第201話 まさかのバッド・エンド?
どこまで…
レイの大音声が途切れた後、間もなく怒りと憎しみが入り混じった表情の壊の姿をした何かが現れようとしている。
どこまで俺様の邪魔をするつもりだぁ!!
遂に姿を現した壊の姿をした何か。
何かと表現したのは壊の姿に幾つもの意識がせめぎ合い我が我がと出て来ようとしているからだ。
その意識を抑え込んで本体が制御しようとしているせいで気配がハッキリとしないのだ。
この状況で何かを倒したところで内包している意識が強欲を食って現れてしまう可能性があり、意識が確定するまで静観するが吉だと言うもの。
レイを罵倒する間にも意識を制御しようとする何かの意識が整い出した時。
ゴキッ!
気配も何も無かった筈なのに突然現れた100kgの巨大ハンマーがレイの後頭部に炸裂したのだ。
100kgのハンマーは見てくれだけで、ヒットするだけで霊気・神力・妖力の流れを狂わす能力の塊だ。
そんな物にぶん殴られたら霊体を維持できなくなるのは必定。
実際、ぶん殴られたレイは姿を維持出来なくなりスライムのようにドロドロと崩れ初めてしまった。
フフ…フハハハハハ…!
同じ手に引っかかるなんて何と間抜けなヤツだ!
テメェが保有している神の力をエネルギー源にこの世を消滅させてやる!
そして俺様の都合の良い世界を構築して…
そうなれば俺様による俺様の為の世界の誕生だぁ!
フハ…フハハハ…
意識を制御するのに成功した強欲が高笑いしながらレイを捕食にかかる。
レイを捕食した途端、強欲の全身が光に包まれ人間界を包み込み全てを消し去っていく
「漸く片付いたか…ご苦労さん」
自分以外の誰も居ない筈の空間に響き渡る静かな声
壊のようで壊でない
この声の主こそ破壊神ラグナなのだろう
「貴様のやりたいことをやってやったのだから、これからは俺様にとって都合の良い世界を構築する」
全てを壊す役目を担うラグナに対して高らかに宣言する強欲の最終目標は当然ながら神々の頂点
世界を崩壊させ、新たなる世界を構築することは目標達成への第一歩でしかない
フッ…
強欲の目的を聞き届けたラグナは呆れた様に笑う
その笑いを肯定と受け止めた強欲は世界を構築する為のエネルギーを解放した…
筈…
だった…
然し…
下手な考え休むに似たり…
とか言ったか…
その程度の力では惑星1つすら創り出すことは出来ない
バカめ…
強欲が作り出せたのは全長500m程の小惑星サイズの岩塊であった。
全ての能力と力を使ってもこの程度のものしか創り出せなかったことに驚愕の表情を浮かべる強欲に失望の声が聞こえてきたかと思ったら、まるで虫に食われかの様に光が闇へと変わって行く。
じゃあな…
闇が光を飲み込み尽くす瞬間、無感情な声で告げられた別れの声
その声を最後に強欲の存在そのものが消え失せる
やっと終わったか…
マザーが残っているが、まぁ良い…
どおせ何も出来ないだろうからな…
強欲が消え失せ、そこに広がる虚無の空間に現れ、蹲り眠るのは破壊神ラグナ
気が付いたら幽霊やってました
バッド・エンド…
……………
………
……
「ンなわけあるかぁーい!!
ヤイ!作者!!
真面目に書け!!!」(般若顔)
「ヘッ!?
終わったらダメなの?
低評価&不人気の底辺小説なんでこの辺で終わっても誰も文句言わないでしょ?」(私、焦りまくる)
「ダメに決まってんじゃない!
真面目に書かないとアンタ本気で呪うわよ!?」(ハリセンを私に向けて脅す)
「こ…コヨミまで…
然も呪うだなんて…
勘弁してくれよ…」(私、涙目)
「では、真面目に書くのですね?
一度書き始めた小説は最後まで責任を持って書き上げるのが作者の責任ですよ?ましてやこの小説はウェブ上で発信しているのですよ?」(にこやかな顔だが目は怒りに満ちてる)
「ゲッ!!
超獄丸まで…
わ…解りました…
書きます
書きますから勘弁してください」(私、土下座)
「・・・ったくよぉ・・・
じゃあ、リスタートってことで宜しく!
