初めてのツープラトン成功!
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1536年7月 信孝22歳 信秀26歳 証如22歳 蓮淳72歳
【尾張国 聖王城 仮設道場】
来た!!来たぞ!康孝の体が再生され始めた!全身の再生されてなかった部分が塞がっていく。
「やったな…ついに脳の高度計算機能を開放できたんだ。」
俺は感慨深い思いで、そう呟いた。
しばらくすると、康孝の体が完全に再生され、意識を取り戻した。
勢いよく起き上がった、康孝は目を覚ますなり大きな声で叫んだ。
「あ、兄上!!」
康孝は、勢いよく俺に走り寄り抱き着いてきた。
「兄上!兄上!やりましたぞ!!私は…私は清康公を倒し…脳の高度計算機能を開放したのです!!」
俺は康孝を抱き返して、彼の健闘をたたえた。
「そうか、そうか!よくやったぞ。康孝!お前ならやれると思ってたよ!」
康孝が脳の高度計算機能を使えれば、ツープラトンにぐっと近づくことができる。それに何より、この世界でできた最初の仲間である康孝が無事で本当に良かった。
「兄上!そうなんです。私は清康公と戦って…。そ、そうだ!兄上!清康公が!夢に清康公が出てきて…!」
「清康兄上が…?」
話を聞くと、康孝はどうもこの一分間、死に際で夢を見ていたらしい。その中で清康と戦い、脳の高度計算機能で清康の秘技を破り、活人剣を編み出したそうだ。
「そうか…夢に清康兄上が出てきたのか。そして清康兄上と戦い、勝ったと」
夢に清康が出てきたのはまだわかるとしても、康孝も知らないはずの必殺技を放ってきて、康孝がそれを返したというのは、ちょっと異常だな。
夢はあくまで康孝の記憶から作られているはず。だから昔、康孝は清康の技を見たことがあるはずだ。恐らくは、幼いころだったとかで忘れていたんだろう。
「それで、その無刀斬りとやらは、目覚めた今でも使えるのか?」
そこが重要だ。ただの夢だったっていうなら意味ないからな。
「そ、そうですな。試してみましょう」
康孝がそういうので、俺は刀を抜いた。
「では、お願いします」
康孝がそう言って、脳の制御を開放したのを確認し、俺は康孝に斬りかかった。
ビシュッ!
カランカラン……
俺が斬りかかった刀が、康孝の手刀によって折られ、刀身が転がった。
「お、おおお!!」
「どうやら普通に使えるようです。蘇ってきた甲斐がありました。」
「いいぞ!いいぞ!やったな!康孝!」
俺は康孝の手を握り、上下に振り回して喜んだ。
いける!いけるぞ!この技が使えるのは大きい。刀や槍に勝てるのはもちろんだが、訓練すれば種子島の弾くらいは撃ち落とせるようになるはずだ。
そして現時点でマシンガンや手榴弾を持ってるのは、味方の本願寺だけだからな。”四神の焼き印”を押されたやつがでてこない限り無敵と言っていいだろう。
「それと…そうだ!清康兄上の使っていた”風斬り”だったか?脳の高度計算機能があれば再現できそうだね。」
酸素や窒素など透明な原子を見ることはできないが、空気の流れを感じ取ること自体はできそうだ。これまでの数倍のスピードで動けるようになるのはでかい。
「おお!さすが兄上、脳の高度計算機能を以前から使いこなしているだけはありますな。」
「いやいや、もちろん康孝にも使えるようになってもらうぞ。それに今回の特訓の総仕上げとして、”風斬り”を使ったツープラトンを思いついたんだ。それを康孝の卒業試験にしよう」
“風斬り”でただ空気を吹き飛ばすのではなく、空気に回転を加えれば…それも二人で断続的に加え続けることができれば、十分必殺技になるはずだ。
ただ…これは威力の調整がまだ難しそうだな。必殺技にはなっても不殺の活人兵器に昇華させるには、ちょっと訓練期間が足りない。
「か……”風斬り”を応用したツープラトン!?」
康孝が驚愕した表情を浮かべる。そこまで驚かなくてもいいだろう。脳の高度計算機能を開放できた今、このくらいの技は普通に使えてあたりまえだ。
「ああ、清康兄上は空気を吹き飛ばすことで、超音速で動いてたんだろ?俺達はただ吹き飛ばすだけじゃなく、空気に回転を加え竜巻を作り出すんだ。ツープラトンなら、それも可能だ。」
そうだな…ただ二人で空気に回転を加えるよりは……そうだ!俺が康孝を抱きかかえて回転し、康孝が回転方向に向かって空気を吹き飛ばせばいいんだ!
