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27話 キプロス学院の劣等生 入学編3


sideダリル



「続きまして、新入生代表 挨拶。」

おっ、代表は入試の成績で決まるんだったよな。今年はへスターとか言う子かな。模試でトップ独走してたし。


「学術科1年チャムさん。」

は?


「はい!」

はああああ!?


ざわざわ


「あの子さっきの子犬じゃん!」

「へスターが負けるとか信じられない。」

「魔王の知り合いって言ってたよね?まさか・・・」

「忖度あったって事?」

「いや流石にそれはないだろ。」

「普通にめちゃくちゃ優秀なんじゃね?」

「確実なのは派閥に加えるべき人材って事だな。」

「勧誘合戦ヤバそう。」

「学術派ってアドバンテージを生かして取り入るぜ!」

何か凄い事になってきた。こんな事ならもっと仲良くしとくんだった。クソ!


スタッフがチャムに会わせてマイクスタンドの位置を下げる。

あっ、あれ以上下がらないんだ、どうするんだろ。木箱持って来たwコントかよw

場内が笑いに包まれる。


ん、ミコ社長が出て来て・・・木箱を蹴っ飛ばした!?物凄い勢いで木箱はサイドスクリーンに当たり粉砕される。結界が張ってあるせいかスクリーンは無傷だ。


シーン・・・


あっ、ピンマイクを着けてあげてる。優しい。


「ありがとうございます。新入生代表のチャムです。よろしくお願いします。」

ペコリと頭を下げる。


「暖かな光の麗しさに心躍るこのよき日に、私たち新入生はキプロス学院の入学式を迎えることができました。 本日は私たちのためにこのような式典を催していただき、誠にありがとうございます。学院長をはじめ、ご関係の皆様に新入生を代表して、心より御礼申し上げます。」

チャムの奴、良い声してるなあ。落ち着きがあって、凄く聞きやすい。


「私たちはこれから、ディスペア有数の素晴らしい学習環境であるキプロス学院で、各専門知識を学びます。この世界に山積する、課題の解決を試みるとき、問題の真理にたどり着くためには多面的なアプロー チが不可欠です。キプロス学院の、ほぼ全ての機能が一つのキャンパスに集約された環境は、総合的な知の構築を可能にします。叡智の探求を信念として、複合的な知識を自分のためだけでなく他者のために役立て、 光に照らされた希望ある社会の実現のために働く人になりたいと私は考えます。」

普通に立派な事言っててワロタ。

そう思ってた時期が僕にもありました。



「そして、他の階層などとの交流を通して多様な考えを尊重し、世界を多角的に俯瞰する視点を身につけ、知識に立脚した教養と高い専門性を備えられるよう努めて参ります。

また、私たちはこれからキプロス学院で同じ理念を共有する新たな仲間と出会います。IT社会と言う新たな時代の始まりを共に歩み始める仲間との縁を大切にし、学術、武術、魔術と言う各分野の特性を活かして対話を重ねることで、 互いに高め合える関係を目指して行こうと思います。」

他階層と交流?ってなんだよ。アビスの外に何があるの?バケーションで行く以外に何も思いつかないんだが。

それにこの学院は派閥間に深い溝があって対立構造になっている。協力関係なんて望めないだろう。


「最後になりましたが、学院長をはじめ、諸先生方、そして本日まで私たちを支え、応援してくださった家族や保証人の方々に、キプロス学院で学ぶ機会を与えていただいたことに改めて感謝申し上げます。どんな苦難も乗り越えていく覚悟を持ち、確個たる信念のもとに学院生活を送ることを誓い、新入生代表 の挨拶とさせていただきます。」

チャムのやつ堂々としててかっけー。

緊張とかしないんか?


パチパチパチ

拍手が鳴り止まない。


その後教師の紹介などがあり


「以上を持ちまして第243回 キプロス魔術学院 入学式を閉会いたします。」

終わったー。何か色々凄かったな。とんでもないとこに来てしまったのでは・・・


「この後、学院の食堂、カフェを解放いたします。ごゆっくりお食事をお楽しみ下さい。また午後1時30分より新入生歓迎会を行いますので参加をご希望の方はここキプロスアリーナまでお越し下さい。」

レクリエーションか。どうしよう。知り合いもいないしな。

チャムくらいしか。


とりあえずご飯食べに行くか。

外へ出るとみんな学食のある建物へと流れていく。

僕は流れに逆らい逆方向へ。混んでるとこは苦手だ。ぼっちだし外で探そう。

と思っていたけど広場にキッチンカーが何台も泊まっていてファストフードなどを販売している。あれでいいや。

バーガーセットをテイクアウトし人気の無い場所を探す。

木陰に丁度いい感じのベンチ発見。

ふぅ、やっと一息つける。


座って歩く生徒をボーッと眺めつつ、コークを飲む。

けぷ。

ハンバーガーの包み紙を開ける、と。


「わぁ、美味しそうだね!」


「びゃああああああ!?って、チャム!?」

横にチャムが座っている。いつの間に、全く気づかなかったぞ。


「そんなに驚かなくてもいいのに。」

「何でここに?」

お前は学食でパリピとワーキャーする側だろ(偏見)。


「また後でねって言ったじゃん。」

言ってたけどあれ社交辞令じゃなかったのか。


「それ美味しそうだね。」

「・・・あげないよ?」

「うー、私のと交換しよ!」

なんだよ私のって。

布で包まれた箱が現れる。

それどこから取り出した!?


パカッ

「ほら、美味しそうでしょ?」

黒い物体が並ぶ。

「それ何なん?」

「私が握ったおにぎり。食べてみて。」

えぇ、僕、人が触ったの食べたくないんだけど・・・。

「ほら、どうぞ。」

おにぎりを掴み口に押し当ててくる。

「ほれ、ほれ。」

ちょっ、やめ、パクッ


「うまっ・・・」

何これ、うっま!

「ふふっ、それはツナマヨかな。」

玉ねぎはシャキシャキで甘めの醤油だれマヨと相性バッチリ、ツナも良いの使ってそう。


「これは牛しぐれね。ほら、食べて。」

押し付けるのやめえや!

「・・・あ、うまぁ。」

牛うまぁ!甘辛い味付けで生姜が効いてる。何より牛うまぁ!

おにぎりってこんな美味かったっけ?

「タコさんウィンナーと唐揚げもどうぞ。」

箱にぎっちり詰まった赤と茶色の物体をつまむ。

「はぁぁ。」

こう言うのでいいんだよ、こう言うので。おにぎりに合うんだよなあ。

全体的に塩分過多なのが気になるがキッズにはこれくらいが丁度良いのよ。チャム分かってるやんけ!


「はい、お茶。」

ズズッ

「はぁ~。」

落ち着くわぁ。


「食べたね?じゎあ、それちょうだい。」

「あっ、・・・どうぞ。」

「いただきます!」


挿絵(By みてみん)


モグモグ

「美味しい!この野菜どこのだろ?あっ、 ポテトももらうね。」

モグモグ

めっちゃ食べるのな。まぁいいけど。


「そのコーク?貰っていい?」

「いいけど。」

ゴクゴクッ、けぷ。


漬物を食べる。よく浸かっててうまぃ、てか冷たい。保冷剤付いてないよな?why?


