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正利の隣に並ぶために

1536年8月 信孝22歳 信秀26歳 証如22歳 蓮淳72歳


【神界 ベルトワ皇国 帝都 ベルディナス周辺】


 よし帝都の付近まで戻って来たぞ。


「ゲンゾーさん、じゃあ話し合った通り門を抜けたらフレンド転移で俺を呼んでくれ」


「あ、ああ。あんたの役に立てるなら嬉しいよ」


 あの後、盗賊たち全員とフレンド登録をした。


 それで、犯罪歴のない(盗賊たちは一人も殺してないし、襲ったのは俺が最初だったらしい。)者に帝都に入ってもらい、フレンド転移で中に呼んでもらおうというわけだ。


 とはいえ、皆でぞろぞろ来たら怪しいので、ゲンゾーさん以外の者には、住んでいた村に米を運んでもらっている。


 スラ坊に入ってもらうことも考えたが、魔物が門から入ったら怪しすぎる。下手したら討伐されてしまうかも知れない。やはり人間に頼むのが正解だ。


 そう言ってるうちに、ゲンゾーさんが門番に止められた。そして鑑定の魔道具に手をおいた…。どんな結果が出たかはここからじゃ見えないな。


 フレンド魔法について質問されなきゃいいけど…。


「よし、問題なし!通れ!」


「ありがとうございます」


 どうやらゲンゾーさんの鑑定結果に問題はなかったようだ。ここでは犯罪歴があるかどうかだけ見てるのかもな。俺の名前が二重だったのもあまり強くはツッコまれなかったしね。


 そんな風に考えていたら、突然目の前の景色が移り変わった。どうやらゲンゾーさんがフレンド転移で呼んでくれたらしい。


「おお!ここが帝都か。ありがとうゲンゾーさん」


 どうにか帝都に入ることができたな。


 この帝都でやるべきことは二つある。一つはとにかく支持者を増やしてアイドルポイントを上げること、もう一つは皇帝に会うことだ。


そもそもの目的は戦争を止めることだからね。

 

 しかし、まずは何をすればいいかな?この神界はラノベなんかでよくある剣と魔法の世界に似ている。


 だから皇帝に会うために手っ取り早く名を上げるなら、ギルド…みたいな組織を見つけて、強い魔物を狩ればいいんだろう。


 けど、それには問題が二つある。一つは犯罪者の俺はギルドに登録できないだろうということだ。もう一つは、ゆっくり冒険者ランクとかを上げてる暇がないってことだな。


 何といってもゲンゾーさん達、元盗賊を助けるのに一日使ってしまった。神界が滅びるまであと九日しかない。


 一刻も早く皇帝と会って、停戦の交渉がしたい。そのためには、大手柄をあげて嫌でも皇帝の目に留まるようにするしかない。


 だが…そんな都合の良いことが可能だろうか?途方もなく思える目標を前に、俺は不安に押しつぶされそうになっていた。


 それでも俺は何かヒントを探そうと、やる気をふりしぼって帝都の街並みを歩いていた。


 しばらく歩き回るうちに、俺は帝都中に同じ内容の張り紙がしてあることに気づいた。


「皇帝勅令?」


『”邪龍ファルティア”を討伐せし者 過去の経歴を問わず 公爵位を与えSランク冒険者とする』


 邪龍ファルティア?そんなのがいるのか?そいつを倒せば公爵位とSランク?大盤振る舞いにもほどがあるな。それほど邪龍が国にとって脅威ってことか?


 よし!これしかないな。これまでは暗闇を手探りで進んでいるような気持ちだったが、急に目の前が開けた。


 邪龍を討伐して皇帝に会おう。公爵位をもらうときには必ず会えるはずだ。だとしたら、まずは邪龍がどこにいるか調べないと…。


 しかし名声を求めてるとき、丁度よく討伐依頼があるなんて、ちょっと出来過ぎてるな。……そうか、こいつが『因果を捻じ曲げる』っていうアイドルレベルの効果か?


