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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第二章 修行と事件と記憶探しと
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第25話 ガチ鳥の怪6

本当に大丈夫なのか?


今の俺は瞬時にあの場所まで移動も出来るし誰かに憑依して相手を撃退させる事も可能なのだが、生者同士のトラブルには極力関わりたくないのだよ。

然し、乱闘騒ぎになったら格闘系の技術もスキルも持っていないコヨミでは相手にならないだろうし、連れ去られてあんなことやこんなことをヤられてしまうかも知れない。

そんな事を考えていたのだが、どおやら取り越し苦労って言うヤツだったみたいで、暫くの間、激しいやり取りをしていたのだが、事なきを獲た様だった。

なんて…レイがコヨミの事でヤキモキしていた頃…不動明王に驚いたレイの隙を見て脱出した私は私で別行動をとっていた。

最初から違和感を感じていたのだけど、ガチ鳥の敷地はこの街に走る龍脈の真上に建っているみたいで、ガチ鳥はその影響をモロに受けているみたいなのね。


つまり、みず乃の秘密はこの土地で収穫される農産物と龍脈のおかげと言っても過言ではないのよ。


一発でその秘密に気付けた勝野も凄いと言わざるおえないけど、やってはいけない事をやってしまっているのだから逮捕されて貰わないといけないわよね。

と、言う事で私の現在の場所は警察署の前。

勲君の事件を解決した時に居た刑事さんに会うためだ。


森田刑事がホームへ帰る直前にお別れを言いに来た時に警部への昇格した事と今後何かあったらコイツを頼ってくれと紹介してくれた女刑事 箕浦志保さん。

箕浦刑事さんは愛知県出身の刑事さんで、コヨミなんかは足元にも及ばない美人さん。更に妖艶な色気を漂わせていて見た目はとても刑事さんにしておくのは勿体無いと思える程の人物。

然も、見える人と言うか、祓う事も出来るらしいが、男勝りな性格が災いして恋人いない歴は実年齢と一緒なのだそう。

箕浦刑事が署内に居るとは限らないし非番で自宅かも知れない。私には活動時間に制限が有るからこれは一発勝負の大博打なのだ。


「あたしを呼んだのは真智子ちゃんかな?」


私は建物に向かって箕浦刑事さん出てきてと念じる事5分。少々不快な表情で出てきた箕浦刑事は真智子の姿を確認して納得した表情になる。どおやら例の爆発事故の事で捜査に駆り出されているとの事。


「お取り込み中申し訳ありません…でも…8年前の事件についてどおしても協力者が欲しくて…」


「…取り敢えずアタシの車の中で話そうか?」


事の真相を知ってはいても私は幽霊で命さん達は警察の関係者ではないので事件の事は警察に任せるしかないのだ。

私は箕浦刑事さんの車の中で鶴乃屋の悪事とみず乃の社長一家の遺体が遺棄された場所を伝えて事件の解決をお願いする。


「…それ…ホント?…なのよね?…でも…」


信じらんないと言った表情の箕浦刑事さんではあったけど、いくら被害者本人の証言であっても幽霊では証拠にならない。

そう、物的証拠が必要なのだが、既に建物も無く当時の捜査の資料を調べるにも爆発事故のおかげで時間的に難しい。


「じゃあ、このままガチ鳥の店長をみず乃の社長の幽霊に殺されても良いの?店側には罪はないよ?見殺しにしちゃうの?」


申し訳ないけどと断って来た箕浦刑事に食い下がる私に困った表情であなたみたいに体が2つも3つも有るわけじゃないから、あっちをやりながら此方もやるなんて漫画みたいな事は出来ないわと当然の返事をしてくる。


「幽霊が警察やれたら犯罪者バンバン捕まえられるのに…」


そうなると証拠の無い殺人現場からでも殺された本人から証言取り放題じゃん?等と思わず愚痴を溢した私に、それが出来たら苦労しないわよとため息混じりに返して来る。

確かにそうよね…幽霊の存在なんて信じていない人の方が多いのが現状なのだし…

2人して顔を見合わせて思わず盛大にため息を吐くと、途端にクスクスと笑い出す箕浦刑事さん。

何か面白い事言ったかな?等と考え込む私に、こんなに俗っぽいと言うか好き勝手に動き回る幽霊も珍しいなと思ったら何だか笑えて来たとの事。

まぁ、よく言われる事だし、実際そうなので否定しようがないけど、そんなんで笑えるなんて思ってもみなかったわ。

とは言え、何時までも長話している訳には行かないので事件に関する知り得た情報を伝え、15時にもう一度会う約束をしてレイの中に戻ったのだけど…


「何処で何していていたのかな?」


と、ネチネチと取り調べられてしまいた(泣)