「色々聞きたいことあるんだけど、チャムってミコ社長の知り合い?」


「んー、保護者?かな。私の友達の知り合いで身元保証人になってもらったんだ。」

ミコ社長の知り合いと友達なのか。その友達が気になるが。


「新入生代表のスピーチしてたけどアレって試験の成績で決まるんだよね?・・・チャムって頭良いの?」

ストレートに聞いちゃった。


「良いよ。昔からデキは良かったんだけどねー、ここ何年かシャンテルにある図書館に通って本もたくさん読んだし。」

それって・・・世界の叡智の集約、噂では異世界の書物まで所蔵されてるとか言うあのシャンテル中央図書館の事か!?


「で、どうだった?私のスピーチ。」

「えっ、ああ、良かったんじゃないかな。みんな聞き入ってたよ。」


「そっか。」

冷静ぶってるけどめっちゃ嬉しそうだ。だってシッポを勢いよく降っている。かわええ。


「チャム・・・君って一体、」


「見つけたあ!」

わっ!?ビックリした。って、エミタソ!?


「探しましたよチャムさん!あっ、突然すみません。私WeTuberのエミリーンと申します!」


「はぁ。」モグモグ。


「チャムさんにインタビュー形式での取材をお願いしたくやってまいりました!」


「ごめんなさい。今食事中なので・・・。」


「あっ!すみません・・・。お食事が終わる頃また出直して」


「食べながらでもいいなら大丈夫だけど?」

えっ?いいの?


「もちろん大丈夫です!じゃあカメラ回しますね!」

えっ!?今からライブ配信始めるの!?


「カメラ?ダメに決まってるでしょ。雑談ならOKって事。」

しょんぼりエミタソかわええ。渋々承諾したようだ。

良かった、配信に出演なんてしたくない。見るのはすきだけど。

それにしても生エミタソめっっちゃかわええ!後で絶対サインもらおう。


ポンッ

ベンチが現れる。


「ほらっ、座って座って。」

「い、今のって物質の召喚ですか!?」

「えっ?まぁそんな感じ」

「凄い!チャムさんてランクAAA(トリプルA)以上ですよね!?」

「知らないよ。それより、お腹空いたでしょ?おにぎり食べなよ。ほらおかか。」

「えっ、あっ、いただきます。」

おにぎりをほうばるエミタソかわええ。

カメラマンにもおにぎりを上げている。

確かガイウスとか言ったよな。狼の獣人か。体が大きくて強そうだ。いやそれより今は生エミーを目に焼き付けねば。ジロジロ。


「あのぅ、チャムさん、そちらの方は?」

あっ、ヤバ、ガン見し過ぎたか?


「彼はダリル君、友達だよ。」

ファッ!?僕、チャムの友達なの!?嬉し過ぎるんだが?


「そうなんですね。では、さっきの入学式についてお聞きしたいんですが。」

僕に対する興味0で草。


僕がしたのと同じ様な質問をしてチャムは同じように答えている。

ん?ガイウスさんが僕をチラチラ見ている。なんだ?


「キース氏との一件で兵士を癒す場面を見ましたが、チャムさんは魔術師ですよね?なぜ学術科に?」

それ僕も聞きたかった。魔術の事はよく分からないけど治癒魔法が使えるなら魔術科へ行くはずだ。


「シーちゃ・・・友達が、おぬしなら何科でもトップ取れるじゃろ。好きなとこ選ぶとええ。とか言うから前行きたかった政経学部選んだ感じかな。」

ジジイが友達なんか?チャムもババア臭いとこあるんだよな。てか何科でもトップ狙えるとか凄いな。


「確かにあの焔帝を抑え、さらに首席合格をしたチャムさんならどの分野でも・・・。」

エミタソの表情が暗くなる。


「チャムさんに見てもらいたいものがあるのです。」

バックパックからタブレットを取り出す。


「これを見て感じた事があれば何でもいいので意見を聞かせて貰えないでしょうか?」

僕も脇からチラリと除く。

あっ、例の悪霊が映った動画だ。DFLのリーダーが登場し影が現れる。


「んー?あれ、この魔女さん・・・」


ピンポンパンポーン

「お知らせします。午後1時30より新入生歓迎会を行います。参加をご希望の方はキプロスアリーナまでお願いします。」

15分前の放送か。


「チャムさん!何か今言おうと、」

「チャム様!」


ダンッ!


空から女の子があ!!

って、ミコ社長!?


「勝手に出歩かないで下さい!気配も追えないから全エリア探しましたよ。」


「あっ、ごめんなさい。おにぎり食べる?」

牛しぐれを差し出す。

ミコ社長がおにぎり食べるわけないだろ!


「いただきます!」

いただくんかい!意外。

ベンチに座っておにぎりを食べるミコ社長。


今視界にミコ社長とエミタソが同時に映っている事実に感動する。このツーショットをSNSに上げようものなら秒でバズるな。美し過ぎる。マジてぇてぇ(尊い)。


「これ凄く美味しいですね。もう1ついただきます。」

2つ目行ったあ。めっちゃ食べるやん。

「これも美味しそう。」

まさかの3つ目!?唐揚げもつまんでる。


「冷たいほうじ茶どうぞ。」

ミコ社長がほうじ茶なんて・・・飲むんかい!

ゴクゴク飲んでるやん。喉乾いてたのかな?


「はぁ、ご馳走様でした。時間も差し迫っていますので私とチャム様は先に失礼致します。」

そそくさと空になった箱を片付ける。箱がパッと消えた。それどんなマジックなん?


「えっ?私午後からのレクリエーションもみたいんだけど・・・」

「いけません。チャム様にはこれから我が城で行われる歓迎パーティに出席していただきます。」

「えー、いいって言ったのに。」

ムクれるチャムかわええ。

「さぁ行きますよ。」


「待って、チャムさん、さっきの動画の話を・・・」

エミーが引き留めようとする。


「ミコ、少し待ってくれないか。大事な話だ。」

このカメラマン、ミコ社長と知り合いか?


「ガイウス・・・あなた、まだティガーを探しているの?」

ティガー?・・・って確かDFLの失踪したリーダーだよな。


「当然だ。今手掛かりを掴む為動画を見てもらい、その子の意見を聞こうとしていたんだ。」


「動画・・・ああ、あれですか。あの動画の事は忘れた方がいいですよ。と言うより関わったら・・・死にますよ。」


「あなた・・・み、ミコ社長は何か知っているんですか!?知っているなら私に教えて!教えて下さい!」

必死に懇願するエミー。涙目で全く余裕が無い。こんなエミー、拠点転移シリーズでも見たこと無いぞ。


「あなた、ローズマリー様には会ったのよね?」

エミーを無視してガイウスに話しかけるミコ社長。


「ああ、同じような事を言われたよ。」


「でしょうね。それなら、これ以上私が言う事は何も無いわ。さぁ、チャム様行きましょう。」


あっ!待って!

