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燃え盛れ、愛の炎!宇宙よりも熱く!!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1536年8月 信孝22歳 正利24歳 稙宗48歳


【神界 地球 北極 邪神の神殿】


 こいつが稙宗だと?だ、だが……確か稙宗は、そろそろ五十ほどのはずだ。


 目の前にいる男はせいぜい20代そこそこに見える。肌の張りからしても四十代後半には見えない。


 男は穏やかな物腰で優しく笑っていた。


 俺は心の中の不安を振り切るように、声を張り上げて怒鳴った。


「バカなっ!稙宗はもっと年寄りのはずだ!!それに稙宗は神居古潭にいるんじゃなかったのか!!」


 そこまで言って気づいた。こいつが稙宗なら『フレンド転移』を使えるのも納得がいく。だって稙宗は神愛の塔の一階を突破しているはずだ。


 出された試練が俺と同じなら、スライムと仲良くなってフレンド魔法を覚えた可能性がある。


 すると、俺たちが邪神を浄化したのを知り、神居古潭の攻略を切り上げて神界に転移してきたのか?


「神居古潭での用は済ませてきました。『魔界』をちゃんと吸収してきましたよ」


 魔界を吸収だと!?どういう意味だ?


 俺が疑問を口にする前に、ラーが絶望的な声で言った。


『ま、まさか……創造神を……!?つ、つまり魔界そのものの『神力球』を吸収したの?』


 魔界の神力球!?


 俺はラーの言葉を聞いて混乱した。神力球は、神が死んだ後に残る、その神の神力がすべて込められた球だ。


 じゃあ、魔界の神力球ってのは何だ?魔界は神居古潭から行ける、別の宇宙という話だったはずだ。


 だとすると、まさか魔界そのものが巨大な神ってことか……?その神力球を吸収した!?


 い、いや待てよ。だったら、まさかこの神界も……っ!


「次は、この神界の神力球もいただきに来ました。もっとも、予定では邪神が『神界』を殺してくれるはずだったのですが」


 邪神が『神界を殺す』!?殺すってのはやっぱり、神界が巨大な神だからか。


 い、いやそれより、やはり稙宗は邪神に神界を滅ぼさせるために十年前、何かを仕込んでたんだな!


 そう考えていると、ラーが怒り狂った声で怒鳴った!


『冗談じゃない!パパを殺させたりしないわ!っていうか、やっぱりあんたがブー君を改造したのね!今すぐ元に戻しなさい!!』


「……ブー君……?」


 稙宗はネックレスが喋ったことには驚いていないようだが、『ブー君』が誰のことかわからなかったらしい。


 稙宗が混乱していたので、俺がフォロー入れた。


「ブー君ってのは『ブラックホール』だ。お前が邪神にしたんだろ?」


 そう聞いて稙宗も納得がいったようだ。にやりと笑いながら、ラーの台詞に答えた。


「『ブラックホール』は天体用の八卦炉で、溶かして固めてたことで今の状態になっています。ですから、元に戻すことは私にもできません」


『な……。そんなのウソよ!!』


 稙宗の言葉を聞いたラーは、一瞬言葉を失った。そして甲高い声で怒鳴った。表情は見えないが酷くショックだったみたいだ。


 それにしても、天体用の八卦炉って何だ?


 八卦炉は……確かこの間、ラーが言ってたやつだな。


『感情や魔力、神力のような目に見えないものを溶かして、球の形に固める装置』


 だったか……?


 しかし、ラーの説明を信じるなら八卦炉は負の感情をかき集め、溶かして固めて“魔珠”を作る装置のはずだ。


 その魔珠を植え付けられて、『ブラックホール』は邪神になった……はずだ。


 だが、稙宗の話じゃあ、『ブラックホール』そのものを溶かして固めたという。


 つまり、俺たちが助けようとしていた邪神は、魔珠を植え付けられたのではなく……。


 十年前、八卦炉で溶かして固められ、巨大な神力を持った『魔珠にされていた』……?


