21話 悪役令嬢は~9
side ポーリン
パカラッパカラッ ガタッガタッ
竜国との戦いが終わり王国への帰路にて
荷馬車に揺られながら隣に座るシャーロットに話しかける。
「・・・あ、あの、私、あなたに謝らないといけない事が・・・。クエストの授業で冒険者にあなたを襲わせたの・・・私なの。・・・ごめんなさい!どんな罰でも受けるわ・・・ごめんなさい!」
謝っても許されるとは思えないが・・・。
「・・・えっ、ああ。そっか・・・私もポーリンに酷い事してたし、お相子って事でいいんじゃないかな。」
へっ?そんなあっさり。
「待って、私あなたの命を狙ったのよ?許されるわけが・・・」
私は罪を罰して貰いたいのだ。
「ああ、何か色々あり過ぎてどうでもよくなっちゃった。私たちが見てた世界って凄く小さかったんだね・・・今日思い知らされたよ。」
暗闇を照らす星を見ながらシャーロットが笑いながら呟く。
星の光に照らされた彼女の瞳がキラキラと輝く。
ドキドキ
彼女は変わった。
あの傲慢で高飛車な性格はすっかり無くなり今の彼女は裏表が無く自然体で、とても・・・魅力的。
えっ!違う!いや違くはないけど
以前とは比べ物にならない存在感と目を釘付けにするオーラ・・・
姫騎士シャーロット様・・・
そうか・・・彼女こそが真のヒロインだったのか。
シャーロット様に寄り掛かる。
「ポーリン?寝ちゃった?」
姫様の温もりが伝わってくる。
ドキドキ
クンクン、あぁ、姫様の髪、凄くいい香り。はぁはぁ、姫様・・・
パァン!
「ごはぁ!?」
お腹に衝撃。何!?
正面に座るイルガが私にハンドガンを向け睨んでいる。
『てめえ!イルガ!何飼い主に腹パンしてんだ!○ろすぞ!』
『何かキモイ顔しててムカついた。』
『はっ?私の顔がキモイ?テメェ!ふざけんなよ!帰ったらボッコボコに』
『ふふっ。ポーリンって普段そんな感じなんだ。』
!?
『うそ、シャーロット様。何で・・・』
魔力通信に介入された!?
『ごめん、何か聞こえちゃって。うん、聞かなかった事にするよ!』
わああああああ!
「姫様違うのです!今のはコイツが粗相をしたので飼い主として躾を」
『姫様って何だよ。いつもはメス犬って呼んでただろ。』
は?
『このクソ犬が!我ら王国の至宝の姫騎士シャーロット様向かって不敬だぞ!』
『ちょっとポーリン落ち着いて!私姫騎士でも何でもないから。それに飼い犬には優しくしなきゃダメだよ?』
女神?
