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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第三章 コヨミさん不在
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第42話 レイの怒り9

現在の真紀の様子はと言うと「私は悪くない」との一言だけで後は完全黙秘を続けているとの事でお手上げ状態だと言う。


「随分と深く結び付いているじゃない?」


取調室の隣の部屋から覗いているのだけど、真紀の魂は漆黒に染まりきっていて、良心の欠片もない様子。

チョロ松の話では5悪と呼ばれるレア級は取り憑いた人間の魂と結び付き、悪の道へと誘い良心の一欠片も残さず徐々に黒く染めて行き、最後に魂の半分を掌握してそれ食らうのだそう。

何故全て掌握しないかと言うと、そうした場合、良くて廃人悪くて死亡するから。

そうなれば、学園自体が潰れかねないからだしやり過ぎて自らの居場所を無くす訳にも行かないからと言うのが理由。

それに、魂を半分食らった後の生者は操り人形同然と化すので、悪事を働かせるのは造作もなく勝手に悪意を増大させて行くので後は適当に育った悪意を食らうだけで良い。

要は蛇の生殺し状態で飼うと言った解釈でOKかなと思うのだけど、取り憑いた本人に気付かれてもいけないから操縦するだけで大変だとは思うけど、それを意図も簡単にやってのけているのが5悪なのだと言う。


「どおしたもんかねぇ…」


救う義理はないけど欠片は取り除かないと後味が更に悪くなりそうと思った私は、気付かれない様に監視する事にしたのであった。


……………

………


旦那達が斎藤親子の様子を見に行くのは予想出来たので、俺、チョロ松は真紀とつるんでいたあの2人の中に居るであろう欠片を監視する為に居場所を探すと加賀谷幸一の部屋で次のターゲットは誰にしようかと嬉々とした表情で相談していたので状況を確認すると時既に遅しであった。


そう、既に欠片は本体に回収された後だったのだ。


チャンスじゃね?


これならアッシでも入り込めるんじゃね?


そうは思ったのだけど、他の者が入り込めない様にガードは完璧の様子。

然し、幾ら完璧に見えようと所詮、本体の3%程の力しか使っていない様なガードなんて豆腐以下だっての!!

とは言え、強引グ・マイ・ウェイ的に行けば本体に気付かれるよな?気付かれない様にするにはどおしたら良い?俺の調べでは生前の黒尾は金と女にしか興味を示さない男だったと判明している。

死んでる人間に金なんか出して買収なんて意味ないし女に化けてガードを崩す事も考えたのだが、旦那や真智子の姉さんと違い変化は苦手なんだよな。


しゃぁねーなぁ~…


まぁ、ここは加賀谷幸一と浅岡明夫の一荷釣りが出来ると前向きに考えるとしよう。


結!!


素早く印を結び部屋全体を結界で覆うと途端に異変に気付いた黒尾警備のSPが何事かと2人の中から出て来て現状を把握すると共にアッシの姿を発見して襲い掛かって来たのは良いが、俺は結界の外に居るので当然の様に結界の壁に阻まれてそれ以上近寄る事も出来ない。

事ここにおいて状況を把握したSPは慌てて宿主を守る為に宿主の中に戻ろうとするのだが…


収!!


結んだ印から更に別の印を結び結界を縮めて行き奴らを捕らえたのは良いけど、この結界は悪意に反応する結界なので悪意に染まっている2人の魂まで捕らえてしまう。


「ドジだねぇ…」


背後から唐突に聞き慣れた声がしたと思ったら床から鼻くそをほじるポーズをして旦那が見ている。

…って事はもう一仕事終わらせたって事なのか?全くこの御仁は末恐ろしいぜ…

そんな事を考えていたら素早く作り出した刀で結界を滅多切りにする。

エッ…ちょっと待った!そんな事をしたら2人の魂まで切り裂いてしま…わなかった…

切り裂きながらも2人の魂の場所を確認し、細心の注意を払いつつ素早く黒尾警備のSPのみを切り裂いたのだ。


「ざっとこんなもんだ」


2人に取り憑いていた欠片が消滅し、解放された魂が本体に戻るのを確認した後で詰めが甘いよ?キミ…なんてドヤ顔で宣う旦那にアンタには言われたくねぇよって心の中でツッコミをいれつつもこれからどないします?と質問すると


「コイツらを自主させて真紀を追い込む!チョロ松はそっちな」


と言って加賀谷幸一の中に入り込むので浅岡明夫の中に入り込み共に警察に向かう事にしたのであった。


数時間後


「さぁ、キミ達…洗いざらい正直に話して貰うわよ」


本当は盗みでもやらせて警察に逮捕させた方が良かったのかも知れないけど、それでは黒尾達とやっている事は変わらないと旦那が言うもんで箕浦刑事に身柄を引き渡した後で2人の記憶に残るあ~んな事やこ~んな事を洗いざらい話した後、お役御免となったのであった。

