龍神フォルティアの過去~強くなりたい理由~
1536年8月 信孝22歳 信秀26歳 証如22歳 蓮淳72歳
【神界 ベルトワ皇国 邪龍フォルティアの宮殿 玉座の間】
俺は目の前で巨大な龍が少女になったことで、呆気にとられていた。さすがに、こっちが本当の姿ってわけじゃないよな…。
多分、俺の部下として活動しやすいように、人間に化けてくれたんだと思う。それなら概ね問題ない。
「どうしたんじゃ?ご主人様?わらわを部下にしたんじゃから、何か命令しておくれ」
邪龍フォルティアは、神聖樹になった俺の幹にしがみついて体を擦り付けた。相手は中学生くらいの身体だが、それなりに胸もある。
だが、俺には心に決めた相手がいるんだ。こいつに抱き着かれたところで何ということもない。
第一、植物になってしまった俺に性欲があるかも怪しいしね。
『まずは俺から離れてくれ。その上で…そうだな『神力』について詳しく話してくれよ』
俺がそういうと、フォルティアはあからさまにがっかりした。そしてため息をついて、こう言った。
「ふう、なんじゃなんじゃ、こんな可愛いおなごが抱き着いておると言うのに離れろとは」
フォルティアは頬を膨らませてプリプリと怒った。
まあ俺も女性に興味がないわけじゃないが…。
今愛している相手は男だし、そもそも俺は植物なんだから女性に抱き着かれて喜ぶのも変だろう。
とりあえず俺はツタを器用に操り、フォルティアを引き離した。
引き離されたフォルティアはがっかりしたような表情を見せたが、すぐに立ち直り元気に笑った。
「全く、なんともつれないご主人様じゃのう。まあよい、『神力』についてじゃな」
フォルティアの話によると…
人間やドラゴンは『魔力』を使って魔法を使う。
だが『神』は『神力』を使って『神術』を使うのだそうだ。
そういえば2050年のたかしの記憶でも、時間遡行は魔法では無理だと言っていたな。逆に言えば、神術ならそれが可能だってことだ。
つまり神術とは神にしか使えないエネルギーによって、魔法では不可能な現象を起こす技術…ってとこか。
「ご主人様はわらわとの戦いで『神聖樹』に進化したじゃろう?じゃから魔法でなく神術を使うようになったわけじゃ。」
そう言われて俺は少なからずショックを受けた。あんまり自然に言うので聞き逃しそうになったが、俺はさっきの戦いで『神に進化』したらしい。
「人間やエルフは魔法、神は神術か…。俺は神になったのか?」
俺は世界樹と同じ素材で作られ、人間の記憶を埋め込まれたアンドロイドだ。でも気持ちの上では人間の『望月たかし』のつもりだった。
それが、アンドロイドでも人間もどきでもなく神になってしまったのか…。
稙宗はこの試練を突破しているはずだ。やつもきっと神なのだろう。だから、正利を始めとして信秀や康孝達を護るために、俺が神になることは必要だ。
けど、何か大切なものを失った気がする…。
俺が落ち込んでいると、フォルティアが励ますつもりなのか騒ぎ出した。
「こりゃ!ご主人様が神力について話せと言うたんじゃろが!まだ話は終わっとらんぞ!」
フォルティアに怒鳴られて、俺はハッとした。そうだ、俺は神術について知らないといけない。
しずくを救うため、俺は人生をかけて『時間遡行』ができる技術を探している。もしそれがが神術でしかできないなら、俺は絶対に神術を深く学び研究しないといけない!
俺は悩みを振り払って、フォルティアに質問を続けることにした。
そんな俺を見つめながら、フォルティアはニヤニヤとほほ笑んだ。
「おお、なんだかよい表情になってきたではないか。ふふふ、さすがはわらわのご主人様じゃ!」
「からかうなよ。質問を続けるぞ」
俺は緩みそうになった雰囲気を切り替えて、今度こそ質問を続けた。
「神力をとられ過ぎると、『神格』が下がるのか?『神格』って何なんだ?」
「神格は神力の容量によって神様の格を測ったものじゃな。わらわはそこそこ強いつもりじゃがBランク神じゃ」
神の格付けというのは分かるがBランク神?ラノベのギルドやモンスターの格付けみたいだな。
「神力が高ければ、神格が高まるのか。神格が高いとどうなる?ただ強いとか偉いってだけか?」
「大まかにはそうじゃな。ただし、たくさん神力があればより高度な神術が使えるようになるぞ」
なるほど…。『時間遡行』はおそらく、かなり高度な神術だ。『時間遡行』を目指すなら、神力を桁違いに高める方法が必要ってわけだな。
とはいえ、2050年の記憶によると『時間遡行』は、宇宙三個分のエネルギーがないと使えないらしい。
つまり神術として使うにしても、宇宙三個分の神力が必要なんだろう。
今はそのエネルギーをどうにかする方法の方が欲しい。『宇宙を創る』能力を持つ孫悟空に会うために、『狙った宇宙に転移する』神術とかね。
………んん?今何か違和感があったような?何か…どうにかできる方法が今………
そう!確か…創造魔法?なんだっけそれ…?確か、正利が見せてくれた映像で…。
そうだ!アリスって子が進化したときに覚えたんだ!!どんな魔法でも作り出す魔法を!