『シャーロット様のご慈悲に感謝いたします!』
片膝をつき頭を垂れる。
『てめえが犬になってんじゃねえか・・・』
『よし!○す!表出ろやあ!』
その後シャーロット様に諭され王国へ戻ったのでした。
side シャーロット
王国へ戻ると城からは黒煙が。
斥候の話によるとドラゴンの集団が飛来し城を攻撃。
私が張った結界を破った者が城に乗り込んだのだ。精鋭を集めた王宮騎士団はドラゴンの圧倒的な攻撃に為す術なく敗北。王を逃がそうとした所、ヒルデガルドが現れ・・・
兵士による回想
「久しいな、エドマンド。」
「お、恐れながらヒルデガルド様、我らは和平協定を結んでいたはず、数百年続く同盟をこの様な形で破棄するなど決して許される事ではありませんぞ。」
「ふん、許す許さないは私が決める。私は私の信念によってのみ動くだけ。あんな紙切れに縋った所でどうにもならないわよ。」
「そうですか・・・。もう何を言っても無駄なようだ。・・・私の命を獲りに来たのですよね?さぁ、持っていくといい。だが、それと引き換えに国民だけはどうか・・・」
「何か勘違いをしているわね。先程竜国は王国の至宝、姫騎士シャーロット・グレイス・マーチに戦いを挑み敗北した。」
「は、敗北ッ!?信じられない。それに姫騎士とは一体!?」
「・・・あー、貴様の息子が知っているそうだ。聞いてみるがいい。ふむ、いっその事姫騎士と縁組してはどうだ?あやつは私を凌駕する実力者だからな。この国を未来は安泰であろう。」
「そ、そのような者が王国にいたとは・・・。しかしハーバートとですか?」
「そうだ。ふぇっ!?・・・し、失礼いたしました!・・・ハッ!」
「?」
「違う!愚か者!三男のローレンスだ!」
「ローレンスですか?しかし第三王子では王になる事は・・・。」
「君主になるのはシャーロットなのだから問題あるまい。力を持つ者が国を統治する。何か問題が?」
「ちょっ!?いや、そ、それは・・・そうなのでしょうが。こ、この国の制度では・・・」
「ほう、私の提案を断ると・・・では国の滅亡を選ぶのだな。姫騎士シャーロットとは戦いたくはないが・・・いたし方あるまい。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
城が揺れ柱や床に亀裂が走る。
「姫騎士には勝てないだろうが一人でも多くの者の命を奪うと約束しよう。」
「お、お待ちください!分かりました!ヒルデガルド様お怒りをお鎮めください!姫騎士を女王をする事をお約束いたします。」
「陛下!?その様な事宰相や元老院が認めるはずが・・・」
側近が反発する。
「だまれ!国を守るにはそうするしかないのだ!」
揺れが収まる。
「ふむ、良い判断だ。任せたぞ。さて、私を倒した姫騎士シャーロットへの褒美だが・・・。受け取るがいい。」
そう言うと空間に黒い渦が広がりそこから金貨、宝石などが雨のように降り注いだ。王宮の広間は財宝で埋め尽くされる。
「こ、これは、まさか。」
「お前らが我らに貢いで来た物だ。だが勘違いするなよ。これは姫騎士シャーロットへの褒美だ。金貨1枚でも盗んでみよ。・・・どうなるか・・・分かるな?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「し、承知いたしました!」
「では、姫騎士シャーロットが戻る前に我らは退散するとしよう。我らはこの地を去るが・・・見ているからな?」
ドドドドドドドドドドドドドドドド
「はっ、はひっ!承知いたしました!英雄に相応しい地位をお約束いたします!」
回想おわり
と言うやり取りがあったらしく、話はすぐさま国内中に広がり
わあああああああああああああああああああ
大歓声
「姫騎士シャーロット様だ!」
「シャーロット様ありがとう!」
「姫騎士様ー!愛してるー!」
「この豚を姫様のペットに!ブヒィ!」
とんでもない事になっている。
はぁ、頭が痛い。
夜も遅いので家に帰り、明日王城へ行く約束をして家に帰ると・・・
「シャーロット!よく無事で戻った。お前にこれ程の力があったとはな!父さん知らなかったぞ!まさか我が娘が王国を救った大英雄だなんて未だに信じられん。さっき王城から使いが来てな、近日中にローレンス殿下との婚姻協議が行なわれるそうだ!いやあ!めでたい!これでマーチ家は一生安泰だな!ハッハッハッハ!」
行動早すぎません?本当にローレンス様と結婚するの?強引過ぎて何らかの意図を感じる。
