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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
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第73話 校長の真実1

「私は悪くない…悪いのは煽られて行動した生徒達だ…何としても理事長の耳に入らない様にしなければ…」


浦川学園の生徒による同時多発事件が起きた翌朝、教頭からの一報を受けて浦川学園校長 安田哲也は頭を抱えていた。

生徒の動きは裏サイトで把握していて、当然の事ながら今回の生徒達の暴走もその全てを把握している。


だが、それだけ。


生徒達の動きを把握していただけで何もしていない。


生徒に死者が出た時も他殺か自殺かそしてイジメであったか否かを大方把握しているし、騒ぎにならない様に身銭を切ってでも被害者遺族に大金を握らせて口止めもしている。


その上で


「アレはイジメではなく少々行き過ぎた悪巫山戯わるふざけを真に受けた被害者が自らを追い込んでしまった結果の不幸だったのだ」


と言い張っていたのだ。

警察からは事ある毎にその都度追求されてはいたのだが、生徒とその保護者には厳重な箝口令をひき、事件の発覚を防いでいた。

まぁ、正直に話していてたとしても公になることは無かったと思うが…

何故そこまでしていたかと言うと、この安田哲也なる男は教師として1度も教壇に立った事などない偽教師。

安田は元々関東在住で両親共に町工場に勤める極々普通の姉と四人家族で、多少の不自由はあったものの楽しい日々を過ごしていた。

哲也が中学3年の冬。

教師を目指していた哲也は志望校に合格すべく猛勉強していた。

の…だが…

真面目に学校生活を送っていた哲也少年を3人の生徒達がイジメの標的にしたのだ。

真面目ではあるが、短気で喧嘩っ早い面を持ち合わせる哲也少年はイジメに対して激しく抵抗し、イジメグループを返り討ちにした事もあった。

それでもイジメグループは哲也少年を標的にする事をヤメなかった。

それどころか、哲也少年が抵抗すればする程、イジメグループは意地でもイジメてやると言った態度になり、陰湿さを増して行ったのである。

日々陰湿さを増すイジメに対して抵抗しきれなくなり、学校側に相談をした哲也少年に対して学校側の反応は


「飽くまでも生徒間の悪巫山戯だ!アレはイジメじゃない!イジメられる方にも問題がある!」


と、言い張り、哲也少年の主張を闇に葬り去ろうとした。

教師はイジメられる方にも問題があると言っていたが、哲也少年には心当たりがなく、それどころか加害者とはなんの接点も無かったのだ。

そして、教師に密告したと言って逆ギレしたイジメグループは哲也少年へのイジメをエスカレートさせて行ったのである。

学校側に対し、しつこい程に何とかしてくれと主張する哲也少年に対して「これ以上、イジメられていると騒ぎ立てると高校へ進学出来なくなるがそれで良いか」と脅してきたのだ。

この脅しを受けて完全にブチギレた哲也少年は教師を殴り倒し、更に騒ぎを聞き付けた他の教師も殴り倒して逃走した。


因みに、殴られた2人の教師は仲良く奥歯2本を折られてしまい、めでたく?部分入れ歯を入れるハメとなってしまっている。


以来不登校を決めた哲也少年は引き籠もる様になったのである。

息子が不登校になって初めて異変に気が付いた父親は哲也少年を問い詰め、事情を知って学校側に抗議をしたのだが、それでも学校側は非を認めようとはせずにアレはイジメでない。当校にイジメをする様な不良生徒は存在しませんと言い放ち、あまつさえ教師が殴られた事を警察沙汰にしても良いのですよと脅しを掛けてきたのである。

