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私の暴走・ハルナ姫のフォロー

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【恋愛シミュレーションすごろく デートマス6 ミステリー・ハウス】

 

 『ふりだし』からワープした私の前に現れたのは……。


 すごく広い、西洋風のお屋敷だ。部屋の天井には『シャンデリア』があって、椅子やテーブルなんかもすごく高価に見える。この部屋でハルナ姫とデートをすればいいのかな。


 ふと横を見ると、ハルナ姫が立っていた。サイコロを振ったのはハルナ姫だから、私より先にここに着いていたのね。


 私はお部屋の中を見回しながら、ハルナ姫に話しかけた。


「なんだか豪華なお屋敷ね。ここで何をするのかしら?」


「そうなのやね。デートと言っても具体的に何をするのかは、ハルナにもわからないのや。けど、多分すごろくが、何か『イベント』を起こすはずなのや」


 そういえばツバサのときも、突然王様が出てきて、キスしろなんて言ってきたわ。あれが『イベント』ってことなのね。


 ここでもハルナ姫との間に、あんなことが起こるのかな?


 私は、ツバサが手にキスしてきたことを思い出した。自分の手の甲を見つめると、少し頬が赤くなった。


 いけない、今はハルナ姫とデートしてるんだから、こっちに集中しないといけないわ。


 私はとりあえずツバサのことは頭から振り払い、できるだけ普通の態度でハルナ姫に話しかけた。


「そ、そっか。イベントね。だったら、何か起こるまでは何もしないでいいのかしら」


 私は少し、慌てた態度を隠せなかったけど、ハルナ姫は特に不審がることもなく、普通に会話を返してきた。


「そうなのやね。豪華なソファーもあるし、座って待つのや」


 そう言って、ハルナ姫が椅子に座ろうとすると……


 突然、床が抜けてハルナ姫は椅子ごと、床の大穴に墜落した!!


「きゃあああああ~~~!!」


 私は慌てて、穴をのぞいた。穴は結構深いみたいで、ハルナ姫の姿は見えない。


 私は大声を出して、ハルナ姫に呼びかけた。


「おーい!ハルナ姫ぇー!大丈夫~?」


 すると、穴の遥か下の方から、かすかにハルナ姫の声が返ってきた。


「ああ、平気なのやぁ~。下に綿みたいなのが敷き詰められてるのや」


 良かった!ハルナ姫は無事らしい。でも、上に引き上げてあげないといけないわ。


「ハルナ姫!!」


 私はとにかく助けなきゃと思い、無我夢中で穴に向かって手を伸ばした。


 そうすると、穴の床がどんどんせりあがってきて、ちょうど私とハルナ姫の手がとどくぐらいのところで止まった。


 私は嬉しくなって叫んだ。


「良かった!手が届いたよ!」


 私がそう言って手を差し出すと、ハルナ姫は少し恥ずかしそうに、私の手を掴んだ。


「なるほど、こういう『イベント』が起きるのやね」


 そう言ったハルナ姫は、穴のふちに足をひっかけて、穴から這い出してきた。


 ハルナ姫が穴から出ると、床がさらにせりあがってきて、最初 部屋に来た時と完全に同じ状態に戻った。


 穴になっていた間は消えていた絨毯も、再び元通りの場所に敷かれている。一体、どういう仕組みなんだろう?


「今のが『イベント』なの?どういう意味があるのかしら」


「そうなのやね。今のは多分、ハルナと愛美ちゃんに『手を繋がせる』ためのイベントやったのや」


 私とハルナ姫の『手を繋がせる』?それが二人を仲良くするために作られた『イベント』なの?


 私は手ぐらい、いくら繋いでもいいと思うけど、ハルナ姫は違うのかしら。


「どうやら、この『イベント』はどっちか片方が、ものすごく『恥ずかしがる』ようにできてるみたいなのや。そして、愛を育てることで、その『恥ずかしさ』を許容できる関係になれたら、イベントクリアなのやね」


 仲良くなって、『恥ずかしさ』を許容できるようになる?例えば、今回ならハルナ姫が『手を繋ぐ』のが恥ずかしく無くなればクリアってこと?


