第9話 元魔法使いの兄と探索魔法
今回は新キャラ登場です。
なんて事だ!弟が消えた!俺のアッシーが!
いつもの王宮が慌ただしい。といってももう3か月経っている。戦場はかなり不利だ。アレクが居たら戦況は有利だったが、アレクが失踪してから戦況はかなり押されている。
我が国ソルティアでは兵は弱く、普通ではルナールには勝てない。しかし、時々天才が生まれ、そういった者により戦況は400年均衡し続けてきた。しかし、私の時代にもうすぐなるというこの時に、その天才であったアレクが失踪した。
弟《道具》など、我が道具、兵器でしかない。本当は戦を沈める為の政略結婚をさせるための道具であったが、幸いにも強力な魔法が使えるのだ。あれほどの天才は他にはいまい。我の一番のお気に入りなのだ。それを汚すなど許しはしまい。
道具を誑かした賊を俺は許さない。そして敵国に送った鼠には引っ掛からない。あの黒髪はソルティアでも、ルナールでも珍しい。
「くそ、まだか!まだ我が愛しい弟《道具》は見つからないのか!」
「申し訳ございませぬ。国中探しましたが見つからず、鼠もギリギリまで範囲を広げておりますが、見つかっておりません」
「ぬぅーー。アレク《道具》、帰ったらお仕置きが必要であるな」
「第一皇子 ドーラ・アーク・ソルティア様。本音が漏れております」
「おっと、聞き流せ。ここにはお主しかおらんではないか」
周囲を見渡すと、侍従も全て控えさせている。ここには正に二人しかいなかった。
「左様ですが、口に出しているとふとした瞬間漏れることもあります故、ご留意くださいませ」
「ふん、分かっておる」
時期皇帝である我がそんなミスを犯すはずがない。人は全て道具である。反発を抑える為にある程度の自由を与えるが、一見得をするような得をしない政策を敷けば何も損は無い。
だから如何に愚民を騙す事が政治という仕事だ。これはどこの国でも同じだろう。B層はどこにでもいて、いないと国は回らない物なのだ。
勿論民無き王国に国は成り立たないのは分かっているが、ある程度抑圧しなければ付け上がるのも目に見えている。何事も程ほどが一番なのだ。
「さて、では私も一度休戦協定を結ぶ為にルナールへと赴くか。」
そう言って動きだす。勿論兵器を取り戻す為だ。そしてあいつは知らないだろうが、我には目的の物を探すうってつけの物がある。
我が手を二回叩くと陰から人が出て来る。いつみても汚らわしい。でもその能力は優秀だ。我は見た目より機能を優先するのだ。その少女の形をした道具が水晶の玉を持って、それに魔力を込めて輝かせる。
「ルナールの山奥・・・・・」
「ふふふふはははは!手こずらせおってからに。」
この道具は3カ月に1回しか使えないが、とても優秀だ。丁度あいつが居なくなる前にこれを使ったばかりだったのだ。3月待った。もう我慢する必要もないだろう。
我は返って来たアレクにどうお仕置きをするかを悩むのだった。
キャラの登場はなるべく少なくするつもりです。