近代武器VS進化した能力
1536年 7月 信孝22歳 信秀26歳
【尾張国 聖王城 評定の間】
本願寺軍
大将 願正寺蓮淳
総兵力 10,000人
マシンガン専門兵 10,000人
マシンガン 12,000丁
手りゅう弾 30,000個(一人3個ずつベルトに吊り下げ)
兵糧 30日分
聖王軍
大将(暫定) 織田信秀
総兵力 200人
洗脳兵 200人
兵糧 約1年分
[信秀サイド]
ドゴォォォォォォン!!!!!
聖王城に耳をつんざく轟音がひびきわたった!
「て、鉄城門が!!破られました!!」
願正寺に兵が集まっているという情報を聞いてから、俺達は聖王城に逃げ込んだ。本願寺のやつらは瞬く間に、海東郡と海西郡の民衆を皆殺しにし、ついに聖王城まで攻めてきやがった。
「相手は何を使いやがったんだ!焙烙か?」
焙烙ってのは、火薬で作った爆弾だ。とんでもねえ爆発を起こすらしい。しかし、それでも鉄城門を壊せるほどではねえはずだ。
「い、いえどうも相手は新火薬で作った爆弾を使っているようです!」
報告しているのは、その爆発から命からがら逃げてきた洗脳兵だ。しかし新火薬の爆弾があるのか。鉄城門が破られるとなると、この城だって無敵とはいかねえ。
まずいな。このままじゃ、あいつが戻ってくるまでに間に合わねえぞ。今の新爆弾がいくつもあるようなら、半刻もせぬうちに天守に兵が押し寄せるだろう。
止むを得ねえな。まだ実験中だが、あれを使うしかねえだろ。
井田野の戦いのあと、信孝は俺の能力には進化の可能性があると言ってきた。
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【井田野の戦いの後、合歓木城で】
「信秀の能力は多分、人間にも効果があるんだと思う」
突拍子もないことを突然言われたので、意味がわからなかった。俺の能力は”動物と話す”能力だ。人間も動物と言えるだろうが、人間とは能力を使わなくても話せる。
「待てよ、俺の能力は動物と話し、仲間になる能力だぜ?人間とは当たり前に話せるんだから、人間に使っても意味ねえだろ?」
「いや、信秀が動物達と話してるところを見て、ずっと考えてたんだ。どうして動物と話せるのかってね。」
動物と話せる理由と聞いて、思い浮かぶのは十六年前攫われて何かされたってことだ。だが、それはもうお互いわかってることで、そういう意味で言ったんじゃねえんだろう。
「まず、動物と会話できるってことは、信秀から”話す能力”と動物の声を”聞き取る能力”があると考えられる」
「それで、普通の人間でも動物に指示をして芸をさせることはできるけど、時間がかかるし、複雑なことをさせるには長い訓練が必要だ。」
「けど、信秀が動物に頼むと、他の人間の指示では絶対できないような複雑な行動をすぐにさせることができる。」
「これは声の波長をとんでもなく細かく調節することで、言葉に頼らずに細かく複雑な意思を伝える能力なんじゃないかと思う」
声の波長というのはわからなかったが、俺の声が普通の人間と違うから動物に言いたいことを伝えられるらしいことはわかった。
「もう一つは聞き取る能力だ。普通の人間も鳴き声で動物の感情を読み取ることはできる。けど、信秀はまるで人間の言葉で話しかけられたみたいに理解できるんでしょ?」
「これも、信秀の脳が動物の声の波長をとんでもなく細かく分析することで、動物の細かく複雑な意思を読み取り、信秀が理解できる言葉に置き換える能力なんだと思う」
「ふむ…よくわからねえが、言葉が通じなくても意思疎通ができるってことか。そいつは便利だが、俺達が戦うのは同じ日ノ本の人間だぜ?日本人相手に意思疎通の能力があってもしょうがねえんじゃねえか?」
「いや、重要なのはやり方次第で”色んな波長の声を出せるかも”ってとこなんだ。例えば、人間は怒ったり褒めたりして相手の感情に変化を起こすことができるだろ?」
「つまり相手を脅そうとか喜ばせようって意思を強くこめて怒鳴ったり、褒めたりすれば、出てくる声にそういう波長が強くなり、より強く相手の感情を変化させることができるんじゃないかと思うんだ」
「つまり俺が怒鳴れば、敵がよりビビるってことか?」
「それもあるし、味方を激励すれば士気が跳ね上がるはずだ。敵の士気がダダ下がって、こっちの士気が跳ね上がれば、それだけでかなり有利になるだろう」
「なるほど!そりゃいいな!どんなに強え相手でも戦う意思が無けりゃ蹂躙するのは簡単だからな!」
「加えて蹂躙するにしても、ちょっと不利になっただけで、すぐ逃げだすようになるはずだ。勝つための基準が大きく下がるだろう」
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あれから三ヶ月、俺は見本村への農業指導のかたわらで強い意志を込めた声を出す練習をひたすら続けていた。
その結果少しずつではあるが、普通に脅したり激励するよりも大きく士気を上げるコツを身に着けた。しかも良いことにこれは人間はもちろん、動物達の戦闘意欲を上げる効果もあることが分かった。
知性があって自分で行動を決められる人間とは違い、知性の低い動物ほど意気が高揚する。また、俺と仲の良い動物であればあるほど効果が高い。
「御託はいい!!とにかく俺の声で、やつらをビビらせりゃ、少しは行軍が遅くなるだろう。」
俺はそう叫ぶと、信孝からもらったメガホンを口につけ、相手を脅す意思を込めて叫んだ!
