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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第四章 黒尾の逆襲
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49話 ワンダーランド2

「姉さん…一体何をしているんだい?」


時刻は午前2時


何時もなら雨降山の要石の上でレイの修行の相手をしている筈なのだが、何と今日は要石の上ではなく廃工場が在った場所でフワフワと宙に浮いていた。

工業団地かと思う程の大きな土地の中に10棟程の大小様々な建物が在ったのだが、ものの数週間で取り壊され瓦礫の山と化している。

現在は瓦礫の撤去作業の真っ最中なのだそう。

その瓦礫の少し上で胡座をかいた姿勢でフワフワしていたのだから社長が不思議がったのも無理はない。


「んあ?社長…何がありました?」


何かと対話するかの如く集中していた真智子は唐突に話しかけてきた社長に驚きのあまり間の抜けた返事をする。


「何かありました?じゃねぇよ!こんな所を誰かに見られたら大騒ぎになりますよ!?とりあえずこの場から離れましょう」


「フニャア…」


あまりの間抜けぶりに少々イラッとした社長は真智子の首根っこをムンズと掴むと猫の様な声を出す真智子に一瞬ではあるがムラッと来たのだが、気のせいだと思い込む事にしてその場から移動する事にする。


「で?何であんな場所でフワフワしていたんですか?それに、旦那は何処に行っているのですか?」


移動先は言わずと知れた要石の上。


「レイは図書館よ?妖綺譚でどおしても気になって仕方がない箇所があるから解読に行っているわ。」


妖綺譚ねぇ…


あの本の著者の久良光五平なる人物は元々薬師五平やくしごへいと云う名のお人好しの薬師くすしでこの地に住まう人達を救った人物…だったかな?確か数十年前に5巻迄を浦川学園の生徒が完全翻訳したとかで一時期話題になった代物だよな。

そして、学園祭で朗読会を開いて…アレッ!?何でその時の記憶がねぇんだ?俺もあの朗読会に行ってたから覚えていない筈がないのだがなぁ…

俺は記憶力が良いしあの学園祭の前後に何があったのかも覚えている…なのに何であの時の記憶が無い?


・・・まぁ、数十年前の事だからそんな事もあるのかもな…って…こんな事を思い出しても仕方がないんだった!


「レイの旦那も一緒にいてくれたら説明の手間も省けたのですがねぇ…実は…」


とりあえず、姉さんに伝えれば後は何とかしてくれる筈だと思った俺は先程聴いた話をしたのであった。


「・・・そんな事になっているの・・・」


実はワンダーランドの店長はその時の業績にもよるが、4年前後で交代していて、殆どが本社が選出した人物がやって来る。

時には建設会社の現場監督クラスの人物が来たりテーマパークの係長クラスが来たりと店員を混乱させる様な人事をする事もあるが、四谷は都内のパチンコ屋の店長をしていた事もあり本社が引き抜いた人物で、最初こそ反発していた店員達も何時しか四谷の手腕に心酔していった。

四谷は交代してからまだ3年にも満たない程の年数しか経過して居らず、もしこの時点で交代劇が起これば重大な失態をやらかすか罠に嵌めて練れぎぬを着せて本社に報告して引き摺り下ろすしかない。

羽田の場合はその前の店長をハニートラップから借金地獄に落としてと罠に嵌めて奪い取っていたのだが四谷に交代したのは本社が交代する時期だと判断したに過ぎないのだ。


然し、これは飽くまでも生者同士の出来事でありレイも真智子も手は出さないし現状を判断するならR級以上の幽霊や妖怪が絡んでいると確認出来ていない。

従って、店長が代わって運営自体が変わったとしても知った事ではないのだ。

なので、真智子の返事は当然ながら「覚えておくわ」とだけであった。


「で?姉さんは何であの場所でフワフワしていたんですか?」


伝える事は伝えたので帰っても良かったのだがさ、先程の真智子の行動が解らないので問い質す事にする。


「・・・呼ばれたのよ・・・」


それは唐突の事であった

次回は真智子があの場所に呼ばれた理由と店長交代劇のお話です。


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