第62話 真相へ4
またお前かぁ!
俺に気付いた黒尾の欠片が問答無用に襲いかかってくる。
ン〜…
確かに前より強くなってはいるけど、それでも俺の敵じゃねぇな。
黒尾の欠片の動きを見極めて右手人差し指で欠片を突いてやるとガラスが割れる様にパリーンと砕け散って消える。
ヨシ!コレで邪魔者は居なくなったな!?
此処でやる事は俺の欠片をコイツ等に入れる事。何処まで保つか解らないけど、暫くは乗っ取られる可能性は無いだろう。
幸い、コイツ等の守護霊はランクはN級と変わらない(あっ!言っておくけどN級と言えど別格扱いと言うのは変わらないぞ?)から、何でこうなったのかと問い質した後で問答無用で欠片を入れた。
それから分身体を回収してネットカフェに移動して寝ていた客に入り込み学校裏サイトに以下の様な書き込みを投下した。
○月✕日 03時49分49秒
投稿者 全てを知る者
田中貴史は斎藤優香を秀一に寝取られた。と書いているが、実はそうではない。
単に優香が田中貴史を嫌いだからフラれたに過ぎない。
それも3回も!
3回目にフラれた後、優香が仲良くしていた秀一を逆恨みした挙げ句にGと呼ばれる様に仕組み、更に子分の藤掛雄一を使って以前から秀一に強い嫉妬を抱いていた同性愛5人組を焚き付け、秀一を虐めて自殺に追い込もうと考えた。
然し、田中貴史単独でこの計画を思い付いたのではなく赤野俊哉が入れ知恵したのだ。
そう、田中貴史は斎藤優香と付き合った事実はない。それどころか、斎藤優香に嫌われているのに気付けなかったと言うよりは優香を快楽堕ちさせて性奴隷として扱いたいだけだったのだ。
フラれた理由を全て秀一のせいにして自殺させようとしている最低最悪の祖珍野郎なのだ。
田中貴史とその取巻き共よ!
反論出来るものならしてみろ!
それと、田中貴史の書き込みを鵜呑みにして秀一を虐めていた者共よ!テメェ等も同罪だ!それ総相応の罰が有ると覚悟せよ!
書き込み以上。
本来は此処までやる必要も無いのかなと思ったけど、中途半端な行動は中途半端な結果しか残さないからな。
やるなら徹底的にだ!
俺が秀一に対してやれる事はコレで全てだ………おっと…もう一人忘れていたぜ…
真智子は…要石の上に居るな…コレなら夜明けギリギリ迄動けそうだ。
充電モードに入っている真智子を確認した俺は、大急ぎで優香の守護霊を呼び出して優香の部屋に案内させる。
…………………
優香の守護霊は戦国時代の商人の娘だったらしく、呼び出された時は俺を警戒していたけど、秀一の話をして何とかしたいと思っているから協力して欲しいと丁寧にお願いすると快く承諾してくれた。
「んじゃぁ、早速…」
優香の部屋に到着早々、俺は優香の夢枕に立ち優香の魂と話をする事にする。
「・・・貴方は誰?」
「俺は幽霊のレイ…三上秀一の事で話があってお前に会いに来た。」
「秀一君…優香は何も知らないし関わりたくもない…」
「ほぉ?それは何でだ?」
「それは…」
秀一の事…真相に迫る部分を聞こうとした所で口籠る優香。然し、それが解らないとあの書き込みを修整しないとならない。それでは計算が狂う事になり、秀一も守れない可能性だってある。
仕方ねぇ…此処は強引にいってみっよう。
「何でだ?って訊いている!?正直に答えないと永遠に目が覚めない事になるぞ!?」
「チョ…何でそうなるのですか?」
「アイツは昨日の夜に自殺をしようとした。俺と俺の相棒が止めなければアイツは本当に死んでいた。それで、何でこんな事をしたかと調べてみたらお前の名前が出てきたから話を聞かせて貰う為にお前の夢枕に立った」
「自殺って…本当ですか?」
「嘘や冗談でこんな事言えんぞ?それに幽霊は基本的に嘘は吐けん」
「そんな・・・」
「そんな・・・って驚いている場合じゃねぇ!!それだけ犯人達がアイツを追い詰めたって事だろ!事の発端の一端になっているお前にも責任はあるんだぞ!?あ゛あ゛!?」
「お…怒らないで下さい…優香だって自分を守る為に必死だったの…」
「だから、その辺の事情を知らなければ何も始まらないから知っている限りのことを全て教えろって言ってんの!」
「わ…解りました…」
怒気を含めた俺の言葉に観念した優香は漸く重い口を開く。
優香の話によると、林間学校の後、しつこい程に付き纏う田中貴史から都合3度程告白された。然し、幼少の頃に近所の大学生に悪戯され、男性恐怖症に陥ってしまっている優香は男性と付き合うと言う選択肢は存在していなく、当然ながら貴史を拒絶した。3度目にフラれた時、プライドを傷付けられた貴史に「そんなにオカマの三上が好きなのかよ」と言われ「三上君はオカマじゃない!田中君よりずっと男らしいわ」と返してしまった。
それが事の発端であったのだ。
その後、秀一の机の中にG箱が入っていた日、優香の机の中にSM雑誌と共に「コレ以上、三上に近寄ったらこの本に載ってる女共より惨めな存在に落としてやる!」と警告文が入っていたのである。
犯人は解っていたが、底知れぬ悪意と幼少期の記憶が蘇ってしまい、見て見ぬふりをせざる終えなかったのだ。
全て話した優香は自分のせいだと泣き出してしまったが、最悪の事態は回避出来た訳だから、コレでヨシとせねばなるまいよ。
俺は優香に今の自分に何が出来るかを考えて最善だと思える行動をしろと言ってやった。
これで田中貴史の守護霊の話の裏付けは出来た訳だ。
「後は今夜だな…」
最後に秀一の入院先と部屋番号を教えて話を終えると既に夜明け間近である。コレ以上は活動に制限が掛かるので、要石に戻る事にしたのであった。
人の悪意とか負の感情とかの表現が非常に苦手だったりします。
表現不足の部分が有ると思いますが、平にご容赦下さい。
m(_ _)m