まぁ、隠す事ではないので、15時に箕浦刑事と会って事件の話し合いをすると伝えると本人も連れて行こうとの話になり、その事を社長に伝えたのだけど


「警察は信用出来ません」


案の定、予想通りの返事に小一時間程説得した結果…


「いやぁ~…俺も何かと忙しいから何処まで協力出来るか解らないけど…」


15時に雨音署に行くと其処には箕浦刑事さんと森田警部が待っていた。どおやら箕浦刑事さんが事情を説明して来て貰ったらしいのだけど、当時の警察は殆ど捜査をしていなかったみたいなの。

そりゃぁ、社長さんも信用出来ないって言い出すよね?

着いてくるだけで良いからと無理やり連れて来たけど、森田警部の顔を見た途端


「アンタ…警察の人だったのかい」


と驚き固まる社長さん。それもその筈で、森田警部は月に最低1度多い時は3度も通っていた常連さんであったらしいのだ。


「えぇ…まぁ…積もる話しも有りますが、先ずは雨降山に行きましょうか」


現場にはアンテナが設置されているので、何かあっても即対応出来るし森田警部ならアンテナを発見するのは容易いだろう。てか、スーツではなくて作業着を着て安全靴を履いた姿を見てもヤル気満々マンと化しているのが解る。


「ン?何故に花?そして線香を炊いた後も有るな」


「それは楠コヨミって祓い屋の母親が昨日ね…」


「そうなんだ?取り敢えず掘って見ましょう」


片手にスコップを持ち現場へとやって来た森田警部が現場を見て驚きの声を上げる。

そう言えばその事を説明するのを忘れていたので、慌てて昨日の事を説明するも話を半分も訊かずに地面を掘り起こしに掛かる森田警部と箕浦刑事。


ザクッザクッ…


無言で地面を掘り起こす事約30分。1m程掘った所でそれは現れた。


「鑑識に連絡!」


出てきた白骨化した遺体4体は直ぐにDNA鑑定され、後日8年前に疾走した社長一家と確認される。

遺体が発見された事で殺人事件に切り替わり再捜査が行われた事で観念したのか大澤が自首をし、事態は急展開を迎える事となったのであった。


大澤は嫉妬の権化とも言うべき存在で嫉妬を向ける対象は当然社長であった。

副社長と言う立場でありながらも社員は誰も彼を頼ろうとしない。

出入り業者でさえも大澤を空気の様な扱いをするのだ。

そんな扱いが許せなく、嫉妬がそねみに変わり憎悪へと昇華するのに大した時間が掛からなかった。その憎悪を利用したのが勝野本人である。


「私は大澤さんこそがみず乃の社長に相応しい人物だと思っていますよ。」


直接手を下せば早いのだが、それでは警察沙汰になる可能性が高く意味がない。社長を追い落とし、その上でみず乃を乗っ取れば良い。

乗っ取ってしまえば後は赤子の手をひねるが如く容易い事だと理解していたからこそ大澤を抱き込む事にしたのだ。

水内を追い落とした後は大澤が社長としてその手腕を思う存分振るえば良い。

言葉の裏を読まずに勝野の口車に乗ってしまった大澤は社長を追い落とす事を画策しだす。

然し、此処で予想外の事態が発生する。

そう、マルサが動いたのだ。

日常茶飯事的に脱税行為を働いていた勝野は慌てに慌てた。

その窮地を救ったのがガチ鳥店長の父親西村山遠矢である。

遠矢と勝野は大学時代からの親友である。

その遠矢からタイミング良く資金提供を持ち掛けられた。

遠矢もまた、みず乃と水内の家が建つ土地を狙っていたのだ。

ガサ入れを食らっては身動き出来なくなるので遠矢の資金提供を快く受け入れた勝野は貯めに貯めた資金を遠矢に預け難を逃れる事に成功し、遠矢はその金で死神衆と名乗る殺し屋を雇い水内一家の殺害を依頼し、タイミングを見計らってあの土地にガチ鳥を建てたのであった。

大澤はと言うと、社長代理として暫くは店を切り盛りしていたのだが、邪魔者が居なくなった事で勢いを取り戻した勝野の策略に嵌まり店を勝野と遠矢に取られてしまったのであった。

その後、大澤は鶴乃屋傘下の店に追いやられてしまう。


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