「ハルナ姫は、私と手を繋ぐのが恥ずかしいの?」


「ああ、かなり」


 ハルナ姫は手を繋ぐのが恥ずかしいらしい。でも、恋人がいるんだったら、普通もっとすごいことをしてるんじゃないかしら?


「恋人がいるんだから、手を繋ぐくらい慣れてるんじゃないの?」


「ツバサは特別やからええのや。でも、他の人を触ったり触られたりはしたことは全くないのや」


 ツバサはいいけど、他の人だとダメなのね。でも、今 私とは手を繋げた。何かがハルナ姫の中で変わったのかも知れないわ。


「さっきは私と手を繋げたけど、恥ずかしかったの?」


「当たり前なのや。でも、恥ずかしくても、さっきはツバサ以外で初めて誰かと、手を繋げたのや」


 ハルナ姫は軽く微笑んで私を見つめた。いつもの不敵な笑みじゃなくて、ちゃんとにっこり笑っている。顔が可愛いからものすごくまぶしく見えた。


「あのとき、必死に手を伸ばす愛美ちゃんを見て、なんとか答えないとイカンと思ったのや。どうも、愛美ちゃんにはハルナの心の緊張を解く力があるみたいなのやね」


 つまり、私相手なら、きっかけさえあれば勇気が出せるってことね!だったら、何とかなるかも知れない!。


「恐らく、この屋敷はハルナと愛美ちゃんが『触れ合う』ことで仲良くなるようなトラップが複数用意されているのや」


「『触れ合う』?」


「そうなのや。今は手で触れあったやろ。次は多分『抱き合う』ことで仲良くなるようなトラップが―――」


 ハルナ姫がそういうと、突然、家全体が地震が起きたときみたいに、激しく揺れ始めた。


「ふえええ!?何これ?地震……じゃないよね?」


「そうなのやね。多分、家を揺らしてお互いのバランスを崩させるのが目的なのやね。それで、転びそうになったところで『抱き合って』支え合わせようというわけなのや」


 そう言っている間にも、揺れは強くなってきた。ちょっと、怖い。抱き合えば止まるなら、早く抱き合った方がいいんじゃないかしら。


「だったら早く抱き合おうよ!?」


「恥ずかしいていうてるやろ!!特に、抱き合うのはレベルが一段階上なのや!」


 怒ってるのと、恥ずかしがってるのが合わさって、ハルナ姫の顔は真っ赤だ!


 でも、じゃあどうしよう!!


 つまり何か、きっかけがあればいいのよね。私とハルナ姫がもっと仲良くなれるきっかけが!


 それも、体の接触をせずに、言葉だけで……そんなことできるかしら!?


 私が悩んでいる間にも、さらに家の揺れは激しくなっていく。一度でも地面から離れたら、壁や天井に向かって飛ばされそうだ。


 家具とかはよほど強く地面にくっついているのか、全然倒れない。私とハルナ姫は、家具にしがみ付いてどうにか、飛ばされないように踏ん張っている。


 でも、このままだといつか吹っ飛ばされるわ。天井や壁に叩きつけられたら、大怪我をしちゃいそう!


 何か何か何か!!そうよ!そもそもこの地震は私たちを仲良くさせるためのものだもん!!


 だから、あえて地震に身を任せれば、何か変化が起きるはず!!


 そう思った私は両手を広げて、床にダイブした!!!そして、その瞬間、家の揺れに合わせて床が大きくせりあがり、私は床に跳ね上げられて、天井まで吹き飛んだ!


 そして、天井にぶつかって、叩き落された!


「ちょ!!何してんのや!!」


 天井から叩き落された私が、また地面に叩きつけられそうになったとき!


 ハルナ姫が落ちてくる私を、ダイビングキャッチをしてきた!!


 ガシッ!!


 落ちてきた私を、ハルナ姫が抱き留めた!!