 そう考えると嬉しい反面、恐ろしい気持ちになる。このまま成長したら、俺の能力はどれだけの人を巻き込むのか…。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1536年8月 信孝22歳 信秀26歳 証如22歳 蓮淳72歳


【神界 ベルトワ皇国 帝都 ベルディナス 酒場 あすなろ】


 そんなわけで、俺達は邪龍の情報を集めるために、人の多そうな酒場を訪れた。ガラの悪い奴らが多くて、あまりいい気分じゃないがとにかく情報を集めないと始まらない。


 しばらく聞き込みをした結果、いくつかの情報が得られた。


 邪龍の名前はファルティア ファルティア山脈の頂上に住んでいる。今フォルティア山脈から帰ってきたのに、また行くのか…。


 まあいい、フォルティア山脈には、まだ盗賊だった皆がいるはずだ。面倒だが、もう一度フレンド転移で呼び戻してもらえばいいだろう。


 俺はフレンド通信で元盗賊の長老と連絡を取った。


「聞こえるか?ちょっとフォルティア山脈に戻らないといけない事情ができたんだ。俺をそっちに飛ばしてくれ」


 念のため、ゲンゾーさんは帝都に残しておこう。用があるときに戻って来れるからな。


「何だ?あんたら帝都に行ったんじゃなかったのか?まあいい、こっちに呼べばいいんだな」


 目の前の景色が切り替わり、ふたたびフォルティア山脈に戻ってきた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1536年8月 信孝22歳 信秀26歳 証如22歳 蓮淳72歳


【神界 ベルトワ皇国 フォルティア山脈中腹】


「よお!米は大体運び終わったぜ。こいつで最後だ」


 結構な人数がいるとはいえ、一年分の米をよく一日で運んだな…。誰かアイテムボックスみたいな魔法を使える人がいるんだろうか?


「よしよし、これで盗賊…いや村人たちの生活は安定だな。軍に奪われるようなら言ってくれ。もう一回出すから」


 できれば、税の分以外は持っていかれないのが理想だが…。そこは戦争を止めることで対応するしかないな。


「それで、なんでフォルティア山脈に戻って来たんです?」


 長老は不思議そうな顔で聞いてきた。何せ、さっき王都に向かって旅立ったばかりだからな。


「ああ、皇帝に会うためには邪龍を倒して名を上げないとダメなんだ。だからフォルティア山脈の頂上に邪龍を倒しに行こうと思ってね」


「邪龍をですか!?あんたがすげぇのはわかってるが、本当に大丈夫なんですかい?」


俺はあまり自信を持てなかったが、不安な気持ちを押し殺して笑顔で、腹から声を出して言った


「ああ!もちろんだ!!俺の力を知ってるだろ。邪龍なんか余裕で倒してやるぜ!」


 邪龍が何者なのかは、現状まったく不明だ…帝都で聞いた感じではとにかく恐ろしいということしかわからなかったからな。しかし時間がないのも確かだ。


 まあ、本当にヤバいときは転移で逃げよう。


 そう考えながら、俺とスラ坊とスラ子はフォルティア山の頂上に向かった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1536年8月 信孝22歳 信秀26歳 証如22歳 蓮淳72歳


【神界 ベルトワ皇国 邪龍フォルティア宮殿の付近】



 フォルティア山脈の最高峰、フォルティア山の頂上には巨大な宮殿があった。かなりでかいな。山の上にもう一個、山が乗ってる感じだ。そしてその周囲では上空をワイバーンが飛び回っている。


「あれが邪龍の宮殿だろうな…」


俺は気の抜けた声でそう呟いた。


俺は宮殿の大きさに圧倒されていた。邪龍もあの宮殿にふさわしい大きさなのだろうか?


身がすくむ……。だが他に皇帝に会う方法もない。やるしかないんだ…!


俺はどうにか覚悟を固めて、宮殿に近づいていった。


 すると、宮殿の前にいたドラゴンが声をかけてきた。この門番ですでに、こないだの稲の化け物くらいでかいな。邪龍はもっとでかいんだろうか?


