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愛を伝え、愛を受け取る『第七の感覚』

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1536年8月 信孝22歳 正利24歳 稙宗48歳


【神界 地球 北極 邪神の神殿】


「さぁー!!信孝さん!ついに正利さんにキスをしたぁーーー!!これに対する神界の反応はどうか!?」


 四次元中継カメラから、カメ子の声が聞こえる。あいつ、他人事だからといって、むやみに煽ってる気がするな。


 そんなことを考えていると、突然 俺の中にそれまでとは比べ物にならない超パワーが流れ込んできた。


 いいぞ!燃える……!!燃える……!!炎が燃える……!!愛の炎が燃え滾る!!


『神界人のときめき度が一京ポイントを超えました』


 よし、行けるぞ。これなら宇宙の総エネルギーを上回る炎を出せる!!


 俺と正利は唇を離し、お互いの身体を抱き合ったまま叫んだ。


『愛の極炎!!』


 その瞬間、稙宗の体を包むように、俺たちの『愛の極炎』が発生した!


 その炎は宇宙の総エネルギーの五十倍!『一禾予(いちじょ)℃』の極高熱。


 俺と正利の愛の結晶だ!!


 もちろん、範囲を広げ過ぎると神界が燃え尽きてしまうので、稙宗だけを燃やすよう調整している。


 激しく燃え盛る俺たちの愛の炎を見ていると、俺は異常に気分が高揚してきて、叫んだ!


「燃やせ!!この神界を守るために、俺達の愛を深めるために!!」


 だが、炎の中を見て俺は愕然とした。


 稙宗にまるでダメージを与えていない!!何故だ?神界人がときめかなかった?


 いや、『ときめき度が一京ポイント上がった』って言ってただろ!神界人が何人いるか知らないが、大半はときめいてくれてるはずだ!


 それに、炎は間違いなく一禾予℃出ているんだ!つまり宇宙の総エネルギーの五十倍程度では、稙宗には通じないってことか?


 俺がそう思っていると、稙宗は涼しい顔で言った。


「こんな程度の炎で私を倒せると思ったのですか?」


 その言葉に対し、俺と正利は答えに詰まった。全力のプロポーズをして、神界中の評価を集めてぶつけた一撃なんだぞ。


 こんな程度とか言われても、どうすりゃいいんだよ。


 俺たちは決定的な実力差に圧倒され、うなだれてその場に座り込んだ。しかし、次の瞬間にはお互いの顔を見合わせ、気持ちを奮い立たせた!


 正利の顔を見ると勇気が湧いてくる。


 そして、納得のできない思いを稙宗にぶつけた!


「な、何故だ!!俺たちの愛は完璧で、神界中の人がそれを評価してくれている!お前が魔界以上のエネルギーを持っていたとしても、まるで効かないってことはないだろう!」


 ここまでノーダメージだとすると、稙宗は宇宙 百個分くらいのエネルギーは持ってるんじゃないか?


 人生にたった一度のプロポーズのエネルギーまで使って、ここまで効かないなんてあるか!


「当たり前でしょう。私と妻は四千年も連れ添ったのですから、貴方たちごとき短期間の些末な愛で私たちに叶うはずもない」


 よ……四千年……?


 そう聞いて、俺の頭にまず浮かんだ言葉は『ああ、こいつも人間じゃないのね』だった。


 今、この場で人間じゃないのは良いとしよう。俺だって太陽樹だしね。


 けど、奥さんと四千年連れ添ってるなら、どう考えても生まれつき人間じゃないだろう。それか大昔に神になってから四千年、連れ添った可能性もあるか?


 俺は、四千年という時間の重みに圧倒された!


 四千年か……。もちろん、愛は時間じゃない。いくら短期間でも、俺と正利が互いを想い合う心は誰にも負けないと信じている。


 だが……、とにかくこいつと奥さんの愛の前では、俺と正利の『愛の極炎』は通じないらしい。


「……ですが」


 稙宗は、そう言って神妙な顔つきになった。少し落ち込んだようにも見えるが、口元は笑っている。何かたくらんでいるのか?