「あんた、何しとるのや!怪我したらどうするのや」


「うふふ、ごめんね。でも、ありがとう!恥ずかしいって言ってたのに」


 私がそう言うと、ハルナ姫はびっくりした!そうだ!ハルナ姫は、今私を抱きしめてる!!


「な、な、な、なんやと!?」


 ハルナ姫の顔がどんどん赤くなってきた。まずい!放り出されちゃうかな?


「わわ!落ち着いて!!大丈夫だよ!」


 ハルナ姫は、一瞬 私から手を放した。でも、すぐにもう一度 抱きしめてくれた。


「はは。やってみると、そんなに照れんみたいなのやね」


 そう言ってるハルナ姫は耳まで真っ赤だ。私のために、大分無理をしてくれてるんだろうな。


 だったら、ここはもう一歩進んでみるしかないよね!


「よし!じゃあここで地震を止めよう!!」


 そう言って、私はハルナ姫を抱きしめた。


「ちょ、ちょっと待つのやよ。恥ずかしいて言うてるやろ」


 ハルナ姫は、嫌がるそぶりは見せたけど、私を抱きしめる手を離さなかったし、私の手を振りほどいたりしなかった。


「でも、突き飛ばしたりしないんだね!良かった!!」


「まあ、抱き合ってる間に慣れてきたのやね。愛美ちゃんなら、抱き合っても大丈夫そうなのや」


 地面に叩きつけられそうな私を見て、またハルナ姫の中で何かが変わったのかな?


 助けてくれたことで、私もハルナ姫を信頼できるようになった。二人の仲は確実に深まってるよね。


 ハルナ姫は『はぁ』とため息をついて、ポリポリと頭をかいた。


「どうもハルナは、ツバサや愛美ちゃんみたいな『誰かのために無茶する子』を放っておけないみたいなのや。」


「えへへ、そうなんだ。そんなに無茶したかなあ」


「地震が起きてるのに、床にダイブするのは、相当無茶なのやね」


 確かにそれは無茶苦茶ね。でも、さっきは夢中だったの。地震を止めることはもちろんだけど、ハルナ姫と仲良くなれる可能性に賭けたかったんだもん。


「うう、まあそれはそうだけど、きっと仲良くなるきっかけになると思ったの」


「そのよくわからん思考も、ハルナ好みみたいなのやね」


 ハルナ姫ははっきりと『好み』だと言ってくれた。私の行動がハルナ姫を喜ばせたなら嬉しいなあ。


 このままいけば、そんなに苦労せずに、このマスをクリアできるかも知れないわ。


「じゃあ、私たちかなり仲良くなったのね。もうすぐクリアになるかしら」


「そうなのやね。恐らく次が最後なのや。課題は多分『キス』なのやね」


 キス!?またキスなの?もしかして、何マス目かに関係なく、最初に止まったマスではキスをするのかしら。


 だとすると、いずれコメットくんも……!!


 私の中にモヤモヤと嫌な感情が浮かんできた。コメットくんとツバサとキス!?コメットくんとハルナ姫がキス!?い、いや私みたいに手だったりほっぺかも知れないけど、それでも嫌だ。


「どうしたのや?ハルナ、何か気に障ること言ったのや?」


「あ、ううん。違うの。もしかしたらコメットくんとツバサもキスしてるのかと思うと、モヤモヤしちゃって」


 コメットくんは、まだサイコロを振ってないし、呼び出されてもいないから、誰ともキスしてないはずだわ。


 でも、次にサイコロを振るのはコメットくんだ。必ずツバサかハルナ姫が召喚されることになるのよね


 私とハルナ姫がここをクリアしたら、次はコメットくんがキスすることになる。


 私の身体は小刻みに震え始めた。怒っているのか?怖いのか?複雑な感情がかけめぐる。


「そうか、ハルナ達の試練がキスなんやったら、それはあり得るのやね」


 ツバサとの試練もキスだったし、やっぱりそうよね。


 心がモヤモヤする。でも、このモヤモヤを乗り越えるのが、すごろくの目的の一つなのよね。何とかして乗り越えないといけないわ。


 魔神になったことで、ある程度は憎悪をコントロールできるけど、キスとなるとさすがに心が乱れるわね。


 ルシア戦のコメットくんみたいに暴走しそうな、不安定な感情が生まれてくる……!!


