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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第13章 勝つのはどっちだ
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最終話 悪党がいる限り

ガシャーン…


達人との激戦を繰り広げていた壊の耳に何が閉じられた音が届いた。


「ま…まさか…」


激しい攻撃に防戦一方になりながらも今の音の正体を考えたのだが、行き着く答えは1つしか無い。


今、達人と壊が存在している空間は知っている太陽系ではなく何者かが創り出した太陽系にソックリの空間であり、今まさに閉じ込められてしまったと言うこと。


「今頃気付いたか?

もう遅いけどな」


そんな壊の表情を読んだ達人がおちょくる様な口調で挑発するものだから怒りが頂点を超えて全身の毛と言う毛が逆立ってしまう。


「もう容赦しねぇ!貴様を跡形もなく消し去った後で本体もマザーごと消してやる!!」


遂に持てる全ての力を開放した壊。

溢れ出る力が虹色に輝き全身を包む。

その姿は禍々しくも神々しいまさに神の中の神と言えよう。


「ん~~……こうか?」


その姿を見て何をしたのか看破した達人もまた壊と同じ姿になる。


「何処まで…

何処まで俺様をバカにしたら気が済むんだ!?」


やったことをやり返す達人のスタイルに一周回って冷静になるところか更にボルテージが上がる壊。


・・・まぁ良い・・・

単細胞なら単細胞のまま勘違いさせておけば良い。


この空間に居る達人は本人ではない。

試行錯誤し続けて創り上げたクローンである。

クローンとは言っても壊が創り上げたクローンより制度が高くちょっとやそっとでは見抜けない程の精巧な代物だ。


「どおせ出られないんだ

トコトン付き合ってやるぜ」


半壊したレプリカの火星の上でぶつかる2人の戦いは終わらない…


永久に…


………

……

大晦日AM7:00

とある漁港にて


昨日から降り続いた雪は朝には小降りになり、現在はチラホラと降っている状況だ。

そんな中、薄くなった雪雲に空いた穴から差し込んだ光が海を照らし、そこだけ明るくなっている所を一艘の漁船が走り抜けていく。


幻想的な光景を防波堤に腰掛け、ボーッと眺めていた2人の人影。

レイとコヨミだ。


「いろいろあったね…」


甘える様にレイに身体を預け感慨深げにコヨミが言うとコヨミの腰を抱くように手を回して「そうだな」と返事をするレイの優しさに嬉しさで胸が一杯になってしまう。


あんなことやこんなこと…

こうやってイチャつく様なこともなく婚姻関係になってしまった。

何度も危機を乗り越えて辿り着いたこの時間。

今、コヨミは至福の時間に居た。


「夫婦水入らずのところ悪いけどよ…

そろそろ時間だぜ」


2人を迎えに来たレッドが遠慮がちに話しかけると名残惜しそうに海を見つめながら「解った」と返事をしたレイが立ち上がり、満面の笑みでコヨミに手を差し出して「行こうか」と問い掛けるとその手を掴み少しテレれながら「ハイ」と返事をする。


………

……




イヴのライブは滞りなく終了したのは良かったが、司会役をした大嶽と天音は人気が出て雨音の街限定ではあるが有名人となってしまい、ファンが着いてしまうと同時に、2人の下で仕事をしたいと考えた者達が株式会社オタクに殺到して対応に追われることになったと言う。


魔界と地獄界はレイが架け橋となったおかげで和解をし、相互交流を始めたは良いが、魔力と妖力の相性が悪いが為に前途多難の様だ。


戦いの後、ヒーロー達は空の配下から離脱し、レイと行動を共にする為に人間界を行動拠点にすることにし、表向きは匠自動車の社員兼株式会社オタク・メディア部所属の俳優として生活することになる。

このことに関してレイは


「もの好きな奴等め」


と、悪態を吐いていたが拒否することはなかった。


俊哉以下漫画家グループはと言うと、締切に追われながらも楽しくやっている様だ。

現在は秀一の自殺をレイが止めるシーンを描いている。

そうそう、俊哉とミキそして香菜と優は揃って元旦に籍を入れるとのことで、結婚式は連載終了後に挙げることで合意しているとのこと

結婚式を挙げるまではカナリ時間が掛かりそうだ。


幽霊屋敷については、体力の低下と健康面の不安を理由に引退を宣言した三条に代わり月光が代表となり運営することになり、夏至にオープンしてハロウィンで営業終了し、その他の期間はイベントホールとして営業するスタイルとなったようだ。


