ヒロインに婚約者を取られたので晴れて妖精王に嫁ぎます
ヒロイン役は転生者
本来生まれ変わるべき身体が入れ替わったって?
はじめまして、ご機嫌よう。私ルーナリア・ムーンライトと申します。公爵令嬢ですわ。今、謂れのない罪で断罪されていますの。
「ルーナリア・ムーンライト!公爵令嬢という立場にありながら男爵令嬢を虐げる貴様とは婚約を破棄させてもらおう!そしてここにいるタルト・スターライトと新たに婚約を結ばせてもらう!」
「ラジエル様ぁ、カッコイイですぅ!きゃあ!」
まあ、事前にこのことは聞かされていたので驚いてはいませんが。
「どうした、ルーナリア!何か言ってみろ!」
「全ては王太子殿下の御心のままに」
「…ふん。今だから言うがな、俺はお前のそういう態度がずっと気に入らなかったんだ!」
「そういう態度とは?」
「だからぁ、ルーナリア様のお高くとまったところですよぅ」
うざいなこの子…、まあ、いいですけれど。
「それでは、婚約破棄の旨を申請致しましょう。そこの見習い神官さん、こちらへ」
「は、はい!」
「婚約破棄の書類を」
「こ、こちらになります」
「…。書きました。王太子殿下も書いてください」
「ふん。言われなくても。…。これでいいか」
「はい、たしかに受理致しました」
「では、タルトとの婚姻届けを」
「は、はい、こちらです」
「…。よし、タルト。こちらにサインを」
「はい、ラジエル様ぁ。…書けました!」
「はい、確かに受理致しました」
「では、これよりタルトが王太子妃だ!王太子妃を虐めた貴様には身分剥奪の上国外追放を言い渡す!」
「かしこまりました」
「なにをしている!」
私達が教会で揉めている間に、国王陛下が入ってきました。もう遅いですわよ、国王陛下。覆水盆に返らずです。
「父上!今ルーナリアとの婚約を破棄しタルトと結婚したところです!」
「なっ…なんということをしてくれたのだ、貴様は!」
国王陛下が王太子殿下を殴り倒します。王太子殿下はびっくりした様子ですが、すぐに立ち直ります。
「父上!父上は騙されています!妖精の愛し子はルーナリアではなくタルトなのです!」
「なに!?」
「そうですぅ、私が妖精の愛し子なんですぅ」
「…ほう、貴様がタルトとやらか。まったく、こんな娘の世迷言を本気にするとは…」
「父上!タルトには妖精の愛し子の刻印があります!」
そう言ってタルト様の手を国王陛下に見せる王太子殿下。その手の甲には確かに妖精の愛し子の刻印が。
「これでお判りいただけましたか?」
「ああ。お前が人の話を聞かない馬鹿だと分かった」
「なっ…父上!」
「私は!お前が!幼い頃より言い聞かせてきただろうが!妖精王様が私の前に現れ!本来の妖精の愛し子様が生まれ変わるべき身体が公爵令嬢の身体と入れ替わったと!」
「…へ?」
「そして!その公爵令嬢こそがお前の婚約者だと!」
「…。え、あ」
顔が真っ青になる殿下。え?馬鹿なのですか?てっきり知らないのかと思っていましたわ。
「だ、だって、そんなの嘘だってタルトが…」
「ふん!そうよ!そんなの嘘に決まってるわ!私こそがヒロインなのよ!」
「…そ、そうだよな、タルト」
「愚か者どもめ…妖精王様は妖精の愛し子様であるルーナリア様を溺愛していらっしゃる。お前たちどころか私達この国の民全てが妖精王様に見捨てられたのだぞ!」
「…え」
「…ああ。そういうことだ。な、ルーナリア」
「ファータ様」
「ファータ!やっと会えた!転生してからなかなか会えなくて寂しかったわ!私よ。妖精の愛し子タルトよ!その女をやっつけて!」
「愛するお前が『国外追放』とやらにされたのだ、お前とともに俺たち妖精も隣国に移らねばなぁ」
「…意地悪な顔になっていましてよ」
「はは、愛するお前が馬鹿にされたのだ。仕方あるまい」
「ちょっと!聞いてるのファータ!」
「偽物風情が。私の名を呼ぶな」
ギロリとファータ様がタルトさんを睨む。タルトさんは真っ青になりました。
「まさか…本当に私、妖精の愛し子じゃないの…?」
「そうだと言っておるだろうに」
「ああ、それと私達も娘と共に隣国に移ります」
「なっ…ムーンライト公爵!?何故!?」
「何故もなにも、娘を一人で隣国に移す気はありませんからな。なに、向こうでも公爵として扱っていただけますから心配は要りませんよ。なんせ妖精の愛し子の家族ですからな」
「そ、それではこの国はどうなる!お前達が一番この国で力を持つというのに!」
「妖精王様に見捨てられた時点でこの国は終わりですぞ。ああ、心配しなくても領民達は既に隣国に賜ります私達の領地に移してありますのでご安心ください」
「なっ…なにを勝手なことを!」
「勝手なことをしたのはお前だ!馬鹿息子!せめて今日こそは目を覚まし、妖精王様のお怒りを鎮めてくれると期待しておったのに!そのために忠告もしてやったのに!」
「そ、それは…」
「もう、よい」
「妖精王様…」
「ともかく、私達は隣国に移る。そしてルーナリアは私の妻とする。お前達は勝手に喧嘩でもなんでもしていればよい。ではな」
そうして私達は、ファータ様の魔法で隣国に移りました。その後私の祖国は自然消滅。私達が今いる国の領地の一部となりました。そして、私はファータ様の妻となり、家族と妖精達と共に幸せに暮らしています
でも自分が妖精の愛し子じゃないなんて疑ったことはなかった