「いいでしょう。神界を滅ぼすのは止めにしてさしあげます。貴方たちの勝利ですよ」


 俺はその言葉を聞いて、意味が理解できなかった。


 今も愛の炎で燃え続ける稙宗を見つめながら、俺と正利はしばらく呆然として立ち尽くした……!


 そして、やっとのことで気持ちを持ち直し、ありったけの声を出して叫んだ。


「なぁっ……!!何故だ!お前は俺たちより強いんだろう!!だったら俺たちを殺し、神力球でもなんでも奪えばいいだろう!!」


 だが、俺の言葉を聞いた稙宗は、涼しい顔で答えた。


「ダメですね。今の貴方たちでは弱すぎる。そんなものを吸収しても、大した足しにはなりません」


 稙宗はそこまで言って、言葉を一度区切った。そして真剣な表情で俺たちを見つめ、言葉に強い意志を込めて、はっきりとした声で言った


「……が、私は貴方がたの愛に大きな”可能性”を感じました。だから、生かすのです。『強くなってもらうために』」


 説明を聞いて、さらにわけがわからなくなった。俺たちに強くなってもらうために、生かす?俺たちは強くなる可能性があるから?


「つ、強くなる可能性があるなら、それこそ殺すべきじゃないのか?俺たちが、あんたより強くなったら倒しにくるかも知れないだろ?」


「そうですね。それを防ぐためにも、貴方とはしっかりと話をしなければなりません。信頼を得て、お互いの利益を得るためにね」


 話だと!?何の話をするって言うんだ?


 しかし、ともかくこいつは俺たちの炎を見て、何か心境の変化があったらしい。だが時間遡行を諦めたわけじゃないらしいな。一体何がどうしたって言うんだ?


 俺たちを強くすることで、こいつに何のメリットがあるんだ?


「まあいい、なら聞いてやろうじゃないか。互いの利益ってのが何なのかを」


 俺はそう言って、とにかく話を聞く体制に入った。正利やティティスたちも稙宗の周りに集まってきた。


 そして稙宗は、『では始めます』と言って話し始めた。


「まず、この話を理解してもらうためには、私の妻がどうして死んだのかを説明しなければなりません」


 稙宗は目を瞑り、当時のことを思い出しているようだ。少し苦しそうな表情になった後、目を開けて、奥さんが亡くなったときの話を始めた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1488年8月 稙宗???歳


【天上界 兜率天宮(とそつてんきゅう) 神孤殿(しんこでん)


 私たち夫婦は四千年前、地上で悟りを開き神孤となった。元は普通の狐だった。


 神孤となった私たちは天帝の誘いにより天上界に住むことになった。


 天帝は私たちの住処として、神孤殿と呼ばれる宮殿を建ててくれた。私たちは神孤殿で四千年の幸せなときを過ごしていた。そんなある日のことだった。


 その日、私は仕事に出かけていた。炎系の神術の腕を買われ、天上界の番人として働いていたのだ。


 突如 私たちに断りもなく、一人の『猿の仙人』が神孤殿に入ってきた。


「ここが、神狐の住むという神孤殿か、中々いいところじゃないか」


 その猿がそういうと、妻は慌てて応対した。


「あ、あのどちら様でしょうか?」


「俺のことを知らないだと!俺様はこの天上界・最強の男『斉天大聖・孫悟空』だ!」


 妻も西遊記の話は聞いたことがあったし、そもそも悟空はそれ以前から天界の問題児として有名だった。


 目を着けられたら大変だと考えた妻は、とにかく悟空を歓待した。しかし酒を飲んだ悟空はいい気分になって暴れ始めた。


 止めようとした妻を悟空は力づくで抑え込んだ。その際に妻の着衣は乱れ、それを見て欲情した悟空は妻を犯した。


 我々夫婦は天帝のお気に入りだ。この事件が発覚すれば、天上界は再び悟空を討つべく大戦争となる。


 それをわずらわしく思った悟空は、妻を殺し絶対に誰も踏み入らない場所に埋めることにした。


 それが、神仙の中でも元始天尊に認められた数人のみしか入れない聖域、崑崙山の大修行場:水仙域だ。今も妻は死んだときの姿のままここに眠っている。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「……というわけでして、私はどうしても悟空を殺したいのですが、妻がいなくては愛のパワーを十分に発揮することができないのです」


 待て待て待て!!話が急すぎてついていけないぞ!?


