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声を持たない少女

少女は生まれつき、『声』というものを持っていなかった。


容姿は端麗。

黒く長い髪と濡れた瞳は満天の星空を思わせ。

スラリと長い手足に、透き通るように白い肌は、18歳にして上品な魅力を溢れさせている。


頭脳は明晰。

彼女は既に国内トップの大学への推薦合格が決まっており、その知的好奇心と冴え渡る頭脳は、新たな知識をスポンジのように吸収する。


スポーツでも優秀な成績を残し、友人も多く、完全無欠にも思える少女――


だが、どんなに優れていても。

少女は完璧では無かった。


彼女の喉から出る音は、呼吸の延長のようなヒューヒューという音だけ。


原因は不明、声帯にはなんの問題もなく、医師にも匙を投げられた少女は、だからこそ。

声というものに強く焦がれた。


こんな声が欲しい、あんな喋り方が出来たらと、様々な空想をした。


もし自分が声というものを手にしたら――


その時彼女は、本当の完璧に到れるのだから。

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