 深みにはまりそうになった私の思考は、謎の声の一言でかき消された。


『屋敷の自爆機能が作動しました。あと10分以内にキスをしてください』


「「ええっ!?」」


「なんでや!!これまで、ギリギリ怪我せんトラップばっかりやったやろ!!」


 ハルナ姫が激昂して、天井に向かって叫んだけど、それどころじゃない。


 ど、ど、ど、どうしよう!?キスってツバサのときみたいに、手でもいいのかな?でも試してみてダメだったら、体のあちこちに何度もキスすることになっちゃうかも!!


「ど、どうしよう?キ、キスするの?どこにするの?」


「ま、まあ落ち着くのや。とりあえず、そうなのやね。『手』が無難なのやね。それ以外んとこはハルナもキツイのや」


 制限時間があるせいで、さすがにハルナ姫も焦ってるみたい。恥ずかしさはあるけど、やってくれるみたいだ。


「じゃ、じゃあ。私がハルナ姫にするの?それともハルナ姫が私にするの?」


「え……?そ、そうなのやね。それは考えとらんかったのや」


 どうしよう、時間がない。ハルナ姫は無茶する私が好きって言っていた!ここは私が頑張るしかない!!


「今度はハルナ姫にダイブだ!!」


 私は抱き合っていた腕を話し、ハルナ姫から距離を取った。


 ここだ!!今こそ!


 私はハルナ姫の顔を目掛けて、目をつむってダイビングヘッドで飛び込んだ!!


「ちょ、ちょっと待つのや!キスってもっと、ロマンティックに……!!」


 ドガン!!!


 大きな衝撃とともに、歯に強い痛みが走った!!何が起こったの!?


「あいたたたた」


 ハルナ姫も痛がってる。私は状況を確かめるために、目を開けた。


「これやと、キスっていうより激突なのやね」


 私の唇は、ハルナ姫のおでこに当たっていた。おでこは脳を守るためにものすごく硬いらしい。歯が痛かったのは、思いっきりおでこにぶつかったせいなのね。


「で、でも唇が触れたんだから、合格じゃないの?」


「どうやろな?でも、今の激突で仲が深まったのは、確かなのやね」


 ハルナ姫は優しい笑顔を向けてきた。やっぱり私の無茶を好意的に感じてくれているんだ。


 そして私も、私を守ってくれようとするハルナ姫に好意を寄せている。ツバサのときとは違って『友情』の度合いが強い気がするけど、どうかな?


『自爆機能が解除されました』


 謎の声がそう言った瞬間、また景色が切り替わった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【恋愛シミュレーションすごろく ふりだし】


 あ、また『ふりだし』に戻ってきたみたい。じゃあ、『すごろく』的には今ので合格なのね。確かに、すごく仲良くなったけど、恋愛的にはどうなのかな?


 けど、一回目でこれだと本当に二回目以降は何をさせられるのかなあ。


 さて、これで『ツバサとハルナ姫』二人共とデートしたのね。コメットくんとは、元々恋人同士だから当たらない。


 次に私かコメットくんがサイコロを振れば、移動したマスにツバサかハルナ姫が呼び出されるはずだわ。


「どうだった?無事だったかい?」


「ふえっ!?」


 突然、コメットくんに話しかけられてびっくりした。そうだった。コメットくんもまだサイコロを振ってないんだから『ふりだし』にいるよね。


「う、うん!結構楽しかったよ!」


 ドキドキさせられたツバサとのデートとは違って、色々あったけどハルナ姫とのデートは楽しかった!


