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敵婚式→結婚式!!

【 1536年 ナタリア22歳 妲己??? パミスム教会 】


 世界は変わる……。愛の核の中に『パミスム』が生まれた。今はそれほどでもないが、これから少しずつ三次元世界は、五次元世界に変わっていくだろう。


「これが、パミスム……でござるか?」


 拙者の胸元に、妲己ちゃんの模様をしたあざのようなものができているでござる。


 それは右半分が白く輝き、左半分が黒く輝いて

いるでござる。


『それは!!パミスム!どうして貴方が!?』


 おっと、妲己ちゃんはまだ拙者のことを忘れてるんでござるね。


 拙者はパミスムに、魔力を込めたでござる。するとパミスムはより輝きを増し、そこから一筋の光が妲己ちゃんに向かって放たれたでござる!!


『ふあっ!?何よこれ!』


 すると、妲己ちゃんの身体全体が虹色に光り、何度かに渡って、七色の煙を上げながら爆発したでござる!


 え、ええええっ!何かすごいことになってるでござる!大丈夫でござるか?ま、まあ記憶を戻しただけでござるから、そんな大変なことにはなってないと思うのでござるが。


 すると、突然妲己ちゃんは、すべてを悟ったようなすっきりした表情になって、言ったでござる。


『思い出した!!っていうか、それパミスムじゃん!そっかそっか、ナタリアは五次元人になれたんだね!』


 そう言った妲己ちゃんの言葉に、拙者はたまらず『宙縮地』で走り、全力で妲己ちゃんに抱き着いたでござる!


「良かった!ちゃんと拙者のこと思い出してくれたんでござるね!一時はどうなることかと思ったでござるよ」


 そう言って拙者は、妲己ちゃんの胸に顔をこすりつけて喜んだでござる!


『わ、わ、ちょっと恥ずかしいったら。もう……』


 そう言いながらも、妲己ちゃんは拙者のことを抱き返してくれたでござる。本当に良かった。これで悟空に対抗する手段もできたでござるな。


「そういえば、拙者が五次元人になったのに『教会』から元の場所に戻らないでござるね?」


『あたしがまだ、五次元人になってないからね。でも、そっか。だったら……』


 妲己ちゃんは神妙な顔つきになって、拙者を見つめたでござる。その表情に決意のようなものを感じて、拙者は妲己ちゃんの考えを聞いてみたでござる。


「おお?何か妲己ちゃんも五次元人にする策があるでござるか?」


『ええ、『今すぐあたしの首を斬りおとして頂戴』。宙縮地のスピードなら簡単だから』


「へあ?」


 あまりに意外な言葉だったので、一瞬拙者は何を言われたのかわからず、変な声で返してしまったでござる。


 けど、妲己ちゃんの真剣な目を見て、本気だと気づき、今度はパニックになったでござる。


「ちょ、ちょ、ちょ何でそうなるでござるか!!首を斬ったら死んじゃうでござるよ!」


『大丈夫よ。さっきも見たでしょ。この教会には死にかけた人を回復する機能があるんだって』


 それはそうでござるけど、さすがに首を斬ったら修復できるのでござろうか?それに……。


「自分から頼んで首を斬られたとして、拙者を恨めるものなのでござるか?」


 拙者に首を斬らせて、その憎しみで拙者に敵対心をもとう、という考えは何となくわかるでござる。


 けど、頼んで斬らせたんじゃあ、何と言うか演技みたいな感じになって、憎しみがわかないんじゃないでござろうか。


 というか、そもそも危険すぎるでござる!治らなかったり、治るにしても首から別の頭が生えてきたりしたらどうするつもりでござるか!


『当然じゃない。首を斬られるのよ?こっちから頼んだんだとしても、ホントに斬られたら恨むに決まってるわよ』


『いくら、相手がナタリアでも、さすがに斬られて嬉しいってわけにはいかないわ』


 なるほど。じゃあ、一応 拙者が斬れば五次元人になる条件を満たせる可能性は高いのでござるな。けど……。


「そ、その……怖くないんでござるか……?死んじゃうかも知れないのに」


『怖いに決まってんでしょ。でも、ナタリアが相手なら大丈夫そうな気がするのも確かね』


 何だか妙な信頼のされかたをしてるでござるな。でも、そうかそう考えると、確かに妲己ちゃん相手なら何とかなりそうな気がしてきたでござる。


「そう、でござるね。拙者も、愛する人を斬るのは怖いでござるけど、妲己ちゃんの考えなら、上手くいきそうな気がするでござる!」


『ふふ、いいわね~。首斬る話してんのに、お互い信頼し合って、何かすごいわ。あたし達、最強じゃん!』


 最強、でござるか。そう、拙者は愛族で、この三次元世界では愛がすべてを凌駕するのでござったな。


 ならば、愛さえあればきっと上手くいくでござる。それに何より拙者はもう五次元人なのでござるから!