 いや、とりあえずは……。奥さんを犯され、自分勝手な理由で殺された。だからその犯人である悟空を殺したい。それはわかった。


 だが……孫悟空だと!?


 孫悟空のことはアンドロイドNo.1から聞いたことがあるぞ。


 悟空は宇宙を創れるから、そのエネルギーを借りれば時間遡行ができるかも知れないって話だ。


 しかし、まさか稙宗の奥さんの(かたき)が孫悟空!?


 まさかここで、孫悟空が話に関わってくるとは全く思っていなかった。


 しかし、悟空を殺したい……か。


 悟空は宇宙が創れるくらいだから、宇宙数千個~数万個ほどのパワーを持っていても不思議じゃない。確かに、今の稙宗が持つエネルギーが宇宙百個や二百個分なら、まるで敵わないだろうな。


「なるほど。今の稙宗では敵わないけど、俺たちがものすごく成長すれば悟空にすら勝てるかもしれないってわけか」


「ええ。ですから交換条件といきましょう。私は貴方がたの愛を、悟空を倒すまでに成長させる方法を教えます。その代わり、貴方がたの手で悟空を倒してください」


 愛を成長させる方法!?そんなのがあるのか。それも悟空に敵うほどとなれば、神力球なんて無くても時間遡行が使えるかも知れない。


そうか……。いよいよ物理法則、いや魔法や神力の法則も無視した話になって来たな。いや、俺は好きだぞ。愛でなんとかなるなら最高じゃないか!!


 面白い……こうでなくちゃいけない!!いいだろう。救ってやるぞ、しずくも稙宗の奥さんも!


「いいだろう。あんたと手を組む日が来るとは思わなかったが……。悟空は俺が倒す。教えてくれ、愛をパワーアップする方法を!!」


 俺が熱の入った声で叫んだのに対し、稙宗は思惑通りという表情で冷静に返した。俺はその様子が少し気になった。もし、何か罠があったら逃げ切れるだろうか?


「ありがたい。貴方はきっとそういうと思っていましたよ。これで取引成立ですね」


 稙宗はそれまで、あまり見せなかった嬉しそうな表情を見せた。俺たちを育てることにワクワクしているようだ。


「教えましょう。すべての法則を超越した『愛の究極(ラブ the ラブ)』に至る方法を」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1536年8月 信孝22歳 正利24歳 稙宗4048歳


【神界 地球 北極 邪神の神殿】


 俺たちは稙宗の言葉に一瞬、固まった。『愛の究極』というものが想像できなかったからだ。全ての法則を超越したもの?


「まず信孝さんは、さきほどのプロポーズで、結婚とは『心を一つにし繋がりあうこと』だと言っていたでしょう。愛を深めることとは、互いを理解し『心を一つにすること』なのです」


 俺も皆も、『ふんふん』と頷いている。ここまでは納得がいく話だからな。


 そして、話の流れから、互いを理解し『心を一つにする』ことの先に『愛の究極』があるのだろうということも、まあ予想できる。


 ポイントは『相互理解』ってことなんだろう。


「それはわかるが……。じゃあ『愛の究極』へ至るには、お互いをどこまで理解すればいいんだ?」


 普通に考えたら、相手を理解したくらいで、全ての法則を無視できるとは思えない。どこの世界でも、心から通じ合ってるカップルが多少はいるはずだ。


 そいつらが皆、全ての法則を無視できたら、世界はよりカオスになるだろう。


「『愛識(マナしき)です』」


「ま……『愛識』?」


 『愛識』って何だ?俺はどこまでわかりあえば『愛の究極』にたどり着けるかという話をしていたはずだ。


 ということは『愛識』は心の一部?いや、ともかくここは聞いてみないとわからない。あまりにも想像できな過ぎるからな。


「『愛識』とは何だ?どうすれば、正利の『愛職』を理解できる?」


 俺がそう聞くと、稙宗は詳しく説明を始めた。


「人間には視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚という五つの感覚があります。そして記憶や潜在意識、神力や魔法を司っているのが六つ目の感覚である『意識』です」


 神力や魔法は第六感であやつっているのか。俺の脳の高度計算機能も『意識』の働きといえるかも知れない。


「心や魂でつながるのは、この『意識』でつながっていると言えるでしょう」


 俺は、なんとなく納得しながら話を聞いていた。だが、この話の流れだとつまり……『意識』よりさらに先に、もう一つ感覚があるのか?


