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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
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第81話 村岡の選択

前半は村岡パートで後半は秀一パートとなっております。

「クッ…!」


村岡に体中ズタズタに切り裂かれて床に突っ伏す黒尾は尚も抵抗しようとして分身体を飛ばして村岡に攻撃を仕掛けるも即座に対応した村岡に潰されてしまう。


「頼みの綱である奥の手も通用しないねぇ…」


黒尾の奥の手とは魂喰の技であるソウル・イートだ。

祓い屋に封印された塚の中は何も無かったのではなく別空間へと繋がっていてた。

特にやることも無い村岡はその空間を調べると最奥に巨大で頑丈な石柱が存在していた。

俄然興味の湧いた村岡はその石柱を調べる事にしたのだが、思わぬ者が石柱を見張っていた。

それが魂喰だ。


「誰かと思えば不味そうな怨霊かよ…」


遭遇した魂喰が村岡に放った言葉がそれだ。村岡は魂喰を見てその正体を瞬時に理解し、食われて良しかと覚悟を決めたのだが、どおやら魂喰は悪意満点の幽霊には食欲が湧かないらしく俺に食われたくなかったら協力をしろと言って来たのだ。

魂喰は強欲と言う名の妖怪の眷属に当たるらしく、十数年前にヒーローと名乗る2人に消されそうになり、命からがらこの場所へと逃げ込んだらしい。

何故この場所へと逃げ込んだかと言うと、この場所はこの辺一体を包み込んでいる結界の発生源でヒーロー達もこの場所は手が出せない場所なのだそう。

それ以上の情報は引き出せなかったが、村岡は塚についての仮説は当たりの様だと結論付ける。


その後、自力で封印を破り学園内に出た村岡は仲間になる様な生者を殺して従わせる事に成功する。黒尾は県外から流れて来た怨霊で殺人願望を持つ男に憑依して殺人を楽しんでいた所をレイに打ちのめされて学園内に逃げ込んで来た怨霊だ。

こうして5人の怨霊が揃った頃、魂喰は入れ替わる様にやって来た色魔と名乗る妖怪と交代し何処へと消えて行った。

魂喰は消える前に1番力の弱い黒尾に役に立つからと1つの技を教えてくれた。

それがソウル・イートだ。


「クッソ…!こんな所で終わってたまるかよ!」


気合いを入れる黒尾の傷が瞬時に回復し、分身体を使い息をつかせぬほどの連続攻撃を仕掛けて来る。まぁ、二十数体もの悪霊を食ったんだ…これくらいの芸当は出来て当たり前だな…然し…


「あめぇよ!」


言い終わる前に瞬時に全ての分身体は消え、更に黒尾の手足は胴体と別れを告げて消える。村岡の黒刀で全て切られたのだ。


「さ…再生出来ねぇ…」


手足を切断され文字通りの達磨状態となった黒尾は再生を試みるが再生出来なくて軽いパニックに襲われる。


「悪いがお前の力は俺には通用しねぇ…終わりだよ」


黒尾の鼻先に黒刀を突き付け観念しろと迫る村岡。


と…その時…


「そこまでじゃ!