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【大賢者エルフの独自能力】
『創造魔法』この世に存在しない、あらゆる魔法を創り出すことができます。宇宙を消滅させる魔法や創造する魔法も含みます。
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……宇宙を創造する魔法!?それじゃあまるっきり俺が欲しいものと同じじゃあないか!!宇宙が3つ創れれば、時間遡行魔法を使えるんだから……。
アリスか…。正利の映像では、オマッが正利に生まれ変わった後、アリスがどうなったのかはまるでわからない。
というか、あの映像から十五年も経った今、蝦夷地がどうなってるのかも不明だ。今もエルフが支配しているんだろうか?
「どうも、ご主人様は突然考え込む癖があるのう。全く目の前にこんな可愛い女子がおるというのに、何をそんなに考えておるんじゃ?」
おっと、思考の沼にはまってしまっていたみたいだ。あまりに反応しなかったために、フォルティアがプリプリと怒っている。
まずいな、さっきから怒らせてばっかりだ。これから先、こいつの力は多分必要だ。仲良くなれるなら仲良くなっておいた方がいいだろう。
俺は優しくなだめるような声で、言い訳をした。
「あ、ああすまん。ちょっと気になることがあったんだ。俺の目的に関わることでね」
俺がそういうと、フォルティアは興味深そうな顔をして、俺の顔を覗き込んだ。
顔と言っても俺は樹なんだよな。それなのに俺に視線を合わせられるってことは、フォルティアには俺の”眼”にあたる部分がどこにあるのか、わかってるってことか。
「ご主人様の目的?ほほう、ほほう!興味があるのう!何せわらわは部下になったんじゃからな。ご主人様の目的くらい聞かせてもらっても良いじゃろう」
何がそんなにフォルティアの興味を引いたのかわからない。だがフォルティアは嬉しそうに俺の幹の周りをくるくる回って、俺の目的を話すよう促してきた。
「ああ…そうだな。情報共有は重要だろう。俺の目的を話しておく」
「俺は……」
1.ベルトワ皇国とハルナ王国の戦争を、あと九日以内に止められなければ神界が滅ぶ
2.戦争を止めるため、ベルトワ皇国の皇帝に会いたい
「……というわけで、俺は皇帝に会って、戦争を止めるよう交渉しなけりゃいけないんだ」
フォルティアはさすがに神妙な表情になった。ぶつぶつと言いながら何かを考えている。
「ご主人様を神界に飛ばしたのは…恐らく創造神ゴニャータじゃな。宇宙を越えることのできる神術など創造神しか使えん」
また出てきたな創造神。しかし俺をここへ飛ばしたのは神愛の塔のアナウンスだ。それが神界の創造神なのかどうかは俺にはわからない。
フォルティアは俺の言葉を信じたらしく、座り込んでため息を吐き、悲痛な表情を浮かべている。
「創造神が滅ぶと言うなら、確かに神界はあと九日で滅ぶのじゃろ。ご主人様が『あやつ』を説得できなければ…」
ん?あやつ?もしかしてフォルティアは、ベルトワ皇国の皇帝と知り合いなのか?
「あやつとかって、随分と親しそうな呼び方だな?もし皇帝と知り合いなら紹介してもらえないか?」
俺はそう言った瞬間、俺の脳の高度計算機能が触れてはいけないものに触れたと、俺に警告を発した。
その瞬間、フォルティアが興奮した様子で、怒鳴りたてた。
「知り合いじゃと!?わらわとあやつはそんな浅い仲ではない!!」
俺はフォルティアの勢いに気おされてしまった。
だが話を進めないわけにもいかない。俺は気を取り直して、ぼそぼそと聞き返した。
「じゃ、じゃあ知り合いじゃなかったら、皇帝はお前の何なんだ?」
俺がそう言うと、フォルティアは満面の笑顔で飛び上がり、両手を左右に大きく広げて言った。
「それは!もちろん!!恋人じゃ!!!」
………は?俺は一瞬、何を言われたのかわからなかった。龍神のフォルティアが皇帝と恋人同士……?
