創世神ってホントに宇宙を作れるのかよ!?
「ふぁーっはっは!!やったぜ!!ここなら釈迦や観音菩薩の目も届かねえ!!」
悟空が歓喜に震えながら叫ぶ。どうやら異次元に送られるのは
想定内だったようだ。
それはいいとして、今の発言からすると釈尊や観音菩薩の目を盗んで
何かやろうとしてるのか?
「織田信孝!いや そいつはガワだけで、中身は高木茂だったか?
まあどっちでもいいや。」
「あんただよ!俺ぁ、あんたが食いたくて、この猿ネズミに
憑依してたんだ!」
猿ネズミってのは、秀吉のことか。それはまあいいとして
俺を食うため!?というか、なんで俺の本名を知ってるんだ?
当たり前だが、俺は戦国時代に来てから一度も前世の名前を名乗っていない。
俺は織田信孝 あるいは出家して織田安信なんだから当たり前だ。
俺が30過ぎのニートのおっさん、高木茂だと知り得るチャンス
なんてどこにもなかったはずだ。
「何故、俺の正体を知ってる!!それに俺を食いたいってのはどういうことだ!」
「そいつは簡単だ。あの最初に清州城であったとき、お前の
心を読んだんだ」
「あの時点では邪気も瘴気も弱弱しかったが、強い憎しみを
持ってるのは、分かってたからな。成長を待って喰いたかったんだ」
あの時点から、もう悟空は秀吉に成り代わってたのか。
「最初は老君のおっちゃんをちょっと困らしてやろうと思って
八卦炉を壊して、下界に降りてきたんだがな。思わぬとこで、面白そうなやつを
見つけたんで、お前を喰うまでこっちに留まることにしたんだ」
「喰う喰うって、俺を喰ってどうなるんだ?
どう考えても美味しいとは思えないんだが」
「おっちゃんから聞いてねえのか?神は人を喰らって、その憎しみを
とりこみ、より高位の神に進化すんだ」
そういや、悟空に勝つためには人間を食べなきゃダメとか
言ってた気がするな。
積尸気に目覚めて浮かれたせいで、忘れてたぞ。
「しかし、悪い神とかならともかく、お前は良い方の神なんだろ?
憎しみを喰らっても強くなれないんじゃないか?」
「確かに普通の良い神は人間から感謝の祈りを受けて進化する。
一方、悪神は人を喰らって、その憎しみを取り込んで進化するんだ」
「けど、仙人でもあるオイラ達は憎しみを取り込んで
感謝へと浄化できるんだ。」
「人を喰らい憎しみを喰らって、その憎しみを浄化すりゃあ
良い方の神としても進化できるんだ。」
じゃあ、こいつはそもそも軍相手に無双するためなんかじゃなく、
釈尊や老君の目を盗んで、俺を喰う絶好のチャンスを得るために、
賤ケ岳の戦いを仕組んだのか。
でも、それにしては太上老君に普通に作戦がバレてたよな。
しかも改めて考えると、太上老君はわざわざ悟空の作戦に
乗った上で、俺をぶつけようとしてた節がある。
「ちゅうわけだからよ、オイラのさらなるパワーアップの
ために、大人しく食われてくれや」
「待てよ、あんたは三蔵法師達との旅で改心したんじゃないのか?
どうして人殺しをしてまで強さを求めるんだ?」
「強さを求めるのは男として当然さ。
それに弱いやつが糧にされるのは弱いのが悪い。」
俺は言葉を失った。以前、太上老君が悟空は悪気なく人殺しを
すると言っていたが、こいつは強くなることに信念をもってて
それをなんの疑いもなく信じている。
こいつには、それがすべてで、だから罪悪感とかはないんだ。
「もういいか?それじゃあ一気に片づけさせてもらうぜ」
悟空が何本か髪の毛を抜いて、空中に噴出した
まずい。あれは悟空の仙術、分身だ!ただでさえ強い悟空が何人にも
なったら、もっと手に負えなくなる。
対抗策は…ブラックホールになるしかないか……。
積尸気に目覚めた俺は、常に水爆龍でいられるようになった上に
任意にブラックホールに変身できる。
悟空の分身に対抗できるかわからないが、とにかくやってみるしかないだろう。
システムメッセージ
固体名:織田信孝がブラックホール化を使用しました。
固体名:孫悟空が創世神化を使用しました。
は!?なんだって悟空が創世神化?どういう…
固体名:孫悟空がスキル・宇宙創造を使用しました
その瞬間、何もなかったはずの異次元空間に星々が拡がった。
ブラックホールになった俺は、突如現れた宇宙空間に天体として
浮かんでいる。
「はっはっは。見たか!これがオイラの宇宙創造だ!!」
宇宙の創造…そんなことができるのか!?
俺は天体になって、チートっぷりにいい気になってたってのに
まさか悟空が宇宙を創造できるなんて……
「そして…これだ!!宇宙大収縮!!」
ビッグクランチは現代科学で想定し得る宇宙の終焉モデルの一つで、
宇宙の持つエネルギーが一定値を超えると宇宙は膨張を終え、縮小し始め
最終的には特異点に向かって収縮し、ゼロ次元化するという理論だ。
ゼロ次元化すれば、当然この世からもあの世からも消えてなくなる。
こいつ、全力で殺しに来てるじゃねえか。俺を喰うんじゃなかったのかよ。
――――システムメッセージ――――
スキル:ワームホールを使用しますか?
なんだ?システムメッセージか!?ワームホールって何だ?