 稙宗はすました顔で祭壇まで歩いていき、俺が浄化した球を指でつまみあげた。


そして球を見つめながら、語り始めた。


「十年前、『ブラックホール』をパワーアップさせたところ、中途半端なパワーのまま暴走してしまったのです」


 俺たちは話を聞く体制に入った。本当か嘘か知らないが、これは聞いておいた方がいい情報だと思う。重要な情報を何故ペラペラ喋るのかはわからないけどね。


「しかし、あのまま暴走しても銀河を吸収しつくしたところで、吸うものが無くなり、ただ虚無の空間に浮かび続けるだけになってしまう」


 Sランク神を吸わせた時点では神界を滅ぼすほどの力は無かったってことか……。しかし、こいつ全く悪びれないな。命を何だと思ってるんだ。


「だから十年かけて、神力を吸わせることにしたのです。『暗黒太陽』を使ってね」


 そうか。中途半端な強さだった邪神を、暗黒太陽で神界中の神力を吸わせることで、さらにパワーアップさせたのか!


 そこで、四次元中継カメラからフォルティアが話に割り込んできた。


「そ、それでは、わらわが北極に来たときに『暗黒太陽』を覚えたのは……」


 フォルティアはやはり、一度北極点に来ていた。稙宗は不在だったはずだが、何らかの方法……神術でフォルティアに『暗黒太陽』を覚えさせたんだ。


「邪神に近づく者には『暗黒太陽』を覚えさせる神力をかけておいたのですよ。誰かが使ってくれれば、神界中から邪神に神力が入りますからね」


 稙宗はフッと笑い『それでも十年もかかりましたが』と言った。


「し、しかし、どうしてそこまでして『ブラックホール』をパワーアップさせたんだ?何かお前にメリットがあるのか?」


 俺が質問すると、稙宗は球から視線を外し俺の方を見つめた。そして軽く微笑んでから『仕方なかったんですよ』と言った。


「あの時点では私自身も神界を滅ぼすほどの力はありませんでした。だから『ブラックホール』を育て、滅ぼしてもらおうと考えたわけです」


「私が手を下さなくても、邪神が神界を消滅させれば、残った神力球を吸収できますからね」


 つまり自分のパワーアップのためってことか……。


 結局その企みは俺たちによって防がれた。だけど、稙宗は魔界を吸収し、自力でも神界を滅ぼせる実力を持って帰ってきた。


 しかし、魔界を吸収しただけでも圧倒的な強さになっただろうに……。さらに神界まで吸収しようとするなんて……。


 どうして、そこまで力を求めるんだ?


 本能に従って、ただ純粋に強さを求めているんだろうか……?


「ふふふ、私が何故力を求めるか不思議ですか?私の目的は貴方と同じですよ」


 その言葉に俺は驚愕した。わずかな恐れも感じた。自分も禁忌に近づきつつあるという不安がよぎった……。


 こいつが俺と同じ目的で、強さを求めているだと?


「俺と同じ……?だとっ!?」


「ええ、貴方の目的は『時間遡行』して幼馴染を救うことなのでしょう。私もそうなのです」


 稙宗の目的が時間遡行!?まさか……い、いやそもそもどこで俺の目的を知った!?俺が前世……いや、望月たかしとしての記憶を話したのは正利だけだ。


 もっと単純に心が読めるとかかな?だとしたら、めちゃくちゃ厄介な相手だぞ。


 その瞬間、俺はあることに気づいた。そして、体がわなわなと震え、思わずその思い付きを口に出して叫んだ!


「そ……そうか……!宇宙三つ分のエネルギー!!魔界や神界は宇宙だから、吸収すれば宇宙一つ分のエネルギーになるってことか!」


「そうですよ。つまり、神界を吸収すれば残すところはあと一つです。それを手に入れれば私は時を遡ることができる」


 しかも吸収してしまえば、それはもう自分自身の力だ。つまり一度、時間遡行を使ったあとでも、十分に休めば、また時間遡行が使えるわけだ。


 ……俺は宇宙に住む人々を犠牲にすることはできない。だが、こいつはできる。そりゃあ、俺より話が早いに決まってる。


「言っとくが……」


「何ですか?」


 俺は目を瞑って、神界に来てからのことを思い返した。


 そして、目を開けると今度はティティスを見つめた。そしてラーのネックレス、コンスのネックレスと視線を移し、最後に四次元中継カメラを見た。


 俺は覚悟を決めて、稙宗を睨んだ。どうやら話し合いで解決というわけにはいかないようだ。


「神界には、もう俺のかけがえのない仲間がたくさんいる。お前に吸収なんてさせねえぞ!」


 たが、稙宗は涼しい顔で「ほほう」と言って、俺の方に歩いてきた。


 そして、俺の顎をに手をあて持ち上げながら言った。


「面白いことをおっしゃいますね。貴方の実力で魔界を吸収した私を倒すというのですか?」


 宇宙は広い。確か元の宇宙では、宇宙の総エネルギーは太陽の6×10の22乗倍だったか?