いや、そうか…アイドルポイントだ。俺の都合のいいように因果がねじまがる…。つまり俺は、偶然たまたま皇帝と特に親しい者のところに導かれていたんだ。
「皇帝と恋人同士か…そうか、それは知らなかったな。ということは…皇帝は男なんだな?」
俺は当然のことを確認するつもりで聞いたのだが、フォルティアは頭から火を噴くほど憤慨した。
「何を言う!?あやつは、もちろん女じゃ!!それも超絶美人じゃぞ!!それに何より強い!!わらわなど相手にならん!」
話が理解の範疇を超え始めた。もし俺が同性愛者じゃなかったら匙を投げていたかもしれない。
俺は頭の中でため息をついた。そしてとにかく得られた情報をまとめ、できるだけ呆れた表情を見せずに話し始めた。
「ええと…つまり皇帝は女性で、女性のお前と恋人同士ってことでいいのか?」
フォルティアは鼻を高くして、自信満々に答えた。
「当然じゃな。幼馴染であり、愛を誓い合った仲じゃ」
しかし、だとすると妙だな。だって皇帝がフォルティアの討伐命令を出したのを見て、俺はここに来たんだし。
「愛を誓いあったなら、なんで討伐命令なんか出されてるんだ?」
俺にそう言われてフォルティアは目に見えて狼狽した。
「う!!そ……それは……」
フォルティアの様子は明らかに怪しいが、口から出まかせを言ってるようには見えないな。モジモジしていて、嘘というよりは恥ずかしいから言いたくないという風に見える。
細かい事情を聞いておいた方がいいかも知れない。
本当に幼馴染で恋人なら、皇帝を説得する上で必ずキーになるはずだ。
「ふむ、だったら詳しく話してくれないか?皇帝とお前のことを。もちろん嫌だったらそれで構わんが」
「おう!聞きたいか!?聞きたいのか!?わらわとあやつの愛の歴史を!!」
なんだかヤバい地雷を踏んだ気がするな……。まあ、皇帝との交渉に必要だから仕方ないんだが…。
俺は話が長くなりそうだと感じて身構えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
紀元前1464年2月 フォルティア324歳 ティティス(後の皇帝)324歳
【神界 ベルトワ皇国 皇宮 裏庭】
「だから…どうかわらわと恋人になって欲しいのじゃ!!」
「馬鹿め、そんなことを国民や国王が認めると思うか」
「じゃが、わらわとそなたは両思いではないか!ならば付き合うのに誰に憚ることもあるまい!」
「ふふふ、お前の生き方が羨ましいよ。いいだろう、ならば私を倒してみよ。龍族も魔族も『強い者に従う』掟は同じだ。私への愛を示すがよい!」
「馬鹿な!そなたは準Sランクとも言われる高位Aランク神ではないか!Bランクのわらわがどうやって勝てというのじゃ!」
「どんな手段を使ってもいい!私を愛するならば、私を倒すんだ!」
そしてフォルティアはあっさりと敗れた。
「フォルティアよ。我が愛しき人…どうか強くなってくれ。お前と付き合いたい気持ちは私とて同じだ」
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1536年8月 信孝22歳 信秀26歳 証如22歳 蓮淳72歳
【神界 ベルトワ皇国 邪龍フォルティアの宮殿 玉座の間】
「というわけなんじゃ」
なるほどな…。お互い愛し合ってはいるが、相手は皇帝だ。子孫も残さないといけない。女性同士で愛し合っても、周りが認めないというのはわかる。
「もちろん、それからわらわは努力を重ねた。神力について研究し、神格を高めるため神力をかけた決闘を繰り返した」
「神力をかけた決闘?」
そんなのがあるのか。確かに神力が高い方が神格が高かったり高度な神術を使えるなら、奪い合うことがあってもおかしくないか。
ルール無用の奪い合いにすると収拾がつかなくなるから、決闘という示し合わせて戦う形式にしたわけだね。
「決闘に勝ち、相手の神格が下がるまで神力を奪う。これを繰り返せば神力の最大値が上がっていく。Bランク神同士なら五十柱分ほど奪えばAランク神になれるのじゃ」
同ランクのやつを50人倒して、やっとランクアップか…。結構キツいな。
「じゃが、戦いは勝つこともあれば負けることもあっての。結局Cランクに落ちてはBランクに戻るというのを繰り返しただけじゃった」
フォルティアは座り込んで、悲しそうにしている。皇帝への愛がありながら、結果を出せない自分が悔しいのだろう。
「さすがにそうだろうな。同じ強さのやつにずっと勝ち続けるなんて難しいだろう」
「わらわとて、強くなりたい!!何とかして…強くなってあやつの隣に立ちたいのじゃ!!」
……そうか……そうだ!!