「シャーロット、私は信じてたわよ。あなたには隠された真の力が眠っていると。見守り続けた甲斐があったわ。グスッ。でも良かった、ローレンス殿下と結婚だなんて素敵じゃない。ついに私も王族として向かい入れられる日が来たのね。夢のようだわ。」
「あのー、私ってアーネスト様と婚姻したのでは?」
「ああ、それはもういいんだ。こんな事になったからには話は別だ。アーネスト卿、こちらへ。」
すると奥から小太りで頭の薄い中年貴族が下卑た笑みを浮かべ近付いてくる。
女性を食い物にして捨てるとかいう、あの噂は本当だったのか。
「初めまして、シャーロット殿。私がアーネスト・デュボン・カスティルです。」
握手する。
?これは
「あなた・・・その姿」
『気付かれましたね。流石は我が主を破ったお方だ。』
念話。魔法で外見を変えているが中身はドラゴンだ。彼らと同じオーラを感じる。
『私の本当の名はネストと申します。ヒルダ様に使える側近の一人でラスタとフォルメキアのパイプ役として派遣されたのです。』
『それで人の姿に。』
『ええ、この姿だといろいろと都合が良いのでね。』
『あなたと結婚した女性がいなくなるとか変な噂が立ってますけど?』
『ああ、政略結婚の件ですか。面倒なので彼女たちには金を渡し隣国へ渡航してもらってます。』
そうだったのね。変態プレイで○してるとか噂流した奴誰よ。って多分、姉みたいゴシップ好きな悪女連中だろうけど・・・。
「二人とも残念だったわね。でもアーネスト卿の様な素敵な御仁ならきっとまたいい御縁談がございますわよ。オーッホッホッホ!」
姉の高笑いうざっ。
「キャシーの言う通りだ。これ程の美男子を淑女たちが放っておくはずがないからな!ハッハッハッ!」
息するように嘘を付くなこの人たち。
「私、アーネスト様と結婚いたします。」
「「はっ?」」
凍りつく姉、父、アーネスト卿、使用人たち。何だろう、スカッとするね。
「えっ、ち、ちょっと、あんた、何言ってんの?ローレンス様と一緒になるのよね?私は王族になるの!ふざけた事言わないで!」
自分の事しか頭に無い姉。
「そのような噂もあるようですが、私はアーネスト様と結婚いたします。」
まぁ嘘だけど父や姉が慌てふためくのを見るのは愉快だね。
「馬鹿な!?ならんぞシャーロット!こんなヒキガエルのような男と結婚だと!?ワシは絶対に認めんぞ!!」
手のひら返しってレベルじゃないよ。本人を前にして言っちゃうのが父の凄い所ね。
『し、シャーロット様!それは困ります。ヒルダ様に何と言われるか・・・』
アーネスト卿がガタガタと震え出した。
『大丈夫。私に任せて。』
黒幕は分かってるから。
──── 天空の城ラスタ ────
side アスモデウス
玉座に座る邪神に跪くヒルダとドラゴン兵たち。
「よくやったヒルダ。上出来よ。これでシャロ様が国のトップになってローレンスと結婚。女王として国を統治して幸せに暮らすというトゥルールートに入ったわ。いやゲームでも悪役令嬢が女王に成り上がるなんて無かったからなあ。アタシのゲーマーとしての腕が良かったのかな?w」
「流石はアルル様。全ての未来はアルル様の手のひらの上で決まる、と言うことですね。感服いたしました。拍手!」
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何言ってんだこいつら。全く理解出来ねえ。
「ヒルダの演技も良かったよ。褒美を上げよう。いいよ噛んで。」
血をやるのか。
「良いのですか?・・・では失礼します。ハァハァ。」
髪をかき上げ首筋へと顔を近づけるヒルダ。
チュッチュッ
チュッチュッ
首にキスしてるが関係あるのかそれ。
「ちょっ、くすぐったいw早く吸いなよ、もう」
「はぁはぁ、これは血を吸う前の儀式ですので。あっ、いい匂い、チュッチュッ、ペロペロ、はぁはぁ」
血を吸うのに前戯もクソもねえだろ。
「では、失礼して・・・はぁはぁ」
カプッチュー
「んんんんー!!」
ヒルダが歓喜で身をくねらせている。
チューチュー
凄い勢いで吸い始めた。
チューチュー
「はいもう終わり!」
チューチュー
チューチュー
「ちょっ、ヒルダ・・・やめ、」
ズアッ
うおっ、何つう殺気だよ。ドラゴンが数体泡を噴いて倒れた。
「ハッ!?し、失礼しました。あまりの美味しさに我を忘れてしまいました。」
「もう、しっかりしてよね。あなた長なんだから。それじゃあ、アタシたちもう行くけど・・・」
「行くとは?どちらへ向かわれるのですか?」
「エリアボスのとこ。倒して次の階層行かなきゃだから。」
「それでしたら私にお任せください。おい!アレプト!すぐに私の元へ来い!3秒以内だ!」
アレプト?確かエリアボスの魔人だよな?
