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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第二章 修行と事件と記憶探しと
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第22話 ガチ鳥の怪3

2日後


「コヨミの居ない内に調査を始めよっか?代わって貰えると有り難いな」


まるで恋人におねだりするような仕草と言い方で代われと言ってくる真智子にアッサリと了承する俺。


「あぁ…ハイハイ…」


今日はコヨミは実家に用があるとかで山海寺に行くのでチャンスだと思ったのだろう。


「ありがと♥️」


最近は粘着テープの様にべったりくっついて離れないコヨミのおかげで何も出来なかったせいかストレスと言うか鬱憤が溜まっているのだろう事は見なくても解る。

持ちつ持たれつだからな…ガス抜きは必要なのだ。


「はぁ~…この解放感…堪らなく良い!!」


俺から真智子へと姿が入れ替わった途端、大きく伸びをして深呼吸するみたいな仕草をする。

てか、そんなに自由になりたかったのなら何で俺と融合なんて事したんだよ!と突っ込みを入れたくなったのだが、そこは敢えて何も言わなかった。


午前4時


誰も居ないガチ鳥にやって来た私は早速お地蔵さんを調べに掛かった。




「木・土・水・火・金ねぇ…陰陽道かな?」


店の北側から北東・東南・南西・北西と配置されたお地蔵さんは北側から時計回りで木・土・水・火・金の役割をしている模様でお地蔵さんにそれぞれの役割を持たせている様子。


「って事は…アイツかな?」


お地蔵さんの役割を確認して独り納得するようにウンウンと頷く真智子。

コヨミもそうだけど真智子もかよ!何か仲間外にれされている様な気がしてきたぞ。

独り納得している真智子にアイツって誰だよと思わず訊いたら、まだ推測の域でしかないから解らないけどと前置きをしてお地蔵さんを設置した奴の事を話し出す。


「花岡玉斉?」


嘗て和樹の兄弟子で三条の1番弟子だった男。その男の名前が花岡玉斉。


花岡玉斉(はなおかぎょくさい)(本名 花岡洋介)年齢不明 


幼少の頃より力が強かった彼は祓い屋家業なる仕事が存在する事を知り高校卒業後直ぐに三条に弟子入りをして祓い屋になるべく修行をする。

修行自体は真面目に行っていたのだが、独り立ちしてからは金持ち専門に祓いを請け負い、祓いもせずに何時も不完全な結界を張り、メンテナンスと称し数年置きに結界を張り直し毎回高額な料金を請求する悪徳祓い屋として活動している模様。

その祓い屋が使うのがこの結界らしいのだ。


まぁ、そんな事を繰り返していたのが師匠にバレて破門されたんだけどね。


レイとそんな会話をしながらお地蔵さんを調べていたのだけど、此処でトンでもない事実が判明しちゃったりするのよね大概はさ…。


「あっちゃー…まさかこんな事態になってるなんて…」


案の定5体の内3体のお地蔵さんの表面にうっすらとひび割れが走っているのが確認出来た。このままだと後1ヶ月もしない内に割れてしまうでしょうね。

これも花岡玉斉の手口なのかな?なんて思ったのだけど、そこまで粗悪なものを設置して割れる前にメンテナンスとか言って結界を張り直そうって悪どい事をやるかな…幾らなんでもそれはないと思いたいわね。