俺と同じだ。さっきこいつと戦っていたときの俺の想いと同じ…愛する者と隣に立ちたい!!
そう思うと、フォルティアの気持ちが痛いほど伝わってきた…。弱い自分を何とかしたい!!強くならなければ…という焦り…。
それでもどんなに努力しても空回りしてしまう。その絶望もわかる。
「話はわかった。どうやら俺はお前を、何とかして強くしなければならないようだ」
俺は強くなった。だが、フォルティアは弱いままだ。
俺と同じ悩みを抱え、純粋な愛を持っていながら、もがき続けてるやつをこのまま放っておけるものか。
フォルティアのため、そしてフォルティアを愛しているという皇帝ティティスのためにも!おれがやるしかない!!
「強くするって…わらわをか?じゃ、じゃがそこまでするメリットがご主人様にあるのか?」
「メリットなんて関係ない。俺もさっきまで愛する人の隣に立てないと悩んでたんだ。同じ境遇のやつを見て、魂が震えた」
恋愛以外で魂が震えたなんて…。初めてだ!だったらやるしかない。
「メリットも部下も関係ない。俺が助けたいんだ、だったら助けるしかないだろう」
俺はフォルティアをしっかりと見据えてそう言った。俺の純粋な気持ちだ。
「じゃ、じゃが一体どうやって、わらわを強くする?後九日で世界が滅ぶのじゃろ?それまでにわらわがあやつを超えられるというのか?」
俺は今回の勝利条件に付いて考えた。
まず、この話だとフォルティアが強くなって自信をつける必要がある。小細工で勝ったとしても皇帝に並んだとは言えないからだ。
だから俺が皇帝と神力をかけて戦い、やつの神格を落とすという案はボツだ。
助言を与えて今の実力のまま勝たせるというのも無理だ。
正直言って、俺はこれまで脳筋な必殺技で勝ち抜いてきた。必殺技が効かないときは、もっと強い必殺技を生み出すことで勝ってきた。
そのため戦術や駆け引きと言ったものに極端に弱い。戦闘の助言をするのは無理だ。
つまり、純粋にパワーアップしてもらうしかない。だが、どうすればそれができるかというところは俺が考えないといけないだろう。
他の宇宙のエネルギーを与えて進化させる…のはリスクが高い。稲の化け物みたいに理性を失ってしまうかも知れないからな。
ん~………待てよ。要するにBランクの神を50柱倒せればいいわけだ。
「どうやっても何もお前が言った通りだ。50柱のBランク神を倒すしかない」
「それができれば苦労はないわい。わらわが3000年かけても無理じゃったんじゃぞ」
しかも途中で負けたら神力をとられるからな。50連勝じゃないとダメなわけだ。
脳の行動計算機能…植物になった俺のどこに脳があるのかはわからないが……。思考をしていると思われる部分に神力を集中してみる。
俺はこれまで、困ると脳の高度計算機能に頼ってきた。ある意味、俺の必殺技ともいえる。神力をそこに込めれば神術的な何かが起こるんじゃないか?
神力を込めれば込めるほど、俺の体が白く輝いた。段々と思考が加速してきた。見える…どうすればいいのかが見えてきた。
ふむ……なるほど、そうか。
大分無茶苦茶な話だが…確かにこの方法なら、資源の再利用にもなる。
米の中には神様が眠っている。これに特殊なエネルギーを与えることで、神様を覚醒させるんだ。そうすれば『米一粒がBランク神に』なる。
【Bランク神の作り方】
1.一度魔獣化した稲から米をとる
2.米に神力をたっぷり込める
3.他宇宙のエネルギーを限界までつぎ込む
そうすれば、米の中に眠っている神様が覚醒し、『米がBランク神になる』!
