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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第三章 コヨミさん不在
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第44話 雨音の心霊スポットの事情2

七福神社


その名の通り、七福神を祭った神社で江戸時代後期に三島平治と名乗る人物がこの地で七福神の啓示を受けてこの神社を建てたとの事なのだが、その時の事を知る者は当の本人しかいない為に事の真意は定かではい。

然も七福神ではなく妖怪の目撃談の方が多数存在している為に一説では妖怪の為に造られた神社ではないかとの噂も存在している曰く付きの神社である。


そんな神社が心霊スポットと呼ばれる様になったのは明治時代の終わり頃で、若い女性を拐っては神社内で乱暴を働き挙げ句の果てに殺すといった事件が3件も立て続けに起きた。

捜査のかいあって、事件は解決し、犯人は逮捕されたのは良いが、他県でも同様の手口で殺しを働いていたと判明し、最終的に死刑となっている。然し、犯人の末路を知らない女性の霊が成仏出来ずにSSR級と化し、肝試し感覚で訪れる人達(特に男性)を襲い呪い殺すとの噂が絶えない。


然し、この神社に住み着くSSR級は複数人ではなく1人なのだ。


何故、1人かと言うと、最初の犠牲者が自分の波長に合う者を次々と呼び込み呪い殺してはその魂を取り込んで恨みの念と負の力を増大させているからに他ならない。


「此処は旧幽玄坂トンネルより危険な場所よ、気を付けて」


と、神社の敷地の手前で結界を調べていた俺に真智子がそれとなく警告する。

そうは言われてもこの神社もケルベロ神社(雨降山の神社 本当の名前を知らないので便宜上こう呼ぶ事にする)同様に結界で護られているので出入りは出来ないのでは?

そうツッコミを入れる俺から飛び出てスルりと結界を通り抜けてオイデオイデをする。


「何だぁこの結界は?」


こんな結界も有るのだなと俺の驚きを無視するかの様に境内を指差して俺に此処から先は一言も話さない方が良いと言って俺を黙らせる。


「七福神社…またの名を七災神社…ホントかよ…」


更に結界を調べようとしてた俺の耳に届く何処かで聞いた事のある男の声。

思わず声のした方向に目を向けた俺の目に意外な人物が飛び込んで来る。


「アイツは…」


撮影用のカメラ片手に鳥居の外から境内を見渡すこの男の名は佐伯淳一と言う名で公園や要石付近でたまに見かける男だ。

じゅんくんTVと言う名のチャンネルを運営する自称ウーチューバーをやっていて、科学的な実験や流星群の季節に雨降山から流星群の生中継をしたりしているらしい。


そんな男が何故此処に?


20%の分身体を飛ばして周囲の状況を確認すると少し離れた所に停めてある黒のワンボックスカーに乗っている2人の男を発見し、様子を伺っていたのだが、どおやらこの2人は佐伯淳一の仲間みたいだな。

って事はこの2人もウーチューバーなのか?

後で知った事なのだが、この2人は吉田直之と山本守と言う名で心スポ探検家と云う名のチャンネルを運営しており、全国各地の心霊スポットを巡りそこで撮った動画をウーチューブにアップしている。佐伯淳一とは非常に仲が良く、よくコラボしていて今回もコラボの一環として淳一を独りで神社の撮影をさせているとの事であった。


「アイツ独りで大丈夫かな?」


「ヤバいと思ったら直ぐに逃げろと言ってあるから大丈夫だろ」


「でもよ、あの神社ってカ・ナ・リ・ヤバい場所だって聞いてるぜ?」


「だ・か・らアイツに行かせたんだろ?」


「それ…バレたらただじゃぁ済まないぞ!?」


「大丈夫だって!その為にアイツの実験にも付き合っているんだからよ…ギブアンドテイクだよギブアンドテイク!」


なぁ~る…


要は危険な場所にはラジコンを送り込んで自分達は高みの見物ってか?良い性格をしているねぇ…

ちょっとだけムカついたから力任せに運転席のドアを蹴飛ばしたのだけど、如何せん幽霊なので傷も付かなければ凹みもしない。

然し、ボンという音だけは2人には聞こえたらしくビクッと驚いたリアクションをとった後、何が起きたのかを確認するために外へ出た。


「何だったんだ?」


何も無かった事に安堵しつつも訝しげに首を捻る素振りを見るからに霊現象とは認識していない様子だな。それと、この2人は見えはしないが多少は感じる事が出来る部類の人間らしい。

それが証拠に「さっきから妙な視線を感じる」とか言い合っているぞ。


ならば話しは早い。


車のエンジンがかからない様に細工した俺は分身体に監視を任せて淳一に意識を向ける。


「こんな季節だってのに何でこの神社は寒いんだ?」


季節は当然夏とあって、夜にも関わらず気温・湿度共に高いのであるが、鳥居を通り抜けた途端、身震いする程の寒さに戸惑いを隠せない淳一ではあるが、3つある噂の検証をしなければと境内と社を調べ始める。


噂その1

鳥居を入って10歩進みパンパンと2回柏手をうった後、振り返ると鳥居の横に女性の霊が見える。


その2

境内に在る七福神を祀った祠を鳥居側から順番に一礼をして廻り最後の祠に一礼をした後、三歩下がって再び一礼をすると右足首を捕まれる。

この時、柏手を打ってはならない。


その3

社の周囲を2周した後、社の中に入り2回柏手を打つと取り憑かれる。

1周目は時計周りで廻り、2周目は時計周りの反対方向で廻る事。

柏手を打つ時は奥の御神体に背を向けて打たなければならない。


だったか?


鳥居の手前で反芻するように呟き境内に一歩踏み出す淳一。

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