 俺が今ラーの三倍の神力なら、こいつは『俺の2×10の22乗倍』ほどの神力を持っていることになる。


 数字で表すと二百垓(にひゃくがい)倍だな。二百兆の一億倍だ。


 桁違いってことだけは確かだが……。こいつが神界を吸収するっていうんなら……。

 

 フォルティアやティティス、ラーやコンスまで殺そうって言うなら、戦うしかない!!


 俺がそう思ったとき、四次元中継カメラからカメ子の声が聞こえた。


「放送をご覧の皆さん!私たちの『勇者』は我々を守るため!戦うことを決めました!!どうか!彼らのために祈ってください!!」


 続いて、フォルティアも神界全体に向けて叫んだ。


「皆の祈りが、ご主人様のパワーになるのじゃ!!どうか力を貸してくれ!!」


 フォルティアがそう言ってから、ほんの少しだけ時間が流れた。そして、俺の頭にメッセージが浮かんだ。


『アイドルポイントが一京(いっけい)上昇しました。アイドルレベルがLv100万になりました。』


 アイドルスキル:創造神の加護

 この宇宙における、『すべての因果』が貴方を勝利に導きます


 す…すべての因果が……?そんなの最強じゃねえか!


「よし!やってやるぞ!!」


 俺は目を瞑った。頭の中に言葉が浮かんでくる。因果が俺に勝利の方法を教えてくれた。


愛の極炎(ラブ・ファイヤー)だ!!」


 俺が唐突に叫んだので、皆があっけにとられた。


 そして、いち早く立ち直った稙宗が、俺に質問した。


「それで、愛の極炎とはどんな技なのですか?」


「……そ、そいつは……」


 俺は顔を赤くした。愛の極炎は、


 俺が『正利にプロポーズ』をして、それで中継を見ている『神界の人々がときめいた分』だけ温度が上がる炎だ。


 もちろん俺たちは、すでに恋人同士だからプロポーズというのは結婚のことだ。神界ではどうだか知らないが、元の日本は同性婚に否定的だった。


 だが、それをすることでフォルティアたちが助かり……。何より、きっと正利は喜んでくれる!やるしかない!!


 もちろん、ここでプロポーズする以上、元の宇宙に帰ったら誰が何といおうと結婚するぞ。それで、松平家の血が絶えるなら、しょうがない。


 第一、太陽樹になった俺が人間と同じ方法で子孫を残せるとも思えないしね。


 俺は覚悟を決めて、愛の極炎について説明した。


「この中継を見ている皆!俺は新たな技を編み出した!『愛の極炎』は俺が正利にプロポーズし、それを見た皆がときめいた分だけ温度が上がる!!」


 聞いている皆が絶句する。もちろん正利もだ。


 しばらくの間、沈黙が続いた……。いたたまれなくなった俺は、どうにか話を続けようと『あの』と言いかけた。


 しかし、そんな俺の声を遮り、沈黙を破ったのは、四次元中継カメラからのカメ子の声だった。


「あーっと!!これは衝撃的!我々の信仰によって編み出された新必殺技は、なんと信孝さんが正利さんにプロポーズする技だったぁ!!」


 ノリノリで実況するカメ子に続いて、フォルティアも照れたような声で、話に入ってきた。


「プ、プロポーズということは、結婚するんじゃな?その……男同士で……」


 フォルティアの言葉からすると、神界でもあまり同性婚は進んでいないのかも知れない。だが、しないと神界が滅ぶなら誰も反対しないだろう。


 そんな風に思っているとティティスが俺の考えを訂正した。


「信孝よ、言っておくが神界では同性婚は普通に行われている。同性でも子供を作る神術があるのだ」


「は?」


 同性で子供を作る神術だと!?そんなのがあるのか。神術、便利すぎるだろう。い、いや、でも女同士ならともかく、男同士じゃあ妊娠する人がいないから無理なんじゃないか?


