表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
86/218

第83話 黒尾VSレイ1

村岡めぇ!


命令を聞かないどころか分身体を切って捨てた村岡に怒り心頭の四谷であったが、黒尾との事で邪魔されたくはなかったのだろうと思い直して更に倍の10%の分身体を飛ばして命令する。

学園を包む結界は5%以内の力しか通さない特殊な結界が張られているので当然ながら通る事は出来ない。

では一体どおやって通すかと言うと、結界の前で5%以内に分割して通り、通った後で元に戻ると言った方法をとっている。

パーセンテージが上がれば上がる程手間が掛かる方法ではあるが、他に方法が無いので仕方が無い。


然もその分身体をも切って捨てた村岡の態度にブチギレ寸前まで頭に血が上ってしまっているのだ。


村岡は村岡で四谷のやり方に尋常ではない怒りを感じていて、それ故に命令を無視している。


「俺らを操ってテメェは手も汚さずに高みの見物かよ!胸くそ悪いぜ全くよぉ」


怒りに震える村岡に対して怯える黒尾。

10%の四谷は黒尾でも敵わない程の強さを持っていたのだが、それをも簡単に切って捨てた村岡。

その底知れぬ強さに怯え震える事しか出来ない黒尾はこの時点で心を折られてしまう。


まぁ良い…で?これでも俺を取り込みアイツを倒すつもりか?


うっすらと笑みを浮かべ黒刀を突き付けて村岡が問う。相手が同等の力の持ち主であるならば抵抗したのかも知れないが、村岡の強さは未知数であり適う訳もない。


「降参です…」


項垂れ敗北を宣言する黒尾に対して驕り高ぶる事もなく淡々とした表情で他の3人を呼び寄せる。


一方、四谷はと言えば、10%の分身体をも切り裂かれてしまい、更に怒りが増したのは確かではあるが自らの能力である支配が解除されている事に気付く。

四谷…いや…提督が最も得意とする能力は支配。

その名の通り人であろうが幽霊であろうが1度ロックオンされてしまえば逃れる術は無く、ロックオンされた相手は提督の操り人形と化すのが普通の…筈なのだが、10%の分身体を消された時点で村岡に植え付けた支配は完全に解除されていると見た方が良い。


一体どおやって…


自力で解除出来ない事もないが、難度の高い条件とその後のリスクを考えると、たかだか怨霊如きがそこまではしないし出来ないと考えた方が自然なのだ。

然し、それをやってのけたからこそ此方の命令を聞く事も無いのではないか?そう考えた方がシックリ来る。


山本静雄と佐野飛鳥はどおなったんだ?何故二人共報告にも来ない!?


山本静雄と佐野飛鳥は正真正銘の人間で元祓い屋であるが、中身は大尉と名乗る妖怪に乗っ取られている。

2人の魂は提督に握られているが為に逆らう事が出来ない。

普段、大尉は2人を好きに行動させているが、生徒がイジメで死んだ場合、校長の意思と称して示談に動いたり校長と提督との連絡係の役割を担っている。


「消されたか…いや…」


悩んでも解らないものは解らない。なので、少佐と名乗る妖怪に命じて村岡達に探りを入れる事と大尉の捜査を命じる。



………

……


「え〜〜っ!何でこんなヤツの中に入らないとならないの!?」


村岡の招集て再び集まった他の3人は村岡の提案に対して露骨な拒否反応を示していた。

それもその筈で、レイ一行を倒す為とは言え黒尾の中に入って力を貸せと言うものだったのだから文句が出るのは仕方が無い。


「俺の読みが正しければ、奴は確実に戦力を増強して来る筈。

もしそうなると、各個撃破されて終わりだよ。

それよりはコイツに力を貸してレイとか言う幽霊との一騎打ちに持ち込んだら勝ち目はあると思ったのだが?

それに一時的にだけだし、もし、勝ち目が無ければ逃げれば良いだけの話だ」


アンテナを飛ばしてレイを観察した結果、黒尾が3人を取り込んでタイマン勝負に持ち込んだ場合でも勝率は5割行くか行かないかの確率で、単独の場合では1%にも満たないと踏んでいる村岡は自分の考えを話した上で決めるのはお前達の自由だと丸投げする。


「じゃあ、村岡さんはどおするつもりなんだよ!?まさかとは思うが高みの見物か!?」


丸投げされてイラッとした直道が当然の疑問を投げ掛ける。それに対して村岡の返事は


「俺は単独で四谷と対決するつもりだ!この学園を食い物にした落とし前はキッチリとつけなきゃなんねぇ」


今日まで村岡は密かに四谷と学園との関わりを調べていた。

結果として、指示は出していなかったが、あの事件の少し前から関わっていて生徒達を食い物にしていた事が判明したのだ。

当初は進学校を売りにしていたこの学園の落ちこぼれた生徒達全員を性奴隷化して自らが経営する会社の上司や雨音署のトップクラスに売り渡し、雨音の街の実効支配を目論んでいた様だ。

