太陽と友達になってパワーアップした
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1536年8月 信孝22歳 信秀26歳 証如22歳 蓮淳72歳
【神界 ベルトワ皇国 帝都 ベルディナス ベルトワ皇宮 跡地】
俺たち三人はどこまでも広がる荒野にポツンと立っていた。
俺を打ち上げるときに周りに被害を及ばせないため、念のため皇宮があった場所に戻ってきたんだ。
ここなら、人工物はすべて『エナジーボム』で破壊されてて、周りに何もないからね。人もいないし、何があっても大丈夫だろう。
そう考えていると、ティティスが一瞬、太陽を見上げた。その後で、俺の顔を見て言った。
「しかし本当に行くのか?安全が確保されているにしても、太陽まで行った者など、誰もいないのだぞ」
俺は深く頷いた後、余裕を持った笑みを見せた。そして真剣な顔に戻り、言った
「行かなきゃ神界が滅びるんだから行くしかない。お前たちや俺自身、そして正利が死ぬのを黙ってみてるわけにいかないからな」
俺たちが宿で休んでいる間に、また一日経ってしまった。長くても、後六日しかないんだ。手段なんて選んでいられるか。
俺の言葉を聞いたティティスは、少し優しい目になった。
「そうか…。正利殿という方がどんな人かは知らないが、私がフォルティアを想うように、そなたにも大切な人がいるのだな」
そう言われて、俺は正利の姿を思い浮かべた。体に元気が、心に勇気が溢れてきた。
「ああ、そうだ。次は俺たちの愛を、あんた達に見せる番ってわけだ」
俺は太陽を見上げ、改めて決意を固めた。太陽に何があるか知らないが、神力を吸収してくるだけだ。大したことじゃない。
さて、準備は万端だ。いざ!太陽に行こう。目指すは太陽の中でも最も熱い場所…その『中心核』だ!
そう考えていると、ティティスが座禅のような座り方で、その場に座った。光になる神術は、必ずポーズをとらないと撃てないんだろうか。
「よし、では行くぞ。準備はいいな!」
俺は力こぶしを作り、できる限り明るい声で言った。
「ああ、OKだ!!」
俺がそう言うと、フォルティアが横から声をかけてきた。
俯いていて、何かごにょごにょと言っている。俺のことが心配だが、グッとこらえて送り出そうとしてくれているらしい。
「あ、あのご主人様!頑張るのじゃぞ!!わらわ達は着いていけぬが…。必ずパワーアップして帰ってくるのじゃ!」
フォルティアの言葉で、俺はまた励まされた。気分が高揚している。今なら何でもできそうなテンションだ。
俺はフォルティアを見つめ、微笑んだ。そして声を張り上げて言った。
「ああ、もちろんだ!さっきも言ったがフォルティアの責任は俺がとる!!」
フォルティアは嬉しそうに笑って、ポロポロと涙を零した。
そして、次の瞬間、ティティスが神術を使った。
『光変化その五!光速砲!!』
ティティスがそう叫ぶと、俺の体が光になった。
「じゃあ、行ってくる。必ず邪神を倒せる力を得て、戻ってくるからな」
俺がそう言うと、ティティスは名残惜しそうな顔をした。無事に帰ってくると信じてくれてはいるんだろうが、やはり心配らしい。
だが、ティティスはそんな感情を振り払うように、とびきりの笑顔を作った。
「ああ、フォルティアと二人で待っているぞ。必ず戻ってこい!」
ティティスはそう言って、次の神術を使った。
『光変化その六!光速砲・打ち上げ!!』
光になった俺の体は、瞬く間に地球の重力圏を抜け出した。少し飛び続けていると、視界の端に黄色の惑星が映った。
あれは…金星か、地球から五千万キロほどだとすれば、出発からもう二分~三分ぐらい経ったってことかな。
そう言っている間にも、俺の体はどんどん太陽に向けて飛んでいく。出発から五~六分が経つと、水星の前を横切った。
そしてついに巨大な太陽が目の前に迫ってきた。
よし!このまま突っ込むぞ!!太陽の大半は、気体…水素でできている。このまま飛んでいけばコアまでたどり着けるはずだ。
そこで俺は重大なことに気づく。そして、自分の不注意さに驚愕した。
ど、どうやって止まればいいんだ!?太陽の大半が水素なら、このまま進むと向こう側に突き抜けてしまう!!
