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第16話 元魔法使いと湖

 僕はナツを宥めて、ソファーで寝かせると、布団の中に潜る。すると何かふわりと良い匂いが鼻腔をくすぐる。



「うん?師匠トイレか何かかな?」




 取り合えず気にする必要はないと思っている。まあ、早く寝よう。明日は恐らく団長と対峙する必要があるだろう。流石にあのままという事はないと思う。



 そして、僕は夢を見た。




 僕は今満月の下、森の中なのにその場所だけ何故か広がっていた。目の前にエリスの顔がある。




「師匠の夢?」


「夢に夢って言ったら失礼になるんじゃない?」




 いつものクールな師匠がそこにいた。どうやら僕はエリスにお姫様抱っこされているようだ。




「師匠。ここは?」


「ふふ、夢の中くらい私の事エリスって呼んで。」




 あまり見せない笑顔で僕は心臓が飛び跳ねる。なんて可愛いのだろうか。しかし、夢か。ハードルが高い。でも、現実ではないから、呼んでもいいのかな?




「え、え……エリス…」


「ん?なーに?」





 その可愛い反応を見て僕の顔はどんどんと顔が赤くなる。なんて可愛いのだろうか?




 周囲をみると、どうやら美しい湖だった。蛍がいるのか周囲には星のように小さな光が浮いていた。空にも無数の綺麗な星が輝く。



「美しい。この場所はどこ?」


「夢の中だからなんでも出来るの。ほら、私の事を好きにしてもいいんだよ?」


「へ?うーん。」




 僕は妙に生々しい夢に首を傾げながら、師匠であるエリスに抱き着く。取り合えずぎゅっと抱き着きたい。騎士団長にエリスが犯されそうになったとき、自分の中にもやもやした何かがあったのだ。それを今はっきり自覚して、顔が赤くなる。





「私の事…好き?」


「うん…」




 柔らかく、暖かい。ぬくもりを感じてそこにエリスがいるのだと感じる。実際は布団でも抱いているのだろうか?





「ね、それだけ?」


「え?それじゃあ、エリスの必殺の剣技をみたいな」





 エリスはズルっと体勢が崩れるが直ぐに持ち直す。良く見ると、エリスの身体は透けているネグリジェだった。僕は直ぐに意識を切り替える。

 僕はエリスに何を求めているのだろう。健全な男子だとしても、師匠にこれはない。


 そのエリスは僕の顔を覗き込んでくる。




「ねえ、あなたの夢だから、あなたの知らない剣技は今の私。使えない。」


「え?そ、そっかー。」






 僕はそれもそうかと、納得する。けれど、その夢エリスはにっこり笑う。




「けれど、こっちは教えてあげられる。」




 急にエリスにキスされる。





***********************************



「は!」




 僕は飛び起きる。家の窓から朝日が差し込んでいる。




「な、なんて夢を!!」




 急にエリスと湖の前で行為をしてしまった夢を思い出してしまう。キスされた後、僕の理性は崩れた。




 凄くしょんぼりとしていた。あれが夢だった事と、エリスに対して劣情を持ってしまっていたことを深く反省した。そしてそんな夢を見たからか、とても身体が怠い。







「おはよう」


「おっはようございますわ」





 エリスとリフィールが起きて来た。




「お、おはよ……ござい‥ます」




 急に恥ずかしくなって声が小さくなってしまった。それに首を傾げるエリスと後ろを向いてしまうリフィールをチラチラとしか見れなかった。





*********************************************


「さて、これからだけれども…」




 僕、リフィール、エリス、ナツはテーブルで朝食を食べつつ昨日話あった内容で実行する。



 簡単に言うと、僕とエリスが団長を問い詰めるという物。僕の右腕だったナツがリフィールをこの家から北上して一旦逃げるという事になっている。




「ここに湖がある。ここに逃げてて。」


「了解だ!」



 エリスがナツに言う。それに豪快に返事をするナツ。それに対して…。




「み、湖…」


「あらあら?どうしたのですかぁ?何か顔が赤いですよ?アレクさん。どうしたのですか?」





 にやにやしながら顔を見て来るので、昨日盛大に寝言でも漏らしていたのかもしれない。




「い、いえ。というか、僕の寝言聞いてました?」



「え?いいえ?ただ、エリスお姉さまを見て湖に反応したので。私達エルフは神聖な湖の前でしか交わらないという儀式があります。簡単に言うと、エルフにとって星が輝く満月で蛍が舞う中で交わる事を連想するので、基本湖イコールエロ案件なのです」



「なに!?」





 昨日の夢の事がフラッシュバックしてしまう。





「えっと、それで、師匠は団長をどうにか出来るのですか?」


「うーん」





 真剣に悩むエリスは可愛い。しかし、とても昨日の事を思い出してしまって直視出来ない。




「師匠じゃなくって、エリスって呼ぶように。『さん』とか『ちゃん』もだめ」



「え?でもなんで師匠は」


「え、り、す」



「エリスは…うう」





 顔が熱い。目を逸らすと、エリスがクスリと笑う。ナツの方を見てにやけてくる口を隠す為に紅茶を飲む。





「じゃあ、その夢正夢にしちゃおっか」


「ぶふ!?!??」




 盛大にナツへと噴き出す。ナツはこちらを睨みつつも着替える為に席を外す。



「ぶふ、あは、あははははは!アレクさん、お姉様。面白すぎます!あはははあ!」




 それに釣られて僕もエリスも笑うのだった。










「俺はなんで仲間外れ?」

ぐは!

完全に書き上げてからの投稿のつもりがいつの間にか投稿開始されてました。


という事で次回更新は少し時間ください!





ここまで読んで頂きありがとうございます。


良ければ星の評価をお願いいたします。

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