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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
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第87話 森田警部と真智子

「図書館の資料室?」


黒尾が連れて行かれた後、ピンクと共にやって来たレッドが村岡と提督の顛末と伝言を俺に伝えてくれたのだけど、資料室ねぇ…そんな部屋って在ったか?


妖綺譚の解読の為に何度も通った図書館であったが、資料室なる場所が何処に在るのか解らない様子のレイに「2階の1番奥の部屋よ」とコヨミが教えてくれた。


「何が有るのか言ってなかったから解らないけど、今後の役に立つ物が有ると言っていたぜ」


と、此処まで言った後「俺達も忙しいから」と言い残して消えるレッドとピンク。

前から思っていたのだが、この5人組って、一体何の目的で俺を監視してんだ?


・・・謎だ・・・


考えても解らんし訊いても答えないだろうから考えない様にしているのだが、奴等の監視が気になって仕方がない最近の俺。


ット・・・今はそんな事を考えている場合ではないな。

その資料室とやらに行って村岡が言っていた物が何なのかを確かめるのが先決だな。


真智子は気になる事があるからと本体だけを残して森田警部の所に行っているからコヨミと共に向かう事にしたのだが、まさかあんな物がそんな場所に眠っていたなんてな…



………

……



エーッと・・・幽霊サイドの話が一区切り着いたので、此処から少し生者サイドのお話になります。

レイとコヨミが図書館に行ってしまったので、一人称は私になりますのであしからず


レイから離れた私は言わずと知れた雨音署へと来ていた。


今の私のスタイルはと言うと、ミニスカスーツのキャリアウーマンスタイルではなく雨音署の婦警さんと同じスタイルにメガネなの。


気分はレイヤーって感じ?


何でこのスタイルかと言うと、少し前に箕浦刑事からどおしてもってせがまれてコスチュームチェンジした事があったのだけど、それが大ウケしちゃって、署に来る時は是非そのスタイルで…と言うか、そのスタイル以外で来るな!と脅されたからなの。


そんな事があって箕浦刑事に会いに行こうと思ったのだけど、只今生徒を絶賛取調べ中ってヤツで、二人共話も出来ないみたいだから勾留されている安田哲也の様子を見に行っていたのだけど…


私は悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない…


ベッドに腰掛け、まるでこの世の終わりみたいな表情でブツブツと呟く姿を目の当たりにして少し可愛そうかなと思ったけど、同情はしてあげないわよ。


例え……ン?……何アレ?


細長い何かが安田の魂に絡みつき、何処かに連れて行こうとしている。

細長い姿にも関わらずかなりの妖気を発しているところを見ると、アレが提督とやらの眷属なの?


キ…キモい…キモすぎる…


線状の生き物がウネウネと動く姿はひたすらキモいとしか言いようが無い。

手足が竦み感じるはずの無い悪寒が背中を走り立つはずのない鳥肌が全身を覆う。魂を持って行かれるのは阻止しなきゃなんだけど、あの生き物が蠢いている姿を見るだけで体が動かなくなる。

てか、私…生前からミミズとか毛虫とか蛇とか…兎に角、細くて長い生き物が見るのも嫌って程に大嫌いなの。


モタモタしていると安田の魂が持って行かれる…


時間は無い!


私は震える体を必死に押さえ付け、安田の魂に絡まる生き物を取り除こうと手を伸ばした。


その時


「止めんかボケ!!」


私の中に聞いたことがある声が響き渡る。

唐突に怒鳴られてビクッとなる私の前に現れたのはブルーとイエローであった。


「危ない所だったわ…ホント…」


イエローが妖気を纏わせた手で細長い生物を掴むとジュッと音を立てて消えて行く。


「幽霊がアレに触っただけで寄生されるから、絶対に触ったらダメよ」


いきなり叱られると思っていなかった私は助かったと思いつつも、何で貴方方が此処に居るのかと問い質すと、ブルーが後始末に来たと返答が返って来る。


どおやらブルーはレイには興味があるけど私には興味が無いみたいで、あまり話したがらないの。

なので、代わりにイエローが話してくれた。

提督本体は身柄を拘束されて魔界へと送られたのだけど、人間に寄生しているのは分身ではないから消える事は無い。

然も、放置しておくと勝手に増えて集まってまた提督になってしまうから早々に始末しないとならないらしい。


本来は3年掛けて成長した後、寄生した人間を魔界へご招待となる筈が、本体が魔界へ強制送還されたせいで、逃げようとした。

その際、寄生していた宿主の魂を持って行こうとしていて、その場所に私が居合わせたと言うのが今の状況。


で、安田が最後らしいのだけど、浦川学園にはまだまだ多数の生徒が寄生されているのでは?と気になったので、その事を訊ねると今回捕まった人達以外では30人程居たらしい。

勿論、その人達に寄生していた眷属も始末済との事。

じゃあ、提督の件は解決した言って良いのかな?とおもったのだけど、四谷の身内は?教育委員会や議員やその他諸々…兎に角、四谷が関わっていた人達はどおだったのかって気になったので、訊いて見たら以下の事が解った。


