マジでいったい俺は、何と戦わされてるんだよ
がああああああああああ!!!
変わる…俺の姿が変わっていく……!!
俺の体が龍になった。
肌は爬虫類らしく、ガサガサでヌメヌメしている。
サイズは身長2,000mほどか?背が高すぎて地面が見えないぞ。
そこらの山よりは随分高いな
水爆ブレスは…うん、使い方はわかるぞ。ヘソ下の丹田?にエネルギーを
集中して、それを思いっきり吐き出す感じだ。
1.丹田に力を込めると、水爆袋に三重水素が生成される
2.三重水素を口内に引き上げると唾液腺から核融合誘発液が分泌される
3.三重水素と誘発液が反応し、口内で核融合が起きる。
4.核融合による激しい爆発を相手に向かって吐き出す
なお、今いるこの次元は何もない白い空間で俺と魔牛皇帝しかいない。
もし水爆ブレスが被曝するようなものだったとしても、俺は耐性があるだろうし、
魔牛皇帝は…死んだとしても地獄に戻されるだよな…たぶん。
よし!!どうせ他に方法はないんだ。水爆ブレスを撃つ!!
「ぐおおおおおおっ!!!」
俺が丹田にエネルギーを集中すると、三重水素が上がってきて
口内で核融合が始まる。
そして、俺は核融合反応によって起こった爆発をやつの足に向けて吐き出した!
ごがああああああああああん!!
だが、やつはほんの少し、横に動いただけでそれを完全にかわした。
「うそだろ!?今のをよけるのか!?」
俺が吐き出した爆発が、やつのいたああたりを巻き込むまで1秒もなかったはずだ。
にもかかわらず、やつは軽くよけた。
「がっはっは!言っただろう俺のスピードは至高にして、至極!
光さえも上回るのだ!」
なんてやつだ。でかいし、強いし速いし、こんなもんどうすりゃ倒せるんだ?
しかし、俺だって引くわけにはいかない。
「食らえ!もういっちょだ!!」
俺はやつの今いる場所と左右上下に向かって、
水爆ブレスを連発で発射した!
ごがっ!ごがっ!ごがっ!ごがっ!!ごがっ!!!
いくらあいつが早いと言っても逃げ道を塞げば避けれないはずだ!
「むむっ」
すぅっ………
なんだ?一瞬魔牛皇帝の姿が消えたぞ?
爆発は間違いなく魔牛皇帝がいたところを通過したはずなのに、
やつは無傷だ。
なんだ?今のは絶対、超スピードとかじゃないぞ。まさか幻術でもかけられてるんじゃ
ないだろうな。
「中々やるようだが、所詮その程度だろうな」
「まあ、心配するな。地球に悪さをしようとしている悟空は俺が代わりに
たおしてやろう。何も貴様が戦うことはない」
魔牛皇帝は悟空と親友でライバルらしいから、今より強くなって
挑みたいというのはまあわかる。
こちらとしても代わりに戦ってくれるなら、まあ助かるが……。
いや待て待て、さっき実況のおっさんが、魔牛皇帝は牛魔王時代にも地上で暴虐の限りをつくしたとか言ってたじゃないか。
つまり、こいつが悟空を倒したんじゃ、仮に日本が滅びなくても皆が酷い目に会うことは変わらないってことだ。
それに、俺は目の前に迫った危機をこれ以上、人任せにしたくない。
他でもない、俺になんとかできるかも知れないんだから、俺の手で解決したいんだ。
「なんだ?急に挑発してきたりして、俺のブレスが凄すぎて、焦ってるのかよ?
今もギリギリ避けたように見えたぜ?」
とりあえず煽りかえしてみる。ここまで問答無用で攻撃してきてたのに
わざわざ挑発してきたあたり、焦りが見える。
もしかしたら、さっきの消える技はとっておきだったのかも知れない。
「この俺様が焦るだと?そのようなことあるはずなかろう」
「ふん…っ。せっかく殺さずに助けてやろうと思ったが必要ないようだな。
ここからは本気で行かせてもらおう」
「本気だと!?」
まあ、確かにここまでこっちは、ちょっと蹴られたぐらいだから
向こうが本気出してなかったってのはまあわかるけど
そんなことを考えていたら、またやつの姿が消えた。
そして、俺の目の前にやつの足が現れて、蹴りこんでくる
「ぐはっ!!」
水爆龍になってるおかげで、なんとか持ちこたえられたが、やはりあいつの攻撃は
重く強い 何発も喰らうわけにいかないぞ…。
そう思ったときだった。
全く不意に後ろから、後頭部を蹴られたのだ
「ぐあああああっ!!!???」
予想外の、しかも急所と呼べる場所への攻撃によって俺は昏倒する。
「くは…はっ…」
「ふふ、だからやめておけと言ったのだ。雑魚のくせに粋がるからこうなる。」
「く…ぬぬ………」
俺はなんとか意識を取り戻し、必死に立ち上がった。
「まだだ……こんなダメージなんともねえぜ!」
しかし、なんだ?今の攻撃は?前からの攻撃を防いでたはずなのに
いきなり後ろから攻撃されたぞ?
