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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
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第50話 ワンダーランド3

「呼ばれた・・・って・・・誰に?」


社長が訝しげに首を傾げる。


「よく解らないけど彼は土地神の緑発ハツって名乗っていたわ」


それは唐突の出来事であった。

その日は特にやる事も無かった為、ワンダーランドで何時ものようにフワフワと漂ったりR級に覚醒させた元寂しがり屋系の幽霊と遊んだりした後、レイが唐突に図書館に行くと言い出したので理由を訊くと妖綺譚を解読しに行くとの事。


「アンタも好きねぇ」


「ハイハイ何とでも言って下さい」


定期的に図書館に行っては色んな書物を読み漁っているレイではあるが、中でも妖綺譚は1番のお気に入りらしい。

図書館に行くときは夜中に行くことが多いレイは今回もまたワンダーランドが閉店した後に行こうとしていたので着いていく事にしたのだけど、唐突に緑発と名乗る声に呼ばれて単独であの場所に行ったの。

とは言え、私の中にも20%のレイが残っているので1人とは言えないのだけど些細な事は気にしないようにしている。最初の頃と違い、最近はかなり慣れて来たせいか20%のレイが残っているだけでも4時間は稼働出来るのよ。


「こんな場所に私を呼び出しておいて一体何の用なの?出て来なさいよ!」


呼ばれて来た場所は廃工場の瓦礫の上。

此処に来たら緑発と名乗った人物と会えると思っていたのだけど、声だけで姿はない。

少しイラッとしながらも緑発に呼びかけたのだけど、訳あって今は姿を見せられない。この場に呼び出したのはこの地に龍脈が走っているからとの事。


「最近、お主達と共にしていたコヨミとか言う女が見当たらないがどおしたのじゃ?」


はぁ?コヨミの行方?何でそんな事を答えなければならないの?

コヨミがどおなろうと私の知った事ではないじゃないのよ!?

レイは疑っていたレベルだったけど、私の目は誤魔化せないよ。

彼女は明らかにうそいていた。

私の見立てでは取り返しがつかない程のレベルで病魔に侵されていた筈で、恐らくは既にこの世に存在しない人間だと予想しているの。

まぁ、そんな事を説明しても仕方がないと言うか何者かも解らない状態で返事をする訳がないじゃない?

なので、アナタは何者なの?いきなりそんな事を訊かれても答える義務は無いわと言ってやったの。

そしたら


「これは済まなかったの…ワシは古よりこの地を守る土地神なり…訳あってお主の前に姿を表す事が出来んのじゃ」


土地神 緑発…?


って…あの物語に出て来る土地神様なの?物語によると土地神様って何処かに封印されたままじゃなかったっけ?


と言う事は…土地神様を語る偽者?そう予想をした私は


「土地神様って何処かに封印されたままじゃなかったっけ?久良光五平とか言う人が書いた妖綺譚にそう書かれていたわ」


と言ってやったら


「確かにワシはとある場所に封印されておる」


土地神様の話によると、封印されている場所は言えないが、年に1度封印の力が弱まる時があり、その時に限り分身体を飛ばす事が出来るとの事で10数年前に分身体を飛ばした時に見かけたのがコヨミで、それからと言うものコヨミが気になって仕方がなかったと言ってはいるけど…さては…


このエロジジイ…


神である立場を忘れてコヨミに惚れたな?然も一目惚れ?

呆れながらもその事をツッコんでみたら、どおやら図星だったみたいで恥ずかしそうに


「ワシだって男じゃもん!恋愛感情の1つや2つ持っても罰は当たらないんじゃもん!」


と、開き直る始末。

これはまさかの三角関係勃発か?内心、面白くなりそうだと思いながらも「心配しなくてももう少ししたらまた会えると思うから大人しくしていてね」と返事をしてやった所で社長に声を掛けられたって訳なの。


シッカし…レイVSエロジジイ…コヨミを巡っての三角関係…面白くなりそうね…


この話を訊いた社長は呆れつつも俺には関係ねぇなと言っていたけど、一人になったところで腹を抱えて笑い転げているに違いないわね(笑)



さて…


こんな事があって数日後


今日は新台入れ替えの日で新台目的のお客が朝から行列を作っていた。

オープンと同時に我先と先を争う様に入店するお客達。

目的の台をゲット出来たお客は意気揚々と、そうは行かなかったお客は面白くねえと言った表情を浮かべながらも別の台へ座り打ち始める。


今回の新台はパチンコが1機種パチスロが2機種でパチンコは319分の1の台でパチスロはATメインの高射幸機で高設定での勝率はかなり高いのである。

最初が肝心がモットーの店長はパチスロ台の方は全台中間設定以上しか入れておらず、パチンコの方も開店前に試し打ちした限りでは回らないと言う事は無かったので間違いなく新台のシマはお祭り状態になると思われたのだが…


「何だぁ?コレが新台かよ!!」


「明らかに高設定の筈なのに当たらねぇ!」


「本機最強リーチ3回連続でハズレかよ!どんなリーチだったら当たるんだよ!!」


「天井単発かよ!!」


打ち始めて2時間…


新台全て全くと言っていい程の音無し!


パチンコに関しては打てども打てども当たりを引けない!


当たりが引けない台に何時までも無駄金を使うのは愚の骨頂。当然の如く3時間後には新台にはパチンコに座っていた1人を除いて誰も座っていなかったのである。


散々な状況に頭を抱える四谷。


更に3時間後


「319で3700回転以上当たり0回って…不正改造台じゃねぇかコレ!!」


と、ただ一人パチンコ台で粘っていたお客が騒ぎ出したのだ。

その客曰く、319分の1の台で3600回転ハマりは100000回に一回発生する確率。

解りやすく言えば、ジャンボ宝くじ50枚買って1億以上当たる確率とほぼ同等らしいが、3700回転以上のハマりとなると有り得ないのだそう。

まぁ、そこまでして打つ方も打つ方なのだが、新台入れ替え直後の台で故障しているとは思えなく、お客が騒ぐのも無理はない。


そんな馬鹿な…何時もの業者に新品の台を入れた筈…有り得ない…

そうは思っても台の上部のカウンターが全てを物語っているので言い逃れ出来ない。


とりあえず、そのお客にはお詫びとして相応の補填をして帰って貰い、閉店後に新台全てをチェックすると


「何だこのスイッチは…」


台を開けてチェックした時、解り辛い場所に設置されているON-OFFのスイッチ。

何と、新台全てにそのスイッチが存在しており、当然の事ながらONになっていたのだ。


「あぁーあ…健全営業を掲げて営業していた貴方が不正改造台を入れるなんてねぇ…既に本社には報告して頂きました…今までお疲れ様でした」


内心、ざまあみろと指差して笑っているが、微塵も出さず、澄ました顔で声を掛ける金蔵。


アイツ…


黙って見ていた私とレイは怒り心頭状態だったのだが、幽霊が絡んでない以上、手は出さない。

出さないが、何がどぉなってこの結果になったのかを調査する事にしたのであった。


今回の数字は絶望値測定と言うアプリで算出した数値です。

新台は規制前の台を設定しました。

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