「みっ、ミコ社長!ぼ、僕、あなたのファンで、フヒッ、良かったら、しゃ、写真を・・・」

ミコ社長に会う機会なんてもう2度と無いだろう。何としてでもツーショット写真を・・・


ジロリ

ヒェッ

何その目、無表情で冷ややかな・・・

ゾクゾクッ

背中に汗が流れる。


「チャム様。」

チャムの手を取るミコ社長。


「あっ、ダリル君、またねっ!」

2人は消えた。あぁ、せっかくの機会が・・・。


「ガイウス!追うよ!」

「・・・エミー、もう止めないか。」

「止める?馬鹿言わないで!あの傲慢高飛車クソビッチに言われたから?冗談じゃない!」

ご、傲慢高飛車クソビッチ!?黒エミー、パネェ・・・。


「・・・コラ、ガキ、何見てんだ?見せもんじゃねえぞ!」

ファッ!?

エミーに怒鳴られて顔を伏せる。


「ガイウス、私は私の目で見たものしか信じない。いいわね?あんたには、私に付き合う義務があるの。最後までそれこそ地獄まで付き合ってもらうわよ。」

「・・・そうか。」

おいおい、何か不穏な空気漂いまくりなんだが?サイン貰える雰囲気じゃないな?よし、気配を消して離脱だ。

そろーと音を立てないように気をつけてと・・・


「おい!」

「びゃあああああああ!?」


「驚き過ぎだろ・・・テメェ、チャムさんの友達なんだよなあ?ハナシ、聞かせてもらおうか。」ニヤァ

ヒェッ!




─── キプロスアリーナ ───



side 修羅



「ほれ、買ってきたぞ。」


挿絵(By みてみん)


ポップコーンとサイダーを渡される。ウィスキーを注ぎハイボールを作る。


「シャオ、お前も一杯やれよ。」

「あん?おま、それ酒か?アルコールは持ち込み禁止だぞ。」

「飲まねえの?」

「飲むに決まってンだろ。」

一気に飲み干し空にしたカップにウィスキーを注ぐ。

「かぁ、効く。」


肖李偉シャオ・リーウェイ⋯幼なじみで今は俺の補佐。俺らはガキの頃から華宮に入り浸りで気に入らねえ奴がいれば喧嘩を吹っかけてぶちのめして来た。

親父は最初組に入るのを反対してたけど毎日のように馬鹿やってる俺らを見て諦めたようだ。今はシャオと2人で華宮の幹部、ゆくゆくはインフェルノのてっぺんを目指しているわけだが所詮世間知らずのガキ。親父は華宮を継ぐ条件としてキプロス卒業を突きつけてきた。剣術科なら楽にイケたんだろうが、組長から言われたのは学術科。正直つまらなすぎて卒業出来るか自信ねえわ。


と昨日までは思っていたけどよ、なんだよ、あのチャムとか言うやつは。めちゃくちゃ面白いじゃねえか。叔父貴とやり合うとか。

ここが少し楽しみになって来たぜ。


「つーか歓迎会って何やるんだ?」

隣に座るシャオが聞いてくる。


「模擬戦とかマホーでも披露すんじゃねえの?」

「面白いのかそれ?」

「知らねえよ。けど、ここのレベル知るにはいい機会だろ。」

「ふうん。」ポリポリ

興味無さそうにポップコーンを食べるシャオ。



ピンポンパンポン♪


「それではこれより新入生歓迎会を始めたいと思います。司会進行を努めさせていただきます、魔術科3年のカラム・フェルプスです。よろしくお願いします。はい、では、まずオープニングを飾りますのは当学院が世界に誇るキプロス管弦楽団です。素晴らしい演奏をお楽しみ下さい。」


「シャオ、少し寝る。模擬戦始まったら起こして。」

「はあ?俺も寝るから。」

2人とも爆睡した。


・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・


グワシャ

!!?

ガバッ

んだよ、今の。心臓をにぎられる感覚。


『修羅。』

『ああ、誰だか知らねえがやってくれたなぁ。』

敵対組織の示威行為か?


「わっ、何今の!」

「ビックリした!」

「何か通り過ぎたよ!」

「寝ぼけてるだけだろ。」

「霊の仕業だ!」

「誰よ胸触ったの!」

「お前、俺のち〇ち〇触っただろ!」

「触るわけねえだろ!」

あ?うちらだけじゃないのか?


『お前らなぁ、せっかく世界最高の楽団が最高の演奏をしてくれたのに、たるんでるなあ。どうだ?私の気付けは効いたか?』

念話か。


『今から魔術科の生徒が何かするみたいだから先輩たちに敬意を払い心して見るように、以上!』


「学院の関係者かよ。」

「何にしたって相当な使い手だ。会ってみてえ。」

どんな魔法か知らねえが俺の魔装抜く奴はそうそう居ないからな。


観客席を覆う様に結界が張られる。

「ふうん、魔力障壁(マジックバリア)かぁ、でも大した事ないわね。」

!?

「テレシアお前いつの間に。」

組織お抱えの魔術師で今日転移で俺をここまで運んで来た女が隣に座っている。

デカ過ぎて肉が肘掛けにめり込んでるじゃねえか・・・。

少し前から隣の席の奴が帰って来ないがこいつが何かしたのか。

てか、ここ学生エリアなんだが?


「結界術って使い手の魔力量で密度が、技量で性質が変わるのだけど、あれの術者は学生さんかしら。ユルユルで鉄壁とは程遠い。まだまだ修行が足りないわね。修羅くん私にも1杯おねがい。」

タンブラーに注いでやる。

学生の見世物に強力な結界なんて必要ねえだろ。何にでも上から目線で鼻につく・・・って俺が言えた義理じゃねえか。


「あんたって転移の専門じゃなかったのか?」

シャオが聞く。


「あんたじゃなくてテレシアよ。覚えておきなさい。私は魔術師だから何でも出来るの。」


「何でも出来んなら働く必要ないだろ?錬金術とか使って金稼げるし。何でしないの?」

絡むな、面倒くせえから。


「当然可能よ。でもあれはコスパが悪いからね。君たちのお守りして大金稼ぐ方が楽でいいわ。」

「お守りねえ。うちらにしたらあんたはタクシーみたいなもんだけど。」


「ねえ、坊や、イキるのはいいけど相手は選ぼうね。すり潰すよ?」

「あん?喧嘩売ってんの?」

ゴゴゴゴゴゴ


「お前らやるならどっか行け。」

ゴクゴク


フンッと正面を向く二人。


照明が消え会場が暗闇に包まれる。

キラキラッ

星空が現れる。映像を投影してるんだろうが本物と区別つかねえな。


「キレイな空。」

テレシアが呟く。


「お待たせいたしました。続いては魔術科生による爆炎乱舞流です。炎の祭典をお楽しみください!」

軽快な音楽が流れる。


数人の生徒が出てきて両手を上へかざす。


ドーン!ドパアアアン!

火の玉が打ち上がり天井付近で爆発し花を咲かせる。


「うおおお、凄えな!」

シャオが驚きの声を上げる。確かに凄い迫力だ。派手さに極振りって感じだが相当な魔力操作だぞ。


最近流行ってるHANABIとか言うやつか。本来は夜間に野外でやるもんだがここなら関係ないか。

しかし・・・


ドンッドンッドンッ

連発で打ち上がる花火。

ドパアアアアアン!