こいつらを50柱、倒せばAランク神になれるわけだ。
もし倒しきれず負けそうになったときは、俺が米神を倒す。これなら決闘に負けたわけじゃないから、フォルティアの神力は減らないはずだ。
「よし、一度魔獣化させた米に神力と他宇宙のエネルギーを与えてBランク神に進化させる。それをお前が倒していってくれ」
フォルティアは俺につかかってきて、枝を掴んで揺らしながら、ものすごい形相で俺に叫んだ
「おい!ホントかぁ!?ホントなのか!!ホントにできるのか、神を創ることが!!」
自分でもちょっと信じ難い話だが…。まあ、やってみて進化しなかったとしても、そこまで損があるわけじゃないしな。
「ああ、可能だ。米には元々、神様が宿っているんだ。そいつをパワーを与えることで覚醒させる」
フォルティアもドラゴンたちも呆れかえった表情だ。でも信じてないってわけじゃないらしい。
どちらかと言うと常識外れのことを平気で成し遂げることに呆れてるって感じだな。
「じゃあ、とりあえず米をとってくるよ。魔獣化した上で収穫した米がすでにあるんだ」
俺はフレンド転移で元盗賊たちの村へ向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【神界 ベルトワ皇国 ゲンタロー村】
ちなみにゲンタローは盗賊時代の頭目だ。
今回、村が再興されるので正式に村長になった。村の名前も彼の名をとってゲンタロー村とした。
フレンド転移でゲンタローの元に転移してくると、丁度良く村の食糧庫の前に出た。
「よう!また会ったな。少し米を分けて欲しいんだが」
もう何度か会って慣れてきたので気軽に話しかけてみた。だが俺は自分の姿が巨木になっていることを忘れていた。
「!!??樹…樹が喋った!?い、いやそれよりなんてでかい樹だ。一体どこから現れた!?」
確かにいきなり目の前に巨木が生えたら誰だってびっくりするだろう。ちょっと配慮が足らなかったかも知れない。
「いや、落ち着け。俺だ信孝だ。心配するな。邪龍との戦いで、ちょっと樹になってしまったが基本的には元の俺と変わらない」
ゲンタローは一瞬、戸惑った。そして俺の体を見回した。そして一度根を見てから、はるか上空にある樹の頂点を見上げた。
「信孝さん…なんですか…そうですか。わかりました。あんたのことだ、もうなんでもありってことですね」
ゲンタローは最初こそ驚いた様子を見せたが、諦めたのか落ち着いた様子になった。俺ならなんでもありということを受け入れたみたいだ。
「まあ、ともかく米をもらってくよ。50粒ほどでいい。また増やしてくるから減る心配はいらないぞ」
「また増やすんですかい?あまり増やし過ぎても保管場所に困りますが」
確かにそれはあるな…。いやフォルティアの宮殿はバカでかいんだ。米の保管場所くらいあるだろう。
「保管場所は決めてある。必要に応じて、こちらに運んでくればいいだろう」
「なるほど…あんたは本当に規格外ですね」
褒められたのかよくわからない言葉を言われた。まあ、非難されてるわけじゃないならいいだろう。
俺は神術で枝を食糧庫まで伸ばし、一握りほどの米を掴むと、フォルティア宮殿にいるスラ坊の元にフレンド転移した。
「転移魔法か…本当に何なんだあの人は…」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【神界 ベルトワ皇国 邪龍フォルティアの宮殿 玉座の間】
「よし!米を持ってきたぞ!後は、こいつを進化させるだけだ」
「本当に上手くいくのかのう…」
フォルティアは不安そうに、米を見つめる。
「大丈夫だ!俺はお前を勝たせると誓ったんだからな!!」
俺は自信満々にそう言った!
そして予定通り、米に神力を流し込んだ。米が白く発光し始めた。
さらに他宇宙のエネルギーを流し込んだ。一瞬、赤く発光した後で白い光と混ざってピンク色に光り始めた。
ドガアアアアアアアアアアアン!!!
例によって、宮殿全体を巻き込む爆発が起きた!この宮殿はフォルティアが暴れても大丈夫なように頑丈に作ってあるため、ビクともしない。
―――――田園フィールド―――――
どこからかそんな声が聞こえた。そして次の瞬間、周囲から一切の光が消え真っ暗になった。
「な、なんじゃこれは!?一体、何があった!?」
これはまさか、進化した米神がやってるのか?一体どんな能力だ?
俺達が慌てていると、突然足元が柔らかい泥に変化した。それにより俺達の身体が泥の中に沈み始めた。
「ま、まずい!!この泥…ただの泥じゃないぞ。まるで身動きが取れない!!」
「そ、それだけではないぞ!この泥…わらわの神力を吸っておる!!」
周りが暗くなって…しかも神力を吸う泥だと!?ヤバいな、思ったより米神が強い…。しかもこう暗くちゃ、どこにいるかわからないから攻撃しようがない。
「まさか……まさか……この神力は……」
「どうした?」
「この神力の大きさはBランク神などではない!!米神はあやつと同じ…Aランク上位じゃ!!」
こうして、軽く倒せる神を創ろうとした俺は、この神界でトップクラスの最強神を創りだしてしまったのだった。