『たかしの記憶』によれば、昔の漫画でそんな設定があったらしいけど……。


「それら六つの感覚を超越した七番目の感覚器官が愛識(マナしき)です」


「七番目の感覚?」


 じゃあやはり、人間には……いや神も含めて生物には七つ目の感覚があるってことか。それ自体は魔法や神術を見た今では、そこまで驚くようなことでもない。


 だが、重要なのはこの感覚に『愛』という名前がついていることだろう。愛の感覚……って何だ?


「『愛識』は言葉や思考によらず、愛を伝え、受け取るための感覚器官なので愛職といいます」


 愛を伝え受け取るための感覚!?五感や『意識』の先に愛を感じるためだけの感覚があるというのか!?


 しかも、それで愛を伝え合えれば『愛の究極』に達することができる!?


「普通の人々は言葉や行動で愛を伝え、それを心や魂という『意識』で受け取ります。だがそれでは『愛の究極』には程遠いのです」


 俺は口を挟まず、ただ真剣に稙宗の言葉に耳を傾け続けた。


「だが、貴方がたは言葉に魂を込めることで、『意識』同士で愛を伝え合う『愛の神術』に成功しました。それは『愛識』にかなり近いところまで来ているのです」


 俺たちが『意識』同士で愛を伝え合った……!俺は言葉で言っているつもりだったが、俺の覚悟が神術となって正利の『意識』に届いていたのか!


「この『愛識』をお互いが自覚し、その感覚でお互いを感じ合うことで『愛の究極』に至ることができます」


 なるほど、『愛識』で愛を伝え合えば、『愛の究極』に至れる。そして俺たちは『意識』同士で愛を伝えあっており、『愛識』に近いところにいる。


 けど、肝心の『愛識』をどうやって自覚すればいいのか全くわからないな。


 神術で愛を伝え合ったとしても、それはあくまで『意識』同士だ。『愛職』に近いとは言っても、そこからどうすれば『愛職』で愛を伝え合えるかがわからない。


 どうやれば『愛識』によって愛を伝え、受け取ることができるのか?


「『愛識』から愛を伝え、受け取ればいいのはわかったが、どうすればそんなことができるんだ?」


「そのための鍵となる場所が、日本の『富士の樹海』にある『無明域(むみょういき)』です」


 日本の!?元いた宇宙のか!?だ、だがあの宇宙は、通常の『物理法則』で動いているはず。よそから持ち込まない限り魔法や神術はないはずだ。


 よそから持ち込む……?そうかエルフの集落が神居古潭にあったように、富士の樹海にも他の宇宙から移住してきた種族が住んでいるのかも知れない!


 それはそれで異常だと思うけどね。


「樹海ではすべての感覚が遮断され、意識も曖昧になります。体を動かす感覚すらわからなくなります」


 そ、そんなとんでもないところが、日本にあるのか!?何かの毒ガスが流れているとかだろうか?