「よ、よ、よ~し!だったら行くでござるよ。宙縮地……いや、せっかく五次元人になったんだから、パミスムの力を借りるでござるか」


『パミスム!そうね、その方が確かだわ。パミスムで直接五次元人にできたらいいけど、多分それは無理よね』


 パミスムに力を込めて、祈れば色んな事が叶いそうでござるが……。多分、人を直接五次元人にするのはパワー不足でござるな。


 それができるなら、博士殿も10年前にやっていたでござろうし。


 今は、確実に妲己ちゃんの首を落とすこと、そしてもしもの時に再生することだけを願って、パミスムに力を込めるでござる!


「直接五次元人にするには、何かエネルギー?がもっと必要でござるな。だから、今は首を落とすことに集中するでござる」


『うん、じゃあお願い!』


 拙者はパミスムに魔力を込めて、妲己ちゃんの首が落ちるように祈った!!


 祈るほど、妲己ちゃんとの思い出が脳裏に浮かんだでござる。10年前ゲームをしたことや、チップを入れられて置き去りにされたことも……。


『く……ぐ……ああっ!!』


 妲己ちゃんが苦しそうにうめき声をあげ、それと同時に妲己ちゃんの首のあった場所が『完全な空白』になった!


 その瞬間、胴体からも頭からもおびただしい量の血液が噴き出した!!


 そして、頭と胴体が離れたにも関わらず、妲己ちゃんの身体から感じる、怨嗟!怨嗟!強力な怨嗟の念!!拙者を恨むことには成功したみたいでござるが……。


 こ、これ本当に大丈夫なのでござるか?


 回復するようにパミスムに祈るか?と考えたところで、例の機械音が流れたでござる。


【新婦:妲己が一定以上のダメージを受けたため、回復します】


 そう聞こえた瞬間、まるで時間が戻ったみたいに、妲己ちゃんの頭が宙に浮かび上がり胴体とくっついたでござる。


 無くなった『首』も再生されているみたいでござるな。


 そして、首がつながった瞬間……妲己ちゃんの細胞がぐちゃぐちゃに変貌を始めたでござる。


 何かまるでスライムみたいに溶けて、固まってを繰り返してるのでござるけど。


 その状態の異様さに、拙者は段々不安になってきたでござる。


 これ、これ!本当に大丈夫でござるか!?本当に元通りになる?


 というか、さっき拙者もこんな状態だったでござるか?こ、怖ぁ。


 けど、しばらくすると妲己ちゃんは元の姿になり、細胞は変化が止まったでござる。そして一瞬、強烈な虹色の光を放って……。


 これは『五次元人』が完成したということでござろうか。


「だ、妲己ちゃん……?大丈夫でござるか?五次元人になれたのでござろうか?」


 拙者にそう言われて、妲己ちゃんは体に痛みがないか、怪我やおかしな点がないかを、確認したでござる。


『えと、あ、ああ。うん。体は平気そうよ。五次元人は……』


 そう言って妲己ちゃんは自分の胸元を見たでござる。破壊力の強いお胸が自己主張してるでござるが、それはまあいいとして。


『うん!胸元に、ナタリアの模様があるよ!間違いなくパミスムだわ』


「やったでござる!!これで……」


 拙者が言い終わる前に、例の機械音が流れたでござる。


【新婦:妲己 新婦:ナタリアは『概念』によって正式に、五次元人夫婦と認められました】


「おお!やったでござる!!これで拙者達も……ふ、夫婦!?夫婦でござるか!?そ、そうか敵婚式は結婚式でござるから、夫婦に……」


『当り前じゃない。それとも、ナタリアはあたしと夫婦じゃ嫌かしら?』


 い、嫌だなんて、そんなことあるはずないでござる!!むしろ、こんな嬉しいことがあっていいのかと思うでござる。


 初恋の人と10年ぶりに出会って、再び恋に落ちて、夫婦にまでなっちゃうなんて、夢でもあり得ないでござるよ!!


「そんなわけないでござる!結婚できるなら、今すぐにだってしたいでござるよ!ここまで愛し合っているのでござるから!!」


『ふふ、そうよね。あたしだってしたくてたまらないわ。これだけ濃厚な体験をしたんだもの。もうゴールしていいわよねえ』


 た、確かに10年も我慢したんでござるし、今日は記憶を消したり首を落としたり、本当に濃厚な一日でござった。


 もはや運命が拙者達を結婚させようとしているとしか思えないでござる!


 こうして、結婚を受け入れた拙者たちでござったが、ここで謎の音声から衝撃の指示が出されたでござる!!


