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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
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第70話 同時多発事件? 4

「こんな事されて生きていたくはないよね…今すぐ楽にしてあげるわ…先生!!」


「ぐっ・・・!」


「「っ・・・!!」」


全員動くな!!強姦及び殺人未遂の現行犯で逮捕する!!


箕浦刑事と部下の女性刑事2人が現場に乗り込んだ時、写真を撮っていた女生徒がロープで蓮月の首を絞めている所であった。

予想だにしていなかった刑事の登場で驚きのあまり、まるで海老の様に後ろに飛び退いた3人は何故この場所がバレたんだと言い残して逃走を図ろうとするが、直ぐに3人の女性刑事に捕まり投げ飛ばされる。

格闘技の経験の無い3人は受け身を取る事も出来ずに腰を強かに打って身動き出来なくなった所を逮捕されてしまう。


「救急車!」


犯人逮捕に気を取られて気付かなかったが、被害者を開放しようとした時に部屋の片隅に転がされている男性を確認した部下の1人が男性の状態を見て直ぐに救急車の手配をする。


レイが荒尾佳子の欠片を取り除いた直後に正気に戻った男2人は現状を確認するなり事の重大さに気付いて逃げようとしたのであるが、ミキを襲撃しようとしていた4人組の欠片を取り除かれた事に気付いた荒尾佳子の本体が欠片を取り除かれた生者が暴走する様にトラップを仕掛けたのだ。

とは言え、レイの行動が早すぎた為に女生徒にしかトラップを仕掛けられなかった。

その為に最悪の状況は免れたと言えよう。

そして、トラップを仕掛けそこなった男子生徒は唐突の事でパニックに陥り立ち尽くすだけで何も出来ないでいた。

この時に箕浦刑事達が踏み込んだのだ。


蓮月を襲った3人の名前は


三村明彦

小笠原匠海

川下エリ


で、何れも浦川学園の3年生。

これは後で解った事だが、小笠原匠海と川下エリは山川明奈と言う2年生を虐めていたのだけど、親の仕事の都合で転校となってしまった為に手出しが出来ない様になっていた模様。

どおやらそれが虐め失敗と判断されてしまい、しっぺ返しを恐れていた所に例のメールが届いたとの事。


因みに畠田ミキの襲撃を実行しようとしていた4人組は

篠田義雄

山城エミリ

南雲百合子

冴島昌也

の4人で、皆同様の理由で襲撃に参加している。


此処まで書くとお解りかと思うけど、今回の一連の事件を引き起こした生徒達の背景には学園内での虐め失敗の結果、何者かに罰ゲームをやらされているのだ。

これにもたった1つだけルールが存在していて、如何なる事があっても他人を殺してはいけないと絶対的なルールが存在している。

然し、実際には既に何人かの死者を出している。

こうなってしまえば学園も四ツ谷も助けてはくれない。


あと1つ…の…筈よね…?


被害者保護と犯人の連行を済ませた箕浦刑事はチラリと腕時計を見てボソリと呟く。


………

……


被害者

高坂穂乃果 26歳

169cm  5?kg

スリーサイズ ナイショ

教師をやっている傍ら、格闘家としての側面もあり雨音の街の中でも五本の指に入るのではと噂されている程の猛者ではあるのだが、憂いに満ちた瞳と全身から立ち昇る妖艶な色気から隠れMではないか。格闘家の顔もそれを隠す為なのではと噂されている。

趣味はトレーニングと仔犬と戯れる事。


襲撃犯

幹元康介

山川充

早乙女和歌子

何れも浦川学園3年生


繁華街の外れに在る廃ビルにて


サイトから得た情報によると、拉致られたのは浦川学園教師の本間蓮月と高坂穂乃果で、本間蓮月の方は箕浦刑事とその部下が向かっているので俺、森田は高坂穂乃果の方を担当したのだが…


高坂穂乃果が生徒に拉致られて監禁されている場所まではレイのアンテナがカーナビを操作して誘導してくれたから迷う事は無かった。

然し…建物が静かなのだ。

この廃ビルは5階建てで、全ての階に店が入り込んでいたビル。繁華街の外れで然も、ボッタクリ店や違法カジノ店。更には詐欺師集団の巣窟であった事が災いし、警察の一斉摘発を受けて以来、出店する者が居なくなり5年前に廃ビルと化した。

どおやら廃ビル1階の1番奥に在るキャバクラであった場所が犯行現場になっている模様。

まぁ、元キャバクラの跡とあって防音設備は万全に施されている筈だから静かなのは当然なのだけど、

人が出入りした形跡も無ければ見張りらしき人影も無い。言い方が合っているかどおか解らないが、人がいる雰囲気が全くと言っていいほどに感じられないのだ。


遅かった…のか…?


と言った漠然とした不安が俺の中で急速に膨れ上がる。


と…その時


裏側に非常階段と出入り口が有るわよ


最早俺にとっての勝利の女神と言って良い程の存在の声が直接頭の中に響く。


中の状況は解かるかい?