 俺は門番のドラゴンを見上げた。でかいがそこまで圧迫感はないな…。脳の高度計算機能がこいつなら倒せると判断したようだ。


「お前たち人間とスライムだな。フォルティア様に何か用があるのか?」


 ここで舐められてはいけない。俺は胸を張り相手を挑発するように言った。


「ああ、人間の都では邪龍の討伐に、褒美が出るんだ。だから、邪龍と戦わせて欲しいんだが」


 俺がそう言うと、門番のドラゴンは黙り込んでしまった。不思議と怒った様子ではない。どちらかというと呆れたという表情だ。


 そりゃあまあ、いきなり宮殿に来て主を殺しに来たと言われれば、言葉を失うのも仕方ないだろう。だが、こっちも急いでいる。あと九日しかないんだからな。


「フォルティア様は、客は誰であれすべて通すようにおっしゃられている。ただし、一度宮殿に入れば生きて出てこられるとは思わない方がいいぞ」


 どうやら入れてくれるらしい。人間が邪龍を殺せるなんて思っていないから余裕なんだろう。


 たが、命の保証なしか…。邪龍は訪ねてきた客を皆殺しにしているってことか?


 気分が滅入る。脳の高度計算機能が邪龍の危険性を警告しているのだろう。


 討伐に来た以上、返り討ちにされても文句は言えない。この先に進んだら死…。


 俺はにやりと笑った。そして正利のことを考えた。真実の愛…今、俺はそれを超えようとしている。多分、これなんだ。邪龍こそ超えるべき壁なんだ。


 体と心にやる気が満ちてきた。ようし!ここを超えて、もう一つ強くなるんだ!!


「ああ、もちろんだ。何せ俺は勝つつもりだからな。さっそく邪龍のところに案内してくれ」


 俺は落ち着いて、ゆっくりとそう言った。心は穏やかだが、神経は集中している。ベストな状態だ。


「いいだろう。それではフォルティア様のもとに案内する」


 門が開き、中から案内用のドラゴンが出てきた。そして、彼の案内で俺は邪龍のいる『玉座の間』にやってきた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1536年8月 信孝22歳 信秀26歳 証如22歳 蓮淳72歳


【神界 ベルトワ皇国 邪龍フォルティアの宮殿 玉座の間】


 玉座の間もドラゴンサイズだ。琵琶湖ぐらいの大きさがあるんじゃないか?人間が歩いて奥まで行くのは無理がある距離だぞ。


 びっくりはしたが、心は落ち着いている。大丈夫だ、このまま戦いに挑めばいい。


 俺は筋肉の制御を開放し、全力で走って玉座に近づいた。数分ほどで、邪龍の足元にたどり着いた。


「あんたが邪龍か…」


 俺は目の前に、山のようにそびえたつ邪龍を見上げた。しかし、頭の先は見えない。身長が富士山より高そうだからな。見えるわけもないか。


 そんなことを考えていると、重苦しい声が遥か天空から降ってきた。


「愚かなる人間よ。我に何のようだ」


 俺は余裕を失わず、ニヤリと笑った。そして、少し軽い声色で言った。


「あんたを倒せば公爵になれるそうなんでね。これと言って恨みはないが倒させてもらう」


 周囲のドラゴンがざわつく。人間ごときが…と思っているのだろう。


 この様子からすると邪龍はドラゴン達の王なんだろう。皇帝が討伐させようとするのも領土内にもう一人王様がいては権威が下がるからかも知れない。


 人間の軍隊とドラゴンの軍隊じゃまるきり強さが違い過ぎるしね。皇帝の軍隊より強いのが皇国内にいちゃあ困るわけだ。


「ほほほ、この暗黒の邪龍フォルティアに挑もうとは、面白い。お主も我が漆黒の闇に飲まれるが良い。」


 邪龍か…。見た目だけじゃあ、とにかくでかいとしかわからないな。敵うかは未知数だ。もっとも生物である以上、極小エネルギー弾さえ決められれば倒せるとは思う。変温動物だろうしね。


 それが無理…つまりナノ単位のエネルギー弾ですら、細胞内に入れられないとなったら、かなりピンチだな。


 これまで培った技が通用しないかも知れない。そう思うと少なからず恐怖が湧いてくる。だが心に邪龍への恐怖が生まれるたび、それ以上の正利への愛が満ちていく。


 俺の心に一つの言葉が浮かぶ


『壁を超えろ!!』


 俺の心が炎のように燃え上がった。


 そうだ。そうなんだ。とてつもない魔法が使える正利と比べて…


 俺は弱い!弱すぎるんだ!!あいつの横に並ぶためには壁を超えないといけない!!