「お、お待たせいたしました!ヒルデガぶべらっ!」
ドガアアアン!
蹴り飛ばされるアレプト。壁にめり込んでいる。
「遅い!2秒も過ぎたぞ。」
「ぼ、ぼうしわけ、ガフッ。」
強ええ・・・一発でエリアボスに瀕死の重症負わせやがった。
「おい、ゲートを出せ。」
「ふぁ?ちゅ、次の階層に行く為の、ゲートでございまふか?」
「そうだ。あちらにいらっしゃるアルル様が通られるのだ。早く出せ。」
「い、いえ、あれは私を倒した時にのみ現れるものでして・・・」
「知るか!いいから出せと、」
スパンっ
アレプトの頭部が床に転がる。
「なっ!?いつ攻撃された!?」
「ありゃ?生きてる。核潰す系か。」
「何を言って、」
パァァァアン
魔力の核を潰され光の泡となって消えるアレプト。エリアボスを一撃とかやっぱコイツヤバいな。
「流石はアルル様!素晴らしい攻撃です!拍手!」
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・・・・・・
次の階層に転移する為の石碑が現れる。
「それじゃ私たちは行くから、アンタたちも他の土地でまた一から頑張ってね。」
「そうだぞ、お前たち。私が留守の間城を頼むぞ。では行きましょうかアルル様。」
「おいおい、誰がお前を連れて行くって言った?」
「いえ、私はアルル様の下僕ですので付いていくのは当然かと・・・」
「あー、そう言う事か。ごめんね、勘違いさせちゃって。大丈夫、アスがいるから。」
俺に身の回りの世話させるつもりだろ?クソが!
「しかし、一人よりも二人の方が・・・」
「アタシはアスがいればいいから。アンタは自分の国守りな。」
「アルル様!ヒルダの気持ちを組んで連れて行ってもらえませんか?竜国は私が責任を持って」
「お前は黙ってろよ。」ギンッ
グッ・・・すげぇ威圧。
「ハッ!し、失礼しました!」
怖っわ・・・
「いいよ、じゃあアタシに一発でも当てられたら連れてってあげる。」
一発?それならヒルダにも勝機はあるか?
「ほ、本当ですか!」
「無理だと思うけどね。」
「アルル様の血をいただいた後なので、勝機はあるかと。」
俺も行けると思うが、相手は破壊神だからな・・・
「そう?まぁいいや来なよ。遊んであげる。アスー、いつもの。」
結界か。広間いっぱいに物理防壁を張る。
「約束ですよ?・・・行きます。」
ズアッ
ヒルダの魔力が爆発する。
うおっ!前にアルルとやった時とは比べものにならない魔力量と密度。
アルルの血を吸って魔物としてのランクが上がったのか?
「ブレイクスパイラル。」
ドドドドドドドドドドドドドドドド
いきなり必殺の奥義を出しやがった。マジでアルル倒す気か!?クッソ俺の目でも捉えきれねえ!
「はぁあああああああ!!」
ヒルダが叫び打撃スピードが上がる!まだ早くなるのか!?