近い。

客席の真上で爆発したぞ。


「ド迫力だなオイ!」

こんな興奮してるシャオは珍しい。喧嘩してる時でも滅多に見ない。

ブワッと風・・・衝撃波が起こる。


ああ、より迫力を出す為にあえて結界の密度を下げてるわけね。ふうん。


「本当に素晴らしいわ。ガキのお守りなんて面倒だったけど、これは来て正解だったわね。」

オイ、声に出して言うなよ。


ドーン!ドーン!パラパラ・・・

話題になってるのは知ってたがこの近距離で見ると圧巻だ。

「すげぇ、これは・・・酒が進むな!」

ゴクゴク ぷはぁ


「同感ね。」

テレシアが徳利とお猪口を出す。

「注いでやるよ。」

酒を注ぐ。

「あら、ありがとう。」


「それ和の国の酒か?」

「へぇ、よく知ってるわね。」

「うちの親父もたまにそんなの使って飲んでるからな。」

「あなたもどう?」

「・・・ああ、一杯もらおう。」

注いでもらいクイッとあおる。辛口。


趣向を凝らしたHANABIは続きその後もイルカショー、学院紹介動画などが行われ休憩となった。


「休憩明けは武術科生による模擬戦が行われます。5名様まで参加も出来ますので奮ってご参加下さい。」

「マジか?修羅出るか?」

「出ねえよ。ショーだろ?見てる方がいいわ。ションベン行ってくる。」



─── トイレ ───


キュッ

あっ、ハンカチ忘れた。チッ、エアタオル使うか。


ゴーーーッ


「いや!離して!私ホントに何も知らないから!ちょっと、痛い!」

ん?女がチンピラ2人に手を引かれてトイレに入って来た。

鏡越しに女と目が合う。

「お願い!助けて!」


ゴーーーッ


さて、何かツマミでも買って戻るか。


「ちょっと!あなた!何スルーしてるの!?私襲われてるのよ!?助けて!お願い!」

女が何かわめいてる。


売店にスルメイカ売ってっかな・・・。


「いやあああ!」

女の悲鳴。


「ねえ!お願い!助けて!助けてよう!」

いや無理だろ普通に人払いの結界張ってあるし。


男がニヤつきながら近づいてくる。

「兄ちゃん、この事言ったらどうなるか分かるよなぁ?」

ナイフを首に当てられる。

・・・・・・。


「きゃああああああああ!」

女の悲鳴を背にトイレを出て売店へ向かう。




「スルメ売って無かったな。」

席に戻るとシャオが焼き鳥を片手に酒を飲んでいる。


「姉さんにツマミ貰ったわ。焼き鳥だ。美味いぞ、修羅も食べて見ろよ。」

「知り合いに養鶏場の経営者がいてね、あら、空になってるわよ。」

トクトク

「気が利くねえ。いい女と美味い酒、たまんねえな。」

「あらあら、もう酔ったの?ふふふっ。」

・・・・・・。

なんだコイツらこんな仲良かったか?


「俺も便所いこ。」

「売店近くのとこは止めといた方がいいぞ。」

「何で?」

「混んでた。」





side ダリル



会場に戻る。


「それじゃあ私は模擬戦に出るので失礼する。」

そう言ってガイウスさんが席を立つ。剣術科の代表で出るとかいってたっけ。

それじゃあ僕も⋯


「ぐえっ!」

シレッと着いて行こうとするが襟首を掴まれる。


「どこいくの?君の席はここだよ?」

エミーがガイウスさんの席を指さしている。

「ここ2年生の観覧席なので・・・」

「いいから座れよガキ。話しがあるっつったろ?」

ヒェッ!

おいおい、こんな人目の付くとこでそんな言葉使い・・・大丈夫なのか?


「エミーさん、アイスコーヒー買ってきました!」

「・・・砂糖が足りないわね。」

「し、失礼しました!取ってまいります!」

「早めにね。」

「はっ!」

ダッシュで出ていった。

エミタソ、パネェ・・・。周りの生徒は見て見ぬ振りだ。もう皆正体知ってる感じか。


「ダリル、お前チャムさんの事どこまで知っている?」

エミタソが僕の名前を!?感激。


「な、名前くらいしか・・・。」

「はぁ?友達と言うからには親しいのよね?」

「いえ、最近知り合ったばかりなので・・・。」

「そう・・・、で、彼女は何者・・・どうやって出会ったの?」

「ま、街でチンピラに絡まれていたところを助けてもらって、」

「彼女は魔術師なんだよな?」

「さ、さぁ、僕には分かりかねます。」


ダンッ!


ヒェッ!?

前の座席を蹴り飛ばすエミー。

「あ、あの、相手の魔術を無効化してました!あ、あと、転移の魔法で自宅まで送ってもらいました!」

「マジックキャンセルに転移か。先程の焔帝とのやりとりを見てもランクSは間違いない、いやSSもありえるか・・・」

えっ、今ランクSって言った?ランクSって言ったら戦略級魔術士じゃん。世界でも数人しかいないとか言う、その1人がチャム?

いやいやいやいや、あの小動物が、まさか・・・ね?


「さ、砂糖お持たせいたしました!」ハァハァ

使いっ走りの生徒が戻ってくる。


「ありがとう。・・・あれ?ダリル君、飲み物が無いわね。何か飲む?」

「えっ、あっ、それじゃ僕もアイスコーヒー買って来ます。」

「アイスコーヒーだって。お願いね。」

ファッ!?エミーがまたパシリに頼む。


「あっ、僕自分で買って来るので・・・」

好機!そのままバックレたろ!

「まだハナシ終わってねえから。」

ダンッ

脚で遮られる。

エミタソの生脚⋯エッッッッ!!

ギンッ

ヒェッ!?睨まれた。

「アイスコーヒー買ってきます!」

ダッシュで買いに行く生徒。いいのか?


「気にしなくていいよ。あいつ私のストーカーでかまってやると喜ぶから。」

ストーカー!?・・・をパシリにするって、どうなんだ?


「私はチャムさんに聞きたい事があってね。近いうちにまた話し合う場を設けたい。そこで君には私とチャムさんのパイプになってもらう。」

間を取り持てって?でも、

「チャムが決める事なので僕にはどうする事も・・・」


ダンッ!


ヒェッ!?

また前の座席を蹴り飛ばすエミー。

「トモダチ・・・なんだよね?」

「そ、そうみたいです。」

「なら簡単じゃん。私の馴染みの店があるからそこに誘ってくれればいい。もちろん礼もするから、いくら欲しい?」

金?

「お金には困って無いので・・・。」

「ふぅん。ボンボンか。まぁ、そうだろうね。」

今、値踏みされた?僕にはこの学院に入れれるだけの力は無いと?・・・その通りだよ!

しかし何か要求してもいいのか?あれ言ってみる?ワンチャンイけるかもしれない!だって僕割とイケメンだし!金持ちだし!