 壁を超えろ…邪龍を倒して、壁を超えるんだ!


 俺は、邪龍の頭があるであろう遥か天空を睨みつけた。さあてやるぞ。成長だ、壁を超えろ!


「漆黒の闇だか知らないが…。俺は負けるわけにはいかないんだ。仲間と恋人と俺自身のためにも!」


「そうか。ならばそれもよし。我の封印されし闇の炎に飲まれるが良い」


 そう言うと、邪龍は大きく口を開けた。


邪黒炎イーヴル・ダーク・ファイア


 邪龍がそう唱えると、邪龍の身体が一瞬陽炎のように揺らめいた。そして太陽から発せられるコロナのように、邪龍の身体から光の帯が発射された。


 周囲に極小エネルギー弾を放っているからわかる。この光の帯それぞれが100万℃の熱を持っているのだ。不用意に触ると溶かされてしまう。


 だが光の速さが相手では、俺がいくら筋肉や脳の制御を開放したところで避けきれるわけがない。


 俺は極小エネルギー弾で体を覆い、熱光線が入ってこないようにした。俺自身の体内にも極小エネルギー弾を入れて、もし食らっても体温調節できるようにした。


 だが、光の帯は極小エネルギー弾を軽々とぶち抜いて俺の体を燃やし始めた。


 俺の体が燃えていく。極小エネルギー弾で残った細胞をどうにか繋ぎ合わせようとするが間に合わない。


 て…転移…ダメだ…フレンド転移は触れているものがついてきてしまう!転移しても炎が付いてくるじゃ意味がない!!


 そのとき、スラ坊が叫んだ!


「スライムごっこだよ!液体化すれば燃えないよ!!」


「そ、そうか!!」


 俺自身は魔法が使えないが、液体化の魔法はスラ坊たちが使えるはずだ。


「フレンド転送!液体化魔法!!」


 スラ坊がそう唱えると、俺の体が液状化していった。


「待って!蒸発したら元に戻れなくなるわよ!!」


 慌ててスラ子が叫んだ。それはまずい!!


 そう言っている間にも俺の体が蒸発し始めた。まずい、このままじゃ本当に元に戻れなくなるぞ。


 それどころか思考をつかさどってる部分が蒸発してしまえば、死んでしまう。


 俺は夢中で他宇宙のエネルギーを、脳と思われる部分に流し込んだ。一か八かだ。あの稲の化け物みたいに進化できれば、勝ち目があるかも知れない。


 このまま蒸発して死ぬよりはいいだろう。


 脳の制御が限界まで開放されているらしく、死ぬ間際だというのに俺は冷静に生き残るための策を打っていた。


「いけえええ!!!死んでたまるか!進化しろ!いい加減に!!俺は……俺を超えるんだ!!」


 俺を……超えろ!!


―――――――――――――――――――――――――――――――


『やはりそうか……普通の魔法では時は戻せないと……』


『ああ、人間やエルフの使う魔法では無理だ。神か仙人と呼ばれるものなら可能かも知れないが……』


『だが、神を人工的に作り出すことが可能なのか?』


『世界樹なら……進化させて神聖樹にできるかも……』


『じゃあ、アンドロイドのボディを世界樹と同じ素材にできれば…!!』


―――――――――――――――――――――――――――――――


 ………!?なんだ…?今の記憶は?2050年のたかしの記憶か?神でなければ時間遡行魔法は使えない…。


 そう考えた瞬間、俺の体があのときの稲の化け物と同じように赤く発光し、振動し始めた。そして、琵琶湖ほどもある玉座の間全体を巻き込むほどの大爆発を起こした。


 ドギュワァァァァァン!!!