【では誓いのキスをしてください】


「き、き、キス!?」


『あー、これはさすがに緊張するわね~。ナタリアとキスかぁ。もちろん嬉しいんだけど』


 そ、そうでござるな。拙者も覚悟を決めないと。


 でも、それならば……。今からキスを、そして結婚をするのであれば、その前にまずプロポーズでござる!結婚式でプロポーズと言うのも変な話でござるけどな。


 段階を踏み、気持ちを盛り上げることは必要でござるよ!


 そう思って、拙者は頭の中で妲己ちゃんに伝えるべき言葉をまとめ、妲己ちゃんの前で膝をついて、プロポーズしたでござる!


「だ、妲己ちゃん。拙者は……」


「この10年間どこにいても何をしていても、妲妃ちゃんのことばかり考えていたでござる。いつもいつも、あの日の思い出を思い返していたでござる」


「そして今日、再会して想いをぶつけ合い、あの日の何倍も幸せな時間を過ごすことができたでござる」


「拙者、もう離れるのは嫌でごさる」


「だから、拙者の全身全霊をかけで、絶対にずっとずーっと妲妃ちゃんの側にいてみせるでごさる。そして二人で幸せになるでござるよ」


「だから!拙者と!!結婚してくださいでござる!!」


 拙者の言葉に妲己ちゃんは、顔中を真っ赤にして、ぼーっと虚空を見つめているでござる。


 これは恍惚の表情と言うやつでござるか、顔が緩み過ぎて、よだれが垂れてきそうでござるが……。


「え、ええと……返事は?」


 妲己ちゃんの表情で、OKっぽいのはわかるのでござるが、できればちゃんと言葉で返事が欲しいでござるな。


『えっ……あっ!!ご、ごめん。ぼーっとしてた!!あんまりにも嬉しくて』


「じゃ、じゃあOKなのでござるな!!」


 妲己ちゃんはにっこりと笑った。


『もちろんよ!けど、ナタリアだけ想いを伝えるのはずるいわよ。あたしもプロポーズさせてもらうわ!』


 そう言うと、妲己ちゃんは目を瞑って考え出した。拙者との思い出を振り返り、プロポーズの言葉を考えてるのでござろうな。


『そう、そうね!』


 そう言ってから、妲己ちゃんは激しく、強い意志を込めて、拙者に訴えかけてきたでござる!


『ナタリアは、見た目も仕草も考え方も、私を見つめる瞳も、何もかも可愛くて、可愛くてどうしようもなくて』


『研究が全てのあたしが、研究のことを忘れて、ナタリアのことだけ考えていたくなるくらいよ!』


『ナタリアが好きでたまらないのお!』


『会えば会うほど好きになっで、話せば話すほどのめり込んでいく。もうナタリアなしじゃいられないわ!』


 妲己ちゃんはとにかく勢いのままに、強い愛情を訴えかけてきたでござる!これも10年間溜まりに溜まった想いの結晶でござろうな。


『だから!!あたしと結婚して!!今すぐ、ここで!!』


「もちろんでござる!!お互い10年間待ったでござるからな、今しかないでござる!!」


 そして、心が通じ合った拙者たちは、『機械音』の指示を思い出したでござる。


「じゃ、じゃあ誓いのキス……でござるな、ついに」


『うん、いよいよね。これで、あたしとナタリアは永遠に結ばれるのよ』


 そう言って、妲己ちゃんは拙者の肩に手を置いたでござる。


「いいでござるよ。これで、もう二度と離れることはないでござる」


 そして、どんどん妲己ちゃんの顔が近づいて来て、妲己ちゃんの唇と拙者の唇が……


 触れ合ったでござる!!!


 あ、ああ……あああ……これ!!幸せ!!幸せでござる!こんな気持ちは味わったことがないでござる!!


 口が塞がって無かったら、叫びだしたいでござる!!


【二人のキスを確認しました。これで敵婚式のすべてのプログラムが終了しました。お二人を元の場所に戻します】


 『機械音』から、そんな言葉が聞こえると、拙者と妲己ちゃんは元いた『時空間』に飛ばされたでござる。


 これでやっと、悟空に対抗できるでござる。すべての時間軸も博士殿も救えるでござるな!


【 縺ゅ>縺年 悟空 喧縺ヱ歳 時の孤島 】


[悟空視点]


「よーし、ついに三次元世界が五次元世界に変わり始めたな」


「これでやっと、俺だけの虚数次元『-5次元(マイナスごじげん)』を作り出すことができる」


「そのためにも、まずはこいつを……」


 そう言って、俺は目の前の女に向かって、『反次元リバース・ディメンション砲』を放った。

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