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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
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第84話 黒尾VSレイ2

バキッ!!


黒尾の右ストレートがレイにヒットしたかと思われた次の瞬間、ふっ飛ばされたのはなんと黒尾の方だった。


何がどおなったかと言うと、黒尾の右ストレートに合わせたレイのカウンターが炸裂したのだ。

然し、それだけではなく、カウンターを察知した黒尾はソウル・イートを発動し、レイを食おうとしたのだが、その動きを察知したレイが結界を発動させソウル・イートの侵食を阻止。


僅かコンマ数秒の間で行われた攻防で今までの黒尾ではないと褌を締め直したレイに対し、更に強くなっているとレイの強さを上方修正した黒尾であったが、お構いなしに肉弾戦?を仕掛ける。


凄まじい程の速さでお互いの突きと蹴りが交錯する中、常時ソウル・イートを発動させていた黒尾がレイには通用していない事に気付き一旦距離を置く。


「何故効かねぇ…」


イライラした気持ちを隠さずに黒尾が問うもそれには応えずに右手人差し指をクイクイと動かして挑発するレイ。

最初こそ結界で防いだレイであったが、その後は結界すら発動させていなかったので黒尾が疑問に思うのは仕方が無いのだが、問われてハイそうですかと返答する程レイはお人好しではない。


怒怒怒怒怒怒怒怒!!


幾ら力が増そうとも生前から培った性格迄は変えようがない。

従って、レイのこの挑発にブチギレない筈がない黒尾は全開でレイを打ちのめそうと突っ込もうとする。


ホント…単細胞だよねコイツ…


黒尾の中でレイとの戦闘を観戦していた圭子がボソリと呟くと他の人2人もウンウンと頷くが、手を貸す訳ではない。

何故なら、持てる力の殆どを黒尾に吸い上げられてしまっていてそれどころではないのだ。


あーぁ…あんな一発逆転狙いの大振りパンチを当てられるのは素人が相手の時だけだろ…でも、レイとか言う奴…戦い慣れてやがんな…相当な修羅場を潜って来たと見受けたぜ。


レイの戦い方を冷静に分析した直道は自分ならどお戦うかと考えてはいたが、思考の堂々巡りが始まってしまい考えるのを止めてしまう。


「ちょっとアンタ待ちなさいよ!足元足元!!」


何かに気が付いた澪が大声で黒尾を静止する。


「足元を見なさいよって言ってんの!」


我を忘れてレイを攻撃する黒尾は澪の静止を無視しようとしたのだが、あまりにもしつこいのでチラリと足元を確認する。


!!!いつの間に…


黒尾の足元に小さなレイではなく5人の小さなコヨミが規則正しい位置取りで配置されていて、ドヤ顔で印を結ぶ。


ウゴッ…!!!


気が付いた時には既に遅し。

対象者の動きを封じる妖縛陣が完成し、黒尾の動きを封じる事に成功する。


「いやぁ…まさかお前があのカマヤローの技を使えるとは思っても見なかったぜ…」


「ホントホント…それでも劣化版なのは確かだけどね」


陣に囚われ身動き出来ない黒尾の前でドヤ顔のレイとコヨミを射殺さんばかりに睨み付ける黒尾。

然し、これで黙る程、今の黒尾は弱くない。


「フンッ!カマヤローってのには同感だがよ…まさかこの程度で勝ったつもりでいるんじゃぁねぇだろうな…

お返しだぁ!!」


気合を入れれば何でも出来る!ではないとは思うが、気合いと共に黒い霊気が爆発的に高まると同時に陣が解除される。


臨兵闘者皆陣列在前!!


!!お前がそんな術を使えるなんてな…マジで驚いたぜ…


陣が解除されたと同時に突っ込んでくるかと思ったら印を結び技を仕掛けて来る黒尾。

なんと、妖縛陣を仕掛けて来たのだ。


「これくらいならコピー可能なんだよ…トドメだ…名付けて グラビティハンマー! コイツで潰れろ!!」


物質創造で造り出した巨大なハンマーがレイとコヨミに振り下ろされる。


フギュッ!


キャンッ!


・・・勝った・・・シッカしキモい断末魔の悲鳴だったな…変態の悲鳴ってヤツか?


グラビティハンマーと名付けられた一撃がレイとコヨミをまるでトマトの様に押しつぶす。当然ながら断末魔の悲鳴を期待していた黒尾は2人の奇妙な悲鳴をあげ消えた事に、違和感を感じつつも勝利の余韻に浸ってしまった。


勝利の余韻による気の緩み…


レイは端からその気の緩みを狙っていたのだ。


「なん…だとぉ…!?!?」


黒尾の周囲に再び浮かび上がる陣。その要所要所にはコヨミではなく5体の明王が配置されていてそれぞれが同時に印を結び陣を発動させる。


不動妖縛陣・改!