「魔道具ギルドが作り出した『人工保育機』ならば、子宮と同レベルで受精卵を育てることができる!性能はベルトワ帝国が保証するぞ!」


 ティティスが妙に積極的なのが気になるが……。ともかく神界でなら俺と正利は普通に子供が作れるらしい。


 つまり二人が結婚することに、何の問題もないわけだ。


 プロポーズか……。一生の問題だからな。ここは慎重に台詞を選ばないといけないぞ。


 そう考えながら、俺は正利との思い出に思いを馳せた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【回想:出会い】


 俺の心に、正利と出会ってからの日々が、映画のように再生された。


 初めて出会ったのは稲葉山城を攻めるため、川並衆を勧誘に行った時だ。


 あのときのことは、今もはっきり覚えている。俺は川並衆の見張りに案内されて、正利の部屋に入った。


 そのとき、まるで美を体現したかのような美しい顔が俺の目に飛び込んで来たんだ!


 俺は人間とはこんな美しい顔になり得るのかと感動した!それまでの俺の常識が崩れさっていき、しばらく体が硬直して動けなかった。


 一方で正利は俺の強さに惚れたんだよな。


 俺が川並衆全員を吹っ飛ばし、俺の力を認めた正利と決闘をしたんだっけ。


 俺たちは結局、お互いを吹っ飛ばして正利が瀕死の重傷を負ってしまった。


 そして、正利は俺の底知れぬ強さに惚れ込み、配下になったんだ。


 そんなに前のことじゃないのに、懐かしいな。


 俺は正利を配下にしたときのやり取りを思い出した。


「じゃあ…正利!俺の配下になり、ずっと共に戦ってくれるかい? 」


「は、…はい!もちろんです!これで、二人の絆は結ばれました。死すら二人を別つことはできません 」


 今思うと、これこそ告白の台詞みたいだな。俺としては、あのときはまだ、あくまで主と部下として絆を結んだだけのつもりだったのに。


【回想:瀕死の戦い】


 次は……そうか。俺が初めて恋愛感情に気づいたときだな。


 あのとき、俺たちは稙宗の部下であるガルーダと死闘を演じていた。やつの炎で回りの人や建物は溶け、俺たちも死ぬ直前だった。


 俺は、なんとかガルーダから距離をとろうと高速移動したところを狙い撃ちされた。そして、正利が俺と火炎弾の間に入って俺を庇った!!


 燃え盛る炎!そして身体が燃え、溶け始めた正利を見て痛感したんだ。


 俺は正利を愛している……そして、絶対に失いたくないということを!!


 目の前で失われていく正利を見ながら、それを自覚した。


 だが、そのおかげで俺は真実の愛に目覚めた。それにより他宇宙のエネルギーが引き出せるようになって、俺も正利も助かったんだよな。


 もちろん、この時点では恥ずかしくて告白どころじゃなかった。


 ただ……その後、会話をかわすうちに、正利からの『好き』も恋愛感情だと気づいたんだ。何度か恋人同士だと言ったけど、否定しなかったしね。


【回想:過去を打ち明け合った】


 そしてゼウス戦だ。稙宗の研究所に乗り込んだ俺達は、そこの所長であるゼウスと戦っていた。


 俺と正利はやつの電撃に体を焼き焦がされ、瀕死の状態だった。


 あのとき俺と正利は、より愛を深めればとてつもないパワーが生まれると信じて、『自分の過去』を教え合った……。二人とも過去と言うよりは前世だけどね。


 『過去』を見せ合い、お互いが胸に抱えていることを話し合ったことで、俺と正利の心は一つとなった。


 俺たちは世界樹の勇者と、世界樹そのものだった。まさに、俺たちは出会うべくして出会った運命の二人だと気づいたんだ。


 あのときから俺たちは、魂と魂でこの宇宙全体のエネルギーをも超えて、深く強く繋がっている……!!


【回想終わり】


 俺は目を瞑り、思い出を噛みしめた。そして、考えをまとめる。俺たちにとって最もふさわしいプロポーズの言葉を考える。


 そう、俺たちの想い出は


1.外見と強さに惹かれ合った。

2.死に瀕し、互いにかばい合うことで絆を深めた。

3.過去を語り合い、心を一つにした。


 つまり俺たちは戦いを通して、少しずつ より深くお互いを知り、より強く繋がってきた。


 そして、俺はもっと深く繋がりたい。正利のことは何でも知りたいし、俺のことも知って欲しい。


 俺は……正利と心と魂で一つになりたい!!