太陽の核融合反応による爆発も、光になっている俺の勢いを弱めてはくれない。俺はどうにか止まろうと体をよじったりしてみたが、光になっているのでまるで効果が無かった。
俺がわちゃわちゃしていると、突然ものすごい衝撃とともに、俺の体が止まった。まずい!光から人間になってる!!体が燃える前に極小エネルギー弾を…っ。
俺は体内の極小エネルギー弾を操作して、体温を下げた。
「ふう…っ」
俺はため息をついて、少し気分を落ち着かせた。そして、何が起こったのか考え始めた。。
一体、誰が俺を止めてくれたのか?そして誰が光から人間に変えたのか?
そう思っていると、何者かが俺に話しかけてきた。
「あんたが来るのを待ってたわ」
声は広く、太陽全体に広がっていく。周りには誰もいない。一体、誰がどうやって話しかけているのか。
混乱した俺はしどろもどろになりながら、ようやく声を出した。
「だ、誰だ!?」
ここは太陽の中だ。生物の生きていける環境じゃない。俺以外に一体、誰がいるって言うんだ?
「私は…太陽よ。あんた、あたしに会うために、ここに来たんでしょ」
あまりにも荒唐無稽な言葉に俺は飛び上がって驚き素っ頓狂な声を上げた。
「た、た、太陽!?」
待て待て待て!!太陽!?太陽が喋るのか?太陽は生きてるのか?太陽に意識があるのか?
あまりのことに俺は頭を抱えた。……一体、この宇宙の太陽ってのは何なんだ?
だが、いつまでもオロオロしてるわけにもいかない。ともかく相手は話しかけてきたんだ。こちらも言葉を返してみよう。
そう決めたところで、俺はとりあえずの疑問をぶつけた。
「あんたが太陽…?この宇宙では太陽が喋るのか?というか…太陽ってのは何なんだ?惑星を照らすだけじゃないのか?」
俺がそういうと、謎の声は呆れたような声で言った。
「そんなことも知らないで、あたしのとこに来たの?」
どうやら、太陽に来る上で、太陽について知ってるのは当たり前らしい。
もっとも俺は神界に来てから、戦争を止めたり神界の消滅を止めたりするのに必死だったからな。正直、太陽の情報なんて集めてる暇は無かった。
「ああ、すまん。確かに人の家に行くのに、その人のこと知らないのは失礼だよな。けど、俺はホントに何も知らないんだ。できれば説明してくれると助かる」
ともかく、太陽について知らなければ話ようがないからな。この声の主がどんな存在かわかれば、もうちょっと会話が成り立つかも知れない。
「あたしは太陽神・ラーよ。この宇宙の星々はすべて神なの。あんたのいた地球もね」
俺はまた飛び上がるほど驚いた。しかしそれと同時に妙に納得してしまった。
そうか星々が神なのか。
太陽に来るとき、どうしても中心核に行かなきゃいけない気がしたが…。それは、中心核に神の魂である神力球があるからだったわけだ。
脳の高度計算機能が、無意識に最も神力が集まってる場所を計算してたんだな。
そんなことを考えながら、俺は何度も頷いて『ふむふむ』と言っていた。
それを見たラーは、両手をあげて『やれやれ』と言ったあと、仕方なさそうな声で言った。
「ホントに何も知らないのね。しょうがないから、あたしがなんでも教えてあげるわよ。…って、その前に。この状態じゃ喋りにくいから、あたしも人間に化けるわね」
そう聞こえたと思ったら、目のまえに炎の柱が立ち上り、それが徐々に少女の形に変わっていった。
炎のような赤い髪を腰まで伸ばし、釣りあがった眼、身長はフォルティア(人間体)よりはちょっと高いくらいか。胸は……普通よりは小さいかな。
その少女はニッと口角を上げて、笑った。そして俺を指さして言った。
「これでいいでしょ?さあ、何でも聞きなさい」
おっと、そうだった。とりあえず、こいつが太陽で神だというのはわかった。
次はこいつの目的だな。俺に話しかけてきたからには、俺に用があるんだろう。勝手に侵入したのを怒ってるわけじゃなさそうだし。
「ええと、そうだな。お前は何で俺に話しかけてきた?勝手に太陽に入ったのが気に入らないってわけじゃないんだろ?」
俺がそう言うと、ラーは腰に手を当て、顔を俺の鼻先まで突き出して言った。
「決まってんでしょ!弟を救えるのが、あんたしかいないからよ!!」
「弟?」
俺はわけがわからなくて、ラーの言葉をオウム返しにした。
この宇宙じゃ太陽に兄弟がいるのか?いや、生き物だとすれば、まあいてもおかしくないか。しかし、俺じゃないと救えないってのはどういう意味だ?
