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01話 アルルの知らない世界 呪われたピアノ



アルが元の世界に戻って1週間。


「あっ、凄い、そこ、らめえ・・・。」

アルルの部屋からもれる嬌声・・・。

だが問題無い。部屋の周囲には人よけ、退魔結界が幾重にも張り巡らされている。

張ったのはアルのベッドで喘いでいるこの私、ノエルだ。


「アルしゃまあ、はぁはぁ、そこばっかり弄っちゃ、やあ!」


アル様酷いです。私に挨拶もせず異世界へ旅立たれるなんて・・・。

はぁはぁ、今の私にはアル様の匂いに包まれて自分を慰める事しか出来ない。


knock knock!

「!!?」

結界を破らずノックだと!?有り得ないわ。


「またイタズラしてるのね。悪い子にはお仕置よ。」

この声!?ローズマリーか!マズイ!

転移!

パァン!

天井に叩き付けられて落下する。転移阻害の結界!?いつの間に!クソっ!


ガチャリ

「あらあら、逃げようとして失敗しちゃった?」

床でうずくまっている私を見て余裕の笑みを浮かべるローズマリー。この屋敷の所有者でディスペアを統べる8人の強者のうちの1人。

私はこの女が嫌いだ。アル様の側室気取りな所とか(誰も認めてはいないが)、私より強い所とか、


「なぁに、このシーツのシミは。びしょびしょじゃない。花瓶の水でもこぼしたのかしら。」

羞恥で顔が赤くなる。知っていてワザと言って私を辱めるつもりだ。


へたり込んでいる私の隣に座り背中に指先を這わせてくる。

はぅ!


「アル様のメイドとは思えない失態ね。お仕置よ。裸吊りしてあげるから今晩私の部屋に来なさい。」

何をするにも上から目線。


「返事は?」


「・・・りょ。」

アル様がいない寂しさや身体の疼きを私を使って慰めるつもりだろうか?

それを期待してる自分にも腹が立つ。


シーツを新しい物と取り替える。

部下のメイドたちに指示を出し自らは中庭を掃除する。


「はぁ。」


「ダメよぉ。ため息をつくと幸せが逃げるとか何とか。」

!?

オフィーリア様。気配を消して近づくのは止めて下さい。


「ごめんなさい。驚かせてしまったかしらぁ。」


「・・・ん、いえ。」

この方もローズマリーと同じ八柱と呼ばれるダンジョンの幹部らしいのだが私に対する接し方はローズマリーとは異なる。アル様みたいに優しい・・・。

ホウキで落ち葉を集めていると視線が。

ベンチに腰掛けてこちらを見ている。

・・・やりづらい。


「アルル様が出かけられて1週間経つのねぇ。とても長く感じるわぁ。いつ頃帰って来られるのかしらぁ。」

わっ、話し出した。

私は人と話すのが苦手だ。何か話した方がいいか?どうしよう


「失礼します。」

オフィーリア様に一礼してやって来たのは副メイド長のタバサだ。


「ノエル様、執事長のバフォメット様がお呼びです。」

ナイスー!


「・・・ん。」

オフィーリア様に一礼してその場を後にする。実に機転の効く部下だ。


ローズマリーにいびられているバフォメットを横目に客室の掃除へと向かう。

その時


ポロン・・・

今のは

ピアノの音?

この曲知ってる!確か・・・乙女の祈りだったかな。


この屋敷でピアノを引くのはアル様しかいない!アル様が帰って来たのね!

バァン!

広間の扉を開ける。

「アル様!」


シーン・・・


誰もいない?隠密系魔法か?


【 ディメンション 】

ズワアアア

アル様から教わった空間探知を展開する。周囲100メートル、この範囲内なら魔法で隠れていても無駄だ。

ディメンショに看破出来ぬモノ無し!とはアル様の弁。

屋敷に住んでいる者以外の反応はない。

おかしい。ピアノが鳴ってからここへ来るまで扉から出た者はいない。窓の鍵は閉まっている。ピアノが勝手に動いたというの!?


「どういう事・・・。」


バタン

「・・・ヒッ!!?」

鍵盤板がひとりでに閉まった。ドキドキ

侵入者がいるというの?