「ぐおおああああぁぁぁぁぁぁーーーーー!!」
周囲に俺のおどろどろしい声がひびきわたる。なお、この声は"敵を脅す"意思を込めた声だから、味方が聞いても士気は下がらない。
敵の前線部隊は俺の声を聞いて錯乱状態になり、動きが止まる。できれば同士討ちでもしてくれりゃあ良かったが、それはムシが良すぎるわな。
などと考えながら、俺はメガホンを口につけ、"味方を鼓舞する"意思を込めて叫ぶ。
「うぇいうぇいおおおおおおおおぉぉぉーーー!!!」
「おおお!!信秀様!!やってやるぜ!!!!」
洗脳兵の部隊のうち百人ほどが、敵の前線部隊の前に飛び出て、流線形に加工した石弾を投げつける!
表筋肉と裏筋肉を80%ほど開放しているので、種子島並みの勢いで石弾が飛んでいく。錯乱した敵兵達は避けることも守ることもできず、百人ほどが倒れた。
しかし敵は本願寺によって十分な訓練を受けた専門兵だ。すぐに何人かの兵が立ち直り、洗脳兵に向けて連発銃を乱射してきた。
怒涛の勢いで連発銃の弾が飛んできて、次々と洗脳兵が倒れていく。飛び込んだもの達の大半は全身がバラバラに吹き飛ばされた。だが全員ではない。生き残った三人が銃弾をかいくぐり決死の覚悟で、敵陣に飛び込んだ!
敵兵は慌てて、連発銃を打ち込もうとするが、俺はそれに合わせて再びやつらに向けて"敵を脅す"意思を強く込めて叫んだ!
「ぐおおああああぁぁぁぁぁぁーーーーー!!」
敵兵が再び錯乱状態となり、その隙をついて一人の洗脳兵が新爆弾の"ピン"を抜き、敵陣に投げ入れた。爆弾は敵陣のど真ん中で考えられないほど激しい爆発を起こした。
人が固まっていたので百人近く死んだみてえだ。石弾と合わせて二百人は殺したな。だがそのせいで、こっちもおよそ百人が死んでいる。
百人の犠牲で二百人を殺したといえば聞こえはいいが、向こうは総兵力の2分(2%)こっちは総兵力の五割(50%)を失ったんだから話にならねえ。
だが、その混乱に乗じて周りに潜んでいた服部の忍びが敵の死体に忍び寄り、連発銃と新爆弾を持ち去り、天守にいる俺のところまで持ってきた。
「連発銃が四十丁、新爆弾が六十個ってとこか。よくやってくれた。」
俺は忍びを労った。死んだ敵兵は二百人ほどだから、二百丁の連発銃が落ちているんだろうが、忍びの人数は二十人ほどで持ち運べる数にも限界がある。
これで数少ないとはいえ、こっちも連発銃と新爆弾を手に入れた。これで向こうもむやみに攻撃できねえはずだ。
とは言っても、こっちの兵が少ねえのは変わらねえからな。こうなれば、あいつの修行ってのが本願寺を倒せるものだと期待して、どうにか時間稼ぎするしかねえか。
そのためには、この連発銃と新爆弾でできるだけ門徒兵を殺しまくり、殺したやつからまた連発銃と新爆弾を奪うしかねえだろう。




