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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
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第67話 同時多発事件? 1

深夜0時30分


ミキは結局俊哉の職場に泊まる事にした。2人は元カレ元カノの間柄らしいので問題は無いとの事だ。


「やってくれる…マジで…」


「罠の可能性が高いね…どおする?」


俊哉の部屋でパソコンのモニター画面に映し出された自らの犯罪を獲物を狩ったハンターの様に自慢する画像と書き込みと更に街中に配置したアンテナからの映像に頭を抱えるレイ。


この書き込みの件を片付けるだけなら何も問題は無いのだが、コンビニでの集団万引そして公園ではホームレス狩りと浦川学園生徒による同時多発テロ的な事件が発生していたのである。


「罠でも何でも手が足りねえよ…」


同時に4件もの犯罪をどおやって捌こうかと思案するレイ。こうしている間にも被害は広がっているし、ミキを襲おうとミキが生活している部屋の近くにも数名の生徒が張り込んでいる。

勿論、人的なものは警察にお任せするとしても生徒達に抱えさせて育てさせた悪意を奴等が回収する前に全て片付けないとならない。


「チョロ松が居なくなったのは痛いわね…」


それは言わない約束だぜ…オネェさん…奴が抜けた穴の大きさを1番痛感しているのは俺なんだよ。

とは言え、此処で手を拱いていても事態は解決しない。


森田警部御一行はエロガキ共の始末に向かったみたいで少しは猶予が有る筈。

俺はホームレス狩りの方を何とかするから万引の方を頼めるか?と真智子に頼んでみると澄んだ声で


「私がホームレス狩りの方に行きます…貴方は万引の方を頼みます」


と…言い出した…


ヤベ…真智子から全ての感情が消えてる…短気な性格をしているけど、本気で怒る事は殆ど無いと言うか沸点は低い癖に頂点に達する事は今までで1度しかない。

要は沸点は低いが頂点が高いのだ。

こうなってしまっては梃子でも動かない。


「り…了解しました!」


なので俺は集団万引の方に行く事にする。


コンビニにて…


「前言撤回!強盗障害事件だなコリャぁ…」


無人の店内に開けっ放しのレジには一円も残っていなく、更に銀行に預ける為に集めていた売上金を収めていた事務室の金庫も開けられていて現金のみが奪われている。

このコンビニには、常時二人の店員が働いているのだが、二人共身動き出来ない様に縛られ、更に猿轡代わりのタオルを噛まされてバックヤードに転がっていた。


二人の店員の頭から血が流れている所を見ると、鈍器のような物で頭を殴られて気絶されられた後で縛られてバックヤードに転がされたってところか。


「この残滓…黒尾じゃねぇな…」


店内に残る霊気の残滓を感知した俺は黒尾の霊気と霊気の残滓を比較する。

霊気もそれぞれパターンが有り、指紋と同じく一人一人パターンが違う。

導き出された答えは黒尾とは違う者だと言う事と、明らかに黒尾より上位の者だと言う事。


現時点ではこの程度だけど、これが何を意味するかは解らない俺ではない。


「みぃーっけた!チッ!フルフェイスのヘルメットで顔が解らねぇ…けど、彼奴等で間違いなさそうだな」


アンテナが住宅街方面に走る二人乗りのスクーター2台をキャッチしたが、案の定フルフェイスのヘルメットで顔を隠しているので誰なのかは解らないが、深夜の街中を迷走する様に猛スピードで走り抜けている様子を見ると何かやらかしたのだろうと判断した俺はアンテナを追跡型に切り替えて4人の行く先を監視する。

スクーターはカナリのスピードで住宅街から学園方面へと向きを変える。


学園の門は閉じてる筈だし何で学園なんだ?と疑問に思いつつも追跡を続行していたのだけど、奴等の行き先は学園ではなく前川官兵衛守定近の首塚であった。

首塚と言っても祠と祠を囲む様に柵と看板が設置されているだけの粗末なモノで裏側に川が流れている他は周辺には樹木も生えていない。


何かに操られる様にフラフラと祠へと歩く4人に祠の前で待ち受けていた初老の男性が拍手をしながら「良く出来ました。ご苦労さん」と言うと、奪って来た金を男に渡して4人は立ち去る。


アイツは誰だ?


初めて見る顔と仄かに感じ取れる妖気。見てくれも何もかも人間で間違いないのだが、妖気を漂わせていると言う事は…


黒幕は妖怪か?


イヤイヤ…此処で確定させる訳にはいかないでしょうよ。何方にしてもアンテナに気づいて此方を睨む様に凝視して来たと言う事はカナリの実力者と言って良いでしょう。

気付かれているのなら仕方がない。俺は初老の男性の追跡を諦めて4人の行方を追う事にしたのであった。


「逃げたか…まぁ良いでしょう…単なる幽霊が何も出来る筈が有りませんからね」


どおやらあの男は俺のアンテナをN級と勘違いしたらしいな。まぁ、それはそれで好都合だ。見つかった時点で消されていたら元も子もないしな。


然し…


幹元康介と三村明彦と小澤貢と佐伯修ねぇ…事が終わり帰宅した男達の身元を探った俺は4人の関係性を考える。

幹元康介と三村明彦は秀一を自殺に追い込められなかったと言う事で罰を与えられたかと想像出来るけど、残りの二人…一体、何をやらかしたんだ?


