表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神の牲  作者: あすか
43/93

第40話 1万回死ぬ男②

 ――51回目。

 残り半分を切った。

 そこにいる兵士は、まだあのお喋り兵士だが、もう聞きたいことは聞けたし、あまり何度も話して警戒されたくない。

 もう話しかけることはないだ……


 ――55回目。

 毎回意識が戻っているが、それの数を数えると累計が分からなくなるので、3分周期は数を数えない。

 にしても……マジで頭が痛い。

 ここまで痛くなったことは今までない。

 もうこれのせいでイライラが……



 ――60回目。

 くそっ!? 何だって僕がこんな目に遇わなくちゃならないんだ。

 そもそも僕一人で1万人分の役目を果たすのが間違っているだろ。

 別に適当に5千人くらい生け贄にしてから残り5千を僕がやればもう終っていた……



 ――70回目。

 いつの間にか頭痛が消えていた。

 その代わりイライラが収まらない。

 退屈だと愚痴っている兵士がムカつく。

 たんたんとギロチンを操作する兵士が腹立たしい。

 目の前で欠伸をしながら数を数えている兵士が癪に障る。

 何の権限があってコイツらは僕を殺しているん……



 ――75回目。

 人を殺す奴ってのは、殺されても文句は言えないよな?

 つまり僕を殺しているコイツらは僕に殺されても文句は言えないはずなんだ。

 というか、一回くらい殺しても罰は当たらんだろ。

 そう。これはお返しなんだから、悪いことじゃない。

 だから……



 ――77回目。

 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……



 ――80回目。

 僕には契約魔法があるから、コイツらを殺すだけなら今すぐにでも殺すことが出来る。

 所長に効かなかった契約魔法。

 所長の話によると、同じ魔道具を兵士達も装備しているらしい。

 だが、その対策方法は所長から既に聞いている。

 だからコイツらはいつでも殺せるんだ。

 だけど……ただ殺すだけじゃ面白くない。

 コイツらは僕を殺し続けたことを後悔させて殺さなければ。



 ――84回目。

 殺され続けてストレスが溜まっていただけだったのか。

 コイツらを後悔させて殺すと決めてから、イライラも収まってきた。

 日本にいた時も復讐するって計画を立て初めてから、苛められることへの苦痛が和らいでいたからな。

 やっぱり我慢はしたら駄目ってことだな。

 そもそも何で我慢していたんだっけ?



 ――90回目。

 残り10回……千回死ねば終わり。

 もう3分周期の時でも、1分近く意識が戻り続けている。

 2分で生き返っていることを考えると、意識が戻る際のタイムラグは殆どないってことだ。

 残り千回もあれば、契約魔法を使うタイミングやイメージを十分に練習できる。



 ――95回目。

 後5回。

 待ち遠しくて仕方がない。


 ――96回目。

 とうとう残り24時間を切った。


 ――99回目。

 いよいよ最後。

 刃交換のカウントはもうしなくて、これからは毎回……100回連続でカウントすれば終わり。

 5時間後には全部終わっている。

 いや、そこまでかからない。

 だって兵士たちの命があれば1万回に到達するんだから。



 ――残り99回。

 あっ王宮のバルコニーに所長がいる。

 そっか。神を呼び出す呪文を知っている所長は魔法陣の近くには近寄れないって言ってたな。

 あそこでその時を見守っているってことか。


 ――残り97回。

 そういえば国王の姿は見えないな。

 まぁまだ5時間近くあるからってことか。


 ――残り80回。

 国王は残り4時間と思っているんだろう。

 ふふっ。精々期待に胸を膨らませて待っているといい。


 ――残り50回。

 そろそろ殺す兵士の数をカウントしなくては。

 確定でギロチン担当の二人。

 それから正面にいるカウント要因の二人。

 だけど、カウント要因は魔法陣の外。

 殺すことは可能としても、生贄の数に数えていいものか。

 確実なのは、残り2回になった時点で行動を起こす。


 ――残り30回。

 ついにバルコニーに国王の姿が見えた。

 所長と話しているようだが……残り回数でも確認しているんだろう。


 ――残り20回。

 バルコニーから国王の姿が消えた。

 まだ1時間以上あるが……準備に入ったか?


 ――残り19回。

 バルコニーに残っているのは所長一人。

 その所長がこちらに向かって慌ただしく手を振っている。

『難しいかもしれないけど、残り5回を切って、こっちから合図できるようなことがあれば、合図するよ』

 あれが合図か!?


 ――残り18回。

 計算間違いをしている!?

 いや、そんなはずは……そうだ!

 最初の所長のデモンストレーションを忘れてた!

 11引いて……今が残り7回。

 所長のカウントでは多くても残り4回。

 くそっ……他にも見逃しが……っ!? 国王が見え……


 ――残り17回。

 国王が魔法陣の前にいる。……が、まだ呪文を唱える様子はない。

 まだ1万回は言ってない。

 僕のカウントでは後6回だが、もはや一刻の猶予もない。

 所長の残り3回を信じて……国王も生贄にすれば1万に到達する!

 僕は契約魔法を発動させた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