異常があった場合屋敷の総責任者であるローズマリーに知らせる決まりなのだが、現状ピアノが鳴っただけだ。どうしたものか。・・・一応知らせておこう。後でグダグダ言われる方がキツい。



─── その日の夜 ───


knock knock

「・・・れい、しま・・・。」


「いらっしゃい。早いわね。何を期待しているのかしら。フフ」

黒革のボンテージを着て頬を上気させてるあなたには言われたくないわ。

変態め。


ローズマリーの部屋はとても広く豪華な調度品が並べられている。貴族・・・いや王様でもこの部屋を見たら驚愕するだろう。

部屋は薄暗く赤くライトアップされている。この漂う香りはなんだろう。恐らく媚薬またはそれに準じる何かだろう。ろくでもない代物なのはたしかだ。抵抗のある私には関係ないけどね。

奥にはXの磔台や三角木馬が用意されている。私が良く客をもてなす時に使用しているアレだ。普段は拷問部屋に置かれている。


「ノエルあなた自然耐性あったわよね?切りなさい。無論痛感無効もね。」

チッ


「・・・りょ。」

もちろん切らない。

演技でイケるだろ。


「さあ、服を脱ぎなさい!」

BBAがいやらしい、舐め回す様な目で見てくる。くっ。


シュルシュルシュル

あっ、そうだ。


「ローズマリー様、お耳に入れて起きたい小事があるのですが。」

念話だと何とか話せる。苦手だが仕方ない。


「大した事無ければあなたが対処なさい。いちいち主人の手を煩わせないで。私は多忙なのよ。」

お前の下に付いたつもりは1ミリも無いんだが?私のご主人様はアル様だけだ!

危ない、殺気を出す所だった。

多忙ならくだらない事してないで早く眠りやがれ!


「失礼しました。アル様に関係ある可能性もあった為相談いたしました。以後こちらで対処・・・」

「アル様!?それを早く言いなさい!馬鹿!詳しく聞かせなさい!」

チッ


昼間の事をありのまま話す。


「・・・ピアノが勝手にねえ。・・・以前聞いた事があるわ。アル様の超高等隠密術。名前は・・・ディメンショ・モード・ステルスだったかしら。」

ステルス。


「その術を使えば知覚する事はほぼ不可能だと聞いたわ。」

やはりアル様があの場にいたのだろうか・・・。


「でもピアノを引くのにわざわざ忍ぶ理由ってなにかしら?この仮説は保留ね。」

確かに意味が分からない。では


「もう一つ、こっちの方が信ぴょう性が高いわね。これはアル様から頂いた書物に載っていた物語なのだけど・・・」

なんでもダンジョンで拾った書物に書かれていた異世界の物語に似たような物があったらしい。KAIDANまたはホラアと言うジャンルで恐怖を煽る物が主流らしい。


「その中にあるのよ。ピアノが勝手に鳴る話が・・・フフ」

ある学院での話だ。ピアノを弾くのが大好きな少女がいた。だが病に罹り日に日に弱って行く。学校にあるピアノを弾いている時だけが幸せだった。しかしその日は突然訪れる。ピアノを弾いていた少女の容態が急変。鍵盤に倒れ込みそのまま亡くなったそうだ。

以来、夜になるとピアノがひとりでに曲を奏でると言う。

悲しい物語だ。


「話はこれで終わりじゃ無いのよ。以来その音を聴いた者が次々と謎の死を遂げたそうよ。呪われていたのかしらねえ。そのピ・ア・ノふぅ!」


「にょわっ!!?」

耳に息を吹きかけられて変な声出ちゃった。


「あはははははは!にょわ!だってー!あははははは!」

こいつ!!

いけないcoolに振る舞わなきゃ。


「興味深い話ありがとうございます。」


「あなたも呪われないように気をつけなさいよ。あはは」

くっ!


「承知しました。では私はこれで失礼いたします。」

上着を持って部屋を出・・・


「おいコラ、何ナチュラルに退室しようとしているの?これからが本番なんだけど?」

チッ


しかしKAIDANか。恐ろしい話だ。あのピアノにもONRYOと言う奴が取り憑いているのだろうか。アル様は居ないしコイツは使えない。私が謎を解くしかない!


色々考えたけど三回イッた所でどうでも良くなっちゃった。てへぺろ


続く!


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