 爆発の後に残ったのは、一本の小さな苗木()だった。しかし、そこから無数の枝やツタ、根が伸びて玉座の間全体を覆っていった。


 最初は枝もツタも邪龍の光の帯で燃えていた。しかし、枝に葉がついてから状況が変わった!


 進化した俺は葉っぱから魔法を吸収できるらしい。俺の意思とは無関係に光の帯の方に枝が伸びていき、魔力に変えて吸収した。


 俺は玉座の間を覆いつくすほどの巨木になった。見た目は植物なのだが、意識は人間のときと変わらずある。


 そして口はきけないが、テレパシーのようなもので会話ができるみたいだ。


 邪龍は俺から伸びたツタでグルグル巻きにされている。そしてすべてのツタから葉っぱが生えて、邪龍の魔力を吸っている。


『どうだ?いくら邪龍でも魔力が無限ってわけじゃないんだろ?このまま吸いつくされる前に降伏した方がいいんじゃないか?』


 邪龍も神界の人口に含まれてるなら、できれば殺さず仲間になってくれた方が助かる。第一、こいつは知的生命体だ。殺せば俺は活人の誓いを破ることになるからね。


 それにドラゴンの王を殺したら他のドラゴンの恨みも買うだろう。九日で世界が滅ぶときに不用意に敵を作りたくない。


「わ、わかった!わかったからあ。これ以上『神力』を奪われたら、わらわの『神格』が下がっちゃうよお」


 ん?なんだか子供みたいな口調になったな?それに『わらわ』ってことは邪龍は雌なのか?


 いや、それよりも『神力』ってのは何だ?俺が吸ってるのは魔力じゃないってことか?


「そうだな、助けるのはいいが…。その『神力』やらについての情報と…討伐した証明のため、帝都に一緒に来てもらうぞ」


 とりあえず邪龍に乗って皇宮に行けば、皇帝に会えないってことはないだろう。国が恐れるくらいの戦力だからな。丁重に迎えてもらえるんじゃないか?


「わかった…。わかったから拘束を解くのじゃ!」


 邪龍は拘束されて動けない体を必死によじりながら、解放を要求してきた。


 さっきまで偉そうな口調だったのに、随分弱弱しくなったな…。何かの罠じゃないといいけど…。


「ドラゴンの皆もそれで構わないのか?」


「もちろん、姫のお言葉なら従います。それに姫を屈服させるような方に我らでは束になっても敵いませぬから」


 ドラゴンが束になって敵わないか…。進化は賭けだったんだが大成功だな。


 壁を超えた!!その思いが俺の心を満たした。やった、やったんだ!!


 俺はあの強い邪龍を圧倒した!これなら、自信を持って言えるぞ。俺は…正利に並ぶにふさわしい男になれたんだ…!!


 稙宗と戦うにしても、相手の魔法を吸収できるのは大きい。少なくとも稙宗は植物じゃないだろうから、同じ能力ってことはないだろう。


 でも…そうだな。植物になったせいで、まともに動けなくなっちゃったのは大誤算か。何か対抗策を考えなくちゃいけない。


「早く、拘束を解くのじゃ。何でもするからお願い…」


 おっと、そうだったな。俺が念じると枝やツタはするすると短くなっていった。単に成長させるだけでなく縮めることもできるみたいだな。


 枝やツタをしまうと、俺は幹回り30m・高さ120mほどの巨木になった。これが基本のフォームみたいだな。


「ふう、助かったのじゃ。約束じゃから、お主の部下になるぞ。わらわは龍神フォルティアじゃ。これからよろしく頼むのじゃ」


 そういうと、フォルティアの身体が急速に縮み始めた。


 そして俺より少し小さいくらいになったところで、中学生くらいの人間の姿になった。


 そして愛らしい笑顔を俺に向けた。


「よろしくのお!ご主人様!」


 こうして俺のもとに、また新たな仲間が増えた。

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