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ギリギリの戦い

【主人公サイドが久しぶり過ぎるので】

―――――――――――――――

井田野の戦いのあらすじ


1.信孝軍が流線形に加工した石弾で信秀軍を千人近く削った

2.信孝軍が信秀の位置を特定した

3.信秀が松平軍の馬を裏切らせ、信孝軍に突撃させた

4.信秀が信孝に金棒で殴り掛かり、信孝は肩に手傷を負った

5.信秀が馬に育てられた話をした


というところで、信秀の回想に入っていたのだ。

―――――――――――――――――


1536年 3月 信孝22歳 信秀26歳

【三河国 井田野】


「俺は、幼いころ親に捨てられ、そのまま死にゆくところを馬に拾われ、馬の群れの中で馬と共に育ったのだ。」


「だから馬の気持ちはよくわかるし、奴らに俺の意思を伝えることもできる。

例え言葉が通じなくてもな。」


「馬に……育てられた?」


俺が愕然とする中、再び信秀が金棒で殴り掛かってきた。


「まずいっ!!」


信秀の金棒が俺の頭に振り下ろされる、その瞬間世界がゆっくりになった。

そしてこれまでの人生が走馬灯のように流れ始める。


この体験は前世で殺し屋をする上で何度も味わった感覚だ。そして俺はいつも走馬灯の中から最適解を見つけてきた!


「くそっ!避けるにはこれしかない!」


俺は左腕・左肩の表筋肉・裏筋肉の制御を100%開放し、全力で金棒を殴りつけた。

片手だけ神雷殺ってところだ。


それでも勢いは殺しきれなかったが、これなら足の裏筋肉を60%ほど開放すれば避けれる。

俺は金棒を余裕でかわした。


「くぅ……片腕がイカレちゃったね」


人間の筋肉に制御がかけられているのは、無理に使うと壊れるからだ。

今、100%開放してぶん殴ってしまったせいで左肩・左腕の筋肉は断絶し、使い物にならない。


「かっかっか!俺の金棒を避けるとは大したもんだぜ。だが、避けるたびに腕がイカレたんじゃ、持たねえぞ」


俺は考えていた。やつを倒すには完全な神雷殺を叩きこむしかない。

足首・膝・太腿のすべての表筋肉・裏筋肉を100%開放して走り、右腕と右肩・右手首の表筋肉・裏筋肉を100%開放して斬りかかる。


俺が教団で修業し、数々の敵を暗殺し続けてきた奥義だ。


だが…やつには隙がない。今、打ったところでかわされてしまう。この技は使えば全身の筋肉が断絶するため、一度しか打てないし打ったら数週間は動けない。


少しでいい!!隙が……隙が……


まわりがゆっくりになる…。今は攻撃されたわけじゃないのに…。走馬灯が浮かび始める。


そうか。次の攻撃が戦いの決め手だからだ。殺し損ねたら死ぬ。だから走馬灯が浮かんでるんだ。生きるために!


だが俺の人生をすべて探っても、神雷殺を当てる方法が見つからない。

深く深く潜っていく、走馬灯はどんどん過去の映像へとさかのぼっていく


高校…中学…小学校……


!!これなら…!!ふざけた方法だが…やつの気を引くにはこれしかない!!


俺は構える。両手で三角を作る。某漫画の気功砲のように

そしてそれを股間に当てて…


「必殺!チンポノオオオオオオオオ!ビィィィィム!!」


そう叫びながら三角にした両手を天高く掲げた!!


三角で股間からビームが出た状態を表し、天高く掲げることでビームがどこまでも飛んでいくことを表す、小学生のときに思いついた渾身のギャグだ!


「は!?」


よし!信秀はあっけにとられている!今だ!!

俺は全身の筋肉・裏筋肉を開放した!狙うは信秀の首だ!


「神・雷・殺!」


すさまじいスピードでやつに近づき、音速を超えるスピードで刀を振りぬいた!


「ぐあっ……」


信秀はとっさに刀を右腕でガードした!当然、腕は簡単に千切れ飛ぶ。

だが腕を斬った分、勢いが弱まったのか、信秀はギリギリでかわした。刀は首筋にかすっただけだ。


「なんてぇスピードだ。この俺の腕を持ってっちまうとはな」


「だが…おめぇ、今ので全力を使い果たしたみたいだな。決着を付けさせてもらうぜ」


信秀は利き腕を失い、血が大量に流れている。正直、戦える状態ではないのだが、全身動けない信孝よりマシだ。


信秀は左腕だけ で金棒を大きく振りかぶり、俺に向かって振り下ろしてきた。


また周りがゆっくりになり、走馬灯が流れる。


だが全身が動かないのだ。とてもじゃないが、生き延びるすべがあるとは思えない。

だが、このまま死ぬなんて嫌だ。俺は未来に帰る方法を見つけて、もう一度、茂に会わなくちゃいけない!