「お金以外でもいいんですか?」

「叶えられる範囲なら。」

「え、えと、じゃあ僕の彼女になって・・・」

ダンッ!

ヒェッ!?


「私の聞き間違いかしら。今彼女になれって言おうとした?」

「は、はい!僕の彼女に・・・」

「いいよ。分かった。望み通りお前を下僕にしてやるよ。」

「ファッ!?違っ!下僕じゃなくて、」


ゴゴゴゴゴゴ

「下僕だよな?」

「はい!下僕です!」

クソっ!選択ミスった!欲望に忠実過ぎた!クソッ!


「チャムさんの都合聞いておいてね。忙しいだろうから。」

「は、はい⋯。」

そう言えばチャムってスマホとか持ってんのかな。いつも急に現れるんだよなぁ。


「アイスコーヒー買ってまいりました!」

早っ!もう買って来たのか。

「あ、ありがとうございます。」

アイスコーヒーを受け取る。


レシートをエミーに渡す先輩。あっ、お金払うんだな。

エミーはレシートを受け取ると裏にサインを書いて渡す。

「ほら。」

「ありがとうございます!」

それが報酬なの!?代金払わなくていいのか?


「では僕はこれで・・・」

席を立とうとすると、

「お待たせいたしました!それでは剣術科生による演武と模擬戦を始めたいと思います!」

アナウンスが流れる。


「ここで見ていきなよ。ガイウスも出るだろうし。」

ガイウスさんは剣術科生なのか。

「は、はぁ。あ、あのエミリーンさんとガイウスさんてどのようなご関係なのでしょうか?」

「関係?あいつは仕事仲間で・・・あんたと同じ下僕よ。」

仲間なのに下僕!?意味が分からない。


わあああああああ

歓声とともに生徒が入場してくる。

道着を着た5人の生徒が舞台に上がり等間隔に並び型を披露する。

一糸乱れぬ動きは日頃の鍛錬の成果を伺わせる。

凄いけど今は誰でも扱う事が出来て(ライセンスは必要だが)高威力の銃があるからなぁ。肉体を鍛えるより魔力の底上げした方が効率的なのでは・・・。


「Cランクってとこかしら。練度は高いけど所詮はお遊戯レベルね。」

エミタソ辛辣過ぎィ!

でもそれ毎回フロアボスから逃げてる君が言っていいの?

Cランクとか普通にヤバいレベルけど。


ランク・・・

ギルドが定めたSからGまである階級を表す指標。

一般人だとE、Fあたり。達人でC、D、超人だとA、B、だいたいそんな感じ。

強さや社会への貢献度にもよるけどね。

ちなみにランクはギルドに登録するのに必要なだけだから一般人は測ったりしない。

僕?僕はDくらいじゃない?(願望)

改めて考えてみるとランクAのエミタソってパネェ!


「ランクCでも凄いですよ。ガイウスさんはBでしたっけ?」

確か動画のプロフィール欄にBって載ってたな。


「S。」

は?

今Sって言った?

フロアボス級じゃん!?

ちなみに魔物にも討伐難度と言う指標がある。

ゴブリンはランクD

ゴーレムはランクB

ドラゴンはランクA〜SS

フロアボスはランクS

八柱と呼ばれた魔王の配下でランクSSS

魔王様は測定不可だったかな?


「ランクSって冗談ですよね?」

「・・・。」

冗談だよな?


「ありがとうございました!気迫に圧倒されますね!はい、続いては今巷で大流行しているあの【ディスペア流】の型を披露していただきます。」


1人の獣人がステージ中央に・・・って、あれガイウスさん!?

ディスペア流って魔王様と破壊神様が使っていたアレか。


あの伝説の戦いは全ディスペア民が見て映画にもなったがあまりにも現実感が無さ過ぎてフェイクなのでは?と言われている。

僕も幼い頃見たはずだが覚えていない。殆どの者が序盤で意識を失っているからだ。魔王様のオーラに当てられてという話しだが、ホントかな。


ガイウスさんがペコリとお辞儀をしステージの中央に座る。正座の姿勢で目を閉じた?


静寂。


ボッ!


急に突風が・・・あっ!いつの間にかガイウスさんが立ち上がって剣を構えている。技を放ったのか?


「何人が見えていたのかしら。今の連撃。」

連撃?エミーには見えていたのか?

その後は派手な技は無く淡々と型を披露していく。でも、何か・・・地味だな。

ディスペア流・・・映画の効果で人気は出たみたいだけど実際はその辺の流派と変わらないね。

一連の動作を終えてまたお辞儀をしステージに脇に下がる。


「ありがとうございました!それではここで模擬戦を行いたいと思います。少々時間が押していますので、いきなりですが新入生との交流試合となります!」


ガイウスさんと新入生が戦うのか。エミタソの動画では戦うシーンは殆ど無く逃げてばかりだったけど実際はどうなんだ?


「それでは、先程申請して頂いた方の中から順番にお呼びします。最初の対戦者はステージまでお願いします!」


ステージに軍服を着た男が現れる。あら、イケメソ。

「自己紹介をお願いします。」


「剣術科一年のレジナルド・サイアースです。よろしくお願いします。武器全般の使用が可能って事でいいんですよね?」


「はい!結界が張られているので問題ありません。ガイウスさんは木刀を使用するそうです。」


「木刀ですか。こっちは全力で行きますけど、大丈夫かな。」


「問題ありません!」

あの司会者の生徒、勝手に答えてるけどいいのか。ガイウスさんは目をつぶって仁王立ちだ。


「分かりました。では・・・おい。」

使用人がケースから何かを取り出し組み立てている。あれって、銃!?しかもフルオートのARアサルトライフル・・・だと!?

最新のヤツじゃねえか!


ARを受け取り魔力を充填させる。マジックライフルは使い手の魔力量により威力が変わる為魔術師の所持率も高い。最新モデルなら魔力増幅クリスタルも付いてるはず。クッソ欲しい!

てか銃はダメだろ!普通に〇ぬぞ!


「準備OKだ。始めよう。」


「それでは・・・始めぃッッ!」


ガガガガガガガガッ


いきなりブッ放した!


ガイウスさんは!?動いて、ない?

弾は!?


ファッ!?ガイウスさんに当たってるじゃん!何で倒れないんだ?


「あの程度の出力じゃアイツの魔装は破れないわね。」

マジかよ。剣を使うまでもないってか。

魔装って魔力の防壁だっけ?

外れた弾丸が後ろの結界に当たり衝撃で波を打っている。かなりの威力だろアレ。


レジナルドが何か投げた。あれって、グレネードか!?


バアアアアン!パァァ!

うお!眩しッ!閃光と爆音、フラッシュバングレネードだ!


キィィィン、耳鳴りが次第に収まり目も見えるようになってきた。


おおおおおお


なんだ?