 ならば!よし……そうだ、それしかない!決まったぞ!!プロポーズの言葉が!!


 言葉を紡ぐ。唇に俺の想いを乗せて、正利の瞳を見つめて……ついに口を開いた。



「正利 俺たちは戦いの中で絆を深めてきた


 最初は俺は見た目、正利は強さに惹かれただけだった


 ガルーダとの戦いでは、瀕死となりかばい合うことで絆を深めた。


 そして、ゼウスとの戦いでは、お互いの過去と抱えた思いをぶつけ合うことで


 俺たちの心は一つになった!」


 俺は正利の方に足を踏み出し、両腕を左右に大きく広げた。


 そして、声にありったけの想いを込めて!俺の渇望を訴えかけた!!


「だが、足りない!俺はさらに深くお前と繋がりたい!『血の一滴』、『汗の一雫』までも一つになりたい!」


 俺の言葉を正利は静かに聞いている。それでも顔には喜びが隠しきれていない。


「俺は……遺伝子で!魂で!未来でも過去でも、正利と繋がりたい!」


「だから!!」


 俺は正利の前でひざまずいた。もちろん指輪なんて準備できてるわけがない。元の宇宙に帰ったらどうにか作るしかないな。


「正利、結婚してくれ。俺と何もかも一つになろう」


 正利の瞳から涙が零れた。そして美しい笑顔を浮かべた。


「ええ、もちろんです。私も信孝様と一つになりたい。信孝様にすべてを捧げ、信孝様のすべてを受け入れたい」


 信孝は俺の手を握り、目線を合わせるためか、ひざまずいた。


「だから、結婚しましょう。何もかも一つになるために!」


 正利がそう言った瞬間、四次元中継カメラからカメ子の声が聞こえた。


「では、誓いのキスを」


 い、いや!待て!!そんなの予定にないだろうが!!


 け、けど、そんなこと言われたら、やらないわけにいかないぞ。


 そもそもプロポーズを受けてくれたんだから、キスしろと言われて正利だって嫌がりはしないだろう。


 カメラの向こうで、カメ子が『だって絶対キスした方が皆、ときめくじゃないですか』と言ってる気がする。


 よ、よしやるか。


 俺は覚悟を決めて、立ち上がり正利の肩を抱いた。


「ま、正利……今からキス……あ、いや口づけをする。……いや、しよう」


 俺がそういうと、正利の顔が赤くなった。俺も顔が赤く、いいや体が暑くなってきた。額に汗が垂れる。


 正利は緊張しているのか、少し目を泳がせながら、ボソボソと答えた。


「は、はい。わかりました。私も嬉しいです。それにしても結婚の証に口づけとは、神界では奇妙な風習があるのですね」


 元の宇宙でもそうだったけど、それはまあいい。


 俺はしどろもどろになりながら、話を続けた。


「そうだ。神界の皆を……い、いや!!俺たちの愛をぶつけあうために!キスだ!!」


 そうだ。もちろん神界を救うことも重要だが、初めてのキスなんだからお互いの愛を深めることが重要だ。ただの作業になってはいけない。


 俺がそう言うと、正利のテンションが一気に上がった。顔は赤いままだが、今度は興奮している様子だ。


「おお!そうですね!!私たちの愛をぶつけあい!もっともっと一つになりましょう!」


 俺は正利の顎を持ち上げた。正利の瞳に俺が映っている……。


 そして俺は視線を正利の唇に移した。今からここに俺の唇を……と考えると、さらに動機が激しくなってきた。


「い、いくぞ……」


 正利は目を開いたまま、俺をジッと見つめている。


「で、できれば……目を閉じてくれ」


「あ、ああ。そういうものなのですね。すいません。口づけの作法なんて、わからないもので」


 そんな風に言う正利の姿を見て、俺はそれまで以上に愛しく感じた。


 俺と正利は目を瞑った。


 よし……いくぞ。


 覚悟を決め、俺は正利の唇に自分の唇を重ねた……!!!


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