然し、御影石で造られたこのお地蔵さんにひびを入れると云うのは…然も新品よ?ひびなんて入る訳ないじゃない?普通…て、事は…相当強い悪霊?じゃないかしら


この時点では花岡玉斉の手抜きかそれとも封じられたR級の仕業なのか判断が付かないので、とりあえずアンテナを設置して新聞屋に行くことした。


読んでる読んでる♥️

新聞屋に行くと何時もの様に新聞を読んでいる店長さんの背後から覗かせて貰う。


さーてと・・・どんな記事がのっているのかな…


大規模な特殊詐欺グループ全国一斉摘発?あぁ…例の鴨リストの大元が捕まったのね…流石は森田警部さんね。

刑事ではなくて警部と呼んだのは、あの事件の後、警部に昇格したからなの。

嬉々とした表情を浮かべて捜査している姿が目に浮かぶわ…


関愛高速 浜名インター付近で煽り運転をした男性が高速道路の上で相手の車を無理やり停めハンマーで窓ガラスを割り相手ドライバーの男性を引きずり出し殴る蹴るの暴行。

相手ドライバーの男性は意識不明の重体で犯人は未だ逃走中。…って…何なのこの記事!?何が有ったか解らないけど、最近はこんな輩が増えてるの!?信じらんないわ


雨音工場地帯で爆発事故 死傷者多数

昨夜未明、R科学雨音工場で爆発事故が発生。劣悪な雇用状態による人災か?

ヘッ!?爆発事故?そんな事があったなんて…現場を見に行きたいけど、近寄れないから何も出来ないわね。


目を引く記事はこの3つ程だったけど、R科学の事故が気になって仕方がないのは確か。

その事はレイを通じてコヨミにでも訊けば良いかな?


他には特に目を惹く記事も無いので心の中で店長に 何時もありがとうね と言って 雨降山に向かおうとしたのだけど


「また来いよ」


背中越しに手を振りながら呟く店長…って…気付かれてた?気付いていながら新聞を覗かせていたって言うの?

…店長…メッチャ良い人じゃん!

機会が有れば仲良くなるのも有りかな?

…なんてね…生きている人と仲良くなりすぎるのも良くないのよね…深入りは禁物なのだ。 


雨降山の要石に戻って来た私は何時もの様にレイに剣術の稽古を着けていたのだけど…


何?今の…


素振りをしていたレイの木刀擬きからうっすらとだけど斬擊らしきものが飛び出した。

恐らくは霊気が木刀擬きの動きに合わせて飛び出たのだろうけど、1度だけでその後全く出なくなった。

不思議そうな表情で木刀擬きを見つめるレイの状態を観察してみると霊気の消費量が半端ないみたいね。

更なる修行が必要ってところかな?


ホントこの幽霊には驚かされっぱなしだわ…


そんなこんなで夕方になった訳だけど、ガチ鳥は動き無し。

そこまで美味しいと思える味ではない筈なのに今日もお店は繁盛しているみたいね。この街に鳥白湯のラーメンの店が他には無いせいもあるのかな?


昼間の営業が終わった後で様子を見に行ったら店長さんが1人厨房に残って何やら煮込んでいる様子。


ガンッ ガンッ バキッ!


厨房の片隅で一心不乱にハンマーを振り下ろし動物の骨を叩き割る店長。


あれは…豚骨?それとも牛骨?他にも数種類の味噌と醤油が見えるわね…新作のラーメンでも作ろうって魂胆かな?

それにしても店長さん、かなり窶れている様に見えるけど大丈夫?


…エッ!?今の何…?


一瞬だけど店長の背後に現れた黒い影。

私の存在に気が付いて逃げた?


それにしてもこの私の目を持ってしても一瞬しか捉えられなかったなんて…一体…

これは早急に花岡玉斉を探して話を訊く必要ありだけど、素直に話を訊いてくれるタマではないわよね。

逆に祓われる可能性だってあるだろうし…

頼みの綱のコヨミは明日にならないと戻って来ないし…

今後の対応に悩む私に取り敢えず出ようぜとレイが話しかけて来る。

こう言う時に第三者的な目で見れる人が居るのは心強いものなんだなと改めて知った私は店を出ようとしたのだけど…


「誰か居るのか?」


まさか気付かれた?怯えているのか全身をぶるぶると震わせて周囲を見渡す店長さん。

その様子を見ると余程の恐怖を味わっているに違いない。


「アイツじゃない…良かった…」


私の姿を視認出来たのかホッと胸を撫で下ろし用がないのなら出ていってくれと冷たく言い放つ店長さん。

用がない訳ではないけど店長さんを困らせる訳にもいかないので大人しく店を出た私はお地蔵さんを確認した後で近くに在る10階建てのマンションの屋上へと移動したのであった。


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