!?レジナルドの構えたナイフがガイウスさんの喉に突き刺さって、いや、巨大スクリーンには先端が欠けたナイフが映し出されている。


「ふぅ、全力で行ったんだが・・・このナイフが欠けるとはね。参りました。降参です。」


マジ?てか喉に一撃とか完全にヤル気じゃん。怖いんだが。


「そこまで!レジナルド君の降参により勝者、ガイウス!」


わあああああああ


「なんと、指一本動かす事無く勝利してしまいました!凄すぎます!」


「ガイウスさん、めっちゃ強いんですね。動画だと逃げてばかりだったからてっきり・・・」

あっ、やっべ。


恐る恐る横を見る。

「そうね。あいつとリーダーがいたら、きっと今頃は・・・。」

思ったリアクションと違うな。


その後は辞退する生徒が続く。どうやらレジナルド君は格闘技のメダルなどを多数所持する程の実力者でWeTubeでも銃火器や刃物を扱った動画を、多数上げているらしい。その彼がかすり傷さえ与えられない相手とあっては腰が引けるのも頷ける。


「エントリーしていた人が一人もいなくなってしまいましたw他に戦ってみたい方はいませんか?うーん、今年は不作なのかなぁ。」

やけに煽るな。


ん?スーツ姿のデカイのがステージへ上がって行く。


挿絵(By みてみん)


ステージに上がると咥えていたタバコを指で弾く。

ポイ捨てダメ絶対。

ジュッ。

青い炎が現れタバコは消失した。

ヒュー、カッケー。僕も炎魔法使えればなぁ。


「次は俺に稽古付けてくれよ先輩。」

あれ生徒か!?野獣やんけ。


「あいつ、魔神ね。」

ファッ?

エミタソ今なんて?

「魔神て言いました?魔神てフロアボスで出てくるあの魔神スか!?」


「別に試験に受かれば誰でも入れるんだから驚く事じゃない。」

いやいやいや魔神は駄目だろ!てか試験受けてる絵面想像したら草生えるんだが。


「挑戦者が現れました!自己紹介お願いします!」


「アバドン。元階層守護者だが今は魔術科の新入生だ。」


ざわざわ


マジでフロアボス来たー!


「階層守護者!?フロアボスの挑戦者が現れました!」


わあああああああ


「元な。」

ヤバ過ぎワロタ。


「ガイウスさん大丈夫でしょうか?」

「階層数にもよるけど・・・まぁ、キリ番じゃなければ心配ないわ。」

キリ番・・・聞いた事がある。ディスペアは基本、下階層に行く程難度が高くなるが1階層や500階層などの切りの良い数字の階層は特別に強い魔物がいるとかなんとか。


「でも拠点シリーズだと毎回逃げて・・・あっ、」

これ言ったら駄目なやつ!?


「あれは演出・・・見てれば分かるわ。」

何か余裕だけど、流れ弾とか勘弁してよ。


ガイウスさんとアバドンが睨み合う。

ゴクリッ・・・




side 修羅



「魔神かぁ。あの獣人〇されんじゃねえの?」

アバドンはオーラを上手く隠してるけど半端ねえな。学院生名乗ってるくらいだから手加減はするだろうが。

ウチらも修行と称してフロアボス戦は経験済みだが・・・あいつはウチらが狩ったヤツらとは別格。


「両者とも相当な実力者ね。それより私は張り直された結界の方が興味あるわ。」

テレシアに言われて気付いたが結界が強固になっている。密度がさっきとはレベチだ。


「準備の方は宜しいでしょうか?」

頷く二人。獣人は先程と同じく抜剣していない。魔神も構える事無く普通に立っている。


「それでは・・・始めぃッッッ!!」


!!?

二人が消えた。いや目では捉えられないスピードで動いているんだ。


ドンッ!ドンッ!ドンッ!

衝突音が絶え間なく響く。さっきの花火を連続で打ち上げてるみたいだな。絵面は地味だが。


「速ぇな!それにあの一発一発が大砲みたいな威力だぞ。・・・体が疼くぜ。」

シャオが拳を握る。これだけの殴り合い見せられたらそうなるよなあ。


「まだ準備運動ってとこだな。あの獣人抜刀すらしていない。」

剣士なのに殴り合いもイケるとか・・・そそるじゃねえか。俺と噛み合うな。


ドドドドドドドドドドドッ!


「えー、二人の速度が早すぎて私には何も見えません!とにかく超ハイレベルな攻防が繰り広げられているようです!」

一般人には音しか聞こえていないだろう。


「あっ、ここからは解説として魔術科講師のルミちゃ・・・ルミナス先生と実況していきたいと思います。先生宜しくお願いします。」

三角帽子を被った少女、あれが講師か。


挿絵(By みてみん)


「生徒より年下に見えるな。」

「あの帽子は魔女だろ。魔女は見た目と年齢が乖離しているからな。多分俺らよりずっと年上だ。」

テレシアを見る。


「何よ、私はあんたたちとそんなに変わらないわよ。」

こいつ堂々と嘘付くんじゃねえよ。


「えっ、自己紹介?あー、講師をしてるルミナスだ。つーか、結界張ったら帰るつもりだったのに。夕食の用意誰がすると思ってんだ。あの野郎、メイド使いが荒いんだよ。」

何か文句言ってるがアイツがこの結界の術者か。

つーかあの声、さっき心臓掴んで来たのはアイツか。


「ふうん、そう言う事・・・坊ちゃん、私急用が出来たから席を外すわ。」


「は?」

何言って


「帰りは組の者に送って貰って。それじゃあ、また。」

それだけ言って消えてしまった。なんだよ、急用って・・・。術者を見る。あのルミナスとか言う女、知り合いか?



「早速ですがルミ先生、今の戦況を教えて下さい!」


「お前・・・今まで学院で何習って来たんだ?目に魔力を集めてみな。魔装は習っただろ?アレで目を強化するんだ。」


「えっ?目を?・・・あっ、凄いっ!二人の姿が見えます!速すぎて良く分かりませんが殴りあってる?」


「正解だ。やれば出来るじゃないか。」

「てへへ。」

「褒めてないよ。出来るなら最初からやりな。」

「はい・・・。」


「二人がしてるのはただの殴り合いだ。様子見って感じだろう。魔力が込もっていないからね。」

「えっ!?魔力強化無しであのスピードなんですか!?ヤバッ!」

「別にヤバくは無い。私の授業真面目に受けてればあれくらいは出来るぞ?」

いや無理だろ。

「いや無理だから!」

「ふふっ、おや、ここからが本番の様だぞ。」


ステージ上の二人の動きが止まる。


「ガイウスとか言ったか。準備運動はこの辺でいいか?」


「私は君に合わせているだけだ。やりたい様にやるといい。それと先輩を呼び捨てはいかんぞ?」


「フッ、気を使わせてしまって悪かったな先輩。少し本気を出させてもらおう。」


ドンッッッ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


アバドンのプレッシャーが跳ね上がる。


鳥肌が立つぜ。魔力を解放したアバドンにキース総長が重なる。

ここまでとはな。


「おいおい、あの魔力をここでぶっ放すのか!?くはー、たまんねえな!」

シャオの奴笑ってやがる。


ブワッ

青い炎がアバドンを包む。

「ヤベぇな。あんなもん触れたら火傷じゃすまないぜ。」

「ああ、ただの炎じゃねえな・・・地獄の業火ってやつか。」


アバドンが手を組み前へ突き出す。

禍々しい青黒い炎がステージに溢れる。


「先生、あの青い炎は・・・何かヤバそうなんですけど。」

「カラム、お前が触ったら一瞬で細胞一つ残らず消えるだろうさ。ふふふっ。」

「笑い事じゃないですよ!そんなの食らったら流石のガイウス氏も・・・。」

「氏ぬかもなぁ。くくっ。」

「だから、何がおかしいんですか!」

「まぁ、黙って見てな。」


「この炎を見ても動揺は微塵も無しか・・・いくぞ。メギドフレイム!」


ドンッ


アバドンから放たれた業火がガイウスに届く刹那・・・



「シューティングスター」


ガイウスから放たれる無数の斬撃。


ドドドドドドドドドドッ!