俺は少し考えた。ラーは、論理的に話すのが苦手そうだ。こっちが上手く話を誘導してやらないといけないぞ。
「弟ってのは、誰なんだ?それに救うって、誰から救うんだ?」
俺がそういうと、ラーは一瞬めんどくさそうな顔になり『そこからぁ?』と言った。その直後に慌てて『慈愛に満ちた顔』を作って俺の質問に答えた。
「しょうがないわねえ。それじゃあ、最初から話すわ。弟のことでいいのよね。」
「今から五十六億年前……」
俺は弟のことを聞いたはずなんだが、五十六億年前の話が始まった。いや…まあこいつは太陽なんだから、自分と弟が産まれたときってことなんだろうけどね。
【創世記】
今から五十六億年前、創世神は光を創った。それが太陽の神ラーだ。ラーは全宇宙をあまねく照らした。
それから少しして創世神は闇を創った。それが月の神コンスだ。闇は全宇宙に光とは異なる恩恵を与えた。創世神は多様性のないものは長くはもたないと考えたのだ。
それから数億年の時が流れた。創世神は自分の失敗を知った。
光と闇によって宇宙が広がっていくうちに、宇宙のそこかしこに『宇宙そのものを破壊してしまう』ような神力を持つ神が現れたのだ。
これが最初の神界消滅の危機だった。
ここで創世神は対策を考えた。つまり、『宇宙を滅ぼす存在』を消滅させる神が必要だと考えたのだ。
こうして生まれたのが『ブラックホール』だった。『ブラックホール』は『宇宙を滅ぼす存在』の体内にブラックホールを発生させ、吸い込む能力を持っている。
ブラックホールに飲み込まれたものは、無に還る。それは『宇宙を滅ぼす存在』も例外ではない。
こうして再び宇宙に安定が戻ったのだった…。
【創世記:終わり】
なるほど、つまりラーの言っていた弟ってのは月と『ブラックホール』か。
しかし、ますますわからなくなってきたな。『月』や『ブラックホール』を俺が救うのか?誰から?どうやって?
俺が考え込んでいると、ラーは得意げな表情で言った。
「これでわかったでしょ!あたしは末弟の『ブラックホール』のブーくんを助けたいのよ」
ブラックホールでブーくん…?何か酷いあだ名だな。そいつも五十億歳とかなんだろ?
いやまあ、あだ名はいいか…。本人たちの勝手だからな。それよりも『ブラックホール』が今どういう状態にあるかだ。
こいつに協力するにしても、それがわからなきゃ救いようがないからな。
「いや待ってくれ。その『ブーくん』…いや『ブラックホール』は今どうしてるんだ?救うというのは何から救うんだ?」
ラーは、また面倒くさそうな顔で「えー?」と言っている。だって話してくれなきゃわからないんだからしょうがないだろう。
「あんたにしか救えないって言ってるんだから、わかるでしょ!『ブーくん』は『邪神』にされたのよ!あんなにいい子だったのに!!」
「邪神にされた……!?」
またオウム返しで返してしまったが……。俺はそのくらい驚いていた。『ブラックホール』が『邪神』にされた?
それこそ、誰がどうやってそんなことしたんだ?