何か…何かないか…体の…どこか…まだ動く場所は…。


『各関節には最も深く関節に張り付いて、緊急時以外は全く使われない裏筋肉があります。』


走馬灯が教団の戦闘師から最初に裏筋肉について教わったシーンを映し出す


「関節……関節……そうか!!」


「あったぞ!!今の全身攻撃でまだ使ってない関節が!」


「それは…指だ!」


あいつの…どこか急所にデコピンを当てられれば…!


だ、だが指しか動かせないんじゃ…


対処を探すべく、走馬灯が何周も回る。一体、何秒経ったのだろう。意識が外界と乖離していく。深く……深く…沈む…世界が…歪にゆがむ……


ふっ…………………


「あ?」


かわし…た?体中の筋肉が動かないのに…。


どうやら俺は前のめりに倒れて、信秀の胸に寄り掛かったらしい。確かにこれなら体が動かなくても避けられるだろうけど……。


なんだ?今のは?体が勝手に動いたような…。


そんなことより、チャンスだ!見れば、俺の頭のすぐ上に、信秀の顎があった。顎を叩けば脳が揺れる。脳震盪で気絶するはずだ。


もう一つ、さっきの攻撃で使ってない関節、"首の関節"の筋肉と裏筋肉を開放して


「ヘッドバットだ!!」


俺は自分の(ひたい)を信秀の顎に叩きつけた!!


「ぐはっ!!」


俺のヘッドバットを受けて、信秀が意識を失い倒れこんだ。


「や、やった…織田信秀を討ち取ったぞーーーー!!」


俺はあらん限りの大声で叫んだ。正確には討ち取ってはいないけど、こういうのは勢いだ。倒れた信秀を見れば敵兵が、もしかしたら馬達も動揺するはずだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「兄上ぇーーー!ご無事ですか!兄上!!」


康孝の声がする。どうやら岡崎軍と織田軍のぶつかり合いは決着がついたらしい。

信秀が倒れたことで、織田の兵が逃げ始めたのが大きかったんだろう。


「や、康孝っ。ここだぁ」


俺はか細い声をあげて、康孝を呼び寄せる。


「兄上っ!よくぞご無事で!」


普段は冷静に俺をサポートしてくれる康孝だが、今日ばかりは非常に狼狽している。

本気で俺のことを心配してくれてるんだな。すごく嬉しい。


「や、康孝っ。まず信秀を拘束してくれ!このまま目覚められるとまずい」


今は気絶しているといっても起きてこられたら、また戦闘になってしまう。

もっとも信秀は戦闘で片腕を失っているんだ。失血死しててもおかしくはないけど…。


俺の方は肩を強く打たれたものの、大半は自爆ダメージだからな。命に別状はない。


康孝と洗脳兵の生き残りが信秀を拘束する。


「兄上、心配しましたぞ。まさか聖王と一騎討ちをしているとは思いませんでした」


康孝が耳慣れない言葉を発した。聖王?信秀のことか?

当たり前だが、俺の知る日本の歴史に聖王なんてものを自称した人はいなかったはずだ。

朝廷や室町幕府にそんな役職があるとも思えない。


「聖王ってのはなんだい?信秀は聖王と呼ばれてるのかな?」


康孝は一瞬あっけにとられたような表情になるが、気を取り直し聖王について説明してくれた。この3か月で俺の妙な言動には慣れてきたみたいだ。


「聖王教…?信秀を信仰する民衆達による宗教団体だって?」


どうやら俺が戦っていた相手は織田家というより、聖王教徒だったらしい。

10年前、”聖山の戦い”と呼ばれる、信秀VS本願寺の戦いで信秀が様々な奇跡を起こしたことで、彼を信仰する人々が信秀を尾張の領主へと押し上げたらしい。


ありえない。どうして歴史がここまで変わってるんだ?それも俺が来る前の歴史が…。

他にも転生者がいるのか?それともここは俺の知ってる戦国時代じゃないのか?


俺が深く考え込み始めたのを見て、康孝がそれを止める


「兄上、考え込む前にひとまず城へ退きましょう。こんなところでは兵の治療もままなりませぬぞ」


そういえば生き残った兵の中にも怪我が酷い者が多い。いつまでも井田野にいるわけにはいかないだろう。


「ではそうしよう。ところでさ…俺は筋肉を100%開放してしまった反動で動けないんだけど…おぶってもらえるかい?」


俺は洗脳兵の一人におんぶされて、合歓木城へと引き上げていった。


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