見た目的にもプロレスのツープラトンに近くなるしね。
「ふ、二人で空気に回転を加える…ですと!?」
「そうだ。俺が康孝を抱きかかえて、その場で回転する。康孝は回転してる向きに合わせて空気を吹き飛ばす。これで俺が回転する度、周りの空気により強い回転が加えられていくというわけさ」
康孝の前の空気は前に押される。抱えてる俺が一周することで空気は回転力を得て、元の場所に戻ってくる。回転力が強くなれば、いずれ周りの空気を引き込んで、空気の渦となるんだ。
「あ、兄上が私を抱き上げるのですか?」
康孝がちょっと慌てた表情で聞き返してきた。顔が赤い、抱きかかえられるなんて子供っぽいとでも思っているのだろうか?多少恥ずかしくても二人の技を完成させるためだから、我慢して欲しいところだ。
「ああ、そうだ。男同士だし、別に問題ないだろ?」
「そ、そうですな。なんというか…多少、気恥ずかしいものはありますが、問題ないでしょう」
康孝が妙にそわそわするのが、少し気になったがまあいいだろう。さっそく試してみなくちゃね。
「よし!じゃあやってみようよ!試してみたいんだ、俺と康孝の初めてのツープラトンを!」
幸いここは仮設道場だからな。少々壊れても直すことは難しくない。
「え、ええ!!わかりました!私も、試してみたいです!兄上の大技に私もついていきたい!」
「よし、じゃあ行くぞ」
俺は両腕で康孝を抱き上げる。そして全力で回転し始めた。
「よしいいぞ!ここから康孝の手刀で、回転してる方向に空気を弾き飛ばすんだ!」
「ははっ!!」
康孝が脳の高度計算機能で空気の流れを読み、手刀で空気を弾き飛ばす。
そうして空気を回転に巻き込んでいく。回転が速くなるほど巻き込む空気が増えていき…空気の渦が生まれた。
「いくぞ!このまま…回転が音速を越えれば…!!!」
俺の回転が音速を超える!康孝もさらなる速度で空気を巻き込んでいく…!!
「これが俺達の最初のツープラトン!!飛翔・大竜巻だ!!!」
空気の渦が竜巻になり、周り中のものを巻き込み粉砕していった。仮設道場はもちろん、城の周りの木々やそれらが生えている地面の土も巻き込んでいく。
「あ、兄上!これ以上はまずい!!城まで巻き込んでしまいますぞ!」
「あ、ああ。ちょっとやりすぎちゃったね。」
俺は回転を止める。それまで生成された竜巻が、俺達から解き放たれて飛んでいく。竜巻は山の峰を削り上空へ吸い込まれていった。城は無事だが、山の一割ほどは吹き飛ばしてしまったな。
俺は抱きかかえていた康孝を下した。
「うーん、やっぱりこの技は威力の調整に難があるなあ。竜巻で吹き飛ばした敵兵を安全に着地させられる方法があればいいんだけど。」
「そうですなあ。しかし相手を気絶させ、かつ殺さずに着地させるとなると容易ではありまんぞ。」
確かにそうだな…。大怪我させてでも相手を動けなくさせて…かつ殺さない。脳の高度計算機能があれば可能かも知れないが…さすがに、十分な訓練をしないと難しそうだね。
「とにもかくにも、卒業試験は合格だ。これで稲葉山に攻め込む準備は整ったぞ!」
この技は調整が必要だが、これができるなら本来やるつもりだった手榴弾を使って”地割れ”を起こす技は可能なはずだ。稲葉山は十分に落とせるだろう。
「おおっ!ついに稲葉山攻めですな!私も頑張った甲斐がありますぞ!」
「兵を集めろ!稲葉山城にできるだけ接近するぞ!」
洗脳兵を稲葉山付近まで移動させ、出てきたところを地割れに落とす。これを繰り返せば相手は籠城するだろう。
だが兵の少ない状態で籠城すれば、曲輪も城内も目の行き届かないところが多くなる。だったら要所要所を”風斬り”で抜けるだけで十分、長井規秀を捕縛するまで行けるはずだ。
大決戦で戦う勢力を減らすために、ここは勝たないといけない!ただ…本当にもしものときは、敵に犠牲を出してでも”大竜巻”を使わないといけないかも知れない。
まあ、そんなことにはならないだろう。俺達の活人兵器”地割れ”で十分、稲葉山を落とせるはずだ。
こうして俺達は、従属させた門徒兵のうち二千人を引き連れて、稲葉山城へ向かった。




