員たち。

全員倒れ動かなくなった。使えねえ。民間の雇われなんてこんなものか。


侵入者は3人。監視カメラが使えれば顔認証で素性を調べられるのだが・・・。分かっているのは華宮のシャオ・リーウェイだけだ。

キプロスで同じ華宮の修羅を頭に据えた修羅一家とかいう派閥を立ち上げている。

他の2人も修羅一家の者だろう。キプロスは生徒数が多くて有力者しかマークしていなかった。

あの女、ARの弾丸を防ぐ程の魔装・・・ランクAは間違いない。

キプロスにランクAは何人いる?100人もいないだろう。

やはり魔人の力が必要だ。


奴らの移動に合わせて画面を切り替える。

EVに乗った。階段使わずにここ(20F)まで来るつもりか?


だが2FでEVは止まり扉が開く。そりゃそうだ、下であんなに騒げば耳の遠いジジイでも気づく。


ガガガガガガガガガガガガガガガガッ!


通路から3人の男がARの一斉掃射。当然こうなる。うちとは別のグループだ。何百発という弾丸が奴らを襲う。普通なら肉の塊しか残らないが・・・


「効かねえよ。お返しだ。」


ガガガガガガガガガガガガガッ!


シャオがARをぶっぱなす。1Fの警備員から奪った物だ。銃弾を浴びた男たちは沈黙する。

EVから降りる事無く倒しやがった。


「おっと忘れるとこだった。」

ガガガガッ

「ぐあ!」

EVの脇に隠れていたボタンを押した男を仕留めた。

そしてEVは再び上昇を始める。5、6、7、8F。止まる気配はない、あの辺は一般の会社しか入ってないからな。

応援はまだか。




side シャオ


「このまま上までいけんじゃね?」

余裕のシロッコ。

「そう簡単に進めばいいけど。」

俺もサロメと同意見。


12F。ポーン


「まぁ、無理だわな。」

扉が開く前からヤバい気配を感じる。


ウィーン。


「よお、ド派手にやってるじゃねえか。」


挿絵(By みてみん)


この気配、魔人か。

「・・・あんた関係者?」

拳を握り魔装の密度を上げる。


「待て待て、人の素性聞く前に名乗ったらどうだ。」

「・・・言う必要無えだろ。俺らはエシェロンに用があるだけだ。関係無いなら部屋に入ってな。」

「あー、悪い、エシェロンとは提携関係なんだ。いや、今はエシェロンの組員て立場だったか?まぁ、大人しく通す訳にはいかないな。」

「・・・どこの組だ?」

「セウレツァ。」


ドガッ!


「いきなり殴りかかってくるか普通?」

拳を捕まれる。セウレツァとエシェロンが繋がってただと?

セウレツァって言えば南の大陸を仕切ってるデカイ組織だ。幹部は魔人たちで構成されていたはず。暴力で縄張りを広げるイケイケのマフィアだったか。


「ここは狭すぎる。使用してない部屋がある。そこでやろう。」

「良いだろう。お前ら先に行っててくれ。」

シロッコとサロメは先に行かせるか。


「おいおいおい、馬鹿か?行かせるわけねえだろ。3対1で相手してやるっつってんだよ。」

チッ

「そうかい・・・けどタイマンでいいぞ。てめぇを倒せないようじゃあいつの右腕とは言えねえからよ。」

「気に入ったぜ。俺はラングストンだ。」

「修羅一家副総長シャオ・リーウェイ。」

「やはりお前が・・・こっちだ。付いてきな。」


『エシェロンとセウレツァが組んでるって知ってたか?』

修羅に念話を飛ばす。

『初耳だ。けど、どこが相手でも関係ねえよ。ケツは俺が拭く。潰せ。』

『クククッ、やっぱお前はシンプルでいいわ。そっちも気をつけろよ。』

『誰に言ってる?』

『クククッ、そうだな。じゃあ、上で。』

『ああ。』



ヴィーン


「ここだ。」

何も無い部屋。ご丁寧に結界が張ってある。

「お前らキプロスの生徒だろ?」

バレてんじゃねえか。

「タイマンで勢力拡大させてんだろ?いつの時代生きてんだお前ら。ハハッ。」

「お前ら(セウレツァ)だって似たようなもんだろ。」

「馬鹿にしてるわけじゃねえよ。むしろ買ってんだ。どうだ?うちに来ねえか。」

「行かねえよ。つーかよぉ、お互い暴力の世界で生きてんだ。シンプルにいこうぜ。勝った者に従う。これでいいだろ?」

「・・・ハーハッハッハッハー!いいぜ。やはりお前は俺らが求めてる人材だ。」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ






─── タワー17F 北側EV ───



side 修羅



シャオたちが表で派手に暴れてくれたお陰でここまでスムーズにこれたが。


18F。ポーン。


「よお、こんなとこで会えるとは思わなかったよ。修羅くん。」

3人の魔人に出迎えられる。直前まで気配は感じられなかった。転移してきたな。

こいつら俺の事知ってるのか。


『修羅くん、こいつ剣術科1年のリンドウだ。後ろのサングラスがアーロンで魔人化してんのがセス。』


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


カペルからの念話。剣術科に喧嘩っ早いのがいるのは聞いていたが、コイツらか。


「会った事無いよな?何で俺を知ってる?」

「ハハハッ、有名だぞ。修羅一家だろ?近いうちに挨拶に行くつもりだったんだがそっちから来てくれるとはな。」


「お前らセウレツァだろ。いいのか?うちらと事を構えて。」

「・・・詳しいじゃねえか。この学院にいる間はエシェロンの組員って事になってるから問題ないだろ。そもそも、あんたらとヤり合うつもりは無かったんだ、けど上の指示には従わないといけないからなぁ。」

学院で俺が華宮じゃなく修羅一家を名乗っているようなものか。


「リンドウさん、挨拶はもういいだろ。俺が行く。」

魔人化した男が前へ出る。

「向こうに結界を張ってある。付いて来な。」

通路を歩いて行く。人気が無い。ワンフロア貸切か?


ズゥン・・・ズゥン・・・

遠くから振動が響く。シャオが始めたみたいだな。


『修羅くん、アイツらヤバ過ぎる。正直、シロッコとサロメがいても勝てるかどうか・・・。まさかエシェロンと繋がっているなんて・・・』

珍しくカペルが弱気になっている。あれだけの気を当てられれば仕方ないか。ダルトワは震えているしな。


『かもな。けどよぉ、喧嘩で引いた事無えんだ俺。』

『はぁ~。知ってる。言ってみただけよ。僕も腹決めないとね。でも修羅くんがいてくれて良かったわ。』苦笑い。

ダルトワ抜きで俺と2人で戦うつもりなんだろう。カペルはそういう奴だ。


ヴィーン


空き部屋に入る。天井は低いが広さはなかなかだ。

「どうする?タイマンで3戦か、3対3か。」

リンドウが聞いてくる。

「1対3だ。まとめて相手してやるよ。」

「はあ!?」

相手より驚いたのはカペルだ。

「あんた何言ってるの!いくら何でも無茶よ!」

そうか?

「その兄ちゃんの言う通りだ。てめぇ、うちら舐めてんのか?」

セスが威圧してくるが


「舐めちゃいないが、お前らの中で一番強ぇのは下でやってる奴だろ?なら俺は3人くらいヤらねえとアイツに馬鹿にされっからな。ククッ。」


「てめぇ!」

「セス!」

リンドウが名前を呼ぶと動きを止めるセス。


「本来リンチなんてやらねぇんだが、今回はエシェロンの名前が掛かってる。遠慮なくやらせてもらうぞ。」


「上等。」


「ちょっと!勝手に話を、」


ズアァ!


魔力を解放してカペルを黙らせる。


『大丈夫だ。離れてろ。ダルトワを頼む。』

顔面蒼白で震えているダルトワを見る。

『・・・分かった。でも無茶しないでね。』

『クククッ』

『ちょっとホントに、』


『分かってるって、任せろ。』

笑いが止まらない。この状況が楽しくて楽しく仕方ないんだ。


セウレツァ。

少し前にキース総長が言ってたな。舎弟がセウレツァにちょっかい出して困ってるとか。

揉めたくないんだろうが、俺にしてみれば好都合だ。本気を出せる喧嘩相手ってのは限られるからなぁ。シャオやインフェルノの身内相手じゃどうしても死線を潜るようなやり取りは出来ねえ。

他の組織相手でも無い限りはな。

総長の舎弟たちの気持ちも分かるぜ。



華宮はインフェルノの直系組織だ。そこに席を置く俺とシャオだが今は修羅一家としてここに立っている。

コイツらはセウレツァ所属だが今はエシェロン預かりらしい。


ハハハッ!これはぜってえ負けられねえな。


「この状況で笑うとは。傑物なのか、ただのイカレ野郎か。まぁ、直ぐに分かる。」


ドドドドドドドドドドドドドドドドド


3人が魔人化し魔力を解放する。凄まじい・・・が、キース総長に比べると大した事ねえな。



それじゃあ、始めようか。



インフェルノとセウレツァの代理戦争を。




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