いやぁ~…意識はそのままで体の自由を奪い操ったからアイツ等の焦りようは本当に笑えたよ(笑)

ヤミツキになりそうになる程面白かったのだけど、飽くまでもこれは非常手段であって普段からこんな事は出来ませんし、しないから。

真紀の中に残る欠片は真紀が寝ている間に活動しようとした所を姉さんに消滅させられたのと事なのだが、元々自分のやったことは正しいと思い込んでいるタイプなのか、どんな証拠を突き付けられても自分は悪くないと一点張りで取りつくしまもない様子だが、加賀谷幸一と浅岡明夫の証言と被害者や被害者を買い春した大人達への事情聴取(場合によっては逮捕)により起訴可能との事。

てな訳で残る厄介者は花岡玉斉なのだが、アイツ…本当に雨音NO.1の祓い屋なのか?旦那と共にちょっとした悪戯を仕掛けたのだけど、抵抗らしい抵抗もしないで


「俺を誰だと思ってやがる!雨音NO.1の祓い屋花岡玉斉様だぞ!テメェら顔は覚えたからな!おぼえとけよ!!」


と捨て台詞を残して逃げ出したのだが、黒尾の欠片が入り込んでいることに気付いていてかなり長いこと戦っている為にアッシと旦那の悪戯に対応出来なかったとの事。

てか、あんな捨て台詞、今時のガキでも言わないと思うのだが…

何はともあれ、斎藤佑哉を守る会の面々は完全にぶっ壊した!積年の恨み今こそ晴らす時!アッシは佑哉の部屋に証拠が残っている事を確認した後で森田警部を煽りまくって家宅捜索をさせたのであった。

後日、意識を取り戻した佑哉は森田警部に逮捕状を突き付けられ、呆気なく逮捕された。


その後、佑哉の犯罪と3人の犯罪はマスコミにも大きく取り上げられその全てを見届けた後、チョロ松が「やっと終わったでヤンす…」と清々しい笑顔で呟く。

佑哉は実刑判決を受け上告せずに刑務所に入る。

真紀は最後まで自分達は悪くないと言い張っていた様で一審二審共に有罪を言い渡され、三審目に突入したらしいが結果がどおなったのかは不明であるが、その後、雨音で斎藤親子の姿を見かける事はなかったので、かなり重い罰を受けたのではと予想する。


こうして事件は一応の解決をみた訳だが、この事件は俺の心の中にトラウマとして残る事になったのであった。


その後、要石の上にて


「じゃぁ、アッシはコレで…」


チョロ松たって願いで閻魔ジャッジに掛けたのだが、本当は使いたくない。

もう、コイツと悪戯出来ないのか…なんて一抹の寂しさを覚えたのは確かなのだけど、当の本人がこの世に残る気はないのだから仕方がない。


オオオォォォ…


やはりと言うか予想通り無数の黒い手がチョロ松を掴み地の底へと引きずり込む。

軽い場所に行ってくれよと願いつつ、チョロ松を見送ったのであった。


後日談


「やっぱりテメェが邪魔していたんだな」


新聞屋で朝刊を読み終えた後、要石に戻って来た俺を待ち受けていた黒い影…黒尾30%は俺の姿を確認するなり確かにそう言った。


「正解正解大正解!!…で何の用なのかな?く・ろ・お・ちゃん」


よく来たなと思いながらも挑発的な口調で黒尾を煽ってみると恨みと怒りとがまぜこぜになった様な赤黒いオーラを纏わせ


「俺の計画を邪魔するヤツはゼッテェ許さん!力を付けてテメェより強くなって復讐してやるから覚悟しておけよ!」


と捨て台詞を残して消える。


てか、黒尾ちゃんよぉ…30%の分身を此処まで飛ばすのがやっとの強さしかないのに俺とやろうってのか?


面白ぇじゃねぇか…テメェがどれだけ強くなろうが俺は更にそれを上回る強さを身に付けて返り討ちにしてヤンよと心の中で誓いを立てたのであるが


「って事は5悪と戦うのね?」


と真智子が余計なツッコミを入れて来るので「学園内の掃除も兼ねてやってヤンよ」と勢いよく返すと


「じゃぁ、スペシャル修行メッチャウルトラハードモードを始めましょうか…Are you ready?」


と言っていつの間に作り出したのか竹刀を右手で持ち天使の笑顔で言う。


ヤッテモーターァァァ!!


今までだって地獄をタップリと味わって来たのに更にその先があるなんて…orz

口は災いの元なんて言うけど…マジ勘弁してくれんかなと懇願出来る訳もなく…

絶望感を味わう俺の心の中に \(^o^)/オワタ マークが千個程駆け抜ける。


なんて顔をしてんのよ!サッサと始めるよ!!


竹刀を勢いよく地面に叩きつけて叱咤する真智子に怯えながらも修行を始めるのであった。

さらばチョロ松

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