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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第5章 ワンダーランドの落日と妖綺譚
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第93 妖綺譚 2

今回は短めです。

オラと勘太郎は雨土山を越えた所に在る雨土村と云う村で住んでいた。


村の人達はオラの事をお人好し五平などと呼んでいただ。


今では薬師として知られているけんど、元々は単なる百性で田畑を耕し収穫した食料で細々と生活していただ。

そんなオラにも嫁っ子を貰う機会が出来た。


「お人好しのオメェには勿体ないがオラの娘をくれてやる…せいぜい大事にしてやることだな。」


親戚筋にあたる三平と言う男の娘で美代と言う名だ。

美代は生まれつき病弱で家族の間では厄介者扱い。


「お人好しのオメェにはコイツくらいがお似合いだ」


そんな理由でオラに美代を押し付けたのだと思う。

美代は1年の半分は床に伏せるけんど、何も出来ないって訳じゃない。

床に伏せってない時は家事仕事も出来るしオラの服も繕ってくれたりもする。


上手なもんだなぁ…


オラが褒めるとはにかんだ様に微笑む美代。

病弱なのも手伝っているのか、とても美しく見えるだ。

本当にオラには勿体ない程の嫁だ。


そんな美代の為に畑仕事の合間に雨土山へと入り、薬草や薬膳を探しては食べさせていた。

それらの知識は1年に数回、村に行商にくる薬師を拝み倒して教えて貰っただよ。

勿論、ただでは無かっただよ?薬師が村に来た時、雨土山で採れた薬草や薬膳とかを渡すと言う交換条件が付いただども、どのみち採ってくるのだから問題はない。


雨土山は薬草や薬膳の宝庫ではあるのだが、山頂付近には誰も行った事が無い。

と言うより、行けないだよ。

何故かと言うと、山頂へと向かう道を歩いていても必ず麓へと戻されてしまうのだ。

噂によると、雨土山の山頂は山神様が眠る神聖な土地であって眠りを邪魔する者は山神様の怒りに触れる事になるから近寄れない様になっているらしいとの事だ。

まぁ、薬草や薬膳を採取するだけなら麓で賄えるから山頂へ行けなくても何の問題もない。


なんだども…


山頂への興味が尽きないオラは暇を見つけては山頂へ挑戦しているだども如何せん、近寄る事すら叶わねぇ。

何故、山頂に拘るかと言うと、雨土山で採れる薬草や薬膳は他の土地で採れたそれ等より数段効果が高いのだそうで、山頂へ近付けば近付く程にその効能も強くなる傾向に有るからで、山頂で採れたモノなら効果も高いと思っているからだ。

その恩恵を受けたのが美代だ。

「良薬口に苦し」と言う言葉があるだが、雨土山で採れたそれ等はどお処理しても苦いし不味い。

それでも自分の為に採って来てくれたのだからと無理矢理でも食べてくれた。


結果…


時間は掛かっただが、美代は通常の生活に支障をきたさない程に回復しただよ。

恐らくは元々体が弱かったのと、ロクなもん食わせて貰って無かったのではないかなと判断しただが、こればかりは何とも言えないだ。


然し、それは日常生活に支障をきたさない程度の事で、激しい運動は出来ないのは変わらない。


そんな中、美代が妊娠した事が発覚する。


体の事を考えると不安しかないオラだが、絶対に産むと言ってきかない美代の覚悟に満ちた瞳にオラは折れる事しか出来なかっただ…


美代はどおやら長くは生きられないと知っていたらしいだ。


生まれてきた子供は女の子で千代と名付けた。


2年後


事の経緯は言わなかったけんど「この娘が6歳になったら雨土山の山神様に会いに行って」と言い残して美代はあの世に旅立っただ。


それから4年後、千代の誕生日にオラは千代と共に雨土山の山頂目指して登った。


………

……


レイ「此処までが第1巻の内容だな」


コヨミ「五平の身の上話がメインみたいね。」


レイ「だな…」


コヨミ「この翻訳版と展示されている妖綺譚の内容との整合性はとれてるの?」


レイ「ほぼ合っている」


コヨミ「ほぼ?」


レイ「五平の字って、癖字が多いから読み間違いとかあるんだ。更に昔の字だからな」


コヨミ「そう言う事ね」


レイ「次行くぞ」


コヨミ「うん」


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