考えても解らんので、当然やる事は唯一つ。


奴等の守護霊を呼び出す!


………

……


出て来ねぇ…


呼び出す事約30分。


全員の守護霊が出て来ねぇ…って事は、既に食われている若しくは、身動き出来ない程に弱っている…の…何方かだ。

例外として、お役目を終えた守護霊が次の守護霊と入れ替わる為に一時的に守護霊が留守状態になっているかだが、それは先ず有り得んだろうよ。

守護霊交代なんてそうそう起きるもんじゃねぇし、交代する時は本人は何かしらの体調不良を感じる筈。

4人の状態を見る限り、それは見受けられなかった。


チッ!面倒な…


こうやって無駄に動き回るのも夢枕に立つのもタダではない。それなりに霊力も使うし疲労感も半端ないよ。

然し、自らの欲望の為に関係のない生者を使い犯罪を犯させるのはちがくね?

生者的に言うとすれば反吐が出る!と言うところか?

取り敢えずやって来た小澤貢の部屋に入り込むと案の定、死んだ様に寝てやがる。

全く呑気なもんだぜ…とか思っていたら小澤貢の胸元から俺を捕獲しようとするかの如く黒い手が伸びて来る。


「R級…イヤ…SR級か!」


黒い手を見ただけでは正確にランクとレベルを判断出来ないが、R級最上位かSR最下位ってところか?と…すると、本体はSSR級中間レベルだろうな。

欠片のレベルと本体のレベルは必ずしも合致しているものでは無く、幾ら欠片がR級の最下級レベルだからと言って舐めて掛かると痛い目に遭うのは必死なのだ。

何れにしても妖気は微塵も感じられないので、妖怪では無いらしい。

コレは…まさかの五悪の1人ってヤツなのか?


俺を捕まえようと伸びる手を逆に捕まえて小澤貢から引き摺り出した勢いを利用して外へと連れ出して蜘蛛の巣状のトリモチ結界を展開して貼り付けにする。

この、トリモチ結界は本来は罠なんかに使う結界で、術者の力を超えていない相手なら先ず外れる事はない。


「は…外れねぇ…!」


結界に貼り付けた黒い手は人形となって何とか逃れようと暫くの間、暴れていたけど外れるどころか暴れる最中に切れた霊糸がヤツに纏わり付いて更に動きを封じて行くもんだから、最後にはグルグル巻の芋虫状態になって転がった。

こうなると俺が結界を解除しない限りは自由にはならない。


「ヒャ〜ヒャッヒャッヒャッ…自爆しやんのブァーか!」


まぁ、煽るのはこの辺にして置いて、今、やらなきゃならないのは何があってこうなったかだ!それを知らなければならない。

俺の表情を見て次に何をやられるのかを予想したのか、必死になって逃げようとするが、全ては無駄なのだよキミ。


「さてと…キミは一体何者なのかな?正直に言った方が見のためだよ?」



ヤツの眼の前に霊気刀を突き刺し脅してみた。


「フン!殺るならサッサとやれ!」


まぁ、こうなるよな…リアクションが普通過ぎて興醒めだよ…全く…てな訳で捕らえたコイツの頭に手を翳して記憶を読み取る事にする。

欠片であろうが分身体であろうが本体から分裂している以上、記憶は有るしソレを探るのは容易ではないのだよ。


「な…何をする…」


脅し方から想像するに痛めつけられると思っていたのか、俺がコイツの額に手を翳したもんだから軽いパニックを起こした。

これ幸いとばかり、全力でコイツの記憶を覗いた結果…


小澤貢と佐伯修と後二人笹岡キララと松川麻美の4人は目立つ存在でも無ければ教室の片隅で指を咥えて他人を嫉妬の目で見る様なタイプの人間ではない。

何方かと言えば、その他大勢に埋もれながらも、その立場を甘んじて受け入れて気の合う者同士で楽しくやっていられればそれで良いと言った様な人間であった。

そんな4人に取り憑いたのが5悪の一体であった。

取り憑いた当初、4人には悪意は存在せず無駄な事をしたと思っていた他の5悪であったが、無ければ作れば良い。それを実行し、4人を万引の常習犯に仕立て上げたのだ。

4人の万引テクニックは卓越しており、被害に遭った店も後になって被害に気付く程である。

そんな4人が先日、ミスをやらかして捕まったのだ。


「ナルホド…それ故の罰ゲームか…」


「テメッ!顔を覚えたからな!後で覚えとけよ!」


「喧しい蚤だなぁ…取り敢えず消えとけ!」


記憶を覗かれた挙げ句に俺に暴言を吐く5悪の1人を霊気刀でぶった斬った後で今後の事を考える。


因みに、今の5悪の名前は伊藤直道 享年29歳

生前の職業 現場作業員

他人の死を祝福する様な最低のクズ男。

死因 浦川学園新校舎建設時、足場から足を踏み外して落下。その時は一命を取り留めたものの、その時の怪我が元で死亡。

表向きではそうなっているのだけど、足場を踏み外した切欠を作ったのは村岡隆也らしい。


要は村岡隆也に引っ張られた犠牲者なのだが、その事は一切認識させる事なく仲間になった。


で…5悪の3位の実力者。


って・・・3位でコレかよ!


5悪の実力を侮っていたかも知れねぇな。


俺は、森田警部に報告を入れた後、真知子の様子を見に行く事にしたのであった。

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