すげえ!


凄まじい剣圧に業火がガイウスに届く事はなく掻き消える。


あの魔法を剣技で相殺するとはヤバいなディスペア流。にしても・・・

アバドンから放たれる業火は収まる気配が無い。魔力量が桁外れだぞ。しかも威力はどんどん上がっていく。


!?ガイウスの姿勢が崩れた!

その隙を逃す事なく斬撃を掻い潜り、神速でゼロ距離まで詰めるアバドン。


「メギドフレイム・レジサイド」

「メテオ・バースト・ストリーム」


ドンッ!!


二人の技が交錯し大爆発が起きる。

ズズン

結界を超え会場に爆発の振動が伝わってくる。


炎が止んだステージには・・・血を吐き両膝を付くアバドン。左胸を剣が貫いている。魔核を狙ったのか?ガイウスは右腕が肩から欠損して脇腹もえぐれ大量の出血をしている。


悲鳴とざわめきに包まれる会場。


「あーあ、馬鹿共が。楽しいレクリエーションに汚ねえもの見せんなっての。」


ボッ!


ステージ上、いや結界内が光で満たされる。


「素早い決着は良かったけどね。」

ドンッ!


光が消えるとそこには・・・。


「え!?あれっ!?腕が・・・生えてる?」

司会の生徒が驚きの声を上げる。

アバドンの身体からは傷が消えガイウスの腕も・・・生えている。

ルミナスがやったのか?


「おい修羅、ヒーラーって服も治せるのか?」

シャオが質問してくる。

「治せるわけねえだろ・・・身体の、あのレベルの損傷ならAランクでも時間を掛けりゃイけるが・・・血が消え服まで元通りだ。あんな芸当Sランクでも出来ねえよ。」


治すでも再生でも無い・・・

時間を、戻した?


「ルミナス先生!説明を!」

「説明?死にかけてたから直しただけだよ。見た目のダメージはガイウスの方が酷かったけど先に逝きそうだったのはアバドンだから、勝者はガイウスだね。まぁ私が直さなかったら両方死んでたけど。」


シーン


「そ、それまで!えー、勝者・・・ガイウス!」


シーン

パチ・・・パチ・・・

まばらな拍手。理解が追いついていないんだろう。


「時の理に介入出来る者がシス様以外にもいるとは。痛み入る。」

「俺もまだまだだな・・・助かった。」

二人がルミナスに頭を下げている。


「生徒を守るのは教師の役目だ。気にするな。さて、それじゃあ私は夕飯の用意があるからいくよ。後は知らないからね。」


「えっ?ちょ、ちょっとルミちゃん先生!」


ルミナスが消えると結界も消えた。


「あれはこの学院の教師なのか?」

アバドンが司会の生徒に聞く。


「は、はい。彼女は魔術医療科の特別講師で、噂だと冒険者ランクSの回復術師だと聞いています。まさか、あの噂が本当だったとは。いつもふざけた事ばかり言ってる人だから・・・」

放心状態だな。

正体を隠していた、いや明かす必要が無かっただけか?


「ランクか。やはり当てにならんな。」

俺もアバドンとは同意見。

「ですよね、ルミちゃんがランクSなんて、」

「もっと上だ。控えめに言ってトリプルSってところか。」

「トリプル・・・って魔王レベルじゃないか!?」

「阿呆、魔王様はさらに上だ。」

「・・・はははっ、僕にはもう何がなんだか。」


「おい、模擬戦まだ続けるのか?私は一向に構わんが。」

まだやる気かよ。


「えっ?いやルミちゃん帰っちゃって結界張れないから無理・・・あっ、し、失礼、模擬戦はこれで終わりとなります。ガイウスさんありがとうございました!皆様盛大な拍手を!」


わあああああああああああ

歓声と拍手。なんだかんだ盛り上がったな。


「はい、それではレクリエーション会はこれで終了となります。最後までお付き合いいただきありがとうございました。新入生の皆さんこれからの学院生活どうぞ楽しんで下さい!」

無理矢理終わらせたぞ。

スピーカーから寂しげな曲が流れ終了のアナウンスが流れる。



「最後の試合、演出凄かったな。」

「プロジェクションマッピングだっけ?ヤバかったねー。」

「あれ本物じゃないの?」

「演出に決まってるだろw映画じゃないんだからさぁw」

「いや魔王の映画より迫力あったわ!」

「アバドンさんカッコよかったー!」

「ねー、私、男だけど抱かれたいわー。」

「ガイウスさんも動画だと可愛いのに・・・落差ヤバぁ。すき。」

「あの二人いいよねー。ジュルリ。」

「夏コミのイメージ沸いて来ちゃった。」

「ガイアバてぇてぇ・・・」


パンピーは演出だと思ってんのか。

「とんでもないとこに来ちまったな。」

「その割には楽しそうじゃないか修羅。」

あ?楽しい?

「お前のそんな顔久しぶりに見たぜ。当然獲りにいくんだよな?」

・・・顔に出てたのか。


「今のを見る限り骨が折れそうだ。」

ニヤリと笑う。

癪だが総長に頼んでインフェルノの幹部連中に揉んで貰うしかねえ。アイツらとは関わりたく無かったけどな・・・。

さぁて、それじゃあ


「シャオ、俺寄るとこあるから。」

「ん?総長のとこ行くなら付き合うけど?」

「いや女ん家。」

「⋯プッ、くくっ、ブレねえなぁ。」





─── side ダリル ───



「ガイウスさん、めっちゃ強かったんだ。」ボソッ。


「ウチのリーダーとタメ張るだけの事はあるわね。」

リーダーってDFLのティガーか。

にしても謎の上から目線で草。そう言えばガイウスさんのこと下僕とか言ってたけどどんな関係なんだ?

生徒たちが立ち上がり出口へ歩いて行く。

僕もシレッと帰ろうとするが、


ダンッ!

エミーの生脚エッッッ!


「まだ話し終わってないよ?」

ヒェッ・・・。


それから今後の段取りについて一方的に決められて連絡先を交換(ちなガイウスさんの番号とアドレス(泣))し、ようやく解放される。

エミタソと話せたのは嬉しいけど動画で見る彼女とは別物だ。いや違う、たまに出るファンの間では黒エミーと呼ばれてる方が本体だったってだけか。はぁ・・・。

やっぱ現実ってつれぇわ。


ざわざわ・・・


ん?

