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第14話 元魔法使いと救出失敗

 妹エルフは天井から吊り下げられた手錠で両手を縛られていた。この態勢は厳しいだろう。解放してあげる。



「静かに。エリスさんの妹さんでいいね?」


「お姉ちゃんを知っているのですか?」



 僕はコクリと頷くと、直ぐにこの牢屋を監視するクリスタルに魔法を掛ける。さっき居たどうでもいい犯罪者の死体を代わりに手錠を嵌めて、幻覚魔法を掛ける。




「ほら、手を握って。この壁を魔法で透過するよ。」


「は、はい」



 一瞬怯えながらも手を取ってくれた可愛いエルフと一緒に壁を透過する。ハル副団長が丁度ズボンを履くところで、お尻を僕と妹エルフに見られる。




「き、きゃもがもがもが!」




 叫ぼうとしたが、口を押える事で落ち着かせる。



「静かに。看守に気づかれる。」




 コクコクと頷く妹エルフ。ズボンも履き終わったハル副団長に外に出る合図を送って外に出る。



 監獄の外の木陰にハル副団長と妹エルフを置いて監獄に戻る。




「看守!!」




 ここでスリープを切って、看守を起こす。



「ううん。は!ここは!?あ。そういえばお前が来ていたんだったな。俺はどの位気を失っていた?」



「10分位だと思います。僕も一瞬気を失いました。そして倒れてしまったんですが、うっすらと意識がありました。一度だれかが奥に入って、直ぐに出ていきました。直ぐに意識がハッキリしたので看守を起こしている次第です。」



「そうか。お前はもう帰りなさい。」



「いえ、ハルシオンという者の様子をうかがうように言い事遣っているので。」





 看守と一緒に奥へ行き、死体を見つける。



「な!?」


「く、エリス様の嫌な予感が当たったようですね。」





 そのまま直ぐに外に出て、エリス様に伝えるという旨を残し、監獄を出た。妹エルフとハルを連れて家に帰る。




「ハル副団長。これからはナツさんと呼びます。」


「俺はナツと名乗るのだな?分かった。で、こっちのお嬢さんは?」



「私はエリスフィール姉上の妹。リフィール ユグドラシルと申します。助けていただきありがとうございました。」


「僕はアレク。君のお姉さんに助けてもらってここで剣を教えて貰っているんだ。事情説明とかはエリス師匠が帰って来てから説明します。ナツ。この子の護衛お願いね?」



「命に代えても」





 親指を折り、他四本の指を心臓に充てるソルティア王国軍隊の敬礼だ。取り合えずこの二人をこの家の中にいさせて貰う。



 僕は救出に成功した旨をエリスに伝えに再び騎士団に向かった。




*************************************


「おい、小僧。どこほっつき歩いていた?」




 ニンジン先輩に捕まりました。そして強制的に訓練場に引っ張られていく。



 早く報告しなければならないのに…。





 この時無理やりにでも抜け出すべきだったのだ。まさかあんな事になるなんて。










***************************************


 訓練が終わって直ぐにエリスさんの所に向かったが、エリスさんは見つからない。魔力反応で調べてみると、また騎士団長室へいるようだ。



 僕は慌てて騎士団長室へ入る。




「失礼します!」


「じゃまだおい!いま取り込み中だ。入るな」





 無理やりドアを蹴り破ると、ソファーに押し倒されているエリスさんと押し倒している団長がいた。





「え、そういうのはいけないですよ?団長。」


「ふん、これは双方の合意の物だ」





 媚薬を盛ったのは想像に難くない。そして、エリスさんがひん剥かれても抵抗出来ていない所を見ると、とても強い媚薬のようだ。




「あの、師匠。あなたの妹リフィールさんが見つかりました。」



「「え?」」




 騎士団長とエリスは驚く。驚く情報は違うだろうけれど。




「取り合えず保護しましたので、至急家までお願いいたします。」


「なに!?まだあそこに…」





 急に水晶を取り出して確認する。メイドが扉から顔を出して直ぐに走り去る。確認に行ったのだろう。





「貴様。どうやって見つけ出した。」


「え?道端歩いていましたけれど…」





 エリスは服をしまい、白く魅惑的な肌を隠す。顔が艶めかしく朱が刺しており、エリスが発情しているのは直ぐにわかる。






「では帰りましょう。ほら、この水でその火照り解消出来ます。」



 僕が聖水を渡すと一気に呷る。少し赤くなった頬が元に戻る。




「騎士団長。今日の所は戻ります。今日の事実は忘れません。」






 どうやらエリスさんの救出に成功したらしい。



 騎士団長が鬼の形相でこちらを見てくるが、知らない。軍務規定違反をする方が悪いのだ。一応襲っている時の写真を騎士団長が見える様にちらりと見せて笑ってみせると、顔を青くした。





「まあ、師匠。実害がないので、放置しておきましょうよ。まあ、何かあったら…」


「…そうね。妹も見つかったなら。」






 エリスさんと家に帰る。もう夕方だった。帰ったら事情を説明するといいつつも、粗方話してしまった。家に帰ったら、四人でもう一度話会う予定である。



 だから忘れていた。決して故意ではない。




「きゃーーーーーー!いやーーーーー!」


「このーーーーーー!」






 家が大惨事になっていた。





 悲鳴を聞いて駆け付けた。すると、そこには全裸のナツと、物を投げて変態から逃げるリフィールさん。それを見て壁に穴を開けてしまうほどナツをぶん殴るエリスさん。ナツ…良いやつだった。



 そういえば『クリエイト』の魔法、2時間程で消えるんだった。

 まあ、尊い犠牲という事で。違う?違うかー。

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