なんというか……あれだ、あの……まるで
“今まで階段を登ってたはずなのに…”
俺の頭に子供の頃、読んだ漫画に似たフレーズが浮かんできた。
!?!?!まさか!?それなのか!?
いや、いや待て。さすがにそれはない。そもそも時間を止めれる能力じゃあ
両方から一度に攻撃されたことの説明にならないだろ。
“俺のスピードは至高にして、至極!光さえも上回るのだ!”
とっさに、やつのさっきの台詞が頭に浮かぶ
光を上回るスピード……?
相対性理論だかで、光速を超えることはできないってなってるんだっけ?
けど、もし超えれたとしたら計算上は過去に移動できるって話だったような
だとすると…えーと、正面から向かってきてたのが現在のあいつだとすると…
後ろから来たのは、そのことを知ってる数分後の魔牛皇帝ってことか?
いや待て妄想が過ぎるってのもさることながら、本当にそんな能力だったら
これまで以上に倒しようがねえじゃねえか!!
「仕方ない……貴様はよく頑張った。この俺が打倒悟空のため編み出した、
最強の拳で決着をつけてやろう」
拳!?足以外の攻撃が来るのか!?
周囲の瘴気が上空に集まっていき積尸気へと昇華されていく。
「この拳は憎しみの炎、そして俺のパワーのすべて」
「力とパワーと憎しみを込めた、最力の拳!!!」
「極怨拳、パワーオブパワー!!」
「どれだけパワーって言いたいんだよ!!」
あまりの力&パワー推しに突っ込んでしまったが……
上空の、やつの拳があるであろう場所に黒い炎が燃えている…。
すべての積尸気が、拳という一点に集中していってる感じだ。
「食らえ!!」
やつの身長では無理なはずなのに、俺の目の前に黒炎を帯びたやつの
拳が迫ってくる!!
よ、避けないと……
さらに俺の前後左右と空中・地面からもやつの拳が迫ってきた!!
「これぞ6連獄怨拳だ!!逃げ場がなければ受けるしかあるまい!!」
さっきの水爆ブレスの意趣返しだろうか、やつは俺の逃げ道を塞いできた。
どうする…?どうすれば……
落ち着け…落ち着け……6人も出てきたとなると、俺の推理は恐らくあたってたんだ。
やつには本当に時間移動の能力があって、6人の内5人はそれぞれ少し後の未来から来てるんだろう。
落ち着け…何か方法があるはずだ。
そうか!!6人のうち5人が未来の魔牛皇帝なら、
今の魔牛皇帝の攻撃を止めてしまえば、未来が変わり他の魔牛皇帝は現れなくなるはずだ!!
つまり、現在の魔牛皇帝の拳がどれなのか突き止め、それを食い止めればいいんだ。
未来の魔牛皇帝たちは、現在で俺を殴り、その数分後からタイムスリップしてきてるはず。
だったら、俺の体がめちゃくちゃ硬い以上、拳に”殴った痕跡”が残ってるはずだ。
しかも後の時間から来たやつほど、痕跡が大きいはず。
よく観察すれば、どれが後の時間から来た拳かわかるはずだ。
後は拳を止める方法だが、丹田で作った三重水素を誘発液と混ぜずに、
気体のまま拳にぶつける!
そうすれば、憎しみの黒炎に反応して、核融合が起こるはずだ。
やつの拳が”中心になって”爆発すれば、さすがに拳が壊れるだろう。
ただ、口で爆発させる場合と違って指向性を持たせられないから、
俺も爆発に巻き込まれる可能性が高いな……。
いやこのまま殴られるよりは、多分生存率が高い。そもそも俺は
被曝体制があるしな。衝撃にさえ耐えれりゃワンチャンあるだろ。
そんなことを考えている間にも、やつの拳が迫ってくる。
よく見ると、いくつかの拳は表面の体毛が剥げてるみたいだ。あれが殴った痕跡か。
全く痕跡のない綺麗な拳は……あれだ!!
上空から来てるやつ!!
俺は丹田に力をこめ、三重水素を作り出す。
そして、上に向けて吐き出した!!
三重水素が黒炎に反応し………
どぐぁがわああああああげあがごえなん!!!!
すさまじ過ぎて、何がなんだかわからない轟音が異次元中に響く
俺と魔牛皇帝は、そのすさまじい爆発にモロに巻き込まれ……
俺は意識を失った。