村岡君はやり過ぎる面があって困るのお…」


なんの前兆も無しに突如現れた白髪の老人。

皺だらけの顔ながらもどことなく憎めない笑みを湛え曲がった腰を支える為か杖をついている見た目90歳のこの老人こそが四谷清十郎だ。

勿論この老人は人間ではない。

妖気こそ上手く隠しているが、れっきとした妖怪で魂喰や色魔より上位に君臨する提督と言う名の強欲と名乗る妖怪の眷属が1人なのだ。


「安田が捕まった…悪いが村岡君…口封じに奴を殺しに行ってはくれまいかの?」


まるで厄介者払いする様な言い方にムッとしながらも


「だが断る!!」


と言い切る村岡に顔色一つ変えずに再び同じ事を言う四谷に


「断ると言った!!」


と、言い返す村岡。


「ヤレヤレですな…吾に逆らうとは良い度胸ですね…消滅させられたいのですか!?これが最後です…やりなさい!!」


2度も断られたせいで怒りがこみ上げて来た四谷は禍々しい妖気を発して脅しをかけ更に命令したのだが…次の瞬間、四谷は村岡に微塵切りとされてしまう。


「喧しいんだよ…劣化版如きが!」


この場に現れた四谷清十郎は5%の強化型分身体に過ぎなく、本体は学園の外。つまり、工場地帯の傍に建てられている四谷邸に居て分身体を操作しているのだ。

実の所、5悪が提督と遭遇したのはたったの一回でその後提督は全て強化型分身体を飛ばして命令をしている。

然し、その一回の遭遇で体験した圧倒的な存在感と凶悪性を目の当たりにして5悪の内4人は心を折られ忠誠を誓ったのだが、村岡だけは違った。

他の4人と同じく忠誠を誓ってはいたものの、その心までは折られてはいなく、寧ろ提督を超える力を持つことが出来ないだろうかと思案する日々が始まる。


「ヤッパリそれしかないかぁ…」


村岡が行き着いた答えは自らを神格化し神に匹敵する程の力を得る事。

妖怪でも人々の信仰を受けて神格化する事があるとオカ研ノートに書かれていたが、怨霊としてこの学園に取り憑いてしまった以上、残されている手は悪事を働く生徒を育て崇められ悪神化する事だ。然しそれは崇められ続けないとならないと力を保てないと言う事でもある。

幸い、学園には生徒と教師合わせて400名弱程在席しているので、成功した場合はカナリの力を得る事が出来よう。


然し、失敗した場合は…


村岡にとってこれは大きな賭けであった。

何故そこまでして力を得ようとするのか自分でも解らないが、本能的に提督と名乗った妖怪を野放しにする訳には行かないと思ったに過ぎない。

実の所、復讐は終わっているしあの頃に在席していた教師も生徒も全員居ない。

後は正常化された学園を確認した後に何処かの祓い屋に地獄へと落とされるのも有りかと考えていたのだが、提督を見た瞬間、気が変わってしまったのだ。


教師共と良いこの妖怪と良い何でこの学園は…首塚か?首塚が原因なのか…?だとしたら俺の復讐はまだ終わってねぇ…!!!


そんな村岡の考えを知ってか知らぬか解らないが、提督は事ある毎に村岡を邪魔者扱いして来たのだ。

例えば、今回の件が良い例であろう。

黒尾を司令塔にしてではなく村岡を司令塔にしてい

ればレイと真智子のコンビに返り討ちに遭うことなく計画は完遂出来ていたかも知れないのだ。


明らかに提督は黒尾を依怙贔屓えこひいきしている。


これが村岡の導き出した答えだ。


かと言って、レイへの復讐に燃える黒尾を消滅させる訳には行かないのも事実。


達磨状態で転がる黒尾を見下ろし、思案する村岡が出した答えは…



………

……


その頃病院では…


「情報提供ありがとうございます…後は我々が取材して確実に記事に致しますのでユックリと治療に専念して下さい。」


秀一と優香そして秀一の母に話を訊く二人の男。


この二人は沢村克也さわむらかつや本村仁もとむらじんと名乗る政財界・芸能界等、数多くの暴露記事を発信している週刊誌の記者だ。

何故此処に週刊誌の記者が居るかと言うと、言うまでもない秀一がたれ込んだからだ。

勿論、森田警部を信用していない訳ではないが、隠蔽体質がこびり着いてしまっている学園なら、どんな汚い手を使ってでも、又は秀一を闇へと葬り去ってでも隠蔽しようとするだろうし、元雨音教育委員会トップで参議院議員でもあり雨音の街に多大な影響力を持つと言う四谷清十郎が校長以下全教師を牛耳っていると幽霊のレイちゃんに訊いている。もし、それが本当なら警察では対応出来ないかも知れない。

ならば、学園の内情を全国的に暴露して学園側の動きを封じることができないかと考えたからだ。



真っ赤な嘘は保身の為さ

立場を守ろうと真実隠す

逃げ切る覚悟で 

(闇の力を使い)圧力かけて

お金をバラマキ

(警察他を)捻じ伏せるよ

老後には素晴らしい世界が待つ

積み上げた

全てのもの

(クソガキ共に)壊されてたまるかよ!

面倒事は

闇へと葬り

沈黙まもるよ

隠蔽美学


記者が帰った後、某有名アニメのテーマソングに乗せて思い付いた歌詞を呟く秀一であったが、この時点では校長が教員免許不正取得の容疑で警察に連行されていたなんて知る由も無かったが、例え知っていたとしても行動に出ていた事には変わりはない。


「・・・それって・・・学園の教師達を呪う替え歌?」


呟いたつもりであったが、優香にはバッチリ聴こえていたらしく、思わぬツッコミに恥ずかしさから赤面してしまう秀一を「かわいい」と思ってしまった優香もまた、自身の心と秀一を見る目の変化に戸惑いを感じてしまうのであった。

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