頑として態度を変えないところか脅しを掛けてきた学校側に対して流石に怒り心頭状態に陥った哲也少年父は


「では、教師は何の為に存在しているのですか

黒板に向かって授業をして給料を貰うだけの存在ですか」


と、問い質すと臆面もなく


「その通り!!クソガキ共に適当に愛想を振りまいて授業をやったフリをして給料を貰う!それの何が悪い!こちとら金を貰う為に働いているんだよ!クソガキ共のイザコザなんか知った事か!学校内でのトラブルは出世の妨げになるんだ!イジメ=悪巫山戯と捉えて見て見ぬ振りをするのが1番なんだよ!」


と、言い放ったのだ。


このやり取りが切っ掛けとなり、父親までもが大暴れして警察沙汰になってしまうが何故か学校側は告訴をしなかった為に大きな問題にならなかったのだが、この件が会社側にバレた父親は解雇となり一家は住み慣れた地を離れ田舎に引っ越してやり直す事となる。


ところが…


5年後、両親と姉の3人が街まで車で買い物に出掛けた時、単独事故で3人共死亡。

事故は父親からアルコール反応が出た為に酒気帯び運転による単独事故であると判断されたのだが、父親は酒を一滴も飲めない体質の持ち主で何者かに殺されたのではないかとの疑いもあったのだが、3人が立ち寄った飲食店から3人でビールを飲んでいたとの証言が出た為に他殺の線は消えてしまう。


この事が切っ掛けとなり、哲也はホームレスへと堕ちてしまう。


そんな安田哲也が何故学園の校長として君臨しているかと言うと、生活の場にしていた公園の片隅で教師や学生への愚痴や悪口を呟いていた所


「そんなに学校に恨みが有るのなら校長として君臨すれば良かろう」


と見るからに金持ちだと解る様な着物を着た老人に声を掛けられたのが始まり。

最初は柄じゃないしタカがホームレス如きにそんな役職が務まる訳がねぇと断っていたのだが


「経歴も教員免許も何もかも私の方で用意する。

貴方は私の指示で動いているだけで良い。

楽なもんだろ?それだけで今の生活から脱出出来るのですよ?」


ソコに居るだけで金が貰える…この御方は神様の使いか?


魅力的な話ではあるが、ハイそうですかそれでは…と素直に受け入れることは出来ない。

哲也は初め丁寧に断ったのだが、相手もハイそうですか引き下がる程諦めは良くはなく


「私の名前は四谷清十郎

失礼ながら、貴方の事は調べさせて貰いましたよ。当時、貴方をイジメていた3人は何の因果か浦川学園で教師をやっています。貴方をイジメていたのは、成績上位に居た貴方を蹴落とす為だったのです。

そして、貴方の両親と姉を殺した犯人でもある。

復讐したいとは思いませんか?したいですよね?」


自らの身分を証し、どう調べたのか、哲也の過去そしてその全てを話し出す四谷に対して恐怖を覚えたのと同時にイジメグループに対してフツフツと怒りが湧いて来る哲也は四谷の申し入れを悪魔の囁きと知りつつも受け入れる事にしたのであった。


それから哲也は手続きを終える間、四谷から貰った資金で身なりを整え仮住まいの住居を手に入れ知識と教養を蓄え、四谷からの連絡を待つ事となる。


それから数カ月後、以外にも早くその時は来た。


それまでの校長であった橋元正雄が二人の女性教師からセクハラとパワハラで訴えられたのだ。

不祥事が発覚したとあって自体を重く見た雨音の教育委員会は橋元正雄の教員免許を剥奪の上、懲戒解雇されてしまう。

そして哲也が後任に収まる事になったのである。


「貴方がやる事は全教師は授業以外の事で生徒に関わることを禁止する!コレを守る様に全教師に徹底させる事。そして、ホームレスに戻りたくなければそれ以上の事はしない事!

あぁ…それと、この男女は私の部下で山本静雄と佐野飛鳥と言います。以後、貴方の部下として貴方のサポートをする事になります。仲良くやって下さい」


これだけを言われ、浦川学園の校長に君臨したのであった。


念の為に書きますが、今回のお話は昨今の学校事情とは何の関わりもございません。

飽くまでもフィクションでございます。

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