真智子ちゃんならこの中に侵入するのも簡単な筈。なので、先行して貰おうと思ったのだが…


ゴメン…公園内で起きたホームレス襲撃事件でエネルギー使い過ぎて役立たずも良いとこよ…


と、謝罪して来た。


肝心要のこの時に使えねー!とは思わなかったけど、ホームレス襲撃事件は初耳だな。後で話を訊かないとならんだろうな。

俺は、万が一を考えて見張りを2人ばかり出入り口に残して裏側に回り込む。


使い込んでんな…コレは…


裏側に回り込むと、真智子ちゃんが言った通り非常階段が各階に伸びていて各階毎に出入り口が在る。1階の扉のドアノブに手をかけ静かに回すと音も無く開く扉。と言う事は、常時使われている証拠になるな。

フと、俺の頭の中に三上秀一の顔が浮かぶが、今はそんな事を考えている場合じゃないね。

細心の注意を払いつつ部下3人と中に入って行く事にする。


ウッ・・・!


通路から人の気配がする部屋に突入した俺の目に飛び込んで来た光景は…


全裸で縛られ、泣き叫ぶ高坂穂乃果を拷問する3人の男女・・・ではなく


血だらけの部屋に転がる3人の男女と仁王立ちしてそれ等を鬼の形相で見下ろす全裸の高坂穂乃果であった。


「あっ・・・・・警部さん・・・・・・後宜しく・・・・・・」


俺の姿を確認して気が抜けたのか後宜しくと言い残して倒れる高坂穂乃果。

手足首には枷で拘束されていた様だが、(恐らくは数千円で購入出来る然程強度も無い様な枷なのだろう)強引に引き千切って抵抗したのだろう。

何にしても脇腹にナイフが突き刺さっているではないか。


「き・・・救急車!」


直ぐに救急車を手配した俺は怪我人を部下に任せて現場を見渡す。

SMプレイでも行われていたのだろうか、話で訊いていた様々な拷問器具が設置されていて、幾つか使用された形跡が見受けられる。恐らくは拷問の方法を変えようとした時に高坂穂乃果が何らかの抵抗をし、その時に3人の内の誰かに脇腹を刺され、それがスイッチとなってこの惨劇を生んだのだろうと推理する。


「被害が出てからじゃないと動けないのな…それじゃぁ遅いって言うのによ…」


病院に運ばれた高坂穂乃果は一命を取り留めたは良いが、回復迄にはかなりの時間を要するとの事。

高坂穂乃果を襲った3人組の1人である山川充は股関からの出血多量で死亡。何らかのプレイの最中に相手に食い千切られた事によるものと断定され、残りの2人、幹元康介は右足大腿部と肋骨3本の骨折と右手上腕骨複雑骨折で、早乙女和歌子は下顎と左肩と左足大腿部が粉砕骨折と重症を負ってしまうと言う何とも言えない結末を迎えたのであった。


………

……


「誰?あんな中途半端な事をしたの!」


AM4:00要石の上で私は荒れていた。

荒れていた理由は高坂穂乃果襲撃事件の結末と言うか入り込んでいた欠片の処理の方法よ。


レイが充電に入ってくれたおかげで何とか行動出来た私は警部の後を追って現場に入ったのだけど、言葉を失うと言うより気の弱い人なら気絶ものの状況だったの。

怯んでいる場合じゃないから直ぐに3人組の中に入っているであろう5悪の欠片を回収しようとしたのだけど、死んだ男の子と女の子に入っていた欠片は綺麗に取り除かれていた。

けど、幹本康介に入っていた欠片はたったの0.1%!このパーセンテージで生者を操るのは不可能よ。然も、欠片は欠片でも小指の第1関節迄残した状態の欠片と言えば解るかしら。

普通なら、1%でも本体と全く同じ姿をしているものなのだけど、小指の第1関節迄しか残っていなかったの。

更に高坂穂乃果に関しては侵食されて欠片が入り込んでいたのだけど、右半分しか残っていなかったの。

恐らくは高坂穂乃果→幹元康介→山川充→早乙女和歌子の順番で欠片を取り除いたのだろうけど、欠片を無理矢理取り除こうとすると思わぬ抵抗に遭って失敗したり中途半端に欠片が残り宿主を暴走させる結果となったりするからレイも私も無理矢理ってのはやらないの。

無造作にやっているかと思われるかも知れないけど、手慣れているからなのね。


「商売敵でも出来たのかな」


レイが疲れた表情でボソリと言う。

てか、こんな奇特な事をやる幽霊なんて私達以外の誰がいるってのよ!

あんな中途半端な事をしてくれたから高坂穂乃果の暴走を招き死者が出る展開になったんじゃない!

絶対に許さないんだからね!


兎に角、今は充電が先!


腸が煮えくり返る思いを抱えたまま、エネルギー補給をするべく要石の上で座禅を組んで瞑想するのであった。


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