ドドドドドドドドドドドドドドドド
しばらくして魔力の暴風が収まる。
満身創痍のヒルダと宙に浮いているアルル
「こ、ここまで、力の差があるとは・・・完敗・・・です。」
あの攻撃を全てかわしたのか・・・相変わらず化け物だな。
「だから言ったじゃん無理だって、・・・んもう、さっきからうるさいなあ。シャロ様なんですか?」
アルルの主人とかいうやつからか。
『なんで私が女王やるみたいな事になってるの!?説明して!』
「しりませんよ。私ずっと酒場で飲んだくれてましたから。」
バレバレな嘘をつくな。
『バレバレの嘘つかないで!』
・・・・・・
『でも麗しのローレンス様のハートを射止められたんですから、いいじゃないですか。』
『あんなのアルルの力技じゃない。ローレンス様本人のご意志では無いわ。』
『シャロ様って悪役令嬢やってたせいか、そういうとこ鈍いよね。』
『何の事よ。』
『別にいいですけど、そのうち嫌でも気づくでしょ。それよりアタシもう行きますから。現時刻をもってボディガードの契約は解除させてもらいますよ。シャロさん、お元気で。』
『行くってどこいくの!?』
『ちょっとダンジョンの最深部まで。ニヤリッ。言ってなかったっけ?アタシの名はアルル・ディライト。ダンジョンを攻略する冒険し』
「アルル!」
女が転移してきぞ。
「ちょ、決めセリフなのに!邪魔しないで!。」
あれ決めセリフなのか。
「勝手にボディガード辞めて勝手に旅立とうとするな!ってやっぱりドラゴンけしかけたのアルルだったのね!」
周りにいるドラゴンを見て驚いている。知らなかったのか。
「おい、姫騎士。我が主に対する暴言・・・タダでは済まんぞ。」
ヒルダが睨みをきかせる。魔力を使い果たしてなおこの圧力か。
「何よ姫騎士って、私あなたのせいで女王にさせられようとしてるのよ?」
「良かったではないか。アルル様に感謝するんだな。」
「やっぱりアルルが暗躍してたのね・・・今ダンジョンの最深部を目指すとか言ってたわよね?・・・私も連れて行ってよ!もっと広い世界を見てみたいの!」
「えー、シャロは女王で姫騎士様なんだから王国の復興見守らないとダメでしょ。」
てめえがドラゴンけしかけたんだろ。
「王城壊したのアルルでしょ!?それになんなの姫騎士って!?私ただの学生よ。」
「可愛らしい女性が甲冑着て白馬に乗って戦場駆け抜け抜ける、それはもう姫騎士確定だから。」
「可愛らしい女性ってとこしか合ってないじゃない!」
イラッ
「まぁまぁ、でも白馬か・・・次は白馬の魔物探してみようかな。絶対アタシが跨ったら似合うはず。」
毒蛇の間違いだろ?
「もう、なんでもいいわ。私も一緒に行くからね。」
付いて来る気か?断られるな。
「しょうがないなぁ。まぁ人生経験つませる為にも少しくらい付き合ってあげようかな。」
えっ、いいのか。
「ほんとに!アルルありがとう!」
抱き付いて喜んでいる。おい、そんな事したら
「おい!小娘!黙って聞いていればアルル様に対する無礼の数々万死に価する!」
ほらこうなる。
「ヒルダ落ち着いて。ダンジョンの経験積ませるだけだから。」
「では、なぜ私はダメなのですか!?」
「えー、だってヒルダはワンパンでエリアボス倒せるし、それに、うーん、なんて言うか・・・邪悪だから?」
それお前がいうの?
「ぷっ、アルルがそれ言うの?」
あっ、コイツ氏んだわ。
「えっ、アタシ邪悪かなあ。」
俺とリアクションが全然違うじゃねえかクソ!