勿論、表立った行動をしていなかったと言うより、当時はそこまで力が強くなかったが為に校長と教頭に取り憑いて様子を伺っていただけの話であり、あの事件の黒幕ではない。

無いが、今まで多くの生徒を食い物にしていたのは間違いない。


「先ずそっちが先ではないのではないですか?」


村岡の決意を訊いた直道が手伝うぜと言わんばかりに名乗りを上げるが、此処まで話が大きくなってしまった今、レイと四谷を同時に潰さないと後々厄介な事になるからと断ってしまう。


「チッ…!しゃぁねぇな…けど、旗色が悪くなったら俺は抜けさせて貰うぜ!?」


「直道に同じく」


「ウン!」


「それで良いです…宜しくお願い致します」


「・・・負けんなよ・・・」(変な言い方だけど、本当の意味でその日が俺達の命日になるかも知れないな。

頼むぜ相棒…)


嫌な予感を吹っ切れぬまま勝てると信じて突き進む村岡

果たしてその真意は…。


………

……


3日後


「やぁ〜っと落ち着いたぜ…」


数十体の幽霊を取り込んでいるせいで何度か暴走しかけた黒尾は落ち着いた霊気を操作すべく軽く気合を入れてみる。


「ウハハハハハ…コレだ…この力が有ればアイツに勝てる!アイツを倒してこの街を裏から支配してやるぜ!」


少し気合を入れただけで漲る力。以前レイと遭遇した時に感じた底知れぬ強さを遥かに凌ぐ強さを手に入れた事を実感する。

元々殺人願望の気がある黒尾は生前に3人のヤクザを相手に喧嘩を仕掛けて1人を病院送りに

残る2人を墓穴へと放り込んだのだが、病院送りにしたヤクザが持っていたサバイバルナイフで心臓を一突きされて死亡。

黒尾の死後、警察の捜査で判明した事であるが、少年法に守られている事を逆手に取り3人の少女をレイプした上で手に掛けていて、更に中学卒業後、高校へは行かずに何処から潜り込んだのか解らないが、ヤクザのヒットマンとして生きていたとの事。


何がそうさせていたのか解らないが、最初の少女を手に掛けた頃から黒尾は殺人願望に取り憑かれていたのだ。

それは死後も続き、各地を渡り歩いて生者に取り憑いては通り魔殺人をしたりレイプ殺人を繰り返していた。

レイが復活して間もない頃に視たあの通り魔殺人事件の記事は黒尾が生者に取り憑いて起こした事件なのだ。


そんな黒尾が新たなる獲物を求めて雨音の街に流れて来た時、偶然目に付いた気の弱そうな男を観察する事にした。

その男はブラック企業に勤め上司や同僚から毎日の様にセクハラ・パワハラ・モラハラの被害を受けていたものだからその内に秘めたる鬱憤や恨みと言った負の感情は尋常ならぬ程に膨れ上がっていた。

コイツは使えると考えた黒尾は男に取り憑いて通り魔を装って次々と上司や同僚を殺して回った。

その時にレイに消されそうになり、浦川学園に逃げ込んだのだ。



そして今


「・・・居ねえ・・・」


30%の分身体を要石の上に飛ばしたのだが、レイのアンテナが残されていただけで本体は居ない。

そう簡単に見つけらる訳もないかと思い直し、改めてアンテナを飛ばしてレイの居場所を探るとFZの上にいる事が解ったので急行してみたのだが、既にアンテナと入れ替わっていた様子で本体は居ない。

直ぐにでもレイを打ちのめさないと気が済まない黒尾はアンテを飛ばしてレイを見付ける度に分身体を急行させたが、廃病院の屋上→マンションの屋上→緑地公園と振り回されてしまう。


「あんの野郎〜!!逃げ回ってねぇで勝負しやがれ!」


元々短気な黒尾は体育用具の中で我を忘れる程に怒り狂う。


その時…


「あー…あー…黒尾康夫君!!君は完全に包囲されている

無駄な抵抗は辞めて今すぐ出て来なさい!!」


結界のおかげて重苦しかった空気が変わったかと思ったと同時に校内のスピーカーから響く声。


そう、レイの声だ。


「振り回しやがって…テメェの存在を完全に消してやるから覚悟しやがれ!!」


怒りでドタマに来ている黒尾は挑発された事もあり、考えなしに校庭へと顕現し、レイへと突進し、その勢いを乗せた右ストレートをレイの顔面目掛けて繰り出す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