――――システムメッセージ――――
スキル:ワームホールは、次元の点と点を繋ぐ穴を開き貴方の肉体を
別の場所に射出するスキルです。
別の場所に逃げれるなら、使うしかない!このまま悟空が作った宇宙の中に
いたら確実に消滅する!
――――システムメッセージ――――
スキル:ワームホールを使用します
空中に空いた穴に俺の体が吸い込まれ、別の場所に飛び出す
その瞬間、遥かかなたに見えている、宇宙だったと思われるものが消滅した。
危ねえ!!あと一歩遅かったら死んでたぜ。サンキュー!システムメッセージ!
――――システムメッセージ――――
貴方を助けることが私の使命です。それより集中してください
「おう!やっぱり避けたな。喰らっちまったらどうしようかと
思ったぜ。」
「おい!お前、俺を喰うとか言ってたくせに、なんで一瞬で消滅する
ような攻撃してるんだよ!?」
「こんくらいで死ぬようじゃ、食ってもしょうがないさ。
それだと、大したパワーアップにならねえからな」
雑魚は喰ってもしょうがないってことかよ。
「さて、次は少し本気を出すぜ」
「ちなみに先に言っとくが、今のあんたがオイラを倒すのは不可能だぜ。
方法は一つ、下にいる両軍の兵を喰うしかねえ」
「もちろん、それでパワーアップしたところで、オイラにかなう
わけねえけどな」
そうだ。俺も悪神だからな。人を喰うと進化できるんだ…。
そうすりゃパワーアップして悟空に勝てるかもってのはわかるが…。
それに、今はギリギリかわしたがあれより酷いのが来たら絶対に死ぬ。
そうしたら悟空は俺を吸収できなかった腹いせに日本…いや
地球を消滅させるかも知れない。
だがダメだ。人を喰ったら俺は人じゃなくなる。種族とかでなく
精神的にだ。
俺が人じゃなくなれば、ただ暴れるだけの化け物になる。
ブラックホールになれるやつが破壊を楽しむようになったら、悟空がいなくても
この宇宙が滅んでしまう。
そんなことになったら人を喰らってまで戦う意味がない。
「覚悟は決まらねえようだな。じゃあ仕方ねえ。
弱いやつは死ね!!」
「宇宙創造!!」
悟空が毛をふくと、再び俺はやつの作った宇宙の中に取り込まれる
「今度は一つだけじゃねえぜ、お前のいる宇宙の周りには
上下左右に4つの宇宙が展開してある」
「なんだと!?」
しかしワームホールで宇宙の外に逃げさえすれば、
周りに何個宇宙があろうと関係ないはずだ。
「そして、今からこの5つの宇宙を超光速で衝突させる。」
「そうすればぶつかった衝撃と宇宙同士が持つ超重力で
それぞれの宇宙のあらゆる物質が核融合を起こし爆発するんだ!」
正直、スケールがでかすぎて想像もできんが……。
地球の半径がおよそ6百万kmで、宇宙の半径が約1.5垓kmとすれば
約2.5京倍か…。それが5つとなれば俺の水爆ブレスの
数10京倍の威力があるってことだな。
「さらに言えば、この爆発は今いる異次元のすみずみまで
巻き込むぜ。ワームホールで元の次元に逃げてもいいが、
そうすると間違いなく余計な人間を巻き込むだろうな」
――――システムメッセージ――――
スキル:電波通信を創作しました
ん?電波通信?っていうかスキルって作れるのか?
――――システムメッセージ――――
緊急事態のため、貴方の中にある才能が目覚めたものと思われます。
死に瀕した事態でなければ創作されません。
それだけピンチってことか…。で、どんな能力なんだ?
それがあれば死なずに済むのか?
――――システムメッセージ――――
この能力を使えば、下にいる勝家軍・秀吉軍の武将・兵士達と
会話することが可能です
?それにどんな意味があるんだ?
――――システムメッセージ――――
このまま行けば貴方は彼らを喰えず、そのせいで宇宙が滅んでしまいます。
そのことを彼らに話し、彼らが国と家族を守るため喰われることに了承すれば、
貴方も心置きなく喰えるでしょう
待て待て待て!!もし仮に了承が得られようが、俺が人を喰えるかよ
――――システムメッセージ――――
ですが、宇宙が衝突すれば彼らはどの道、死ぬんですよ?
いくら死ぬ運命だからって、今生きてるやつを
しかも人間を喰うなんてできるわけがない。
――――システムメッセージ――――
「話は聞かせてもらった!!」
なんだ!?いつものシステムの声じゃないぞ?
――――システムメッセージ――――
スキル:念話です。スキルが創作されてからの会話を
武将や兵士達に流していました
いや、待て何を勝手なことしてんだ!
――――システムメッセージ――――
「信孝さま!ワシも武士じゃ!!主君と国のために死ねるなら本望じゃ!
ワシを喰わねば勝てぬなら喰ってくだされ!!」
これは勝家の声だな…。しかし武将たちは死を覚悟して戦場に臨んでるかも
知れないが、兵士たちはどうなんだ?
――――システムメッセージ――――
「おら達、死ぬのは怖ぇだども……。よくわかんねぇが、
こんままじゃ、地上が無くなるっていぅんなら…」
「おら達の命で助かるっていうんなら…仕方ねえだ」
全員の総意かはわからないし、そもそも積極的に喰われたいわけはない。
どちらかというと諦めという感じだが……。
しかし世界を護ろうという使命感だけは感じられる…!!
彼らの思いを無駄にすべきではないのかも知れない……!!!
――――システムメッセージ――――
スキル:人喰いが創作されました