「意地悪な所はあるよね。ねえ、アルル、ヒルデガルド、いえ、ヒルダさんも一緒に連れて行こうよ。だってアルルがボディガード止めたら誰が私を守ってくれるの?」
「誰がって、姫騎士なんだから自分の身は自分で・・・」
「私この中で一番弱いのよ?だからヒルダさんに私の護衛を頼みたいんだけど・・・どうかな?」
ヒルダに微笑みかける。
「なっ!?私が姫騎士の護衛だと?」
「姫騎士じゃなくてシャロね。で、どうかな?」
「・・・アルル様とご一緒出来るなら・・・(ボソッ)。いいだろう。シャロ、お前は吸血鬼、つまり私と同じ一族でもある。一族の長として守護ってやろう!」
「やった!ありがとう!ヒルダ!」
ヒルダに抱きついている。
「やれやれ、でもシャロもそうとう強くなってるからね。そこらの魔物なら近寄ってもこないよ。」
「そっか。確かにアルルの血を飲んでから世界が変わったもん。」
「シャロもアルル様の血を飲んだのか!?という事は姉妹の様なものだな!」
「アタシの血は盃かな?まぁ仲良くやってよ。あっ、でも、そこにいるやつには気をつけてね。いやらしい目でジロジロ見てくるからね。」
クソが!こいつだけはいつかぜってーブッ○す!
「そんな風には見えないけど?」
ほう、見どころあるな。今度宿屋に泊まった時にでも味見を・・・
「隙を見せたら襲われるぞ。」
・・・
『アルル様、やはり私がいては落ち着かないでしょう。ここは三姉妹で仲良く旅をされるのがよろしいのでは・・・』
念話を送る。
『下僕がさぁ、主に意見するとか意味わかんないんですけど。今度逃げようとしたらまた○すからね?』
『ハッ!承知いたしました!』
クソが!クソが!
『あとさぁ、ヒルダは大丈夫だと思うけどシャロに何かしたら・・・』
ドドドドドドドドドドドドドド
『指一本触りません!』
こいつ心が読めるのか・・・
『よろしい。では準備が整い次第出発だ!』
エピローグ
side シャーロット
王城を復興はひと月程で終わった。アルルが外壁や離れた塔など主要部分を外した攻撃を指示したからだ。怪我人は兵士のみで国民には被害は無かったらしい。
女王の件は仕方なく受ける事にしたが交換条件で猶予期間を貰いアルルと冒険の旅に出る事が可能となった。
家族には反対されたが(私が魔物にやられたら王家に加わる事が出来ないため)知ったことか。
ローレンス様とポーリンも一緒に来たがったけど、何とか断った。危険過ぎるからね。
一応アルルやアスさんの事は凄腕の冒険者と言う事で了承は得ている。
実力を試すとか言って宮廷魔術師や騎士団の精鋭が束になって掛かってもアスさんには傷一つ付けられなかった。一体何者なんだろう?
そういえば以前アルルがこの世界を壊せるくらいの下僕がいるとか言っていたような・・・
うん、忘れよう。
そして壮行会が学園の生徒を中心に行われ、アスさんはファンクラブが出来る程のモテモテぶり。アルルが睨んでたけどあの二人ってやっぱり・・・
sideポーリン
姫騎士様の壮行会に来たけどちょっと酔ったかしら。
夜風に当たりにバルコニーへ。
あっ足がもつれて
ドン
「おい、大丈夫か?」
「は、はい。ありがとうございます。」
誰この超絶イケメン!?
ローレンス殿下にも引けを取らない端整な顔立ち。
こんな子学園にいたっけ?いや違う、この方は確か冒険者のアス様だ。普段はフードを被っているから気が付かなかった。
王宮での模擬戦は衝撃的だった。実力を一切見せる事無く戦いに勝利してしまったのだ。
多分私でも勝てないだろう。シャーロット様といい、この世界にはこれ程の強者がいたんだなと再確認し転生にかまけて他者を見下して来た己の浅はかさを呪った。
「水をもってくる。」
「えっ、いえそんなお気にせず・・・」
微笑んで水を取りに行く彼に私は
かわいいいい!!何あの笑顔!かわいい!
