表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第三章 コヨミさん不在
41/218

第39話 レイの怒り6

と…思ったのだが…


「それに、幾ら私の弟が雨音署署長だといっても平気で殺人を犯す様な親子を庇う義理は私にはございません!」


驚いた事に浦川康明には弟がいて、然もその弟が雨音署署長だと言うのだ。

どおやら斎藤佑哉は浦川理事長をパイプにして娘の犯罪を揉み消しを狙っている様だな。


「真紀は殺してない!真紀のメールを鵜呑みにして飛び降りた美穂が悪いの!」


「授業以外は生徒に一切関わらないのが我が校のモットーですが、生徒の悪事は全て把握してますよ?貴女と浅岡明夫と加賀谷幸一の3人が彼女に乱暴した挙げ句に売春させ、その上で思考誘導したのでしょう?親友なら私の言うこと訊いてくるよねとか言ってね…その手口で今年に入って既に3人の生徒が自殺している。それに今、未成年飲酒も目を瞑っている!これ以上、貴殿方に関わるとロクなことがない…更に言うと、先生は数年前に自らの罪を着せる為に私設秘書を殺してますよね?自殺を装ってね」


「な…何でそれを…」


「なぁに…蛇の道は蛇って言うではありませんか」


言うまでもなく、この会話は盗聴器経由で録音されている。そうとも知らずに呑気なもんだ…マッタクよ…

然し、理事長の中に誰かが入っているのは確かなんだが、いまいち解らんが、かなり強い者が入っているのは間違いない。それが証拠に斎藤親子の中にいる黒尾の欠片が理事長を取り込もうと侵食を試みている様だが、全く寄り付けないでいるではないか。


「まぁまぁ、そんな事言わないで下さいよ…此で機嫌を治して下さいよ。受け取らないと…解りますよね?」


激昂する理事長を宥めつつ、持ってきたアタッシュケースから結構な厚みのある封筒を1つ2つと積み上げて行く。

封筒の中は間違いなく諭吉の軍団で1つの封筒の中には最低100人は入っていると見受けられる。


「幾ら先生の頼みとは言え、それを受け取る訳には行きません!学園を潰すと言うのなら潰すと良い!これ以上貴殿方の悪事に加担するつもりはない!」


目の前に積まれた諭吉入りの封筒の山。地獄の沙汰も金次第と言うが、伝家の宝刀を振りかざした斎藤佑哉に一歩も退く事もなく、それどころかバカにするなと言い残して部屋を退出してしまった。


「パパ…」


頼みの綱の父親が何の役に立たなかったので、途端に不安になる真紀に優しく微笑んで心配ないよと言ってはいるが、強く握られた右手が小刻みに震えていたのであった。


斎藤佑哉と言う男は、外面こそ良いものの、裏では平気で犯罪をやらかす男なのだ。

まぁ、この親にしてこの子ありの典型的な親子であろう。

然し、今回娘がやらかした事は佑哉も頭が痛くなるような事であった。


と言うのも、先程理事長が言った3人の被害者の加害者は真紀のグループが手を下しているからで、その度に尻拭いをさせられているからなのだ。

前回迄は警察に直接圧力を掛けていたのだが、仏の顔も三度までと言われている様に、宮松の事を含めるとこれが4回目であり、これ以上は自身の首も危ういとなれば雨音署署長の身内である理事長を動かした方が後ろに手が回らないのではと考えたからである。


どおしたものか…


娘を生け贄に自分は逃げると云う手から娘だけでも海外へ逃亡させると云う手もある。

何れにしても娘をこのままこの地に居させるのは悪手であることには変わりない。


と…その時…


あの理事長を殺して学園を乗っ取れば良い…娘も自身の身も守りたいのだろう?


数年前から聞こえるもう1人の自分と言うべき声が心の中に響く。

宮松を殺した時もこの声に導かれるままに殺していた。


1人殺せば2人も3人も変わりないぜ?殺っちまえよ


いや…これ以上殺しは…マズい…マズいのだよ…


あの時は上手く行ったのだが、あちこちこらから色々な矛盾点をつつかれて危うく刑務所行きになるところだったのだ。

今回の場合、娘の悪事はバレているし、もし口封じに殺したとしてもその時点で弟に情報が行く様になっている可能性が高い。


尚も理事長を殺せと唆してくるもう1人の自分を強引に捩じ伏せて1つの決断を下す。


「明日、真紀は退学して暫く海外に行きなさい。もう、これしか方法はない」


既に真紀は17歳を超えていて、少年法で守られる立場ではなく、罷り間違えば死刑の可能性すらあり、それは絶対に避けなければならない。

海外逃亡と訊いて嫌だとごねる真紀の頬を思い切り平手打ちをして


「お前が調子に乗るから悪いのだ!3人も殺せば最悪死刑だって有り得る!それはさせたくない!これは私がお前に与える罰だと思え!」


と怒鳴り散らす佑哉の迫力に気圧されたのか、ガックリと肩を落として従う事にしたのであった。


海外逃亡だぁ?そんな事させんよ!


3人のやり取りを訊いた俺は盗聴器の内容を確認すると、恵美さんと箕浦刑事に会いに行く事にしたのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