「目標は日本一の幽霊屋敷です」


とは月光の弁


社長はと言うと、一段落着いて成仏の条件をクリアしているのにも拘わらず、レイ達と離れるのが嫌な様で現世に残ることを選択したのは良いが、リバース化する可能性も無きにしもあらずと言うことで、三条と命がみず及の横に小さいながらも立派な神社を建立してそこに料理の神様として奉じられることになり、噂を聞きつけた商売繁盛を願う飲食店経営者や料理の腕前の上達を願う者達が参拝に来るようになったと言う。


………

……


「誓いますか?」


人間界の時間で15時過ぎ

魔界のチャペルにて


神父役の空がカップルに結婚の意思を確認すると躊躇うことなくハイと返事をするコヨミ。

そう、現在レイとコヨミの結婚式の真っ只中なのだ。

結婚式は魔界のチャペルで行い、披露宴は幽霊屋敷で行う事になっている。

この結婚式は急遽決まった訳ではなく、コヨミと楓夏と超獄丸そして社長が全てが無事に終わったらやろうと水面下で計画を進めていた。

まぁ、こうでもしないと恥ずかしいとか何だとか理由を付けてレイが逃げる可能性があるからである。

永久にレプリカ太陽系の管理をし続けないとならないが一区切り着いたことで一安心したところ、魔王軍に包囲され逃げ場を塞がれたところに楓夏が


「終わったのなら次は結婚式じゃの

準備は出来ているからコレから打ち合わせじゃ」


レイの首根っこを掴んで魔界のチャペルへ連行。


「今更じゃね?

何にしても面倒だから却下!」


とかブーブーと文句を言っていたレイではあったがゆう子と天音の


「お父さんとお母さんの結婚式が観たいな」


との一言にレイを除く全員が激しく同意したおかげで逃げ場を塞がれ承諾してしまう。

結婚式の情報は一瞬で魔都を駆け抜け、あっという間に祝福ムードになってしまい、当日は結婚式の状況を生中継して魔界全土に放送することになったおかげで一気にお祭りムード一色に染まっていったのであった。


そして…


誓いのキスを


空に促されて向かい合うレイとコヨミの唇が重なり合うと大気が震えたかと思う程の歓声が魔界全土から沸き起こる。


「まさかこんな嬉しい出来事が起きるなんて長生きはするもんだね」


ゼロの居城で生中継映像を観ていた焔がボソリと呟くと「ですね」と返事をしたゼロであったが、どおしても訊いておきたいことがあるようで、そのことを問い質したのだが、空がレイの正体について話さないので何も解らないとの返事をするのみであった。


そして…


レイ「この車を…」


レッド「そう…」


レイ「マジで?」


レッド「マジで!」


レイ「そんな力一杯言わなくても…てか、こんなサビサビで床が抜けてる様なオンボロをレストアって無理ゲーすぎんぞ!?」


レッド「受けてしまった以上はやってもらわないとな」


レイ「あのなぁ…

何でもかんでも受けてんじゃねぇよ」


レッド「それでもやってもらわにゃならない」


匠自動車に運び込まれた50年落ちのボロボロの車。

車検切れの状態で長年雨晒し状態で放置されていたのだが、旧車が高く売れると知った持ち主が匠自動車に泣きついてきたらしい。

持ち込まれた車の前にため息しか出ないレイに対して無責任にガンバレと言い切るレッドは、そそくさと逃げるように出て行ってしまう。


どぉすんだコレ…


ブツブツ言いながらも作業に取り掛かるレイ。


そんな姿を見ながら笑顔でハイタッチをするコヨミとレッド。

あれ以来、少々腑抜け状態のレイに困っていたコヨミがやる気を出して貰う為にレッドに無理難題を押し付ける様にと依頼していたのだ。

それがあのオンボロ車であった。


そんな二人に血相を変えたブルーが悪魔と妖怪絡みの事件が発生したと報告が入る。

概要を訊いたレッドが調査に動こうとするも


「事件なら俺にも関わらせろ」


と、レイが嬉々とした表情で首を突っ込んで来た。

こうなると誰も止められないレッドはヤレヤレと言った感じでレイに任せてしまう。


「さぁ〜て…

悪党退治でストレス発散じゃ〜!」


悪党が暗躍する限りレイと怪レンジャーの活躍は今後も終わらない。


気が付いたら幽霊やってました

これにて全編の完です。

読んで頂いた方、本当に感謝です。

m(_ _)m

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