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深窓の女男爵

深窓の女男爵


私、深窓の女男爵ですの。


初めまして、ご機嫌よう。私はルチア・ナタリー・ディアス。公爵令嬢でしたわ。私、実は所謂悪役令嬢でしたの。


順を追って説明しますと、まず、私は所謂異世界転生というものをしたようなのです。前世で外国の貧しい子供達を無料で治療していた結果、死後好きな世界に転生する権利を得られたのですわ。そしてこの世界で目が覚めましたの。大好きな乙女ゲームの世界。しかし、私はヒロインではなく悪役令嬢に転生していたのですわ。そしてその後、母を虐待していたという祖母に顔がよく似た私は、父方の祖父母以外の皆から貴族の出来損ないとして虐げられて育ちましたわ。いくら私が良い子にしていようと、お父様とお母様はヒロインである妹ばかりを可愛がり、私は要らない子扱いでしたわ。元婚約者のアルバート様も妹にすっかり夢中でしたの。妹の婚約者のギルベルト様なんて、私に「妹を虐めるな、この悪女!」なんて言ってきましたのよ。私、そんなことしていないのに。


だから、私考えましたの。


ーもう魔力の枯渇を理由に引きこもってしまいましょう!


…ということで早速、魔力を領地の畑で食物達の成長促進の為に使いまくり、魔力の枯渇を起こしましたわ。領民達は飢饉に苦しんでいたためそれはもう喜んでくれて、今まで私を誤解していた、妹君より貴方の方がよほど貴族の鑑だ、今まですまなかった、と言ってくれましたわ。最後に誤解が解けて良かったですわ。まあ、その後ろで、でもじゃあ姉から虐げられていると言っていた妹君の話は嘘なの?最低!という声が次々と上がっていたのは正直ざまぁみろですわ。そして私は魔力の枯渇を理由に父方のお爺様におねだりして、お爺様の元で療養させていただくことになりましたの。そして、そこでこれまでの両親や妹、婚約者達の所業を訴えましたわ。お爺様はすごく憤ってくださり、そのまま私を引き取ってくださいましたわ。もちろん婚約者とは婚約破棄。私を邪険にしたことが理由ですので慰謝料も貰いましたわ。そして、その慰謝料で男爵位と領地を買い、私にプレゼントしてくださいましたの。公爵令嬢から女男爵というのも結構アレですけれど、私はむしろすっきりしましたわ。そうして今、私は深窓の女男爵ですわ。


「ルチア、お前に紹介したい子がいるんじゃ」


「ええ、お爺様のご紹介なら喜んで」


「おお、よかった。入っておいで」


入ってきたのは懐かしい面影のある男の子。


「アルフィー!?」


彼はアルフィー・チャーリー・デイビス。私の幼馴染ですわ。唯一妹の話に耳を貸さず、私を守ってくれた男の子。私、実は彼に恋い焦がれていましたの。でも、彼は子爵令息。身分が違いすぎて…それに、私には婚約者がいたから、諦めていましたの。


「ルチア、遅くなってごめん。迎えに来たよ」


「アルフィー…!」


「俺と結婚していただけますか?マイレディ」


「もちろんよ!」


そして私達は結婚しましたわ。今は一男一女の元気で可愛らしい子供に恵まれて、貴族としては慎ましやかながらも幸せな生活を送っていますの。


…妹?ヒロインさんである妹は、当然のように学園に入学したようですわ。でも、皆様からの評価は愛らしいご令嬢ではなく変わったご令嬢でしたわ。なんでも、折にふれ攻略対象の皆様に言い寄っていたそうですの。婚約者がいるのにね。逆ハーレムでも築くつもりだったのかしら。もちろん、私がいれば全部私のせいにして、悪い噂は私が流したもの、可哀想な妹として振る舞えたでしょう。でも、私はそこにいなくてよ。すぐに妹の所業は噂になりましたわ。それどころか、正統な公爵家の跡継ぎの私を追い出した悪女として有名になっているそう。学園にも居辛くなって、困っているそうですわ。


私の元婚約者は、妹の所業を見てようやく目が覚めたようで、すまなかった、と一言謝られましたわ。今更ですわね。せいぜい元婚約者を虐め抜いて病弱にした最低男として生きていってくださいな。


妹の婚約者は、今の妹が信じられないようで、必死に私のせいにしようとしているそう。何かしらの魔法で妹を操っているのだと。まあどうでもいいですわね。せいぜいそのまま、妹と共倒れなさってくださいな。


私の両親は、自分達のしてきたことが母方の祖母…二人の忌み嫌う母の母と同じ所業だとようやく理解したようで、必死に擦り寄ってきますの。今更貴方達と仲良くする気はありませんわ。どうぞご遠慮なさって。


まあ、色々ありますけれど、私を虐げた人達もざまぁな結末になりましたし、私は幸せですわ。


逃げの一手。それも一つの選択肢ですわ。

今は幸せな子爵夫人

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