なんか騒がしいな。

トイレの前に規制線が張られ警備員が立っている。通り過ぎる際中をチラリと見る。


えっ!?

あ、あれって、、血?

壁と天井が真っ赤に染まって血が滴り落ちて・・・ウッ、気分が・・・。


「見たかよ。あれ、ヤッバ。」

「マフィアの抗争ってマジ?」

「学校でコロし合いとかどうなってるの。」

「惨殺じゃねえか。」

「えっ、死んだの?」

「いや、学院の医療班が処置して病院に運ばれたらしいよ。」

「あの現場見た?助かるわけないだろ。」

「知らないよ。私だって聞いただけだし。」

「あの出血で助かったなら奇跡だな。」


マジかよ。今日入学式だぞ。抗争するにしたって日を選ぶだろ普通。

クソッ!気分悪ぃ。


グッ

といきなり手首を捕まれる。

「ファッ!?」


掴んでいるのは、今朝会った女の子だ。

「ちょっと来て。」

はぁ?

「ヤダよ!帰る。」

クッソ疲れたから早く帰ってシャワー浴びて一発抜いて寝たい。


「・・・窃盗で訴えてやる。」

「はぁ?メイド服なら返しただろ!」

「不法侵入じゃん!」

「ちょっ!ち、違っ、あれはチャムが・・・」


ざわざわ・・・


くっ、マズい。ここは人が多すぎる。

彼女の腕を掴み人気の無い場所を探す。

クソ!何なんだ!こんなにたくさんの女の子と話せた事なんてこれまで一度も無かったのに。みんなキレイで可愛いのに全然楽しくないんだが!

クッソ!なんて日だ!


「ねえ、もういいでしょ、離して!」

振り解かれる。通路だが人通りは少ないな、ここなら大丈夫か。

訝しげに僕を見る女の子。


挿絵(By みてみん)


何の用かは知らないが告白イベントでは無さそうだ。クソッ!


「喚くな。僕は多忙なんだ、早く要件を言えよ。」


「ふうん、女の子相手だと随分強気になるんだ。感じ悪いよ。」


「相手が君だからだよ。いいから、話があるんでしょ?早く話して。」


「・・・あの日あなたと一緒にいた子ってチャムさんよね?新入生代表のスピーチしてた。」

クッソ!またチャムか!


「知らないよ。僕は帰る。」

「待って!さっきトイレが血だらけになってるの見たでしょ!?」

は?

「それが何か?」

僕には関係ないだろ。


「私、半グレにトイレに連れ込まれて乱暴されそうになって・・・」

おいおい、こいつ何言って、


「そしたら中にいた男があいつらを・・・ウッ。」

口に手を当ててしゃがみ込む女。

あの事件?の関係者かよ!?ヤバッ!


「ぼ、僕、用があるから帰るから!それじゃあ!」

踵を返し走り去ろうとするが、

グッ

服の裾を掴まれ振り返る。


「このままだと私殺されちゃう。お願い助けて!」

涙目で懇願する少女。かわいい・・・、いや違う!

「何があったか知らないけどマフィアの抗争に僕を巻き込まないでくれ、迷惑だ!」


「巻き込んだりはしないよ!ただ、チャムさんを紹介してほしいの。あの子なら何とかこの状況を何とか出来るかもしれない・・・。」


「そんな事言われても・・・無理なものは無理だ。」

絶対関わりたくない。チャムだって迷惑だろう。


「そもそも警察に相談すればいいだろ?」

「・・・それは、色々事情があって無理・・・。」

「やましい事してるからだろ。自業自得だね。」


「・・・紹介してくれないなら窃盗と不法侵入した事警察に話すから。」

それは話すのかよ!?

「えっ、脅してるの?」

「私だって出来るならそんな事したくない。それだけ後がないって事、お願い、会わせてくれるだけでいいから。」

「いや、そもそもチャムとは・・・」



ザッ、ザッ、ザッ

「よう、デート中に悪いな。」

4人の男が歩いてくる。

あっ、あいつ、この前チャムといた時に絡んで来たチンピラだ。


「そんな、何で・・・」

素早い動きで僕の後ろに隠れる女。

ちょっ!何してんの!?


「探索魔法ってのは便利だよなぁ。一度ロックしたら絶対に逃げられない。もう諦めるんだな。」


腕を掴む女の手が震えている・・・。


「おい、兄ちゃん、後ろの女大人しく渡してもらおうか。変な正義感出すのはやめとけよ。ウチらの仲間がヤられてんだ。こっちも手加減出来ねえからよ。」

誤解だ!


「待って!私は言われた通りに鞄を運んだたけなのに何で襲われなきゃいけないのよ!」

鞄。それが狙われてる理由?この女運び屋か?


「中身がすり変わってたぜ。お前が届けたのはただの小麦粉だ。」

「そんなの私が知るわけないでしょ!スペンサーとカレンに聞いてよ!」

最初街で会った時に一緒にいたヤンキーカップルの事?


「二人とも雲隠れしやがったからな。手掛かりはお前だけなんだわ。」

「それこそ探索魔法?で探せばいいでしょ!」

なるほど確かに。

「くくくっ、そりゃそうなんだが、スペンサーの野郎その手の魔術に詳しくてなぁ。解除されちまったんだ。つーわけでヘスター、一緒に事務所まで来て貰うぞ。」

ん?・・・ヘスター?どこかで聞いた名前・・・ヘスター!?あの模試でトップのあの天才か!えっ、こいつがヘスター!?


「行くわけないでしょ!」

スマホを出して通報しようとするが。

「えっ、そんな・・・繋がらない・・・。」


「・・・それ多分ジャミング魔法のせいだよ。お前らが僕と最初会った時に使ってたやつ。大声で叫んでも周りには認識されないよ、多分。」


「お、ガキの癖に詳しいな。そう言う事だからお前ら大人しく付いて来な。」

はあ!?


「ちょ!ぼ、僕はこの子とは無関け・・・」

「動くな!動いたら撃つから!」

!?へスターがM9(僕が護身用として持って来たハンドガン)を構えている!バッグの中に入れておいたのにいつの間に!?


「何だそりゃ?モデルガンか?w撃ってみろよ。」

「こっちは本気だからね!⋯あれ、えっ、ちょっとこれ撃てないじゃない!」

安全装置外してないからね!


「ははは!やっぱオモチャじゃねえか!」

男たちが笑いながら近づいてくる。


「バカ!貸して!」

安全装置を外す。クソッ!こうなったらヤルしかな⋯

ボッ

「うっ、ガハッ、ゴボッ!」

!?腹、殴られた!?激痛。

咳をする度血が溢れ出る。


「ゴホッゴホッ!」

苦しい苦しい苦しい苦し・・・


ゴッ!ズザザー

側頭部を蹴られ吹っ飛ぶ。

歪む視界。腹が熱い。鉄の匂いがする。

今日入学式だったよな。

初日に死にかけててワロタ。


女の声がするがくぐもってよく聞き取れない。

ああ、ここで死ぬのか⋯クッソ。




チャム・・・チャム・・・どっかで見てんだろ。早く助けに

⋯⋯⋯⋯

⋯⋯⋯

⋯⋯




BLACK OUT







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