先程の妖縛陣の上位に当たる不動妖縛陣を更にアレンジされた技に囚われ再び身動き出来なくなる黒尾は気合いと共に陣を破ろうと試みも破るどころか力が抜けて行く感覚を覚えてしまう。


と…取り込んだ奴等が…


黒尾の中から直道・澪・圭子を除くR級が次々と浄化されて逝くのを感じ取った黒尾が激しく狼狽える。


「全く…最初の攻防で終わっていたらコレを使わずに済んだのに…」


消した筈のレイとコヨミが再び黒尾の眼前に姿を表す。黒尾の中で?マークがフォークダンスを踊り出す程に混乱する。

それは黒尾の中の3人も同じであった。

最初から黒尾と戦っていたのは強化型分身体であったのだが、それでは見破られる可能性が高いと考えたレイが更に10%の欠片を封入する事を考えた。

実験は見事に成功し、試しに要石の上で模擬戦闘をしてみた所、本体と遜色無いほどの戦闘能力と存在感を発揮した。

これは使えると思ったコヨミがこの方法を思い付いたのだ。


「分身体とは言え、俺が負ける姿を見る事になるなんて思いもよらなかったけど、勝負アリだ!」



トドメは抜刀か拳撃か…なら…まだ勝機は有る


戦力差は歴然で、最早勝機すら見出だせない状況でありながらも起死回生の一発を狙う黒尾。


然し…


お仕置きターイム


そんな黒尾の考えを知ってか知らぬか印を結ぶレイの横に光り輝く穴が出現して何者かが出て来る。

最初こそ光で解らなかったが、穴が消えると同時に姿がハッキリとする。


ママ…


レイに呼ばれて現れたのは黒尾の母である早希 享年58歳であった。

黒尾が消滅していないと知ったレイは生半可なやり方では無理だと考え、社長に生前の黒尾の事を調べる様に依頼していたのだ。

依頼を受けた社長は様々なツテを使い黒尾の事を調べ上げ、その全容を知ったのはつい一昨日の事。早速黒尾早希を呼び出して協力を求めたのだが、既に霊界に上がった早希は「貴方方が倒したら良いのでは?」と当然ながら協力を拒否した。

然し、それではまた戻って来る可能性がある。それでは被害にあう生者が止まらないからと粘り強く説得した結果、渋々ながら協力を得たのだ。


コリャダメだ…俺達が束になっても敵わないな…


早希を見た途端萎縮する黒尾の姿を見てお手上げバンザイ状態になる直道達。

それもその筈で、早希の魂は100%の状態で霊界に上がっていて、顕現した早希のランクはGR級であったのだ。


「やっと見付けたわよ…この殺人狂め!!!」


見た目30代半ばの姿で現れた早希のキリッとした表情が鬼の形相に変わり怯える黒尾のボディに途轍もなく重い一撃を叩き込む。


「康夫ちゃんの中に居るヤツ!サッサと出なさい!じゃないと消滅させるわよ!?」


どおやら早希は今の一撃で黒尾の中に複数人の幽霊が入っている事に気が付いたらしいが、目的は息子1人なので関係ない者はでて行けと脅しをかける。


「ヤメヤメ降参だ…俺達は出て行くから勘弁してくれ」


どお逆立ちしても勝てない相手からそう言われて反撃を試みる程、バカではない3人は黒尾から抜け出て逃走を図るがそれを見逃す程甘くはないレイに捕縛され、閻魔によるジャッジメントで消えたのであった。


「キッタねぇぞテメェ!」


早希に捕縛され身動き出来ない黒尾がレイに向かって恨み節を吐き出すも「アンタが悪いんでしょうが!」と早希に頭をぶん殴られてしまう。


「この度はこのバカがトンでもない迷惑をかけてしまい、誠に申し訳ございませんでした。

この子は私が責任を持って連れて行きますのでどおかご勘弁を」


息子をぶん殴れた事で目的を果たした早希は黒尾を連れたまま霊界へと戻って行ったのであるが、数々の犯罪を犯した為に霊界へと上がる事を許されずに地獄へと落ちて行ったのであった。


後日、レイはこの日の事を振り返りコヨミと早希さんが居なかったら間違いなく負けていただろうと俊哉に語る。


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