普段はクールなのにあんな顔みせられたら///
それにめっちゃいい匂いしたし!あんないい匂いのする香水王都に売ってたっけ!?
ヤバい。完全にタイプだわ。イケガクキャラに居たら迷わず選んで攻略したおすレベル。
ドキドキ
「どう?歩けそう?」
「はい、大丈夫です。ほら・・・あっ。」
よろめいてしまう。慣れないヒールを履いているせいか飲みすぎたせいか、それとも・・・
「おっと、まだ酒が抜けていないようだ。帰り道転んだりしたら危ない。良かったら家まで送らせてくれないか?」
彼の優しい言葉と親切な態度に私の胸のキュンキュンは絶頂にたっし
「・・・はい。お願いします。」
後は流れのまま、気がつくと家では無く宿屋へ連れて行かれ・・・
「アス様、私・・・その、初めてなので・・・。」
「そうか、それは光栄だな。優しくするから力を抜いて俺に身を任せて。」
ああ、ローレンス様に捧げるつもりだったのに・・・罪悪感が頭を過ぎる。
だが、この状況端的に言って幸せすぎる
首筋から肩にキスをするアス様
気持ちいい。
「・・・んっ、はぁ、はぁ、んっ」
思わず声が漏れてしまう。はしたない女だって思われるかな。
「もっと声を聞かせて。」
耳元で囁かれフッーと息を吹きかけられる。
~~~~~~ッッッ!!
『おい、大丈夫か。』
イルガからの魔力通信!?こんな時に・・・もう!
『何よ、別に・・・あっ、問題・・・ないっ!から。はぁはぁ。』
『凄く苦しそうだが。』
全くこいつは。空気読めよ!
『はぁはぁ、少し、酔った・・・だけだから!宿屋で少し休んで・・・あっ、やだイクから。あっ、やだっ、だめっイク、イク、イク』
『・・・・・・』
ドパァン!
「ん?何だこりゃ?」
アス様が指で摘んでいるのはイルガの撃ったライフル弾?
窓とカーテンに銃弾の跡が・・・
『イルガ!どうしてこんな事、』
『やだって言って嫌がってた。』
違う、そうじゃない!もう!
『今助ける。』
ガシャアアアン!!
窓が吹き飛びイルガが中に入ってくる。視認した時にはすでにハンドガンをアス様の眉間に突きつけている。素早い!
「・・・誰だおまえ?」
「今から死ぬ奴に言っても意味ないだろ?」
パン!パン!パン!
「何・・・だと!?」
イルガの放った3発の魔力弾はアス様の眉間スレスレを高速回転している。
そして魔力を失いコトっと床に落ちた。
「魔力を込めたデザートイーグルの弾丸を弾くだと?お前何者だ!」
ナイフを構えるイルガ。
「こっちが聞いているんだが・・・」
ドッ カラン
アス様がナイフを弾きイルガをベッドに組み伏せた。イルガは体術だって一流の暗殺者だ。それがいとも容易く・・・
「行儀がなってねえな。この子は君の知り合いかい?」
「は、はい。従者の子です。ごめんなさい、私が襲われているものと勘違いしたみたいで・・・」
「離せ!」
暴れるイルガだが振りほどく事は難しいようだ。
「ふむ。少し躾が必要だな。」
アス様がイルガの首筋にキスをする。
「なっ!てめえ!やめろ!」
優しく何度も何度も
えっ、えっ、えっ、嘘!何なのこの展開!?