じゃないと…」(精神を集中して呪いを発動させようとするレイ)
「は…はい〜!」(何も脅さなくても…(泣))
………
……
レイには仲間が居たはず。
もし、この状況で応援に駆け付けられたりしたらこの状況をひっくり返させられる可能性もあるが、レイの仲間は眷属討伐に追われている為にこの状況に気付いてはいても手を出すことは出来ない筈。
最深の注意を払ってはいるものの、レイを潰せたと云う安心からか自然と笑みが溢れ語尾にハートマークが付いてしまう。
「いっただっきまーす♡」
スライム化したレイを捕食にかかったその時
コノウラミハラサデオクベキカ!
ドカン!!
その言葉と同時に現れた3本の神力を纏わせたハリセンが強欲の顔面と頭部にそして神力を纏った握り拳が股間に炸裂する。
ガァァァァァ!!
何が起こったのかも解らず今まで感じたことのない強烈な激痛に蹲る強欲に追い打ちを掛ける様に神力で作られた無数の槍が強欲の身体を穿き通すが槍は即座に消えて行く。
どおやら吸収と超速再生のスキルを発動させていた様だ。
ァァァァァァ…ハ…ハァーハッハッハッハ
神力をくれてありがとうよ
おかげてアレを食わなくてもエネルギー補充完了出来たぜ!
コレでテメェ等は烏合の衆!
さぁ、破滅を受け入れろ!
強欲の身体が光に包まれて行く
溜め込んだエネルギーを限界を超えて増幅させて暴走させようとする。
世界崩壊まで後1分
(空よ…何がスイッチになっておる…このままでは世界は本当に終わってしまうぞ)
強欲が食った達人の肉体はとある仕掛けが施されていて、もしそのことに気が付いていたとしても解除不可能。然し、そのことを知っていたのならもっと警戒する筈なのだが、強欲はそれもしない。
と言うことは、仕掛けに気が付いていないことを指すが、その仕掛けを発動させるスイッチが何なのか解らないのだ。
こう言うことだろう?
悩める楓夏の心理を読んだかの様にスライム化したレイが強引に強欲に突撃して行き、全て入り込んでしまった。
これには絶句の2文字しか出て来ない一同。
そして強欲はと言うと、レイが無理やり入って来たので、これまた動けないでいた。
な…何故魔力が…
ぐおぉぉぉぉぉ…
実は、達人の肉体自体が魔力の増幅装置であり、取り込んだが最後、神経系や核の最奥に入り込んで気付かれることはまず無い。何よりも、達人の能力のみに執着していた強欲には気付かれることはない。
霊気や神力を手に入れていたとしても、強欲の体を構成している力は妖力であり、魔力への耐性は魔王よりは劣る。
この達人の肉体が魔力の増幅装置であることを知っているのは空と焔そしてレイの3人だけだ。
それを踏まえて要石のことをレイに伝えていたのだ。
そこに強欲の中に入り込んだレイが此処ぞとばかりに前悪魔王の魔力を最大値で開放したのだ。
開放された魔力は増幅装置を媒体として更に高められ、内部から強欲の身体を壊していく。
ま…魔力には…コレだろ…
然し、強欲も対抗策を持っていない訳でない。
まぁ、神力を使って相殺させようとしているのだが、保有している神力では相殺出来ない程に魔力はデカく速攻で飲み込まれてしまった様だ。
「あ…有り得ん…
貴様は何者だ!
何故すべての力を使える!」
崩れ行く身体を何とか維持しながら叫ぶ強欲にトドメと言わんばかりにレイが答える。
「お前が俺を殺してくれたおかげで本当の俺に気付くことが出来た。
そのことについては感謝しているぜ。
冥土の土産に教えてやるよ
俺は………だ…」
な…ん…だ…と…
告げられた真実に絶望の表情を浮かべた強欲の身体が消し炭となりボロボロと崩れていき、核だけが残された。
その核を隔離結界に閉じ込め解析を始める。
欠片が逃げ出していないかを調べる為だ。
100%確認…
じゃあな!
積年の恨みそしてほんの少しの哀れみを込めて隔離結界ごと核を握り潰す。
こうして強欲の野望は潰えたのであった。
然し、この話はまだ終わらない。
此処から真の最終決戦が始まるのだ。




