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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第三章 コヨミさん不在
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第38話 レイの怒り5

「あのねぇ…いくら私でも出来る事と出来ない事があるわよ…あの事件は宮松春樹の単独犯って事で終わっているのよ…本人死亡って落ちが着いてね」


「だぁ~かぁ~らぁ~!その本人が違う!あれは冤罪の果てに自殺を装ってアイツに殺されたっていっているじゃぁないですか!」


「それを証明出来る証拠は有るの?」


「コイツが証拠だって言ってんじゃん!」(この女の頭の硬さはダイヤモンド並みってか?)


「それは解るわよ?確かに本人が違うっていっているし、基本的に幽霊は嘘吐けないものね…でも…目に見えない幽霊では証拠にならないって言ってんの!捜査結果を覆す物的証拠が有るのかって訊いてんの!」


疲れていたのか珍しく自室で腑抜け状態になっていた箕浦刑事を急襲した俺とチョロ松は腰を抜かさんばかりに驚いている箕浦刑事の姿にしてやったりの気持ちになるが、本題はそこじゃないでしょと真智子にド叱られてしまったよ。

てか、箕浦刑事さんって、普段から隙を見せない人だし、隙だらけの腑抜け姿を晒していたら驚かしたくなるってのが幽霊心ってもんだろ?


えっ?幽霊心って何だって?まぁ、細かい事は気にしない気にしない。


驚かしたことについては平謝りしたよ?一応は…で、当然の如く何しに来た!この変態共!と、驚かされたお返しと言わんばかりに俺達を変態呼ばわりするので、ムッとしながらもチョロ松を紹介して事件の再捜査を依頼したのがつい先程までの流れ。

案の定、幽霊では証拠にも証人にもならないから再捜査は出来ないと抜かしやがったもんだから、押し問答が続いて現在は膠着状態。


「じゃぁ、あっしには汚名返上や名誉挽回の機会も無いって事でやんすか?」


あまりの態度にブチギレしそうになりながらも詰め寄るチョロ松に物的証拠を示さなければ動けないと一歩も退くことなく言い張る箕浦刑事

の態度を見て吠えるチョロ松。

あの事が余程未練になっているに違いない。

だとすると、チョロ松の本懐を遂げさせてやる事が今回の俺の役目ってヤツか…

そうと決まれば話は早い。


然し証拠かぁ…


チョロ松が居るから何時でもアイツを潰せると思っていたのだが、現実は甘くはなかったな…


「そうは言ってない!物的証拠が有れば絶対に再捜査してあげるって言ってんの!」


あーぁ…絶対とか言っちゃってるよこの女…悪いけど、絶対と言う言葉を俺は信じてないんだよな…尚も食い下がるチョロ松の首根っこを捕まえて雨降山へと転移したのであった。


「何するんですか旦那!」


雨降山の要石の上に転移していきなり俺に噛みつくチョロ松が俺の顔面がけて蹴りを放つも、その蹴り足を右手で受け止める。


「気持ちは解るけど落ち着けって!」


よく見なくても激怒メーターMAXのチョロ松を何とか宥めようとしたが、落ち着くどころかオーラが黒く染まって来ているのが解る。


仕方ないわね…此処は私が何とかするからレイは社長の所に行って


と、言いながら俺の中から出て来てチョロ松を優しく抱きしめ背中をポンポンと叩きながら何やら呟いている。

その姿を見て頼むと言い残し俺は社長の所に行く事にする。


「その顔を見る限りでは失敗した様ですね」


みず乃の裏口から顔を出すと出迎えた社長がヤレヤレといった表情をする。


「前から思っていたけど、警察ってのは…」


思わずボヤく俺をまぁまぁと宥めた後、今夜アイツ等が来ますが何か仕掛けますか?と言い出す。


来る?誰と?


話を訊くと、先程斎藤佑哉の名で本日20時から3名で予約を入れてきたとの事。

これはまたとないチャンス!

とは言え、3人の内1人は能力者に間違いなく、近くに潜んでいても感づかれるに違いない。

どおしたものかと悩む俺にそれなら良いものが有るからと恵美さんを呼びに行く。


「本当に使うの?コレ…」


少しして恵美さんが持って来たのは何と盗聴器。

事件に巻き込まれやすい俺を気遣って何かに使えるからと密かに購入していたらしいが、恵美さん本人も本当に使うとは思わなかったらしく戸惑いを隠せない様子。


「良いから良いから…で…隠す所ですが…」


何故か乗り乗りの社長は早速盗聴器の設置場所を考えだす。


「それならそこのコンセントに仕込んだら良いかな」


取説を見ながら盗聴器の使い方を調べていた俺は部屋に1つしかないコンセントを指差して指示すると、ニッコリ笑顔で恵美さんがドライバーを俺に差し出しす。

どおやら俺に設置をやらせたいらしい。


って、ちょっとマテェ~イ!俺は幽霊で基本、そんな事は出来ないっての!


抗議する俺に右手の人差し指を左右に振って鬼が裸足で逃げ出す様な表情で今更普通の幽霊ぶってんじゃないわよ!と言ってドライバーを俺に押し付けやがった。


トホホ…やりますよ…やりゃぁ良いんだろ!マッタク…


ドライバーを受け取った俺に頑張って♥️と悪魔の笑顔で応援する恵美さんに末恐ろしいものを感じながら盗聴器を設置したのであった。


20時

3人を乗せた車の運転手をしていたのが例の能力者みたいだが、アイツは…花岡玉斎じゃねぇか。

よく見るとアイツの中に黒い影が見える。

どおやらあれが黒尾の欠片みたいだな…てか、それに気付けないアイツって…アタマイテ…

玉斎は俺の存在には気付いていたみたいだが、俺と気付かなかった様子でそのまま車内で待機するみたいだ。


無害なN級を装い入り口付近で到着した3人を確認したのだが、他の2人は両方とも見覚えがある。

1人は浦川学園理事長 浦川康明

もう1人は娘の真紀

然も堂々と未成年飲酒しているし…オイ!酒は二十歳からだって知らん訳じゃねぇよな!何で親も理事長も黙認してんだよ!

どおやら例の事の揉み消しに理事長を巻き込む魂胆らしい。


「幾ら先生の娘さんとは言え、やって良いことと悪いことがありますし、何と言っても犯罪者を…然も人を殺しているとあっては庇いきれるかどおか…」


盗聴器が仕掛けられているとは知らずに話し込む3人。斎藤佑哉は娘の犯罪の揉み消しをするために学園を巻き込むつもりらしい。


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