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邪神の牲  作者: あすか
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第82話 世界滅亡

 魔物を解き放って二日が経過。


 真っ先に人族が滅んだ。

 特に見どころもなくあっさりと。

 まぁ人族に関しては一番戦力になりそうな王都が既に滅んでいるから消化試合のようなもの。

 頼みの綱の魔道具は他種族に対しては有効だろうが、より強い力を持つ黒い魔物には無力。

 人口だけはやたらめったらに多いので時間だけはかかったが。

 細かい町や村が多すぎんだよ。

 殺すことよりも、移動や死体を回収する方に時間がかかっていたぞ。


 そして人族が滅んだ翌日。

 エルフとドワーフが滅んだ。


 エルフは自然系の魔法が得意な種族。

 実体のない黒い魔物も高威力の魔法を食らえばダメージ……というか、攻撃を受けた部分が消滅して小さくなる。

 ただ……エルフといえど、村人全員が戦えるわけがない。

 高威力の魔法を使えるエルフなんて多くても村にひとつの村に十人程度。

 流石にエルフの首都はもう少し多くて、多少健闘はしていたが……それまで。

 結局一体の魔物も倒すことができず、滅んでしまった。


 そういえばモニター越しに見たことのある生意気なエルフが映っていたな。

 首都に転送したから居てもおかしくないのだが……最後は泣き叫びながら。黒い魔物に食われた。

 俺に生意気な態度さえとらなければ、死ぬことはなかったのに。

 ざまぁねえな。


 ドワーフは頑丈さと武器に関しては一級品。

 大砲を持ち出してきた時はそれなりに見応えがあった。

 だが、どんなに立派な武器でも大砲でも、霧状で実体のない黒い魔物にダメージを与えることは叶わない。

 一瞬霧散してもすぐに元通りに戻ってしまう。

 ダメージを与えるつもりなら、魔導砲ぐらい用意しないとな。

 まぁドワーフは魔法はそこまで得意ではないって話だから無理だろうが。

 そして頑丈な肉体も立派な防具もブラッドマンティスの鎌で一刀両断。

 人族よりは苦戦したって程度でドワーフも滅んだ。


 獣人は少し面白かった。

 エルフやドワーフに比べて人口も多いし、獣の種類によって戦い方も違う。

 狼や獅子の獣人は力が強く、狐や兎の獣人は魔法が得意。

 エルフとドワーフの良いところが合わさった戦い方で、多数の被害を出しながらも、首都は黒い魔物の討伐に成功。

 これには俺とベルもモニター越しにテンションが上ったものだ。

 思わず獣人の方を応援してしまったもんな。

 ただ……獣人の善戦はここまで。

 他と同様、首都以外は人口が足らず黒い魔物を討伐できずに滅んでいる。

 その魔物たちが第二波として首都を強襲する。

 一体をギリギリで倒したのに、今度は複数体が首都を襲うのだから、耐えられるはずもなし。

 魔物を解き放って五日後。

 なんとか二体の魔物を倒したものの、そこで獣人国は力尽きた。


 それから二日後。

 魔物を解き放って一週間が経過。

 モニターには最後まで抵抗している魔族の首都が映っている。

 魔族領も他所と同じく首都以外はあっさりと滅んだのだが、流石というべきか魔王のいる首都は盤石だった。


 攻めあぐねている理由はたった一つ。

 魔法なのか魔道具なのか分からないが、人族の張っていた結界なんか目じゃないくらいの強力な結界が首都を覆っていた。

 これにより黒い魔物の攻撃は完全に防がれ、攻撃はおろか結界内に入ることすら叶わなかった。

 対して向こうは結界内から外へと攻撃できるようで。

 魔法なのか魔道具なのか分からないが、ドワーフの大砲なんか目じゃないくらいの強力な魔導砲を発射。

 命中すれば、黒い魔物が一撃で吹き飛んだ。

 ただ回数制限があるのか、チャージに時間がかかるのか、一日に数回しか撃てないようだが。

 それでも確実に各個撃破を繰り返していた。


「むー。面白くない!」


 そう。面白くない。

 せめて獣人族と同じように直接戦闘があればまだしも、ここは守って遠距離から攻撃するだけ。

 倒されることに対する怒りはなくとも、毎回同じパターンで倒されるのは流石に飽きる。

 他が残っているなら他のモニターを見ていればよかったが、獣人が滅んでからは、残っているモニターはここしかない。

 つまり二日間ずっと同じ光景を見せられているだけなのだ。


「もー我慢できない! よし、行こう!」


 そういうわけで、俺とベルは魔族の首都にやってきた。


「んー! ひっさしぶりの外だね」


 ベルが大きく伸びをする。

 確かに。一週間ぶりの外だ。


「あー気持ちいー。こんなことならさっさと来れば良かったね」


 ベルが柔軟しながら言う。


 そう。残り一ヶ所だけなら直接見ればいいわけだから、さっさと研究所から出ていけば良かった。

 それなのに二日間もダラダラと。

 そもそも本来なら黒い魔物はサポートで、俺が自分の手で滅ぼさないといけないはずだったのに。

 どうしてだろう?

 ベルに言われるまで、何故かその考えには至らなかった。

 モニターを見ながら滅ぶのを待つ。

 まるで思考を操作されているかのように、それだけしか頭に浮かんでこなかったのだ。


 というわけで俺が魔族の首都を滅ぼしてもいいわけだ。


 そういえば魔王には話したいこともあったような気がする。

 なんだったっけ……ああ、そうだ。

 ニナの母親についてだ。

 何故助けなかったのかと……まぁ今となってはどうでもいい話だけれど。

 まぁ余裕があれば話してみるか。


「ともかくだ。まずは結界をどうにかしないと」


 黒い魔物の攻撃すら防ぐ結界。


「そんなの君が壊れろってするだけでパリンだよ」


 まぁ事実そうなんだけど。

 どんなに強力な結界でも、ベルの力には敵わないと。

 その代わり黒い魔物以上の供物……命10個分以上の供物をベルに支払う必要があるみたいだが。

 苦しくなくなったベルへの供物はむしろご褒美なんだよなぁ。


「じゃあ……結界よ。壊れろ」


 その一言だけで、黒い魔物が苦戦していた結界が消滅する。


「ついでに……と」


 俺は魔力無効の結界を首都に張る。

 研究所に張ってあったやつの更に強力なやつだ。

 これで魔族は魔法が使えない。


「わぁお。バアルってばきちくー」


 ベルも喜んでくれたようで何より。

 よし。後は蹂躙するだけ。


「黒い魔物って何体残ってたっけ?」


 他の種族を襲っていた魔物も全てこの首都に集まっている。


「えーと72体だね」


 へぇ。30体くらい倒されたのか。

 攻撃は単調だったとは言え、素直に称賛したい。


「それだけいれば十分だ」


 むしろ過剰すぎる。

 まぁ最後だし、魔物たちもずっと防がれてヤキモキしているだろうし一気に終わらせよう。

 俺は半分をそのまま、残り半分を小型化して首都を襲わせる。


 こうなると魔族もあっけない。

 魔法の使えない魔族なんか人族とほとんど変わらず、あっという間に首都は陥落した。

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