「そうか。じゃあ、ハルナ姫とも仲良くなれたんだね」


「え?う、うん。それなりには仲良くなったと思うよ」


 これは、もしかしてコメットくんも少しは嫉妬してくれているのかな?だったら、少し嬉しい。


 でも、中々複雑だ。コメットくんのことを好きなまま、二人を好きにならないといけないんだから。


 それにコメットくんがサイコロを振れば、ツバサかハルナ姫とデートすることになる。コメットくんが他の子とデートするのはもちろん嫌だ。


 でもそれに加えて、ハルナ姫やツバサが誰かとデートするのも、少しモヤモヤしてくる。あの二人同士なら恋人同士だからいいけど……。


「そっか。愛美は頑張ってるんだな。よし!決めた!!次は僕がサイコロを振るよ」


 コメットくんがそういうと、彼の目の前に大きなサイコロが現れた。


「よおし、これを投げればいいんだね」


 コメットくんは大きく振りかぶって、サイコロを上に向かって投げた!


 サイコロは天高く投げ上げられた後、重力に従って落下して地面に叩きつけられた。


 上を向いているのは『4』の目だ。


「4か。ハルナともツバサとも違う目が出たね」


 そう言うと、コメットくんの身体が自動的にマスの上を進んで行った。


 そういえば私が召喚されないパターンは初めてだ。どんな感じになるんだろう。


『プレイヤー・コメットがデートマス”海底神殿”に止まりました』


『デート相手を選択します……決定しました!』


『プレイヤー・コメットとプレイヤー・ツバサを、海底神殿に転移させます』


 来た!選ばれたデート相手はツバサで、デートスポットは……海底神殿!?


 海底神殿って何だろう。海底に神様を祀った施設があるの?でも人間は水の中じゃ呼吸できないんだから、そんな施設は作れないと思うけどな


 じゃあ、誰が作ったの?それにコメットくんとツバサはその施設で呼吸ができるのかな?


 もしかしたら神殿と言っても、ダンジョンに近い施設なのかも知れない。


【私はそれから数十分ほど、海底神殿と二人のデートについて想像を続けた】


『プレイヤー・コメットとプレイヤー・ツバサが海底神殿をクリアしました』


 おっ!クリアしたんだって!!


 ってことは、コメットくんとツバサが仲良しになったんだね。


 うーん、ルシアのときはとにかく怒りに燃えてたけど、今度はツバサもいい人だってわかってるから複雑だなあ。


『サイ振りの順番が決定いたしました。プレイヤー・愛美はサイコロを振ってください』


 なるほど、三人とも投げたから最後は私、これで順番が決まったのね。


 『声』の台詞からすると、二周目以降も投げる順番は変わらないのかも知れない。


 もっとも『あがり』がないから、早い順番で振っても有利なわけじゃないんだけどね。


 そして、私の前にもサイコロが出てきたので、それを抱え上げた。


 魔神になって力も上がっているのか、簡単に持ち上げられた。


 そして、それを両手で転がした。


 サイコロはコロコロと転がっていき、『ふりだし』マスの真ん中辺りまで行って止まった。


「『5』か。他の三人の誰とも被らなかったわね」


 私の身体が何かに操られるように、マスを進んで行き五つ目のマスで止まった。


『プレイヤー・愛美がデートマス”お化けの町(アンデット・タウン)”に止まりました』


『デート相手を選択します……決定しました!』


『プレイヤー・愛美とプレイヤー・ツバサを、お化けの町(アンデット・タウン)”に転移させます』


 デート相手はツバサだ!たった今コメットくんとデートしてきたツバサと、私がデートするのね。


 わわ、何だか不安になってきた、どうしよう!?


 デートスポットも不安だ。『アンデット・タウン』って何?


 トラップのお屋敷も大変だったけど、今度はお化けの町かあ。不安だなあ。


 でも、デート相手がツバサで良かった。頼りになりそうだもん!


 そう考えていると、私の身体が発光し始めて、どこかへワープした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【恋愛シミュレーションすごろく デートマス5 アンデット・タウン】


 そこは薄暗い街の中、周囲に怪しい雰囲気が広がっていた。


 そして、隣には怯えて私にすがりつくツバサがいた。

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