 いや、話の流れからすると、やはり神術の類っぽいな。やはり他の宇宙から富士の樹海に移住したものがいるのだろう。


 その種族が、日本人が樹海へ侵入するのを阻むために、感覚麻痺の神術をかけてるってことなんだろう。


「そのため、愛職から愛を伝え、同時に愛識で周囲の愛を感じ取らなければ、身動き一つとれなくなるわけです」


 それでなくても富士の樹海は遭難者がでやすい場所だ。そこで感覚が失われるとなると、動けないまま数日のうちに野垂れ死ぬ可能性がかなり高い。


「つまり、その無明域だかに正利と二人で行って、生きて帰れれば『愛の究極』にたどり着けるわけだな?」


 俺の言葉に稙宗は頷いた。そして俺の肩に手を置いて、うっすらと微笑みを浮かべた。


「安心してください。貴方がたなら、おそらくさほど苦労することなく愛職で愛を伝え合えるでしょう。頑張ってきてください」


 しかし、富士の樹海か。だとすると、まず神界から元いた宇宙にどうやって戻るかだな。一応、ベルトワ皇国とハルナ王国の戦争は止めたし、神界中の信仰も得たぞ。


「元いた宇宙へは、どうやって戻るんだ?」


 俺がそう言い終わる前に、神愛の塔で聞こえたアナウンスがどこからともなく周囲に流れた。


『条件を満たしましたので、神愛の塔に戻します』


 その声に俺が反応する前に、ペンダントからものすごくテンションの上がったラーの声が聞こえた。


『わーっ!!パパだ!久しぶり!!』


 パパってことは、やっぱりこのアナウンスは神界の創造神なんだな。いや、神界そのものが創造神って話だから、神術で自分の体内に声を出してるのか。


 それを聞いた正利は優しい声で、コンスのペンダントに話しかけた。


「コンスも父上と話しておいた方が良いのではないですか?」


 正利から促され、恥ずかしがっているのか すごくか細い声がコンスのペンダントから聞こえた。


『父さん……もっと、たくさん会いたい…たくさん話したいんだ』


 ラーもコンスも父親とあまり話せなくて寂しいみたいだな。創造神の方は、ずっと二人を見てるんだろうけど。


 創造神の表情は見えないが、やつも子供たちから愛されて嬉しいのだろうか。


 そんなことを考えていると、ラーとコンスの言葉に創造神が答えた。


『私が現世に介入することは、最低限に抑えなければならない。お前たちには寂しい思いをさせるが……。すまないね』


 創造神がそう言うと、ラーは甘えたような怒ったような声で抗議した。


『えー、そんなのつまんないわよ!』


 とりあえず、ここで喧嘩を始めないでくれ。ペンダントとアナウンスで言い合われたら、俺たちはうるさいだけじゃないか。


「とりあえず、元の宇宙に帰してくれ。ちなみにフォルティアたちは連れて行ってもいいのか?」


 俺がそういうと、少し悩んだのか少し間があいてから返事が返ってきた。


『む、そうですね。まあ、本人たちが望むなら構わないでしょう。どうせフレンド転移で向こうの宇宙に移動できますからね』


 それもそうだな。じゃあ聞くまでもなかったか。


「ラーとコンスのネックレスは、向こうに行っても有効なのか?」


 俺の質問に、創造神ではなくラーが答えた。


『ネックレスは宇宙を越える特注品よ!話せるし、あたしの神力を借りることもできるわ!!』


 ってことは、神界で加わったメンバーはそのままで元の宇宙に戻れるわけだ。と言っても稙宗と休戦するなら、当面向こうで戦う相手はいないけどね。


 そう思っていたら、ティティスが急に話に入ってきた。


「信孝よ。忘れているかも知れないが、私はベルトワ皇国の皇帝だぞ。この国を離れるわけにはいかない」


 ティティスの言葉に合わせるように、『四次元中継カメラ』からフォルティアの声がした。


「ティティスが行かぬのであれば、わらわも止めておこう。もちろんわらわ達の力が必要な時はいつでも呼んでくれて構わぬぞ」


 どうやらフォルティアも着いてこないみたいだ。まあティティスとは3000年も会えてなかったみたいだからな。


 正式に恋人同士になったことだし、しばらくはイチャイチャしたいのだろう。


 じゃあラーとコンスは着いてくる。フォルティアとティティスは居残りだな。


『では、神愛の塔に戻します。いいですね』


「ああ、頼む」


 俺と正利、そして稙宗が光に包まれた。


「それでは 信孝、元気でな」


「寂しくなったら、いつでも転移で会いに来るのじゃぞ」


 ティティスとフォルティアの別れの言葉に、俺は自然と微笑みを浮かべた。


 神界では色々あったが……。出会った人たちが良い奴ばかりで良かった。


 神界が消滅しなくて本当に良かった。


 さて、次の相手は悟空だ。『愛の究極』に至って、悟空と戦える力を身につけないといけない。それができたら いよいよ、しずくを助けるために時間遡行だ!


 俺は新たな覚悟を胸に、正利と二人で富士の樹海に向かった!


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