いや、そもそもフォルティアは邪神が稙宗によって作られたって言ってたよな。今の話だと邪神の元になった『ブラックホール』は創世のときからいたことになる。
「なるほど。よくわからないが、つまり『邪神』を『ブラックホール』に戻すのに、俺の力が必要なんだな?」
「そうよ!最初から言ってるじゃない!!」
いや、言ってなかったと思うけど……。
だが、それならやっぱり『ブラックホール』がどうやって『邪神』にされたかの情報が必要だな。
した方法がわからないと、戻す方法もわからないだろう。
「じゃあ……ええと、邪神ってのは何なんだ?『ブラックホール』は何をされて邪神になった?」
俺は話の肝になりそうな部分を聞いた。これがわかるかどうかで、話の難易度が大分変ってくるからな。
そう思っていると、ラーはポンと手を叩いた、
「そっか!それを教えなきゃ、いけないんだった!!」
「ブーくんは『魔珠』を植え付けられた。魔珠を植え付けられた神は『ワンランク上の神に進化する』わ。でも、その代償に、理性を失いただ破壊するだけの存在になるのよ」
魔珠…!初めて聞いたな。理性を失うとはいえ、神のランクを上げるなんてどう考えてもチートアイテムだ。簡単に手に入るものとは思えない。
つまり『ブラックホール』は魔珠の力で一段階ランクが上がって『邪神』になったのか。しかも理性を失い、破壊し尽くすだけの存在になってしまった。
ということは、やはり六日後の神界消滅は邪神のせいなのか。いや、邪神はフォルティアが『暗黒太陽』で神力を与えたせいで、もっと強くなっている。
おそらく、神界消滅はもっと早くなったと見るべきだろう。
そう考えていると、ラーの体から炎が噴き出した。どうも怒ると炎が上がるらしいな。ラーはプリプリと怒りながら怒鳴った。
「おまけに、あんた達がとんでもない量の神力を与えたせいで、ブーくんはこの宇宙の誰にも手に負えない強さになっちゃったのよ!だからあんた、責任とりなさい!!」
さて、話は最初に戻った。フォルティアの罪は俺の罪だ。それに邪神を止めないと、宇宙が滅びるんだから、こいつと一緒に邪神と戦うのは全く問題ない。
むしろ、強い戦力が増えてありがたいくらいだ。
というのも、俺は『暗黒太陽』のせいでCランク神まで落ちてるからな。それを補うために太陽に神力を吸収しに来たけど…。
太陽そのものであるラー本人が一緒に戦ってくれるなら、これほど頼もしいことはない。
「一緒に戦うのはもちろん構わんが、そこまで桁違いのやつ相手に、俺が役にたつのか?」
俺は得体の知れない相手を前に、不安になっていた。だがラーは、俺の顔を覗き込み、自信にあふれた笑みを浮かべて言った。
「もちろんよ、あたしは知ってる。あんたは、とても切り抜けられないような大ピンチを何度も経験しながら、すべて『新たな必殺技』を編み出して乗り越えてきたわ」
確かに俺は、ピンチを必殺技で乗り切ってきた。本当に死んでしまうと思ったことも少なくない……。
それらを乗り切ったのは、愛の力だ。
俺と正利の『究極の愛』…
そして…スライムや元盗賊、フォルティアたちのときみたいに……他人に対する無償の愛……!!
それらすべてが俺が”新必殺技”を編み出すキーになっている!
これまで培ってきた愛の力があれば、多少のランク差は必殺技で埋められるだろう。
俺が愛の力に思いを馳せていると、ラーも大げさに身振り手振りを加えながら、興奮した様子で俺の力について語ってきた。
「奇跡の大逆転なんて、そう何度もできるわけない!絶対に、あんたには数値や技術では説明できない何かがある。だから、あたしの力のすべてを託すわ」
「力を託す?」
俺は言葉の意味を理解できず、ボーっとしていた。
そんな俺を見て、ラーはすごく楽しそうに、ニカッとまぶしい笑顔を見せて、言った
「話してみてわかった!やっぱりあんたには、これを渡すだけの価値があるもの!」
そう言って、ラーは赤く輝く宝石が埋め込まれたネックレスを渡してきた。
「これを首に下げていれば、私の神力を自分のものと同じように使えるわ。つまり私の神力球を吸収したのと同じことね」
そう言われてネックレスを首から下げた。すると、体の底から神力が沸き上がってきた。ネックレスを通じて、ラーの神力が俺に流れ込んでいるのか。
俺は自分の体に流れる神力の多さに、圧倒された!ランクにするならSSS…それ以上か?
俺はネックレスの桁違いの神力に感動した!しかし、一方でこのパワーでもどうにもならない邪神という存在に不気味な不安を感じずにはいられなかった……。