1・四谷には身内と言える人達は居なく、結婚もしていない事から天涯孤独の身であった事。


2・教育委員会及び雨音で政治を行っている議員は全員この街の長である岡西仁志おかにしひとしの子飼いであり、翌年に行われる総選挙に岡西が出馬する為に不利になる様な事件を揉み消す為の存在である。

尚、この者達には提督は一切手を出して居ない模様。


3・提督は四谷を操っていたが、精神までは完璧に支配していなかった。

と、言う事は、四谷清十郎自ら浦川学園を足掛かりに雨音の街を犯罪者天国に変えようとしていたと考えられる。


4・雨音署で四谷と関わっていたのは署長と生活安全課長そして交通課長の3人で、口止めと事件の揉み消し料の代わりに性的被害にあった被害者の提供を受けていた。

因みに三人共逮捕され、被害者は全員開放されているのだけど、社会復帰は絶望視される程の状態にされており現在は県外の施設に搬送されたとの事。


エッ?どんな状態かって?

それは・・・言えません

ゴメンね。


と、まぁ、4つの事が解ったのだけど、調べれば解る事だし森田警部なら知っていて当たり前かな?

後は森田警部の仕事だから手出し無用かと思っていたのだけど、レイの本体が田中貴史御一行のお仕置きは俺にさせろと言っているけど、それは出来ない相談だよね。


今回逮捕された犯人達は当然ながら黙秘を続けているみたいだけど、四谷が捕まったと知った校長は精神的に壊れてしまったのか、私は悪くないと繰り返すだけで話も出来ない状態になってしまったとの事で現在は精神科に入院させるかどおか検討中との事だけど、入院させなくても良いよ。

私の欠片を入れて洗いざらい白状させるつもりだから。

まぁ、何れにしても3つの事件を引き起こした生徒達は最低でも暴行・障害・殺人の3つの罪は免れないでしょうから少年院行きは免れないのかな?って思うわ。



・・・っと・・・レイが何か発見したみたいだから、私もそっちの方に行くね。

その前に、私は現状を報告すべく森田警部を探す事にしたのであった。


……………

………



・・・・・・寝れん!


事件事件事件!

浦川学園の奴等に振り回された挙げ句、36時間一睡もしていなかった俺は、現在仮眠室で就寝中…と…言いたいのだが、神経が昂っているせいか全くと言って良い程寝れていない。

目を瞑り、何度も寝返りを打って寝たフリをしていたのだが、一向に眠気が俺を支配してくれない。


と…そこに…


ジーーーッ・・・


背中越しに微かに感じる視線…最初はレイかと思って無視していたのだが、レイとは違う様な…等と考えていたら…


ツツッ…


オワッ!


背筋を触れるかどおかのタッチでなぞる様に触れる冷たい指の感触にゾワゾワする俺の身体。


ねぇ…起きてるんでしょ?あ・な・た♡


恐怖で飛び上がりそうな気持ちを押さえ付け鼾をしてみたのだが、今度は耳にフッと軽く息を吹きかけて甘く囁くもんだから恐怖より怒りの方が勝ってしまい、つい、怒り顔で襲撃犯の方を睨み付ける。


そこに居たのは…


「真智子ちゃん…なのか?」


そこに居たのは婦警さんの姿をした真智子ちゃんであった。

てか、真智子ちゃんってこんな悪戯をするタイプだったっけ?こんな悪戯をするのはレイかコヨミちゃんかと思ったのだけど…もしかして、性格が変わりつつある…のか?

てか、婦警さんの姿…すっげー美人なんですが?もし、真智子ちゃんが生きていたのなら、間違いなく惚れているぞ・・・


「私の他に誰がいるの?」


唐突の展開にキョトンとする俺の表情が面白かったのか、悪戯っ子の様な笑みを称えて返事をする真智子ちゃん。

てか、何しに来たんだ?

等と考えていたら、真面目な顔になって現状の報告を教えてくれたよ。


「・・・てな訳で、提督の影響は消えたから、これからはやり易くなると思うわ」


「ありがとう・・・世話になった・・・で・・・この後は・・・」


「レイが図書館で何か発見したみたいだから、そっちの方に行くね。」


「そうか…って…何をする」


「大丈夫だと思うけど、万が一を考慮しての御守りよ?何があったら役に立つ筈よ」


「ほぉ?今のが欠片ってヤツか?」


「そうよ?」


「助かる…」


「だいぶ参っているみたいね…少し寝た方が良いわ…」


「解っているのだが………………zzzzz」


「おやすみなさい…」


真智子ちゃんのおかけで今後の捜査が楽になりそうだ…万が一に備えて御守りも貰えたし…安心した途端に眠気が…解決したら彼等には何かご馳走をしてやらないとならんだろうな…飛騨牛か神戸牛のA5ランクステーキが良いかな…それにワインか…

幽霊にそんな物を奢って喜んで貰えるかどおか解らんけど…な…


そんなおバカな事を考えていた俺は、いつの間にか深い眠りに落ちて行ったのであった。

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