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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第三章 コヨミさん不在
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第36話 レイの怒り3

深夜2時


教師が引き取った筈の美穂は先程とは違うマンションの屋上の淵にに立っていた。

美穂が立っているマンションは10階建てのマンションで、このマンションの503号室が美穂の自宅なのだ。昼間は他の住人が洗濯物を干したり利用するので屋上へはエレベーターでも行けるが転落防止用の柵は設置してない。


「あっ…来た来た…」


下を見るとライトが2回点滅する。

3人が見届けに来た合図だ。

看護士の母は夜勤で居ないし24時間稼働の工場に勤める父親もまた夜勤で不在。

然も一人っ子なので途中、誰かに見つ付からなければ容易に屋上へ辿り着く事が出来る。

教師に部屋まで送られた美穂の携帯に届いたメールを視た途端、弾かれる様に部屋を出て屋上へと向かって現在。


「これで…永遠に親友でいられるよね…真紀ちゃん…」


ライトの点滅を確認した美穂は薄ら笑いを浮かべ屋上の淵から右足を前に一歩出す。


……………

………



「ゴミ掃除完了っと…終わった終わった」


「あ~あ…ホントに飛び降りたよ…死んだら親友もクソも無いのにね…シッカシ…呆気ないものね…人間って…ツマンナイ…」


「ひでぇ言い様だな…この犯罪者供…」


「何それ?てか、アンタも立派な犯罪者よ?それに、アタシ達は言っただけで真に受けて従ったのはアイツよ?アタシ達には罪はないわ…」


「…それ…言い訳にもなんねぇし…てか、金の成る木を喪ったのには変わんねぇよ…」


「やっぱり?でも代わりならそこらじゅうにいるじゃん?調教するのにチト手間だけどね…それに何かあってもパパが揉み消してくれるから大丈夫よ?アタシ眠くなったから帰って寝ようっと…」


暗がりに身を潜め美穂の最後を見届けた3人は目的を達成出来た事に喜びあい、自分勝手な言い訳をし、その場を立ち去る。


4時30分


きゅ…救急車…いや…警察が先だ…


読読新聞の配達員が新聞配達に訪れたマンションの敷地内で横たわる物体を発見。何だろうと近寄ったのだが、凄惨な状況を見て腰を抜かしながらも携帯で警察に電話し、忽ち大騒ぎになる。


「昨日言っていた女の子…亡くなったわ…遺書が見付からなかった事から事件と突発的な自殺の両面で捜査が始まったわ」


俺達が美穂が飛び降りたと知ったのはその日の昼過ぎ。

箕浦刑事が態々ワンダーランドに来て教えてくれたのだ。

美穂が飛び降りたマンションにもアンテナは設置してあるのだが、名所に入り込もうとする初老の男性を追い返したりしていて気付けなかったのだ。

時系列を整理するとどおやらその老人を追い返している間の出来事らしい。


あの野郎にヤられたとしか考えられないわね…


苦虫を噛み潰したような表情で真智子が呟く。


そうだとしても1人の女の子を複数の人達で苛めぬき殺した事には変わらないし、突然娘を喪った両親の悲しみは想像を絶するものが有るだろう。

俺の中でかつてない程の感情が沸き起こる。


「と…兎に角、斎藤真紀とその仲間の捜査をするけど、いつ圧力が掛かるか解らないからあまり期待しないでね」


レイの迫力に気圧されたのか、そう言い残して立ち去る箕浦刑事。


圧力だぁ?掛けさせてやるもんかよそんなもん!奴は何時でも潰せんだよ!


どおするの?と問い質そうとする真智子にまぁ見てなと言って、とある場所へと移動する。


「おーいチョロ松居るかぁ?」


俺が移動したのはホームレスが集まる公園の噴水の前。

3年前に起きた殺人事件の犯人の中に居た幽霊で、みず乃の社長同様に閻魔で執行猶予を与えられている。

それからは俺のパシりとして存在している奇特な幽霊なのだ。

生前の名前は宮松春樹36歳 斎藤佑哉の私設秘書の1人であったのだが、用地買収を巡る汚職事件が発覚した時に無実の罪を着せられ自殺を装って殺されている。

それを恨んでSSR化し汚職に関わった奴等に復讐していた。

最終目的は勿論、斎藤佑哉を道連れにするためなんだけど、周囲のガードも去ることながら意外にも信心深いと言うか幽霊の存在を信じている部類の人間で対策もバッチリであったが為に手が出せず腹いせに斎藤佑哉に恨みを持つ元工事会社社長に取り憑き、関わった奴等の命を奪っていた所を俺にドツキ回された。


まぁ、簡単に話せばこんな感じなんだけど、チョロチョロと軽いフットワークで動き回られたおかげで捕まえるのに苦労させられたんだよな。


「此処に居ますぜ…旦那…」


土左衛門か!とツッコミたくなるようなブクブクの姿で水面から顔を出すチョロ松。仕事のせいか生前はお堅い人物としての印象が強かったらしいが、本来はお笑い芸人志望のお笑い大好き人間であったとの事。てか、お笑いと言うよりドッキリ大好き人間だったと言った方が早いかな。

因みに土左衛門ってのは、水死体の事で、昔、土左衛門と言う名の力士がいて、水死体がその土左衛門の体型と似ている事からきた言葉らしいのだけど、そう言う姿をして見える奴等を脅かして遊んでいたのだろう。


「浦川学園の内情を調べられるか?特にレア級以上の動きが知りたい」


そう訊ねたら戸惑いながらも何があったのかと聞き返して来たので事の経緯を話したらこんな話をしてくれた。


ホームレスの間で密かに囁かれる噂として、とある女子高生に接触し、プレイ内容を伝え提示された料金を渡し、教えられた場所に行き教えて貰った合図をすると高校生が相手をしてくれると言うのだ。然も、同性愛趣味の持ち主にも利用出来る様に相手も用意しているとの事。

とは言え、料金は諭吉さん最低3人必要でプレイにより料金は上昇するらしく、おいそれと手は出せないが、好き者や金を持ってるサラリーマンとかが利用しているらしい。


「…って…事はその女子高生が…」



斎藤真紀って事ね…


俺の中で話を聴いていた真智子が俺の台詞を奪う様に呟く。

そっち方面の事は箕浦刑事さんに任せたら良いとしても問題は中にいるレア級なんだよな。

ヤツをどおやって3人から引き剥がすかが問題だ。


「情報ありがとうな。悪いけど浦川学園の内情偵察宜しく頼むよ」


先ずは禿げ糖親父から潰さんといかんな…やることは決まった。

後は取り憑いているレア級をぶちのめすのみ!


チョロ松と解れた俺は社長に会うべく復活したみず乃へと移動するのであった。


人死にの部分は敢えて描写致しませんでした。

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