「くそっ!何で誰も助けに来ないんだ!おい!誰か!」
「無駄だよ。結界を張ったからな。」
本当だ、いつの間に。
アス様の愛撫は続き次第にイルガの抵抗は弱まっていく。
「うっ、ポーリン・・・助けて・・・、お願いだよ。」
涙目で私に助けを求めてくる。
イルガのこんな顔初めて見た・・・ゾクリ。
「大丈夫よ、イルガ。怖くないからね。」
額を撫でると少し安心したのか声が甘くなってきた。
アス様は腕を抑えるのを緩めその手は下半身に。
「あっ、やだ。そこ触らないで・・・あっ、」
はぁはぁ、イルガったら女の子みたいな声出しちゃって。
私もベッドに入りアス様の胸を撫でる。
はぁ はぁ はぁ はぁ
チュッ チュッ
クチュ クチュ
イルガの下半身が湿り気を帯びていき
「あっ、あっ、凄い、はぁはぁ、ポーリン、何か来る。」
「大丈夫よ。アス様に身を任せて。いっぱい気持ち良くなろ?」
「やぁっ、ダメ、来る、来ちゃう!凄いの来ちゃううううう!!」
バァァン!!
「来ちゃった。」ニッコリ
扉が吹き飛び現れたのは・・・アルルさん?
シャーロット様の従者で凄腕の冒険者。
「・・・お楽しみ中だったかな?アスー、アタシ言ったよねえ?」
腕を組みアス様を睨んでいる?
「それはそうなのですか、指定された人物以外ならセーフなのでは?という有識者からの意見がありまして・・・」
「意味わかんね。いくよ。ごめん、ちょっとアス借りるね。」
いそいそと服を着るアス様。
「すまない、ギルドから急ぎの案件が入ったようだ。賠償含む支払いはしておくから後は二人で楽しんでいってくれ。」
「アスー?」
「あ、ああ。今行く!ではな。」
バタン
・・・・・・・・・・・・
ポカーン
放心状態でいると、
ドン!!!
大気が震える。
オオオオオオオオオオオオオオオ!!
何!?今の獣の様な咆哮は!?
ドオオオオオオオオオオオオオン!!!
ドドドドドドドドドドドドドドドド
!!?地震
建物が揺れ強風が窓から入る
外が昼間の様に明るくなり窓から身を乗り出して見ると
「何よあれ・・・」
稲妻が空に向かって伸びている。
少し前にもあった謎の現象。
一体何が起きてるの・・・
「ポーリン・・・。」
イルガが不安そうに私を見ている。
「家に帰ろう。」
「・・・うん。」
服を着て外へ出ると大勢の人だかりが・・・みんな空を見ている。
「今夜の事は忘れましょう・・・いいわね?」
無理だと思うけど。
「・・・うん。」
イルガが私の手を強く握る。
今夜の出来事はイルガには刺激が強すぎたのかもしれない。だけど彼なら乗り越えられるはずだ・・・多分。
アス様・・・次はいつ会えるかな。
side シャーロット
何っ!?今の音!?
またあの稲妻だ・・・。
まさかまた・・・。
壮行会が終わりアルルと家に帰る途中。
「ごめん、ちょっと用が出来たから先帰ってていいよ。」
アルルはそう言って街に戻って行った。
家に着き紅茶を飲んで休んでいると爆発音が。
あの時は分からなかったが今の私には分かってしまった。
あの稲妻の様な巨大な魔力が誰のものなのか。
knock knock
カチャ
「シャロごめん、明日出発する予定だったけど・・・。」
魔力を一切感じない女の子
「急用が出来ちゃってさ。少し先に伸びそうなんだ。」
私を真っ直ぐに見つめる澄んだ瞳
「だから、またシャロ様のボディガードやらせてくれないかな?」ニッコリ
全てを魅了する微笑
「ねえ、良いでしょ?シャロ様ぁ。」
私は・・・
「うん、いいよ。」
血の匂いを漂わせる
「やったー!シャロ様だぁい好き!」
この悪魔からは
「また明日から宜しくね!シャロ様!」ニヤァ
逃げられそうにありません。
シャーロット トゥルーエンド
アルル ノーマルエンド
ポーリン グッドエンド
イルガ ビターエンド
ローレンス ベストエンド
ヒルダ ハッピーエンド
アス デッドエンド




